HELLA KGaA Hueck & Co. 2012年5月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
2012年
5月期
2011年
5月期
 増減率
(%)
要因
全社
売上高 4,810 4,371 10.0 1)
EBITDA 615 565 8.8 -
事業別売上高
照明 1,865 1,754 6.3 -
電子機器 1,581 1,391 13.7 -

要因
1) 全社 売上高
-自動車業界における環境対応、安全性向上およびLEDランプの採用といったトレンドが同社製品と合致したことが寄与。
-成長率が高い新興国の高成長が売上高の向上に寄与。同社は中国、北米、インド、ブラジルの各市場において中期的に成長機会があると注視している。

地域別要因
-アジア/太平洋/その他地域:売上高は前年比12%の成長を記録。連結売上高の23%を占める。

-北米/南米地域:売上高は前年比15%の増加。連結売上高の19%に相当。

-ドイツ:同地域での売上高は前年と同様に堅調に推移し、前年比20%と大きく成長。

-欧州(ドイツ除く):同地域の売上高は、ユーロ危機による影響で南欧の需要が著しく減少したことを受け、前年比でわずか3%の成長にとどまった。

受注

-同社はOpel 「Insignia」、「Astra」、「Astra Sports Tourer」向けにアダプティブフォワードライティングを改良した「AFL+」を供給している。

-2011年9月から生産されるVolkswagen 「Tiguan」に、同社の「INTEMO」モジュールを装備したバイキセノンヘッドランプが搭載されていると発表した。この新型モジュールは回転可能で、配光可変機能を備えている。従来のレンズに比べて4ミリ小さいレンズを使用し、ハイブリッド反射板にはアルミ製深絞り部品やプラスチックインレーを採用。同等製品と比較して約100グラムの軽量化を実現した。(2011年9月26日付プレスリリースより)

-2012年モデルの新型Volkswagen 「Beetle」に、同社のフロント・リア用外装ランプが搭載されていると発表。ヘッドランプ、フォグランプ、フロントサイドマーカー、テールランプ、リアリフレックスリフレクター、センターハイマウントストップランプ (CHMSL)などが含まれる。同社は2009年に、このモデル向けランプの開発を開始した。テールランプは、同社の米州ミシガン州Plymouthのエンジニアリング・開発スタッフが、ドイツLippstadtの設計チームを率いて開発したもの。ヘッドランプは、チェコのエンジニアリングチームによる設計。また、「Beetle」に納入するハロゲンタイプのヘッドランプは、2011年初めにMexico City工場で生産開始となった。(2011年6月29日付プレスリリースより)

事業提携

-ブラジルの電子部品・電子機械部品メーカーEmicol Eletro Eletronica S.A.と提携し、同国で電子部品の生産を行うと発表した。今後1年以内に、大手自動車メーカー向けにボディーコントロールモジュールの生産を開始する予定。サンパウロ州Ituに位置するEmicol内で生産を行う。また、Hellaは最近、メキシコSan Jose Iturbideの電子部品工場において、5万平方フィートの拡張工事を完了。これにより、米国・メキシコ・ブラジル・アルゼンチンの顧客に向けて、様々な製品の生産能力拡大が可能になる。対象製品には、アクセルペダルセンサー、バキュームポンプ、ボディーコントロールモジュール、トランスミッションレンジセンサー、表面実装技術(SMT)製品などが含まれる。(2012年4月25日付プレスリリースより)

合弁事業

-同社と長春一汽富維汽車零部件 [Changchun FAWAY Automobile Components]は、中国の吉林省長春(Changchun)に合弁会社を設立したと発表。資本金は約200百万元(25百万ユーロ)。Hella Groupの完全子会社である上海海拉電子(Hella Shanghai Electronics)と共同で、中国市場向けにライティングシステムの開発・生産を行う。また、ライティングシステムの複雑化に対応するため、電子部品とコントロールユニットの統合にも取り組む予定。第一汽車(FAW)などが主な納入先となる。(2012年2月10日付プレスリリースより)

<Mando Hella Electronics Corp.>
-韓国のMando Corporationとの合弁会社、Mando Hella Electronics Corp.はアジア市場におけるシャシーコントロールユニットおよびセンサーの分野で2011年は堅調な業績を見せた。
-2012年においては、韓国顧客の高級車向けのステアリングパワーパック、回転角センサーおよびレーダーセンサーが売上増加に寄与し、前年比約100%の成長が予測されている。
-中国江蘇省に新工場建設を進めており、今後中国市場に直接供給できる体制を整備する。

<Behr-Hella Thermocontrol GmbH>
-Behrとの合弁会社であるBehr-Hella Thermocontrol GmbHは、2012年5月期に大量の受注を獲得するなど、利益率の高い成長を達成。
-同社初の電気自動車用高電圧ヒーターの量産を開始したことで、戦略的課題であった電気自動車用部品の参入を果たした。

海外事業

<メキシコ>
-電子機器事業は大量の新規受注を獲得しており、米国の旺盛な需要を受けて現地生産体制を拡充している。次の段階に向けて、同社はメキシコにおいてレイン/ライトセンサーの生産を開始する予定。

事業方針

-日系自動車メーカーの新規開拓を目指し省燃費、予防安全技術の提案を活発化する。日米欧で規制強化が予定される二酸化炭素(CO2)排出規制への対応で日系各社が求める技術をにらみながら、ハイブリッド車(HV)や内燃機関の効率を高める次世代機構を順次投入する。合わせて小型で検知能力に優れる新型ステアリング角度センサーや時速15キロメートル程度の低速域での障害物検知を実現したレーダーシステムによって高度化の進む運転支援のニーズを吸収する。これらの受注を獲得し日系向けのグローバル売上高を2015年に現在の2倍に引き上げる計画。(2011年6月22日付日刊自動車新聞より)

受賞

-Porscheより「Best Supplier Award 2011」を受賞したと発表。同社はPorsche向けに、ヘッドランプおよびリアランプの開発・生産を行っている。(2011年7月25日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2012年5月期 2011年5月期 2010年5月期
照明 142 128 111
電子機器 224 204 171
アフターマーケットおよびスペシャルOE 22 14 14
合計 388 346 296
売上高に占める割合 8.1% 7.9% 8.3%
研究開発要員 4,832 3,882 3,517

研究開発拠点

-2010年度に中国上海(Shanghai)とインドPuneにおける自動車部品の開発センターを拡張したと発表。また今年度は、中国の南京(Nanjing)市に照明技術・エネルギー管理に特化した開発センターを建設する計画。(2011年9月7日付プレスリリースより)

研究開発活動

-ガソリン車、ディーゼル車の燃費改善支援を狙い48~60ボルト系と12ボルト系の2系統を備える次世代電源制御装置の開発に着手した。48~60ボルトの高電圧で発電、蓄電することを基本としたシステムで、これにより電動パワーステアリング(EPS)、電動ポンプといった大電流の必要なユニットの小型軽量化につなげる。合わせて電圧を12ボルトに落とす電圧変換装置(コンバーター)を活用し、大電流の不要な部位ではコストの優位な既存の電装部品を搭載しやすくする。燃費規制対応に取り組む自動車メーカーのニーズの吸収に向けて、2015年の実用化を目指す。同社は48~60ボルト系の電源をメーンとし、必要に応じて12ボルトの電源を供給可能にする新しい電源システムによって、コストアップを抑えながら大電流の必要なユニットの小型軽量化につなげていく考えだ。すでに100~300ボルトの高圧なバッテリーを搭載するハイブリッド車では、電圧を60ボルト以下に変換しEPSなどに供給することが可能となっている。新システムを活用するとハイブリッド車の最新の電動ユニットをガソリン車などで使用しやすくなる。大電流の必要なユニットの搭載が増えるほど高電圧のメリットが大きくなる。(2011年6月8日付日刊自動車新聞より)

技術提携

-新型の絶縁監視システムの開発に向けて、ドイツのBenderと提携すると発表。Benderは、電気絶縁監視システムの生産を行っている。Hellaが開発した電子システムがリチウムイオン電池を監視することで、フルハイブリッド車および電気自動車用の高電圧電池はより安全・確実に機能する。この電子システムの主要部品となる絶縁監視システムは、高電圧の車載電池の絶縁抵抗を監視し、感電防止を効果的に行うことが可能になる。(2012年4月26日付プレスリリースより)

製品開発

ライトモジュール
-フロントランプおよびテールランプ用にLEDシステムを用いた55mmのライトモジュールを開発した。バス、キャンピングカー、パワースポーツビークルなどに使用されるもの。このモジュールに内蔵されているLEDは、精密光学システムを組み合わせることで、配光を最適化するとともに電力消費を大幅に削減する。これにより、バルブタイプのモジュールに比べて最大85%の節電が可能。この55mmのモジュールのほかに、同社は66mm、83mm、122mm用のLEDシステムも提供する。(2012年4月27日付プレスリリースより)

アダプティブフォワードライティング (AFL)
-同社とOpelは、Opel 「Insignia」、「Astra」、「Astra Sports Tourer」向けに、アダプティブフォワードライティング(AFL)を改良した「AFL+」を開発した。AFLシステムは、カーブ走行や夜間走行において進行方向を最適に照らすことで、物体や人が視界に入りやすくするもの。カーブランプは、センサーを用いて進行方向に合わせてヘッドライトを調整し、カーブの内側を広範囲に照らす。また、狭い角を曲がる際にはコーナーランプが作動。道路の端まで照らすため、危険を早急に発見することが可能になる。今回の「AFL+」は、バイキセノンヘッドライトと組み合わせることで、運転状況に応じて光の幅・範囲・方向を調整する。さらに、悪天候でも光分布を最適に行う悪天候ランプも統合されている。(2011年12月5日付プレスリリースより)

リアコンビネーションランプ
-Land Rover 「Range Rover Evoque」向けに、リアコンビネーションランプの設計・開発を行ったと発表。厚型レンズ内の平面光トランスミッターが、赤透明に着色されている点が特徴となる。(2011年11月3日付プレスリリースより)

新型LEDライト
-同社とドイツのトレーラーハウスメーカーHobby-Wohnwagenwerk Ing. Harald Striewskiは、Hobbyのトレーラー「Premium Series」向けの新型LEDライトを共同開発した。テールランプとストップランプは、マルチファンクションライトに統合。リアブレーキランプは、レンズ内に3Dプラスチックプリズムロッドを3本平行に搭載している。なお、両社はこれまでトレーラー向けランプに関して、3世代にわたって共同開発を行っている。(2011年8月10日付プレスリリースより)

設備投資

海外投資

<中国>
-廈門市に、中国市場向けリレーおよびオイルセンサーを製造する第二工場の建設を開始。

<ブラジル>
-セントラルコントロールユニットの最終組立ての準備が進行している、ブラジルの生産能力の増強を推進している。