奇瑞汽車 (下): ジャガー・ランドローバーの合弁生産開始へ

「観致」(Qoros) ブランド生産開始、富士重工との合弁生産模索、海外での拡販を進める

2014/07/10

要 約

観致 3 ハッチバック
観致汽車の2車種目量産車「観致 3 ハッチバック」
北京モーターショー2014より

 奇瑞汽車 (Chery Automobile Co., Ltd.) は、低価格車による台数拡大志向から高品質車販売による収益重視志向へ戦略を大転換し、外資との提携、中国メーカーとの提携で、技術力の向上と経営の効率化を進めようとしている。戦略変更に伴い、グループ全体のグローバル販売目標を、2014年の75万台から、中期的に100万台と下方修正した。

 本レポートは、外資との中国国内合弁生産と奇瑞汽車グループの海外事業に焦点を当てて報告する。

・「観致」Qorosブランド(観致汽車)の生産開始

 イスラエルの国際的投資会社「イスラエル・コーポレーション」(Israel Corporation) との合弁会社である「観致汽車有限公司」(Qoros Automotive Co., Ltd.)は、2013年12月に江蘇省の常熟市工場を稼働させて中国国内と欧州向けの販売を開始した。

・ジャガー・ランドローバーとの合弁生産は2015年初から

 インドのタタモーターズ傘下のジャガー・ランドローバー (JLR: Jaguar Land Rover) と奇瑞汽車は、2012年11月に合弁生産の認可を受けて、江蘇省の常熟市工場の建設を開始した。2014年7月に完工予定だが、工場の生産開始は2015年初になる見込み。

・富士重工との合弁生産を模索

 2011年に奇瑞汽車は富士重工との合弁生産を中国政府に申請し却下されたが、引き続き合弁生産の可能性を模索している。

・ブラジルでの本格生産を開始へ

 中南米市場での更なる拡販を目指す一環として、ブラジルではエンジン工場および完成車の生産ラインを揃えた本格的な完成車生産を2014年11月頃開始する予定。

・海外輸出事業の展開

 海外での拡販を目指して、80カ国以上の国々で販売網の整備を進めている。また、進出国でのCKD生産も積極的に進めている。

 ▽関連レポート
  奇瑞汽車 (上): 自主ブランド事業を大きく戦略転換 (2014年7月掲載)
  2014年北京モーターショー奇瑞汽車の展示取材 (2014年5月掲載)
  2013年上海モーターショー奇瑞汽車の展示取材 (2013年5月掲載)
  奇瑞汽車:海外企業との合弁事業を推進 (2012年4月掲載)



「観致」(Qoros) ブランド合弁会社は生産開始

イスラエル・コーポレーションとの合弁生産体制について

▽常熟工場の年産能力を、17億元追加投資で2016年初18万台に拡張へ
 奇瑞汽車とイスラエル・コーポレーションとの折半出資合弁会社、「観致汽車有限公司」(Qoros Automotive Co., Ltd.) は2013年12月に江蘇省の常熟市にある合弁工場を稼働。自社の初モデル「観致 (Qoros) 3 Sedan」の生産販売を開始した。更に、2014年6月には、SUV/Crossover追加導入のため、17億元を投じて江蘇省の常熟市合弁工場を拡張すると明らかにした。なお、プレス/溶接/塗装/組立生産ラインを含むこれまでの同合弁工場建設への投資総額は30億元であった。
 2016年初めまでに拡張建設を完工し、同工場の年産能力を、2014年6月時点の15万台から18万台に引上げる。なお、同工場は今後さらに、30万台、最終的には45万台へ年産能力を段階的に拡張していく計画がある。これに併せて、工場の敷地総面積を、現行の19万㎡から最終的に71.5万㎡に拡大する。

 

乗用車完成車のラインナップ構築計画

 ハッチバック/Crossover/SUVの順次追加導入で、2016年合計4車種のラインナップ体制に
 観致汽車は2013年12月、自社の初モデル「観致 3 Sedan」の生産販売を開始。2014年6月時点、第2車種となる「観致 3 Hatch」 ハッチバックのテスト生産を開始しており、2014年後半から発売の予定。2016年までに更に、Crossover および SUV 各1車種を追加投入し、合計4車種のモデルラインナップ体制を整備する。
 154億元の追加投資で、将来的に合計18車種のラインナップ体制を整備へ
 観致汽車は、欧州など国際市場におけるイスラエル・コーポレーションがもつ広範なグローバル・コネクションを使って、一流のサプライヤーやエンジニアリング会社を活用し、観致(Qoros)ブランド車の開発を推進している。これに併せて、合計154億元の追加投資を実施し、将来的に合計18車種 (すべてモジュール化プラットフォーム採用) の乗用車完成車ラインナップを整備する。
 現在、2016年までに追加導入予定のCrossover/SUV を含む、新型乗用車モデルの開発を進めている。観致汽車は上海/ドイツ/オーストリアに研究開発センターを保有。Magna Steyr、TRW Automotive Holdings、Continental Tire、Bosch、Microsoft、Iconmobileなどとも、新車ならびにその関連技術の開発で提携している。
▽常熟工場は、海外市場向けの輸出モデルも生産
 常熟工場は、国内市場モデルのほか、輸出モデルも生産する。2014年6月現在、欧州のスロバキアに「観致 3 Sedan」を輸出中。観致汽車は今後、常熟工場生産全体の10%を輸出するとの目標を掲げている。観致車種の販売をスロバキア周辺国のほか、2016年までに欧州各国に広げる方針も報じられている。
(注) 1. 奇瑞汽車は2011年11月、イスラエル・コーポレーションと折半出資する合弁会社の正式社名を、「奇瑞量子汽車有限公司」(Chery Quantum Auto Co., Ltd.) から、「観致汽車有限公司」(Qoros Automotive Co., Ltd.) に改称。これに合わせて、 「観致」(Qoros) 自社製品ブランド名称を発表した。
2. 合弁会社の運営会社は、上海市 (上海国際金融中心) に立地し、主に市場/販売を含む販売マーケティング業務、法務、エンジニアリングおよび部品および生産用素材の調達を担当する。上海に研究開発センターを設けており、ドイツ (ミュンヘン) にもデザインセンター、オーストリア (グラーツ) はエンジニアリングリサーチセンター兼デザインセンターを設置している。

 

▽「観致」(Qoros) ブランドのモデル計画

 観致汽車は2014年6月に、2016年までに合計4車種、将来的には合計18車種を市場投入するモデルラインナップ計画を明らかにした。すべてモジュール化されたプラットフォームを採用する方針。セグメントについて、国内向け車種はA0~C級、海外向けはB級~E級をカバーする計画である。

 観致汽車は、今後、6~12カ月ごとに新型1車種のペースで、新型車を投入していく計画を発表している。2014年以降、観致ブランドの Crossoverや SUV を追加導入すると明らかにした。

モデル 発売時期
(予定)
詳細
観致 3 Sedan 2013年12月(販売開始)  2013年3月ジュネーブモーターで世界初披露。観致 (Qoros) ブランド初の量産モデル (C級4ドアセダン、モデルコード:CF11)。全長4615/全幅1839/全高1445/ホイールベース2690mm。ホイールベースはコンパクトセグメントモデルでは長い。ターゲットユーザーは、乗用車初購入を計画する25歳以上の若者。
 モジュール化プラットフォームを採用。2013年12月から生産を開始した。欧州でも発売する予定。販売価格は11.99万元から。
 動力システムは、排気量1.6L 自然吸気型 (最高出力93kW/最大トルク155Nm) またはターボ付型 (同115kW/210Nm) の4気筒ガソリンエンジンと、Getrag社製 6速MT/6速DCT、アイドリングストップ機構 (STT)を組み合わせる。
 観致 3 sedan は、Euro NCAPで5つ星を獲得、高い衝突安全性を証明した。
観致 3 Hatch 2014年6月  2014年3月開催されたジュネーブモーターショーで世界初披露した、「観致 3 sedan」のハッチバックモデル (5座席5ドア仕様)。中国での初量産モデル「観致 3 sedan」(4ドア仕様)に続く、2車種目の中国量産モデル。同じく江蘇省の常熟市工場で生産。標準販売価格は11.99万~17.19万元。
 「観致 3 sedan」 と同一のモジュール式プラットフォーム"CF1X"を採用。「観致 3 sedan」に比べて、全長だけ4438mmと177mm短くしている。 ABS+EBD、ESC、TCS、BA、CBC、LED デイライトを装備。100km当たりの燃費は、3タイプでそれぞれ6.1/6.3/6.5L。
 動力システムは「観致 3 sedan」と同一で、排気量1.6L (最高出力93kW、最大トルク155Nm)、または、1.6L ターボ付エンジン(同115kW、210Nm)に、6速MT/6速DCTを組み合わせる。
 なお、同ハッチバックモデル発売に伴って、そのワゴン仕様モデルも発売するとの報道もある。
観致 Crossover 2015年以降  自社初のクロスオーバーモデル。観致 3 Sedan/Hatchモデルと同一のプラットフォーム"CF1X"を採用。先行車種と同じの常熟工場の同一改良ラインで併行生産する予定。
観致 SUV (~2016年)  自社初のSUVモデル。観致 3 Sedan/Hatchモデルと同一のプラットフォームを採用。先行車種と同じの常熟工場の同一改良ラインで併行生産する予定。
観致 EV n.a.  観致ブランド初のEVモデル。

 

 



ジャガー・ランドローバーとの合弁生産について

 ジャガー・ランドローバー (JLR: Jaguar Land Rover) は、輸入車を含めた中国事業の利益目標はグループ全体利益の50%程度を目指すこととし、中国における2015年の販売目標を15万台に設定した。現在の中国での人気モデルを順次輸入販売から現地生産に切り替える方針で、2015年初までに、江蘇省の常熟合弁工場での現地生産を開始する。

 なお、JLRの2014年3月期のグローバル販売は約434,000台で、うち、中国販売は前年比約34%増の約103,000台と発表している。

JLRとの乗用車生産会社「奇瑞JLR」: 操業開始は2014年から生産か

 奇瑞汽車とJaguar Land Rover China (JLR China) の合弁生産会社、「奇瑞捷豹路虎汽車有限公司」(奇瑞JLR: Chery Jaguar Land Rover Automotive Co., Ltd.) の江蘇省の常熟市 (経済技術開発区) にある合弁工場建設は、2014年の7月に完工する予定。2015年初に生産を開始する (早ければ2014年11月)。
 合弁工場ではJaguar/Land Rover/中国合弁会社ブランドと合計3つのブランドモデルを生産する。稼働当初の年産能力は1期建設 13万台 (5万~8万台からスタート) で、将来は25万台に拡張する。 なお、当初の13万台能力の内訳は、「Range Rover Evoque」(攬勝・極光) 3.4万台、「Freelander 3代目」 4.3万台、「XF」等の Jaguar ブランド車 3万台、奇瑞JLRの (合弁) 自社ブランド車 2.3万台。
 エンジン工場と研究開発センターを併設する同工場建設は2012年11月に着工。投資総額は109億元 (約17.6億米ドル)。双方が折半出資する。

*注:JLR China の中国語表記名称は「捷豹路虎汽車貿易 (上海) 有限公司」。主にJLR の輸入車販売を担当し、マネジメント機能がない。

 これに先立ち、2014年5月に同常熟市合弁工場では、初の現地製モデルとして、Land Rover ブランドの「Range Rover Evoque」(攬勝・極光) のテスト生産を開始したと報道された。
 今後、同ブランドの「Freelander (神行者) 3代目」(2代目の輸入販売標準価格38.8万~65.8万元) や、Jaguar ブランド車 (輸入販売標準価格55.0万~76.8万元の「Jaguar XF」が有力)、ならびに同合弁会社の独自ブランド車も順次追加導入する予定。
 同社は、中国ユーザーの現地生産車品質が輸入車より良くないという不安を払拭するため、現地生産車の構成部品の調達に輸入車と同様のグローバル部品調達体制を導入すると表明している。2013年暦年の中国 (輸入) 販売実績は、前年比29.8%増の 95,237台 (2012年 73,347台)。うち、Jaguar ブランドはほぼ倍増で、Land Rover ブランドは17%増。
▽常熟完成車組立工場付近で、エンジン工場を建設の計画
 奇瑞捷豹路虎汽車は2014年6月頃、完成車組立工場の近隣に、併設エンジン工場建設に着工。JLRが英国以外でのエンジン工場建設は今回初めて。新工場の年産能力は13万基。2015年末までに稼働し、Jaguar の2.0L新型 Ingenium 4気筒のターボ付エンジン、のち、奇瑞汽車の1.6L (最高出力136kW) または2.0L (最高出力144kW/最大トルク290Nm) の直噴式ターボ付エンジンを順次生産する。

 

JLRと合弁で乗用車販売会社の設立を計画中

 奇瑞捷豹路虎汽車とJLRは2014年5月、中国現地製JLRモデルと、JLR輸入モデルの販売を統括する合弁会社、(仮称)「奇瑞捷豹路虎汽車銷售有限公司」の設立を計画中と明らかにした。今後、その傘下の販売代理店は、JLRの現地製モデルと輸入モデル販売を併行で行う計画。
 これに先立ち、同5月に、両社は、中国マーケティング/アフターサービスなどの販売業務の運営組織 「Integrated Marketing Sales and Service Organisation」(IMSS) を設置。独立法人資格を保有しない同組織は、奇瑞捷豹路虎汽車ならびにJLR Chinaと、それぞれの既存マーケティング及びアフターサービス業務部門を母体に構成。Jaguar/Land Rover/奇瑞汽車との合弁ブランド事業におけるマーケティング/セールス/アフターサービスを手掛けるほか、運営・管理も同部門が担当する。
 同組織傘下には、合計三つの委員会を設けている。
 ①戦略委員会: 四半期/年度販売目標、年度予算、販売価格などの意思決定、
 ②運営委員会: 具体的な販売活動や、市場活動などのマーケティング活動の取り決め、
 ③ネットワーク委員会: 意思決定体系の企画・発展、販売ディーラーの認定などの取り決めなどを担当。
 報道によると、利益分配について、輸入車の販売利益は依然として JLR China (JLR) に帰属。現地生産車の販売利益は奇瑞汽車とJLR 双方の折半になる見通し。なお、奇瑞汽車とJLRは販売会社の設立を計画中または設立しないといった正反対の報道が両方ある。
 また、2014年5月時点、JLR China が代理販売ライセンスを付与した販売店は250店舗あり、2015年までにはすべての販売店は営業開始をさせる計画であると報道されている。2014年第1四半期の中国におけるJLR車種の輸入販売実績は2.95万台 (前年比 36%増)。JLR China の従業員数は2014年5月時点200名超えている。但し、奇瑞捷豹路虎汽車の従業員はその十分の一となる20数名。

 

常熟市合弁工場モデル計画: 初の現地生産車を2014年広州モーターショーで発表へ

 奇瑞捷豹路虎汽車は、初の現地生産モデル、Land Rover ブランド「Range Rover Evoque」(攬勝・極光) を2014年11月開催予定の広州モーターショーで発表する。同モデルは、LR-MS プラットフォームを採用。排気量2.0Lのターボ付エンジンを搭載。現地生産によって販売価格は40万元以下に下げる見通し。
 また、常熟市工場は今後、「Land Rover Freelander」(神行者)、及び同合弁会社ブランドモデルを追加投入する予定。初の同合弁会社ブランドはSUVであると報道されている。

 

奇瑞JLRのモデル計画

モデル 発売時期
(予定)
詳細
Jaguar XF
ロングホイールベース
2014年  常熟市合弁工場で生産する初のJaguar ブランド車で、Jaguar XFのロングホイールベースモデル(標準モデル比300mm長い)。2013年の、同ブランドでの中国輸入販売台数の首位モデルでもある。輸入販売の標準価格は 55万~68万元。
 2015年までは、ターボ付で排気量2.0L /(S型) 3.0L のFord製エンジンを設定。
 なお、Jaguar ブランド初のスポーツワゴンである、Jaguar XF Sportbrake モデルは北京モーターショー2014で初披露。
Jaguar XS n.a.  常熟市工場に導入が有望とされるモデル。
Land Rover
Range Rover Evoque
(攬勝・極光)
2014年後半  常熟市合弁工場で生産する初のLand Rover ブランドモデル (製品コード"LRX")。2014年後半から発売の予定。現地生産モデルの販売価格は、同型現行輸入モデルより10万元安く設定する。
 なお、2014年6月時点、同輸入モデルの中国での標準販売価格は52.8万~98.89万元であるが、最大10万元の割引キャンペーンがある。
Land Rover
Freelander 3代目
(神行者3)
2015年  常熟合弁工場で生産が最有力視される2車種目のLand Rover ブランド車 (SUV)。3代目となる Freelanderの最新型 (2014年6月時点欧州での公道運行テストを実施中)。
JLR-Chery
合弁ブランド車
(正式名称未定)
2015年  奇瑞捷豹路虎汽車の独自合弁ブランドの初モデル (SUV)。現行Freelander 2代目の"LR" プラットフォームをベースに開発。標準販売価格は25万元前後の予定。
 排気量2.0L ターボ付のTGDI "SQR484J型"奇瑞汽車製エンジンと、6速MTを搭載。

 

奇瑞汽車旧型車種およびプラットフォームを Tata Motorsに売却を協議中

 奇瑞汽車は2014年3月、JLRのグループ会社でもあるインドTata Motors と、奇瑞汽車の旧型完成車モデルおよび旧型の完成車プラットフォームを Tata に売却することについて協議中と明らかにした。うち、旧型完成車は、微型モデルの初代「奇瑞QQ」/「奇瑞A1」/「奇瑞M1」と、コンパクトカー「奇瑞A3」と報じられている。

 

 



富士重工との合弁事業について

 富士重工は2014年6月、Subaru ブランド乗用車の合弁生産について、中国自動車大手との現地合弁会社の設立申請を再提出しており、まだ審査中と明らかにした (MarkLines が実施した独自調査により)。合弁工場の立地などの詳細は明らかにしていないが、提携相手は奇瑞汽車が最有力視されている。

 また、これに関連して、奇瑞汽車の大連分工場には、Subaru モデルを生産するための工場予定地が用意されているとの報道もある。

 奇瑞汽車とは、Subaru ブランド車の中国合弁生産について、2011年の6月に国審査機関 (国家発展改革委員会) に許可の申し込みを提出し、同年9月に却下された経緯がある。

富士重工の中国における輸入車販売事業

 なお、富士重工は2014年5月に発表した、富士重工の中期経営ビジョン「際立とう2020」(~2021年3月)中の中国販売台数計画について、2014年度 (3月期) 計画は6万台で、2020年度はその倍となる12万台としている。なお、2013年に修正した富士重工の中国販売目標は、2013年度7万台、2014年度8万台、2015年度10万台 (2013年12月期実績は5.7万台だった)。
 2013年1月に、それまで富士重工が全額出資した中国のスバル車販売会社「スバル汽車(中国)有限公司」(Subaru of China, Ltd.: SOC)に、中国で多数のブランドを販売している大手自動車販売ディーラー「厖大汽貿集団」(Pangda Automobile Trade Co., Ltd.) から40%の出資を受入れ合弁会社に移行。
 中国企業のノウハウを活かすとともに、人員増強や組織強化を行い、「4S」販売店を2013年初めの182店舗から2015年末に250店舗 へ拡大する (2016年3月までに200店舗との報道もある)。これに加えて、中小都市においては、所謂「2S」「3S」販売店舗を2015年末までに30~50店舗を増設する計画もある。
 但し、当面、富士重工の中国販売事業の更なる拡大には、物流中継ステーションおよび備品・部品供給の不足や、販売代理店販売員の基本的なトレーニングなどの事前整備の問題解決が必要と、富士重工の中国販売会社の李金勇副総経理が2014年6月の中国大手新聞社の取材で表明した。

 

 



ブラジルでの奇瑞ブランド生産事業: 完成車とエンジン工場を2015年初までに稼働へ

 奇瑞汽車は2009年からブラジル市場に輸入販売で進出し、「Face」(Chery A1)、「S18」(Chery M1)、「Cielo」(Chery A3)、「Tiggo 3」、一時現地人気モデルにもなっていた「初代QQ」などを、順次現地市場に導入。2013年3月に、「Celer」(風雲2 ブラジル版: A13) を追加輸入発売した。

 ブラジル自動車販売協会 (FENABRAVE) によると、奇瑞汽車のブラジルにおける自動車販売台数は、2013年は8,365台、2014年上半期は4,479台。なお、ブラジル奇瑞汽車は2012年に販売代理ライセンス変更のせいで、2012年後半から2013年にかけて販売台数が前より大幅減少した経緯もあった。

 *注: 「Celer」は、排気量1.5L flex エンジンを搭載。エアバッグ/EPS/ABS+EBD/カーエアコンなどを装備。

完成車CKD工場は2014年7月以降稼働へ

 奇瑞汽車は2014年2月、ブラジルSao Paul 州 Jacarei 市にある現地完成車CKD工場を完工したと明らかにした。早ければ2014年7月に (当初予定より約半年前倒し) 完成車のCKD生産を開始する。2012年7月に着工した同工場建設への投資総額は2期合計4億米ドル。
 初期建設 (建屋15万㎡) は、1.4億米ドルを投資。塗装/溶接/組立工程で生産ライン各1本を含めて、年産能力 5万台 (2直) を整備。2016年までの2期建設は、2.6億米ドルを追加投入。プレスライン 1本を増設し、年産能力最大 15万台 (3直) に拡充する。
 但し、2013年2月には人員整理を計画中のGM ブラジル Sao Jose dos Campos工場の従業員を、建設中の奇瑞汽車のブラジル完成車CKD工場に引き抜く意向を報じた。その後の進捗は明らかにされていないが、工場の従業員数は3,000名規模に拡大する予定。
▽エンジン工場も建設、2015年初稼働予定
 奇瑞汽車は2013年12月、中南米に位置するブラジル Sao Paul 州Jacarei 市に、エンジン工場を建設すると発表。投資総額は1.3億米ドル。建設中の乗用車ノックダウン (KD) 工場「Jacarei Plant, Chery Brasil (仮称)」に5マイル離れたところに立地。2015年1月までに稼働する予定。
 主に排気量 1.0L/1.5L の奇瑞自主ガソリンエンジンを生産。稼働当初の従業員数は150名で、最終的に800名規模に増員する計画がある。これに加えて、奇瑞汽車は今後エンジン開発でも現地のエンジンメーカーと提携し、奇瑞独自の CVT 「CVT18型」も生産する。

 

ブラジル現地生産モデル計画

 2014年7月: 同工場の初モデル「Chery Celer」 (ブラジル版風雲2: A13) の生産・販売を開始。ガソリンまたはアルコールを燃料とするエンジンを搭載。 2015年 (早ければ2014年10月): 現地版「新型QQ」シリーズである、「QQ3 2box」「QQ6 3box」を追加導入。排気量1.0L 3シリンダー仕様のガソリンエンジンを搭載。自社製 CVT モデルも設定。4つのエアバッグ/本革を用いたハンドルを装備。20色のボディ色を設定。但し、2015年導入モデルは「Chery S12」(A1)であるや、「QQ」の代替モデルになる「Chery S15」であるとの報道もある。
 現地の輸入車モデルについて、奇瑞汽車が現地で2014年6月前後から輸入販売を計画していた「Chery S-18 EV」と、「Cielo」2/3box 1.5L の発売時期を先送りした。なお、2014年1月から、奇瑞汽車のウルグアイ製「Tiggo」(瑞虎) の輸入販売を開始した。

 

 



海外輸出事業: 国外80カ国以上での拡販を更に強化

 奇瑞汽車は2014年7月3日時点で、主にアジア/欧州/アフリカ/南米/北米地域に、ロシア、ウクライナ、エジプト、イラン、インドネシア、ミャンマー、ベネズエラ、ウルグアイを含む中国国外合計16カ所に、完成車の (CKD/SKD) ノックダウン工場を運営。

 これに併せて、奇瑞汽車は2014年7月時点、「奇瑞」自主ブランドと「Qoros」(観致) 外資ブランドを合わせて1,100数店舗の海外販売代理店および900数カ所のサービス拠点を運営し、完成車販売は80数カ国に拡大した (100カ国以上との報道もある)。

 奇瑞汽車は、中国外の現地製モデルの2014年販売目標を19万台 (中国からの輸出を含まない) と設定しているが、報じられた2013年の同販売実績は8万台ほどに止まっている。一方、奇瑞汽車は2013年頃、中国からの輸出を合わせた海外総販売台数目標を2015年に40万台であると発表した。なお、2012年末までの輸出販売台数は累計80万台超。

 また、モデル計画について、2013~2016年は、SUV/MPVを含むマイナーチェンジを含めて新型17車種 (A/B/C/D級セグメントがカバーした9つの細分化市場向け) を海外市場に新たに導入する計画である。

奇瑞/Qorosブランド車の販売を行っている主な国・地域

所在地域 奇瑞汽車の進出国・地域
中南米  アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ウルグアイ、ベルー、エクアドル、ベネズエラ
欧州/中東欧  オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ポーランド、ポルトガル、ノルウェー、ルーマニア、スロバキア、スウェーデン、スペイン、スイス、オランダ、イギリス、エストニア、ウクライナ、ルクセンブルク、ロシア、スロベニア、リトアニア、ラトビア、トルコ
アジア・太平洋地域  台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、オーストラリア、ベトナム、ミャンマー
中東地域、アフリカ  イラン、エジプト、南アフリカ、シリア、

*注: データは2014年6月時点。

 

モデル別中国製奇瑞ブランド乗用車の輸出

車型 モデル 輸出実績 (台)
2010年 2011年 2012年 2013年 2013年
1~4月
2014年
1~4月
合計 (輸出) 91,436 155,305 181,890 130,136 46,234 45,744




セダン、
ハッチバック
旗雲1 607 528 299 360 360 0
旗雲2 10,042 1,647 3,553 1,547 737 202
旗雲3 13,857 9,634 15,229 2,952 552 4,800
旗雲5 0 0 1 0 0 0
風雲 1,361 14,424 31,489 23,595 9,314 5,983
東方之子 299 277 133 196 0 160
奇瑞A1 12,568 16,714 14,882 9,471 3,505 4,040
奇瑞A3 7,741 9,963 6,309 6,307 846 1,366
B12 0 1 1 1 0 0
B16 0 0 1 30 0 0
瑞麒M1 2,412 2,696 149 0 0 0
瑞麒G5 - 8 104 14 - -
QQ3 17,446 43,755 44,560 28,851 12,986 11,995
QQme 5 50  0 0 0 0
★新型QQ 0 0 0 0 0 40
★艾瑞澤7 0 0 0 4 0 11
★E5 0 3 656 2,302 885 1,340
SUV ★瑞虎 5 - - - - - 16
瑞虎 3/DR 20,860 43,377 53,449 39,993 13,260 10,747
瑞麒M1小型SUV 78 4,852 8,631 9,091 1,202 3,886
X5 0 1 0 0 0 0
MPV 開瑞・優雅/優翼 615 4,447 700 2,019 841 657
威麟V5 3,502 2,900 645 840 565 1
微型バン 開瑞・優優 43 28 1,099 2,563 1,181 500

*注: ★付太い文字になっているモデルは、最近量産発売を開始した奇瑞汽車の次世代新型戦略車。

フィリピンに、その他アジア国にも輸出をする乗用車工場を建設へ

 奇瑞汽車のフィリピンにおける現地独占販売ディーラー、「Chery Motors Philippines」は2014年4月、奇瑞汽車のアジアにおける第3拠点目となる乗用車工場を建設する計画を明らかにした (現地新聞紙Business Mirrorより)。投資総額は合計数億米ドルの見通し。
 具体的には、フェーズ1 で、約1億米ドルを投じて、CKDノックダウン工場を建設。生産車種は、その他のアジア国にも輸出。フェーズ2は、300億ペソ (約41.6億元または6.7億米ドル) を投じて、本格的な工場を建設する。但し、建設開始時期や現地生産モデル等の詳細は明らかにされていない。
▽2013年9月、フィリピンでの輸入販売を開始
 奇瑞汽車は2013年9月から、フィリピン市場に進出し、インドネシア/マレーシア工場製 Chery ブランド乗用車の輸入販売を開始した。2014年3月、同販売会社は、現地でCheryブランド「QQ」「E5」「Tiggo SUV」「風雲2」「Q22L」との合計5車種の輸入販売を追加した。当初の現地販売目標は年間5,000台。
 2014年4月時点、現地販売ネットワーク整備に合計2億ペソ (約2,759万元) を投じた。今後の販売網建設について、2014年4月時点の販売代理店5店舗から、今年末までに10店舗、今後25店舗に増設する計画があると報じられている。

 

オーストラリア南部市場強化、南オーストラリア州に販売店新設へ

 奇瑞汽車は2014年4月、オーストラリア南部の南オーストラリア州で、輸入車事業に進出する。南オーストラリア州都のアデレード市に2店舗、同州ほかの3都市にそれぞれ1店舗の、南オーストラリア州に合計5店舗を近々設置。今後更に同州で合計10店舗に増やす計画もある。現地の既存提携先 Ateco社と組んで進めていく。
 南オーストラリア州は、奇瑞汽車の既存販売地域になっているビクトリア州と、同じのオーストラリア南部に位置。ビクトリア州のメルボルン市には、2014年4月時点奇瑞汽車の販売代理店合計5店舗をすでに運営しており、ビクトリア州のほかの3都市における販売代理店が営業を開始した。今後、同州に3店舗を増設し、2014年7月までに同州における販売代理店数を合計11店舗に増やす。
 同国では、2014年4月、マイナーチェンジ小型SUV「J11」を発売した。ビクトリア州が求めている標準搭載が必須である ESC (Electronic Stability Control) を標準装備。この他、2014年6月時点、「J3」ハッチバックも販売しており、今12月は「艾瑞澤7」の現地版となる「J4」を発売する予定。

 

インドでのライセンスも視野に、Tataと提携協議か

 奇瑞汽車は2014年3月、JLRの親会社であるインドのタタモーターズ (Tata Motors) と、新たな提携可能性を模索する協議を行った。詳細は明らかにされていないが、旧型車種 (「奇瑞A1」「奇瑞A3」、「瑞麒M1」、「初代QQ」等)をタタモーターズに売却、または、インドにおける奇瑞汽車の旧型車種のライセンス生産・販売などについて両社が協議したと、複数の外資メディアが報じた。
 これに関連して、奇瑞汽車は2014年内に、自社のSUV戦略車「瑞虎5」のインドでの輸入販売を開始するため、2014年3月に「瑞虎 5」のサンプルモデルで現地における適応テストを開始した。

 

ウクライナのZAZ工場で、新たに「瑞虎SUV」「奇瑞E5」の生産を追加へ

 奇瑞汽車は2014年2月、ウクライナ提携先である UkrAuto 傘下の ZAZと、新車2車種の現地生産追加に関する契約に調印した。対象車種は、「奇瑞E5」と「瑞虎」。生産開始時期や生産規模などの詳細は明らかにされていない。
 ZAZは、奇瑞汽車以外、GM傘下の Opel/Chevroletモデルや、韓国Kia モデルの生産も生産。これを奇瑞車種と合わせて、2012年の生産台数は約4.06万台で、2015年の目標は12.0万台に設定している。

 

 



(参考)奇瑞汽車グループ:輸出を含む奇瑞自主ブランド中国製モデル販売

 

車型別モデル別奇瑞汽車グループの中国製モデル販売状況 (含む輸出、工場出荷ベース)

▽モデル別奇瑞ブランド完成車の販売台数 (前・瑞麒/威麟/開瑞ブランドを含む)
車型 モデル 輸出を含む、中国製モデル販売実績
(台、工場出荷ベース)
2010年 2011年 2012年 2013年 2013年
1~4月
2014年
1~4月
完成車総合計 (国内奇瑞ブランド車) 682,060 641,715 563,305 469,390 179,570 145,000
乗用車合計 674,774 634,311 550,203 453,918 173,479 138,643
商用車合計 7,286 7,404 13,102 15,472 6,091 6,357
 ▼内訳①:奇瑞ブランド車の国内販売


セダン、
ハッチバック
旗雲1 29,861 30,672 15,415 7,515 5,466 34
旗雲2 68,930 54,956 32,873 22,539 9,729 3,620
旗雲3 74,679 42,187 19,129 4,631 2,163 4,802
旗雲5 - - 1,177 77 36 0
風雲 3box 1.5L 33,504 28,736 22,520 14,827 6,921 2,601
風雲 2box 1.5L 40,501 54,051 57,255 55,558 19,316 9,496
東方之子
1.8/1.9/2.0/2.4L
2,850 1,261 356 585 64 164
QQ3 (0.8/1.0/1.1L,EV),
QQme
152,008 150,871 143,806 116,932 49729 22,534
A1 16,039 20,257 18,111 9,773 3,507 4,040
A3 3box
1.6/1.8/2.0L
34,436 23,424 10,495 7,443 2,751 1,206
A3 2box
1.6/2.0L
24,056 15,791 7,333 2,403 1,100 171
A22
1.3/1.6/1.8L
- 1,246 12,085 796 680 301
B12 - 153 390 283 121 25
B16 - - 798 292 262 0
瑞麒 M1 2/3box 22,848 8,436 814 225 111 107
瑞麒 G5 2,391 2,103 1,241 513 289 8
★E5 1.5/1.8L - 34,691 62,847 48,180 26,408 5,281
★艾瑞澤 7 - - 0 10,498 0 9,144
★E3 - - 0 30,921 0 23,168
★新型 QQ - - 0 0 0 1,099
小計 502,103 468,835 406,645 333,991 128,653 87,801
SUV ★瑞虎 5 - - 0 4,397 0 24,208
瑞虎 3/DR 65,062 99,338 104,013 73,790 30,134 14,067
瑞麒 M1小型SUV 18,006 14,596 13,506 10,298 2,120 3,897
X5 - 2,043 734 433 76 13
小計 118,253 88,918 32,330 42,185
MPV 威麟 V5
1.8/1.9/2.0/2.4L
11,459 5,475 1,993 1,181 701 6
開瑞・優雅/優翼 20,172 10,445 3,583 6,672 1,461 2,393
小計 5,576 7,853 2,162 2,399
微型バン 開瑞・優派 57,972 33,579 66 0 - -
開瑞・優優 15,841 20,350 8,952 5,815
開瑞・優勝 2,764 1,516 449 244
開瑞・優勝 2代目 1,058 1,290 933 199
小計 57,972 33,579 19,729 23,156 10,334 6,258
商用車
(小型のみ)
微型トラック 7,286 5,719 11,607 15,018 5,986 5,979
軽型バス 0 1,685 1,495 454 105 378
(注) 1. ★付太い文字になっているモデルは、最近量産発売を開始した奇瑞汽車の次世代新型戦略車。
2. 前「瑞麒」「威麟」ブランドモデルは、名称を改定中。
3. 奇瑞汽車の2013年のEV販売実績は5,943台 (生産6,017台)。市販車は主に、「奇瑞QQ3 EV」 (登録車番: SQR7000EAS11)。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>