北京モーターショー2016 (上) 欧米メーカー編:各社が中国専用モデルを強化

VWがT-Prime Concept GTEを、BMWがX1ロングホイールベースモデルを出展

2016/05/16

要約

 北京モーターショー2016は、2016年4月25日から5月4日まで北京首都国際空港近くの国際展覧中心新館と中心部にある旧館で開催された。22万平方メートルの広い会場全体に、多くの展示車や来場者が集まり、スケールの大きいモーターショーであった。

 主催者によると来場者数は81.5万人、世界14の国や地域から1600余りの企業が出展しており、ワールドプレミアとなるモデルやコンセプトカーはもちろん中国市場専用モデルなど多岐にわたる展示により、世界各国の注目を集めたといえよう。

 今回のショーのテーマは、“創新変革 Innovation and Transformation”を掲げ、電動化、インテリジェント化、ネットワーク化の融合と新エネルギー車にフォーカスを当てた展示内容であり、新館では自動車メーカーと大手部品メーカーの出展、旧館では部品メーカーの出展及び中国メーカーを中心とした新エネルギー車の特設会場が設けられていた。

 欧米メーカーのとりわけMercedes-Benz、BMW、Audi、VWなどのドイツブランドのブースは盛況であった。また、日本メーカーでは、レクサス、インフィニティ、アキュラのブースが人気を博しており、ラグジュアリカーへの注目の高さが感じられた。

 韓国メーカーのブースは、かつての中国モーターショーでの勢いがなく人もまばらであったが、その一方で、中国メーカーは、数多くの新エネルギー車やSUVを展示しており、家族づれも多く活況をおびていた。また、ディーラーの営業員が展示車両の説明を行うとともに、試乗への勧誘も実施していた。

 本レポートでは、欧米メーカーが今回の北京モーターショーで出展したPHVを中心に、ワールドプレミア等も含めて報告する。次回レポートにて日韓中のモデル、そして中国新エネルギー車モデルについても、今後報告していく予定である。

メイン会場の国際展覧館中心新館
メイン会場の国際展覧館中心新館
通路のバナー広告で発表モデルをアピール
通路のバナー広告で発表モデルをアピール


VW グループ:SUVやセダンを中心に幅広いモデルをラインナップ

  今回のモーターショーにおいて、VWブランドのPHV展示はコンセプトカーのみとなり、Audiブランドでは、A6L e-tronとなった。なお、2017年にPHVのAudi Q7e-tronの発売が予定されている。また、グループで今後3年から4年で10モデルのSUV、15モデルの新エネルギー車を現地生産すると発表した。

  VWグループは、2016年は40億ユーロを中国に投じて、環境に配慮した製品開発や生産工程への設備投資なども行い、引き続き中国市場に注力して、継続して現地化を図るとしている。なお、2020年までに中国におけるグループ全体で30,000人の雇用を計画している。

  また、新たに世界で三つ目となる「VWグループ未来センター」を中国北京に設立(他はドイツ・ポツダム、米国・カリフォルニア)し、中国人デザイナーと協力しながら研究開発を推進していく。

VWブランド:PHVコンセプトカーと中国市場モデルを紹介

T-Prime Concept GTE
(PHVコンセプト)
Cセグメントの高級SUVとしてワールドプレミアに登場したコンセプトカーT-Prime Concept GTE。高性能と優雅さを兼ね備え、高級セダンの快適性、ワゴンの室内空間、スポーツカーのパワーを追求。青/ライトグレー/ブラウンなどのカラーリングや材質は、中国哲学に敬意を表し、五大元素にもとづいているとのこと。
PHVは、3つのモード(Eモード、Hybrid インテリジェントモード、GTE高性能Hybridモード)の選択が可能であり、4WD、8速AT。Eモードでは、EV走行距離50km。また、Hybridインテリジェントモードでは、最高出力280kW、最大トルク700N・mを発揮。
電源は、3.6kWの家庭用交流電源及び7.2kWの公共電源設備に対応。それぞれ8時間、2.5時間でフル充電が可能。
T-PRIME CONCEPT GTE (VW提供)
T-Prime Concept GTE(VW提供)
青とライトグレーを基調としている
青とライトグレーを基調としている

Phideon 2016年ジュネーブモーターショーで世界初公開されたDセグメントの中国向け新型高級セダンが発表された。VWグループのMLB(Modular Longitudinal Matrix)新プラットフォームをベースに開発された。PHIDEON 辉昴380至尊版は、DSG(DCT: Dual Clutch Transmission)湿式7速、2.0L、EA888ターボエンジン、最高出力165kW、最大トルク350N・m。
Phideon
Phideon
Phideon(VW提供)
Phideon(VW提供)

Lamando GTS Lamandoの高性能モデルでスポーティーなフロントグリルが特徴。DQ380(中国で生産するDCT)湿式7速、2.0L TSI、最高出力162kW、最大トルク350N・m。
Magotan 中国市場専用モデルの次世代の新型Magotanが発表された。VWグループのMQB-Bプラットフォームを採用。欧州版のPassatより8cm程ホイールベースが長い。
Lamando GTS(VW提供)
Lamando GTS(VW提供)
Magotan
Magotan

Audiブランド:A6L e-tronを2016年末、New Q7 e-tronを2017年に発売

connected mobility プレミアムコンパクトSUVのQ3をベースとしたコンセプトカー。渋滞がひどく、また走行規制もある中国の大都市での使用を想定した。 リアバンパーに電動キックボード(スケートボード)が格納され、インフォティンメントシステムがリアルタイムな交通状況から、電動キックボードの方が早く目的地に到着できると判断すると、車を駐車し、電動キックボードで目的地に向かうことを推奨する。電動キックボードの走行距離は12km、最高時速は30km。
コンセプトカー connected mobility
コンセプトカー connected mobility
リアバンパーには電動キックボードが格納
リアバンパーには電動キックボードが格納

A6L e-tron 2015年の上海モーターショーで初披露された中国生産のPHV。2.0L、TFSIのガソリンエンジンと電気モーターで、最高出力は180kW、最大トルクは500N・mを発揮。燃費は2.2L/100km。 2016年末頃発売予定。
A6L  e-tron A6L  e-tron
A6L e-tron、2016年末発売予定

A4L (中国専用ロングホイールベースモデル) 中国市場専用モデルで優雅さと快適性を備えたAudi A4 Lを初披露。全長4,810mm、ホイールベース2,910mm。2機種のTFSIエンジンを設定し、それぞれ最高出力140kW、185kWとなっている。
TT RS Coupe 本モーターショーでワールドプレミアしたTT RS Coupe。2.5TSI 5気筒エンジン、最高出力は294kW、最大トルクは480N・m、0-100km/加速3.7秒。
A4L
A4L
TT RS Coupe
TT RS Coupe


BMW:5シリーズに続き7シリーズにもPHVが登場

  2015年上海モーターショーでお披露目された530Leに続き、本モーターショーでは7シリーズのPHVの740Leを初披露した。旧館で開催された新エネルギー車展では、530Le、i3及びi8を展示。欧米メーカーの中でも、電動車両の豊富なラインナップを揃えているといえよう。

  BMWグループでは、今回のモーターショーでコンセプトモデルを含めて8モデルを展示し、X1のロングホイールベースモデル、2016年3月に発売された2シリーズのツーリングモデルなど中国市場の若い世代にアピールしていた。

740Le 7シリーズのPHVである、740Le iPerformanceと740Le xDrive iPerformanceがアジアプレミアとして初披露。両モデルとも、Steptronic8速ATの2.0L、4気筒ターボエンジン。システム全体では、最高出力240kW、最大トルク500N・m。リチウム電池の総容量は9.2kWh。
740Le xDrive
740Le xDrive
740Leのパワートレイン(BMW提供)
740Leのパワートレイン(BMW提供)

Compact sedan 2015年の広州モーターショーで初披露された1シリーズのサイズに近い都市型コンパクト4ドアセダンのコンセプトカーを展示。中国市場で調査研究を行い、次世代の若者のライフスタイルをベースに作ったモデル。20インチホイール、8.8インチモニター、Nappaレザーを装備している。
都市型コンパクトセダン コンセプトカー 都市型コンパクトセダン コンセプトカー
都市型コンパクトセダン コンセプトカー

X1 (中国専用ロングホイールベースモデル) 中国市場専用モデルのX1のロングホイールベース車が発表され、発売予約が開始された。6速AT、1.5Lのターボエンジン及び8速ATの2.0Lのターボエンジン。2.0Lターボエンジンは、BMW X1 xDrive 25Liに搭載され、0-100km/加速7.0秒台。他の市場で販売しているスタンダードモデルと比較して全長は13cm、ホイールベースは11cm長い。5月中旬発売、販売価格は28.6万元より。
X1
X1中国専用ロングホイールベースモデル
X1インテリア (BMW提供)
X1インテリア (BMW提供)


Daimler:中国市場向けEクラスロングとSUVをアピール

  Mercedes-Benzにとって、2015年に国別では米国を抜き最大市場となった中国。2016年も第一四半期で約105,000台、前年比39%増の販売台数となっている。

  本モーターショーでは、SUVと中国市場向けのEクラスロングを来場者に向けてアピール、黒をベースにした高級感のあるブースは来場者で賑わっていた。

GLE500 e 4MATIC 2015年の上海モーターショーで初披露されたモデルのPHVが展示され、発売が開始された。メルセデスベンツのSUVの中で最高出力を備えている。7速ATの3.0L V6ツインターボエンジンは、最高出力245kW、最大トルク480N・m。電気モーターは、最高出力85kW、最大トルク340N・m。3.7L/100kmの低燃費を実現。また、DYNAMIC SELECTでスポーティーな走りやオフロード対応など好みのドライビングが可能。
GLE500 e 4MATIC
GLE500 e 4MATIC
タッチパッドで操作が可能(Daimler提供)
タッチパッドで操作が可能(Daimler提供)

GLC Sports SUV 2015年の上海モーターショーでは、コンセプトカーとしてGLC Coupeを展示し注目を集めたが、最終的にクーペからコンセプトを変更し、スポーツSUVとして発表。スポーティーな走りとエレガントな外観に力強さを兼ね備えたSUVとして発表された。9速AT、2.0L、フルタイム4WD。GLC260で、最高出力155kW、最大トルク350N・m、DYNAMIC SELECTを装備。
E-Class
(中国専用ロングホイールベースモデル)
新しいEクラスより全長及びホイールベースが140mm長い中国市場専用モデルが設定された。全長5063mm、ホイールベース3079mm。
SLC 2016年のデトロイトモーターショーでワールドプレミアされたSLCがアジア初披露。SLKからモデル名を変更したSLCは、Cクラスと同じ車格のカブリオレ。9速ATの2.0L直列4気筒ターボエンジン。DYNAMIC SELECTで、好みのドライビングを選ぶことが可能。また、最新の道路状況把握やCOMAND Onlineによる、インターネット接続など多彩な機能も備えている。
GLC Sports SUV	(Daimler提供)
GLC Sports SUV (Daimler提供)
E Class
E Class
SLC(Daimler提供)
SLC(Daimler提供)


PSAグループ:高級セダンと環境対応車で幅広いラインナップが実現

  2016年4月にPSA Peugeot CitroenからGroup PSAへと名称変更後の最初の国際モーターショー出展となる。Citroenブランドが2017年市場投入のEV車 E-Elyseeと、欧州では発売済みのE-MEHARI を環境対応車として展示していた。

  また、2016年5月11日、東風汽車グループ及び神龍汽車と共同でEV車のモジュラー・プラットフォーム(e-CMP)の開発、東風汽車グループとPSAグループの戦略的人材資源の交流を行うことに署名した。具体的には、研究開発に5.5億元を投じ、2018年に欧州市場で2019年には中国市場で最初のe-CMPモデルの投入を計画している。

DSブランド:中国国産4モデル目のDS 4Sが登場

DS 4S 2015年11月の広州モーターショーでワールドプレミアされたDS 4Sのハッチバックを展示、販売予約が開始された。エンジンはTHP130、THP160、THP200の3機種を設定。アイシンの6速ATが採用されている。最高出力100-150kW、最大トルク230-280N・m。欧州版よりも大きく、全長4435mm、全幅1843mm、全高1510mm。長安PSAにて製造。
DS 4S
DS 4S
DS 4Sのインテリア
DS 4Sのインテリア

Peugeotブランド:都市型のSUV3008で若者にアピール

3008 都市型SUVの3008が本モーターショーで初披露。1.6THPと2.0Lの2機種のエンジンを設定、1.6THPは、6速AT、2.0LはMT/ATが設定されている。東風Peugeotにて製造。2016年6月発売予定。
3008
3008
3008のインテリア
3008のインテリア

Citroenブランド:環境対応車と最高級プレミアムセダンで幅広いラインナップを展示

E-Elysee Elyseeをベースとした電気自動車を初披露。2017年に市場投入し、2019年にはPHVを発売予定とのこと。
E-MEHARI 2016年のジュネーブモーターショーで初披露されたE-MEHARIが中国でも初披露。ファッションブランドCourregesとのコラボレーションで製造された電気自動車。最大EV走行距離200km、最速8時間で充電が可能。本モデルを、PSAグループの新エネルギー車の象徴且つシトロエンの省エネ/環境保護の発展に対する戦略的な位置づけにしたいとしている。
E ELYSEE
E ELYSEE
E-MEHARI
E-MEHARI

C6 シトロエンブランドの最上級プレミアムセダンがワールドプレミアされた。12.3インチの液晶デジタルインパネ、輸入NAPPレザー、4つの独立した自動空調システム、サンルーフを装備。2016年下半期の発売予定。
C6
C6


Renault:武漢工場稼働後の初めてのモーターショーでSUVを展示

  2016年2月1日にRenaultの武漢工場が正式に稼働した。年間15万台の生産能力を備え、将来的には年間30万台の生産能力を予定している。武漢工場での生産されたモデルの第一弾Kadjar、そして第二弾が本モーターショーで初披露されたKoleosで、いずれもSUVである。将来的にはEVモデルの生産も計画している。

なお、本モーターショーでは、KadjarとKoleosの展示にとどまった。

Koleos DセグメントのフラッグシップSUVがフルモデルチェンジされ、ワールドプレミアとなった。本モデルはSUVとラグジュアリーセダンの融合を表現したモデルとしている。2.0Lは二駆、2.5Lは、二駆と四駆を設定。2016年末に発売予定。
Koleos (Renault提供)
Koleos (Renault提供)
Koleos
Koleos


GMグループ:Buick、Cadillac、Chevroletそれぞれのブランドで環境対応車を展示

  中国第1位の乗用車/商用車の生産メーカー上海汽車グループと合弁しているGM。今回はBuick、Chevrolet、Cadillacそれぞれのブランドより環境対応車を展示していた。LaCrosse君越は、2016年3月に発売されたフルモデルチェンジのガソリン車の展示とともに、本モーターショーではHEV版を初披露。

Buick
LaCrosse君越 Hybrid
本モーターショーで正式にHEV版を初披露。パワートレインは、1.8SIDI直噴エンジンとドライブユニットモーターの組み合わせ。メインモーターは、最高出力60kw、最大トルク275N・m。サブモーターは、54kw、最大トルク140N・m。4.7L/100kmの低燃費を実現。
Cadillac CT6 PHV 2015年上海モーターショーで初披露され、すでに販売を開始しているCadillacのフラッグシップモデルのPHVを展示。2.0L直噴ターボエンジンとツインモーターとの組み合わせにより、最高出力250kW、最大トルク586N・mが実現。EV走行距離は60kmを超える。燃費は、2.0L/100km。
Chevrolet
Malibu 迈锐宝XL Hybrid
詳細な諸元は本モーターショーではなかったが、個別に展示コーナーを設けて展示。1.8L SIDI直噴エンジンとEVT(Electrically Variable Transmission)の組み合わせ。最高出力94kW、最大トルク175N・m。4.3L/100kmの低燃費を実現。
Buick 君越 Hybrid
Buick 君越 Hybrid
Cadillac CT6 PHVのカットモデル
Cadillac CT6 PHVのカットモデル
Chevrolet迈锐宝XL Hybrid
Chevrolet Malibu迈锐宝XL Hybrid
Chevrolet迈锐宝XL Hybridのハイブリッドシステム
Chevrolet迈锐宝XL Hybridのハイブリッドシステム


Tesla:人気を集めたEV Model X

  本モーターショーではModel XとModel Sを展示。また、旧館の新エネルギー車展でも両モデルを展示していた。両ブースともに来場者も多く、中国における輸入車のうちでもEV車として非常に認知度が高いメーカーとなっているようだった。

Model X 発売予約受付中のモデルModel Xが北京モーターショーに登場。個性的でスタイリッシュな外観でSUV激戦地の中国でも注目を浴びていた。0-100km/加速3.4秒。EV走行距離は489km。
Model X
Model X

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>