トヨタ:「つながる技術」の取組みを加速、車載通信機「DCM」の搭載を拡大

スマホアプリと車載機の連携でFordのSDLを採用、両社で業界スタンダードを目指す

2016/03/25

要 約

MIRAI実験車
衛星通信機能を搭載したMIRAI実験車
(2016年のデトロイト・オートショーに出展)(写真:トヨタ)

 本レポートは、トヨタが取組みを加速している「つながる技術」について報告する。

 トヨタは、組織変更を行い、製品を軸とした7つの社内カンパニーを設置すると2016年3月に発表した。その一つが「コネクティッドカンパニー」で、先進技術カンパニー、パワートレーンカンパニーと同格の位置づけになっている。

 トヨタは2016年1月に、テレマティクスの車載通信機DCM(Data Communication Module)の搭載を2017年から拡大すると発表した。日本国内で販売するレクサスブランド車には、既にDCMの全車標準装備化を進めている。

 同時に、交通や車両に関する膨大なデータ処理を行うために、テレマティクスを管理・運営するトヨタ・スマート・センター内にトヨタ・ビッグデータ・センター(TBDC)を構築すると発表した。大量のデータ配信が可能な衛星通信機能を搭載するMIRAI実験車も披露し、将来の活用も視野に入れている。

 また、スマホの便利さをクルマにも求める顧客ニーズに対応し、スマートフォンアプリを車載システムで利用するにあたっては、Fordと提携し、オープンソースプラットフォーム(注)であるSDL(SmartDeviceLink)を採用する。両社はSDLを業界スタンダードにすることを目指している。アップルのCarPlayとグーグルのAndroid Autoに対抗し、自動車メーカーが主体性を持ってこの分野をリードしていく構想とされる。

 (注)オープンソースは「広く一般に公開されている」の意。

社内カンパニー「コネクティッドカンパニーを設置」

 トヨタは、2016年3月に組織変更を発表。製品軸の7つの社内カンパニーの一つとして、「コネクティッドカンパニー」を設置した。「コネクティッドカンパニー」を、先進技術開発カンパニー、パワートレーンカンパニーと同格のビジネスユニットに位置付け、「つながる」技術をさらに強化する姿勢を示している。

トヨタ新体制の概要図

参画する車体メーカー
ヘッドオフィス 未来創生センター
本社機能
ビジネスユニット 継続 第1トヨタ(日米欧とアフリカ担当)
第2トヨタ(新興国市場担当)
新設した7つ
の製品軸の
カンパニー
先進技術開発カンパニー
Toyota Compact Car Company トヨタ自動車東日本
Mid-size Vehicle Company
CV Company トヨタ車体
Lexus International Co. トヨタ自動車九州
パワートレーンカンパニー
コネクティッドカンパニー

資料:トヨタプレスリリース 2016.3.2

このレポートは有料会員限定です。 残り 5 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。