PSA:2021年目標の営業利益率6%を2016年に前倒し達成、攻めの姿勢に転換

モロッコ、インド、アセアンに新工場を建設、北米のモビリティ市場に参入

2017/04/28

要約

2016年11月に発売した、ユニークなスタイルのCitroen C3。(写真:PSA)
2016年11月に発売した、ユニークなスタイルのCitroen C3。(写真:PSA)

 PSAは、2014~2018年の中期計画”Back in the race”を進めてきたが、2015年の最終損益が黒字化するなど経営再建を達成したとして、2016年4月に、2016~2021年の新中期計画”Push to Pass”を発表した。5年間で新モデル34車種を投入するなど、積極的な攻めの姿勢に転換した。「体系的な利益ある成長(Organic Profitable Growth)」を目指す。

 新中計では、1)売上高は、2018年までに2015年比10%増、2021年までにさらに15%増やし(約680億ユーロになる)、2)2016~2018年の自動車部門平均営業利益率を4%、2021年までに6%とする目標を掲げた。

 営業利益率6%を2016年に前倒しで達成するなど、計画は順調にスタートしている。2016年の世界販売台数は315万台へ5.8%拡大。売上高は1.2%減(540億ユーロ)だが、為替影響を除くと2.1%のプラスとしている。

 世界各地での活動としては、中近東・アフリカでの販売は、イランへの再参入が軌道に乗ったことにより、2015年の18万台から2016年の38.4万台に急拡大した。モロッコには新工場を建設中。インド、ASEANの一国(国名は未詳)でも新工場を建設する計画。

 1991年に撤退した北米市場にも、2017年から新モビリティ分野(カーシェアリング事業)に参入し、10年の長期計画で本格的に再参入する方途を検討する。

 PSAは、2017年3月、GMの欧州子会社オペルを買収すると発表した。収益性が向上したことを背景に、オペルを”Push to Pass”計画の成長戦略に組み込む決定をしたものと思われる。欧州でのシェアはVWに次ぐ2位に浮上する。上記の数値計画も、書き換えられることになる。この件については、別途レポートする。

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