(株) ケーヒン 2017年3月期の動向

業績

(IFRS基準、単位:百万円)
2017年
3月期
2016年
3月期
増減率
(%)
要因
売上収益 325,550 341,576 (4.7) -
-二輪車、汎用製品 82,869 86,994 (4.7)
-四輪車製品 242,681 254,582 (4.7)
営業利益 22,954 16,440 39.6 -減価償却費の増加や為替影響などはあるものの、合理化効果などにより増益
税引前利益 20,729 15,549 33.3 -
親会社の所有者に帰属する当期利益 11,084 5,677 95.2 -

地域別動向

日 本
-二輪車・汎用製品は、主にインドネシアやタイ向け製品の販売が増加。
-四輪車製品は、国内での販売増加に加え、中国や欧州での空調用熱交換器領域の販売が増加。
-売上収益は1,369億4千万円と前年度比43億8千5百万円の増収。

米州
-二輪車・汎用製品は、南米での販売が減少。
-四輪車製品は、北米での販売が減少。
-売上収益は為替換算上の減収影響により1,088億3千4百万円と前年度比136億1千2百万円の減収。

アジア
-二輪車・汎用製品は、主にインドネシアやベトナムでの販売が増加。
-四輪車製品はタイやマレーシアなどで販売が増加。
-売上収益は為替換算上の減収影響により968億8千2百万円と前年度比48億2百万円の減収。

中国
-二輪車・汎用製品や四輪車製品の販売が増加。
-売上収益は為替換算上の減収影響により739億3千万円と前年度比19億3千2百万円の減収。

国内事業

-ホンダの次期軽自動車のエアコンユニットを受注した。現行型には他社製が採用されているが、生産性を向上してコストダウンを図るとともに、軽量・小型化を追求して競争力を高めることで受注を獲得した。鈴鹿工場(三重県鈴鹿市)に約15億円投じて年間生産能力30万台のラインを新設し、2016年度末に供給を始める。新規受注により国内でのエアコンユニットの生産台数を2倍の年間60万台に拡大する計画だ。(2016年6月22日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-インドで二輪車用インジェクターの生産に乗り出す。2017年度からの3カ年で、新たなラインを設置するなど数十億円以上の設備投資を見込む。既存工場の敷地内に増築できない場合は、新工場の建設も検討する。現地では環境規制に伴って20年には、すべての二輪車でキャブレターからインジェクターに切り替えられる見通し。インドの二輪車市場は年1千万台規模もあり、20年までに需要の急拡大が見込まれる。早期にインジェクターの供給体制を整え、事業の拡大を図る。なお、既存工場では20年以降もキャブレターの生産を継続する。現地の保有車両はキャブ車がほとんどで、当面は補修部品の交換需要が見込めることから、既存工場でこれらの需要に対応していく。 (2016年9月29日付日刊自動車新聞より)

2017年3月期の主な受注

OEM モデル 納入製品
ホンダ 「Accord」 新型パワーコントロールユニット (PCU)
日本:「Freed」 電子制御製品や燃料供給製品など
アジア:「Civic」
米国:「CR-V」
中国:ACURA「CDX」
ガソリン直噴エンジン用システム製品
米国:「Ridgeline」 V型6気筒直噴エンジン用システム製品
Ford 米国・中国:「Fusion」 エアコン用コンデンサー
Audi 中国:「A6L e-tron」 自動車用熱交換器のコンデンサー
マツダ 日本:「CX-5」 ハイレックスコーポレーション経由でパワーリアゲート用電子制御ユニット

受賞

-グループ会社Keihin Thermal Technology (Thailand) Co., Ltd. (TTH) がFord Motor Company (Thailand) LimitedからQ1 Award(品質優良賞)を受賞したと発表した。TTHでは四輪車用の空調製品を製造しており、今回コンデンサーの品質について高い評価を得たもの。

-フォルクスワーゲン(VW)のサプライヤー表彰「フォルクスワーゲングループアワード2016」を受賞したと発表した。受賞した21社のうち、日系で受賞したのは同社のみだった。子会社のケーヒンサーマルテクノロジーが開発・生産した自動車空調用コンデンサーが「ゴルフ」やアウディ「A4」などに搭載され、品質とコスト面で欧州、北米、中国での商品競争力に貢献したと評価された。(2016年6月15日付日刊自動車新聞より)

-ホンダの取引先表彰「優良感謝賞」を開発、環境、パーツ、原価の4部門で受賞したと発表した。300社を超えるホンダの取引先の中で、4部門で同時受賞したのは過去に例がないという。開発部門では、小型二輪車用新型電子燃料噴射システム(FI)とハイブリッド車(HV)用新型パワーコントロールユニットの二つの製品で受賞した。FIシステムでは燃料ポンプにフィルタ目詰まり予見機構を世界で初めて採用した。四輪車用新型パワーコントロールユニットは2015年11月にHV向けに量産を開始し、3月には燃料電池車にも採用された。原価部門では、EGRバルブやスロットルボディー、電子制御ユニットの生産で内製設備やロボットの導入による勘やコツの自動化を図った。工程統合なども進め、海外工場の見本となる生産ラインを造り上げたことが評価された。(2016年4月4日付日刊自動車新聞より)

第13次中期経営計画 (2018年3月期~2020年3月期)

-電動化に向けた組織力強化
・xEV(エックスイーブイ)事業戦略室を新設
・BMS開発部を新設
・パワーモジュール領域の生産技術力強化
-燃料供給技術領域の進化
・上流開発を推進
-新規顧客開拓に向けた体制強化
・社長直轄の拡販事業部を新設

-設備投資総額: 700億円規模(第12次中期480億円)
・インドでの二輪車のFI化やxEV関連の投資に加え、上流開発に向けた試験設備などを導入
・対連結売上収益設備投資額比率5% →7%

-研究開発費総額:670億円規模(第12次中期576億円)
・開発フロー改革による効率の向上を図りながら、新規分野へ開発資源を追加
・対連結売上収益研究開発費比率6% →7%

2018年3月期の見通し

(IFRS基準、単位:百万円)
2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減
(%)
売上収益 318,000 325,550 (2.3)
営業利益 18,500 22,954 (19.4)
税引前利益 18,400 20,729 (11.2)
親会社の所有者に帰属する当期利益 10,500 11,084 (5.3)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 19,404 19,559 18,606


-2018年3月期の研究開発費は、22,300百万円を予定。

研究開発拠点

日本 栃木開発センター
(栃木県塩谷郡高根沢町)
日本 角田開発センター
(宮城県角田市)
米国 Keihin North America, Ltd.
(インディアナ州アンダーソン)
タイ Keihin Asia Bangkok Co., Ltd.
(バンコク)
インド Keihin Automotive Systems India Pvt. Ltd.
(ハリヤナ州 グルガオン)
中国 Dongguan Keihin Engine Management System Co., Ltd.
(広東省東莞市)
中国 Keihin R&D China Co., Ltd.
(上海市)
ドイツ Keihin Sales and Development Europe GmbH
(バイエルン州)

研究開発活動

四輪事業
-環境先進対応エンジンの燃料供給系及び吸気系製品の開発 (商品化)
-ガソリン直噴インジェクターの開発 (商品化)
-トランスミッション油圧制御系製品の開発 (商品化)
-代替燃料供給系製品とシステムの開発 (商品化)
-エンジン及びトランスミッション電子制御ユニットの開発 (商品化)
-ハイブリッド車用モーター/バッテリー制御ユニットの開発 (商品化)
-リチウムイオンバッテリー用セル電圧センサーユニットの開発 (商品化)
-ハイブリッド車用パワーコントロールユニットの開発 (商品化)
-カーエアコンシステム製品の開発 (商品化)
-カーエアコン用熱交換器の開発 (商品化)

設備投資額

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 16,575 14,593 18,915
地域別 日本 6,355 3,519 4,320
     米州 3,973 3,898 6,807
     アジア 1,320 2,072 2,031
     中国 1,720 1,610 972

2017年3月期の設備投資

-投資対象別:生産投資 13,368百万円、研究開発投資 965百万円、その他投資 2,242百万円

設備の新設計画

(2017年3月31日現在)
セグメントの名称 投資予定金額 (百万円)
日本 10,491
米州 4,744
アジア 5,954
中国 2,105
合計 23,295

-投資対象別:生産投資 18,211百万円、研究開発投資 870百万円、その他投資 4,214百万円

-インドで小型二輪車用フューエルインジェクションシステム製品の本格量産にむけた準備を開始するため「アジア」セグメントの投資予定金額が増加。