(株) ジェイテクト 2020年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
  2020年
3月期
2019年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上収益 1,418,896 1,520,886 (6.7) -機械器具部品事業の減収減益による
事業利益 37,557 71,764 (47.7)
親会社の所有者に帰属する当期利益 (3,794) 27,248 - -欧州の連結子会社において減損損失をその他の費用に計上したこと等
機械器具部品事業
売上収益 1,257,486 1,346,014 (6.6) -米中貿易摩擦の激化や中国の景気減速、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ステアリング、駆動、軸受の各事業とも大幅に需要が減少。
事業利益 24,248 54,057 (55.1) -原価低減の効果はあるも、減収の影響が大きく減益。

 

2021年3月期の見通し

-新型コロナウイルス感染拡大による影響を算定中のため未定。

 

買収

豊精密工業
-豊精密工業の株式を取得し、子会社する決定を行ったと発表した。この株式取得により、トルクコントロールデバイスとデフの一体化や、四輪駆動システムとしての最適化を一体となって追求するほか、工作機械・メカトロ事業との連携も含め、事業基盤の更なる強化を行う。将来的には、ジェイテクトのトルクマネジメント技術と、豊精密工業のデフに関する知見や歯車加工技術による相乗効果を軸に、ステアリングシステムやハブユニット、ドライブシャフトなどの既存製品と最適化させたドライブラインシステムを提供していく。(2019年12月4日付プレスリリースより)

 

事業提携

米国ベンチャーキャピタルのプラグアンドプレイ社とパートナー契約締結
-プラグアンドプレイ社を通じてスタートアップ企業などとの関係構築を進め、自動車や新規事業でのイノベーション創出につなげる考え。(2019年9月13日付日刊自動車新聞より)

 

研究開発費

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 64,712 63,626 55,267

 

研究開発拠点

<日本>

事業部 名称 所在地
ステアリング事業本部 東部テクニカルセンター 埼玉県 狭山市
中部テクニカルセンター 愛知県 岡崎市
西部テクニカルセンター 奈良県 橿原市
軸受事業本部 東部テクニカルセンター 埼玉県 狭山市
中部テクニカルセンター 愛知県 豊田市
西部テクニカルセンター 大阪府 柏原市

  

研究開発活動

1) ステアリング事業

電動パワーステアリング

  • 従来の電動パワーステアリングシステムの電気系統を冗長化したシステムを受注。電気系統を完全二重系とすることにより、システム失陥のリスクを回避でき、安全性の飛躍的な向上を達成。
  • 2020年1月、燃費向上や自動運転へのニーズがある中大型商用車向けの電動パワーステアリングを開発していると発表。

ステア・バイ・ワイヤシステム

  • 2021年以降発売の高級車に搭載される見通しで、「レベル3」相当の自動操舵機能を備えている可能性もある。メカニカルなリンクがないため、より一層の安全性が求められる中、自社開発のリチウムイオンキャパシターをシステムの補助電源として採用。故障などで電源供給が絶たれても一定時間は作動する。

ソフトウェア開発の強化

  • 自動運転関連技術や、モーターと電子制御ユニット (ECU) を一体化したMCUなどの開発を強化すべく、従来の開発拠点である花園事業場技術開発センター (愛知県岡崎市) に加え、東刈谷事業場 (愛知県刈谷市) でもソフト開発を開始。また2019年4月、電動パワーステアリング (EPS) ソフト開発組織を見直し、モデルベース開発 (MBD) などに基づきEPS組み込みソフトを開発する部門を新設。

HMI技術 (ハプティック・シェアード・コントロール)の開発

  • 電動パワーステアリングのトルクセンサーでドライバーが求める操舵角度を推定し、自動操舵分から差し引くなどして自然な操舵感覚と自動操舵を両立させる。すでにこのHMI技術を搭載した試作車を走らせ、有効性などを確かめている。今後はEPS用のECU (電子制御ユニット) に実装する等して完成度を高め、2025年頃の実用化を目指す。

自動運転バス実証実験への参画
-「JR 東日本管内のバス高速輸送システム (BRT) におけるバス自動運転の技術実証」に参画。この実証実験は車線維持・速度制御実験や、遠隔監視システムによる車内監視・乗客動向検知の実験、無線を用いた信号制御による各種制御実証などを行うもので、ジェイテクトは車両の提供とステアリング操舵システム機器の設置を担当。

2) 駆動事業

  • 電子制御4WD用カップリング(ITCC)を新開発の電磁クラッチと組み合わせた新4WDシステムを量産。
  • トルセンが小型スポーツ車のフロントデファレンシャルに採用され、2020年度に量産開始予定。

3) 軸受事業

  • 変速機のハウジング内で起こる軸受のクリープによるハウジングの摩耗を抑制する「クリープ摩耗抑制玉軸受」を開発。
  • EVやHV等の電動車に適した電動キャリパーブレーキへの適用を目指した「非循環ボールねじ」を開発。

 

設備投資額

(単位:百万円)
  2020年3月期 2019年3月期 2018年3月期
全社 75,055 75,205 66,642
-機械器具部品 60,768 63,855 58,753

 

海外投資

<モロッコ>
-約24億円を投じて建設していた生産拠点の開所式を開いたと発表。電動パワーステアリングシステム (EPS) を量産する。年産能力は約30万台分 (2020年) 。モロッコを足がかりに欧州自動車メーカーへEPSを売り込む。新拠点には「ジェイテクト・オートモーティブ・モロッコ (JAMO) 」とグループ企業である富士機工の「フジ・オートテック・モロッコ (FAMO) 」が同居する。(2019年10月17日付日刊自動車新聞より)

  

設備の新設計画

(2020年3月31日現在)
事業所名 所在地 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
ジェイテクト花園工場 愛知県岡崎市 機械器具部品製造設備等 3,908 2020年4月 2021年3月
ジェイテクト岡崎工場 愛知県岡崎市 機械器具部品製造設備等 1,877 2020年4月 2021年3月
ジェイテクト田戸岬工場 愛知県高浜市 機械器具部品製造設備等 1,288 2020年4月 2021年3月
富士機工 静岡県湖西市 機械器具部品製造設備等 1,839 2020年4月 2021年3月
捷太格特轉向系統(厦門)有限公司 中 国 厦門市 機械器具部品製造設備等 4,544 2020年4月 2021年3月