Ford: 北米市場の回復により堅調な業績を維持

北米とアジア市場での成長に期待

2013/08/29

要 約

Ford Global Light Vehicle Production Forecast
資料:LMC Automotive "Global Automotive
Production Forecast (June 2013)"

 北米の自動車産業は、買い替え需要と低金利ローンにより、力強い回復を続けている。Fordは北米市場の回復から多くの利益を得ており、2012年の税引前利益80億ドルの大半は、北米販売から得たものである。しかし、成長は鈍化しつつあり、世界販売台数は2011年比0.5%減の570万台にとどまった。ただし、これでも2010年の530万台は上回っている。

 Fordは、今後、成長が最も期待できるのは北米とアジア市場だと考えている。このため、予想される需要に対応すべく世界の生産能力を拡充している。LMC Automotive社の予測によると、Fordのlight vehicle世界生産は2016年まで増加を続け、2011~2016年は年平均4.6%拡大する見込み。その多くは、北米およびアジア太平洋・アフリカ地域、特に中国、インド、タイで新規投資により整備される工場で生産される。

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ONE Ford PlanとLincolnブランドの復活が戦略の中心

ONE Ford 商品開発システムは効率化を推進

「ハブ&サテライト」  ONE Ford世界商品開発システムは、「ハブ&サテライト」アプローチにより、グローバルプラットフォームを利用する。各グローバルモデルの開発の際には、「ハブ」と呼ばれる中心的な商品開発・エンジニアリングセンターが指定される。これにより、部品、設計、部品メーカー、製造工程の共通化が進み、世界規模で効率化が実現する。ハブを支えるのが「サテライト」と呼ばれる各地域のエンジニアリングセンター。「サテライト」では地域の特色に合わせて商品を微調整する。
プラットフォーム統合  さらに効率化を図る戦略の一環として、Fordはプラットフォームの統合を進めている。2007年に27あったプラットフォームを、2014年には14に削減する見通しで、最終的には世界の主要プラットフォームを9に統合することが目標。Fordによると、同社のグローバルCプラットフォームは、他のどのOEMのプラットフォームよりも多くの車に使用される見込み。グローバルCプラットフォームはFocusのほか、多数の小型車に使用される。

 

リンカーンブランドの再生

 景気後退時の不十分な投資と主要購入者が高齢であることにより、リンカーンブランド車の販売が減少している。この販売不振に対応し、北米市場の需要の高まりを利用するために、Fordは、2012年発売のMKZから商品ラインアップの見直しを開始した。同モデルは、4年間に投入される4車種のうちの最初のモデルである。投入時に起きた品質問題と部品供給不足により、ディーラーに商品が届かない状態が続き、2013年第1四半期の販売は減少したが、第2四半期の販売は持ち直している。

Lincoln Sales

 Fordは、今後、小型高級車セグメントへの初参入を検討しているとされる。モデルが承認されれば、同セグメントが急成長している米国と中国に投入される可能性が高いだろう。

 また、2013年1月のデトロイトオートショーにおいて、FordはMKCコンセプトを出展した。2014年に発売予定の同モデルは、高級車セグメントの中でも成長著しい小型クロスオーバーセグメントへの投入を目指している。予測会社のLMC Automotive社によると、米国市場におけるLincolnブランドのシェアは、新モデルと一部改良モデルの投入により、2013年の0.6%から2014年には0.9%に拡大する見込み。

 Fordは、Volvo, Jaguar, Land Rover, Aston Martinを売却後、世界的な高級車ブランドを傘下に持たないため、長期的には販売が伸び悩む可能性がある。LMC Automotive社は、「FordはLincolnブランドの再生のため、デザイン、技術、安全装備等の採用から学んだ教訓を生かそうとしているが、Lincolnブランドを競争力のある世界的な高級ブランドにするためには、まだ多くの時間、資源、資金が必要だろう」と述べている。

Lincoln MKC Concept
Lincoln MKC コンセプト
Lincoln MKC Concept - Rear View
Lincoln MKC コンセプト後部

 

部品供給元の絞り込みが進展

 Fordは全世界で部品供給元の数を削減しており、2004年の3,300社から2012年末には1,260社に低減した。目標では、約750社にまで絞り込む計画。部品供給元を削減することにより、供給基盤を強化・健全化する狙い。また、直近では、Fordの生産拡大に対し、生産能力不足の部品メーカーと協力して能力増強を図っている。さらに、グローバルプラットフォームの統合により、全世界で使用する量の部品を共通の部品メーカーから調達することが可能になる。この結果、少数の部品メーカーが多量の部品を生産することになり、規模の経済性が高まる。

 

2013年には商用車に注力

 2013年には、Fordは商用車の開発、特に同年1月のデトロイトオートショーに出展したTransitシリーズの開発に注力する。2012年の世界の商用車市場は約1,700万台だったが、2017年には480万台(28%)増加する見込み。Fordブランドは28年間、北米での商用車販売台数でトップを維持しており、欧州では、Transitバンが中型商用車の最量販シリーズである。Fordは、すべての投入可能な市場で、共通のグローバルな商用車ファミリーを販売する計画。

 

2014 Ford Transit Connect Wagon
2014年型 Ford Transit Connect Wagon
2014 Ford Transit full-size van
2014 年型Ford Transit フルサイズバン

 

他社との提携・合弁事業の発表

燃料電池車  Ford, Daimler, Renault-日産は、2013年1月、燃料電池車の早期の市販化を目指して提携することで3社間の合意書に調印した。各社は同プロジェクトに対し、均等に出資する。設計の共通性を最大限に高め、投資コストを低減させる計画で、2017年にも初の量産型燃料電池車を投入することを目標とする。
9/10速AT  FordとGMは2013年4月15日、9速および10速ATの共同開発計画を発表した。両社の協力により、設計・開発コストを低減し、9速および10速ATの市販化を早める考え。この動きは、8速および9速のトランスミッションを今後の製品に搭載すると先頃発表したChryslerに対抗するものである。
HV  Fordとトヨタは2013年7月23日、ハイブリッド (HV) システムの共同開発を打ち切ると発表した。両社は、2011年8月にHVシステムの共同開発について公表していた。Fordは今後、ピックアップやSUV向けの後輪駆動式HVシステムを独自に開発する方針。このHVシステムは2019年までに投入される見込み。Fordは、新システムを単独で開発するだけの専門知識は、社内に十分蓄積されていると考えている。

 

 



欧州のラインアップを更新

2015 Ford Atlas Concept
2015年型Ford Atlasコンセプト

 Fordは欧州の商品ラインアップを更新中で、今後5年間に15のグローバルモデルを投入する考え。北米では、2013年に商用車、特にTransitシリーズに注力する。また、世界全体では、自社モデルを販売しているすべての市場において、積極的に小型低燃費車を投入している。


2012-2015年に投入する主要モデルの概要

発売年 モデル 概要
2012 Ford C-MAX Hybrid およびC-MAX Energi プラグインハイブリッド(PHV)  Focusベースの小型MPV。2012年秋に2013年モデルとして投入。
Ford Escape/Kuga  人気の高い小型クロスオーバーSUV。欧州で全面改良され、Kugaと統合された。
Ford Focus ST  Focusの高性能バージョン。2012年夏に欧州で発売。
Ford Fusion および Fusion Hybrid  中型セダン。全面改良され、2012年秋に2013年モデルとして投入。HVバージョンも同時に全面改良された。
2013 Ford Fusion Energi プラグインハイブリッド  FusionのPHV。2013年1月に発売。
Lincoln MKZ  中型車。今後4年間に投入する4車種のLincolnブランドの新型車または新モデルの第1号。
2014 Ford EcoSport  小型SUV。2013年ジュネーブモーターショーで欧州モデルを初披露。2014年春までに欧州に投入する予定。南米、インド、タイ、中国の都市向けにも販売されている。
Ford Edge  中型SUV。2014年下期に全面改良する予定。次世代モデルは欧州でも販売する計画。
Ford Escort  2013年の上海モーターショーで中国市場向けのコンセプト車として出展。Cセグメントセダンで、Escortというモデル名を復活させた。
Ford F-150  次世代ピックアップ。2014年半ばに2015年モデルとして投入する予定。2013年デトロイトオートショーに出展されたコンセプト車Ford Atlasからデザインのヒントを得る見込み。
Ford Mondeo  新型Mondeo (北米名:Fusion) は2014年に欧州で発売する予定。HVとPHVも設定する。
Ford Mustang  誕生50周年を迎えるスポーツカー Mustangは、2014年春に2015年モデルとして発売する予定。
Ford Tourneo Courier  5人乗り小型MPV。2013年ジュネーブモーターショーに初出展。2014年半ばに欧州で発売予定。
Ford Grand Tourneo Connect and Tourneo Connect  7人乗りのGrand Tourneo Connectは2013年ジュネーブモーターショーに初出展。5人乗りのTourneo Connectと共に展示された。
Ford Transit  フルサイズの商用バン。Ford Eシリーズの後継車。2014年夏に発売予定。世界各地の市場で販売する。
Ford Transit Connect  小型商用ワゴン。2列5人乗りと3列7人乗りがある。2014年初頭に発売予定。
Lincoln MKC  小型クロスオーバー車。2013年デトロイトオートショーにコンセプト車を初出展。2014年第2四半期に発売予定。
2015 Ford Taurus  大型セダン。2015年上期に全面改良する予定。
Lincoln MKX  中型クロスオーバー。2015年上期に全面改良し、2016年モデルとして発売する予定。

資料:Ford Media Releases, MarkLines, INOVEV

 

 



HVとEVのシェアが拡大

 Fordは、2013年第2四半期に、HVの販売台数が四半期としては過去最高となった。米国市場における需要は高まり続け、顧客の60%以上が、トヨタやホンダなどFord以外のブランドから乗り換える人々である。米国の電動車市場にFordが占めるシェアは前年から12ポイント上昇し、2013年上期には16%に拡大した。


 Fordは、HV市場 (PHVを除く) を牛耳るトヨタのシェアを徐々に崩し、2012年の72.4%から、2013年1-5月には66.7%に縮小させた。しかし、2013年8月、FordはC-Max Hybridの燃費性能 (複合モード) を47mpgから43mpgに下方修正し、それに伴ってC-Maxの購入者に550ドルを払い戻した。これは、公表された燃費性能が実際の燃費を上回るとする消費者や規制機関の不服の声に応えたものである。Fordは違法行為をしたわけではないが、この出来事は、燃費のリーダーというFordのイメージを傷つけ、今後のHV販売に影響を与える可能性がある。一方、Fordが初めて欧州で生産するFocusの電気自動車 (EV) モデルは、2013年6月にドイツのSaarlouis工場で生産を開始した。

Fordが販売する6車種の電動車両(2013年8月現在)

HV  Ford Fusion Hybrid, Ford C-MAX Hybrid, Lincoln MKZ Hybrid
PHV  Ford Fusion Energi, Ford C-Max Energi
EV  Ford Focus Electric

 

2013 Ford Fusion Hybrid
2013年型Ford Fusion Hybrid
2013 Ford Focus Electric
2013年型Ford Focus Electric

 

 



2012年は北米・アジア販売が増加するも世界販売は横ばい、今後は増加の見込み

 Fordの2012年の卸売販売台数は567万台で、2011年の570万台から若干減少した。北米とアジア太平洋・アフリカ地域では増加したが、南米ではやや減少、欧州では厳しい市場環境により大幅に減少した。北米では2012年に販売台数を増やしたものの、Fordの市場シェアは縮小した。これは、大きくシェアを拡大したトヨタとホンダなど、他社との競争が激化したためである。しかし、2013年上期にはFordは少し持ち直し、全地域でシェアが拡大または前年と同水準となった。Fordが大規模な投資を行っているアジア太平洋・アフリカ地域は、Fordのシェアが拡大を続けている唯一の地域である。

 

Fordの地域別販売台数 (卸売) (1,000台)
地域 2009 2010 2011 2012 1H
2013
北米* 1,927 2,413 2,686 2,784 1,584
南米 443 489 506 498 260
欧州 1,568 1,573 1,602 1,353 732
アジア太平洋・アフリカ 604 838 901 1,033 599
Fordの地域別市場シェア
地域 2009 2010 2011 2012 1H
2013
米国* 15.3% 16.4% 16.5% 15.2% 16.2%
南米 10.2% 9.8% 9.3% 9.0% 9.4%
欧州 9.1% 8.4% 8.3% 7.9% 7.9%
アジア太平洋・アフリカ 2.3% 2.4% 2.7% 2.8% 3.3%
資料: Ford Annual Reports
(注): *1) 販売台数 (卸売) は北米全体、市場シェアは米国を対象とする。
 2) 上表はVolvoブランド車を含まない。


 LMC Automotive社によると、Fordの乗用車およびlight truckの2012年世界販売台数は前年比0.7%増の約520万台。北米、アジア、アフリカ地域での増加が、欧州と南米での減少に相殺された。2013年は、グローバル市場向けの小型低燃費車の生産に注力することにより、販売台数は引き続き増加し、前年比6.1%増の550万台となる見込み。LMC Automotive社は、「Fordはアジアおよび南米の新興国市場で力強い成長を示す一方、北米や欧州といった成熟市場では堅実だが控えめな伸びにとどまるだろう」と述べている。

 

 



2012年に高利益を確保、2013年も堅調な業績を維持

Ford Pre-tax Net Income by Sector
資料:Ford 2012 Annual Report

 米国における需要拡大とONE Ford商品開発システムの実行により、Fordは引き続き高い利益を確保している。2012年の税引前利益 (特別項目計上前) は80億ドルにのぼったが、前年の88億ドルには届かなかった。これは、主に金融部門の純利益が減少したためと考えられる。自動車部門では、2012年の利益は前年とほぼ同じであった。価格の上昇と補償費用の減少は、税引前利益を押し上げたが、構造的費用を中心とするコスト増、販売台数減少、車種構成の変化によるマイナス影響で相殺された。Fordは、2013年第2四半期に16四半期連続で黒字を計上し、2013年通年の税引前利益は2012年と同等かそれを上回る水準になると予測している。


自動車部門は北米での利益が支え

 自動車部門では、2012年の税引前利益 (特別項目計上前) が83億ドルにのぼった北米地域が、引き続き業績を支えた。南米も同年は黒字となったが、両地域の利益から、アジアの若干の損失と、再編費用による欧州の多額の損失が差し引かれた。他の自動車関連費用は、主に純支払利子である。

Automotive Sector 2012 Full Year Pre-tax Results
資料:Ford 2012 Annual Report
Automotive Sector 2013 First Half Pre-tax Results
資料:Ford 2013 Q2 Earnings Review


 2013年上期は、北米の自動車部門が48億ドルという過去最高の税引前利益 (特別項目計上前) を出し、引き続き同部門の利益の中心となった。これは、前年同期と比べると、6.28億ドルの増加である。南米の損失は、主に第1四半期にベネズエラの通貨 bolivar の平価切下げが実施されたためである。欧州の上期の損失は前年同期を上回り、再編費用の2.91億ドルを含む。アジア太平洋・アフリカは、Fordの積極的な投資戦略により販売が拡大し、上期は黒字に転換した。自動車部門の他の損失は、主に純支払利子である。

 

全社の利益は2012年に減少、2013年上期には前年同期より増加

 Ford全社の2012年の税引前利益 (特別項目計上後) は77億ドルで、2011年より9.61億ドル減少した。税引後の純利益 (Ford Motor Companyに帰属する) は57億ドルで、1株当たり利益は1.42ドル。2012年の純利益が前年を下回ったのは、主に2011年に繰延税金資産に対する評価性引当額を戻し入れたことにより、一時的な利益が生じたためである。この評価性引当額の効果を除くと、2012年の純利益は2011年を3.07億ドル下回ることになる。Fordは財務面での成長を示すため、2013年の四半期配当金を倍増し、1株当たり0.10ドルとした。

 北米部門は2013年1-6月に、上期としては過去最高の税引前利益を計上した。Ford全社の同年上期の税引前利益は39億ドルで、前年同期より3.09億ドル増加。純利益 (Ford Motor Companyに帰属する) は、前年同期比4.08億ドル増の28億ドルとなった。Fordは上期の業績を踏まえて、2013年7月に通年見通しを修正した。それによると、全社の税引前利益は2012年と同等かそれ以上、自動車部門の営業利益率は2012年と同水準、自動車部門の営業活動によるキャッシュフローは2012年を大幅に上回る見込み。

 

業績概要
(100万ドル)
2008 2009 2010 2011 2012 2012年
1-6月
2013年
1-6月
全社
Revenues 143,584 116,283 128,954 136,264 134,252 65,656 73,905
 
Income/(Loss) before income taxes (14,895) 2,599 7,149 8,681 7,720 3,633 3,942
Provision for/(Benefit from) income taxes (62) (113) 592 (11,541) 2,056 1,197 1,096
Income/(Loss) from continuing operations (14,833) 2,712 6,557 20,222 5,664 2,436 2,846
Income/(Loss) from discontinued operations 9 5 - - - - -
Net income/(Loss) (14,824) 2,717 6,557 20,222 5,664 2,436 2,846
Less Income/(Loss) attributable to noncontrolling interests (58) - (4) 9 (1) - 2
Net income/(loss) attributable to Ford Motor Company (14,766) 2,717 6,561 20,213 5,665 2,436 2,844
 
自動車部門
Revenues 127,635 103,868 119,280 128,168 126,567 61,853 69,937
Income/(Loss) before income taxes (12,314) 785 4,146 6,250 6,010 2,730 2,988
 
金融部門
Revenues 15,949 12,415 9,674 8,096 7,685 3,803 3,968
Income/(Loss) before income taxes (2,581) 1,814 3,003 2,431 1,710 903 954
 
Amounts Per Share Attributable to Ford Motor Company Common and Class B Stock
Basic income/(Loss) (6.50) 0.91 1.90 5.33 1.48 .64 .72
Diluted income/(Loss) (6.50) 0.86 1.66 4.94 1.42 .61 .70

資料:Ford 10-K, Ford Year End Financial Results, Ford 10-Q, Ford Mid-Year 2013 Financial Results
(注) ( ) 内数値はマイナスを示す。

 

 



新型車への旺盛な需要が工場への投資を促進

 Fordは、北米での成長計画に対応するため、2015年までに米国の工場に62億ドルを投資する。2013年に年産能力を20万台拡充する計画。2012年には、恒例の夏季閉鎖期間を2週間から1週間に短縮して増産した4万台を含め、年産能力を40万台増強した。

 他の成長市場でも生産能力を拡充しており、中国、インド、タイにはフレキシブル生産が可能な新工場を建設する。アジア太平洋・アフリカ地域の非連結関連会社と共同で2012年に2工場を開設、2015年までに同地域でさらに7工場を建設する計画。

Fordの主要な工場拡張計画

工場 投資額 内容
北米
Cleveland エンジン工場
(米国・オハイオ州)
2億ドル 2.0L の EcoBoostエンジンを生産するために投資 (450人を新規雇用)。生産開始は2014年末の予定。
Dearborn プレス工場
(米国・ミシガン州)
3.05億ドル 2013年夏までに設備更新。
Flat Rock 組立工場
(米国・ミシガン州)
5.55億ドル 3つの湿式塗装工程とFord Fusionの組立を追加 (1,400人を新規雇用)。2013年夏または秋までに完了予定。
Kansas City組立工場
(米国・ミズーリ州)
11億ドル F-150ピックアップおよび新型Transit バンのためにプレス工場を新設、塗装工場の設備を更新 (2,000人を新規雇用)。プレス工場は2012年に完成。Transitの生産は2014年夏までに開始予定。
Livoniaトランスミッション工場
(米国・ミシガン州)
7,470万ドル 2012年12月に発表。トランスミッションの生産・検査用に機械・設備を更新。 Michigan 組立工場
(米国・ミシガン州) 5,940万ドル プレス工程の拡張。2013年夏までに完了予定。
Michigan 組立工場
(米国・ミシガン州)
5,940万ドル プレス工程の拡張。2013年夏までに完了予定。
Sterling アクスル工場
(米国・ミシガン州)
8,600万ドル アクスルを生産する機械・設備の増設。2012年に増設開始。
Van Dyke トランスミッション工場
(米国・ミシガン州)
8,770万ドル 2012年12月に発表。6F35および6F50トランスミッションの生産能力を増強。
欧州
Ford Sollers のYelabuga工場
(ロシア)
不明 Explorer (SUV) の本格生産を2013年4月に開始。これまでは同工場でKD生産のみを行っていた。Explorerが米国外で生産されるのは初めて。
新エンジン工場
(ロシア・タタルスタン共和国)
2.74億ドル Fordのロシア合弁会社 Ford Sollers は、2.74億ドルを投資してロシアのタタルスタン共和国にパワートレイン工場を新設。この工場は、Ford Sollersが既に車両を生産しているYelabuga市に建設される。
Bordeaux AT工場
(フランス)
1.375億
ユーロ
2013年5月発表。Fordが1.25億ユーロ、地方自治体が1,250万ユーロを投資。欧州で小型車用の次世代トランスミッションを生産する。
Yenikoy 工場
(トルコ)
3年間で
10億ドル
Ford Otosanは2012年3月に第3工場の建設を開始。新工場は2013年に完工予定で、新型小型商用車を生産する計画。年産能力は11万台で、トルコにおけるFordの3工場を合わせた年産能力は40万台に拡大する。
アジア
長安Fordエンジン工場
(中国・重慶)
5億ドル 1.0L 3気筒EcoBoostエンジンと1.5L 4気筒エンジンを生産する新工場。2013年6月に開所。当初の年産能力は40万基。
江鈴汽車 (JMC) 小藍工場
(中国・江西省南昌市)
2億ドル
(JMCが出資)
Fordの戦略的パートナー、江鈴汽車 (JMC) は2013年6月に新工場を開所。FordおよびJMCブランドの商用車を生産する。年産能力は30万台。
新エンジン工場
(中国・小藍)
不明 2013年6月、江鈴汽車 (JMC) とFordは、小藍工場の敷地内にエンジン工場も建設すると発表。年産能力は20万基。
Sanand 工場
(インド)
10億ドル Ford Indiaは2012年3月、Sanand工場の建設を開始。投資額は10億ドル。2014年に稼働開始の予定。

資料:Ford Media Releases, Automotive News, 各紙報道, 各社広報

 

Ford、豪州での生産を打ち切りへ

 Fordは、2016年10月に豪州での生産を中止すると発表した。市場の細分化や生産コストの高騰など、豪州市場の競争激化がその理由とされる。豪州における過去5年間のFordの累積損失額は、約6億豪ドルにのぼる。FordのBroadmeadowsおよびGeelong工場で働く1,200名の従業員が失業する見込み。Fordは1925年以来、豪州で生産を続けている。

 

欧州の再編計画により3工場を閉鎖

 欧州におけるFordの損失は2012年に約18億ドル、2013年には20億ドルとなる見込み。この損失に歯止めをかけるため、Fordは2014年にベルギーのGenk組立工場を閉鎖する。同工場ではセダンのMondeoとミニバンのS-MaxおよびGalaxyを生産しているが、これらの生産はスペインのValencia工場に移管する。
 このほか、Transitバンのシャシーキャブを生産する英国のSouthampton工場と、ロンドン郊外のDagenhamにあるプレス工場も閉鎖する計画。すべて合わせると、欧州での生産能力を18%削減することになる。CEOのAllan Mulally氏は、欧州の状況が悪化した場合には、さらなる生産能力削減も辞さず、また他の対策も実施する、と語っている。

 

 



LMC Automotive 生産予測:Fordのライトビークル生産は2016年まで堅調

(LMC Automotive社、2013年6月)
Ford Motor Company Percentage of Global Production by Region
資料:LMC Automotive "Global Automotive
Production Forecast (June 2013)"

 LMC Automotive社は、Fordは世界市場で成長を続け、2016年まで好調な業績が続くと予測している。世界の生産台数は2013年に7%増、2014-2016年に年平均4.2%増加する見込み。

 2013年に生産が最も増加する地域は南米で18.3%増、次にアジア太平洋が12.6%増、北米が8.0%増。2012年より生産が減少する唯一の地域は西欧で、約4.6%減少する見通し。


 世界生産の中で北米地域の生産が占める割合は、2013年には50.8%だが、2016年には43.8%に低下する。欧州の割合は2010-2016年に10%低下するが、アジア太平洋・アフリカ地域は同期間にほぼ倍増する見込み。

Ford の国別light vehicle 生産予測

(台)
Country Global Make 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
Grand Total 5,110,817 5,412,323 5,534,102 5,919,211 6,226,625 6,559,641 6,690,659
 
Canada Ford 243,386 268,544 215,728 220,363 192,094 203,268 174,734
Lincoln 45,457 51,417 40,196 31,610 40,480 44,250 33,462
Mercury 31,765 165 - - - - -
Canada Total 320,608 320,126 255,924 251,973 232,574 247,518 208,196
Mexico Ford 344,891 420,092 423,423 461,296 432,445 322,951 309,303
Lincoln 24,342 35,399 20,740 46,974 44,560 45,920 48,839
Mercury 21,155 - - - - - -
Mexico Total 390,388 455,491 444,163 508,270 477,005 368,871 358,142
USA Ford 1,597,729 1,864,100 2,058,391 2,221,490 2,266,281 2,302,384 2,278,794
Lincoln 26,568 22,830 24,334 24,773 69,056 77,873 88,094
Mercury 29,614 - - - - - -
USA Total 1,653,911 1,886,930 2,082,725 2,246,263 2,335,337 2,380,257 2,366,888
North America Total 2,364,907 2,662,547 2,782,812 3,006,506 3,044,916 2,996,646 2,933,226
 
Argentina Ford 96,454 103,883 89,072 103,121 114,247 122,871 130,019
Brazil Ford 322,306 286,850 275,774 333,000 328,510 331,488 344,392
Venezuela Ford 20,312 21,352 21,875 21,431 27,774 32,599 35,288
South America Total 439,072 412,085 386,721 457,552 470,531 486,958 509,699
 
Belgium Ford 185,561 178,127 123,325 86,932 41,669 - -
Germany Ford 741,803 731,114 692,345 605,771 567,193 596,480 594,507
Italy Ford 4,356 - - - - - -
Spain Ford 256,650 229,936 134,748 226,553 337,536 369,318 329,892
UK Ford 28,270 28,170 28,031 14,529 - - -
West Europe Total 1,216,640 1,167,347 978,449 933,785 946,398 965,798 924,399
 
Poland Ford 92,927 67,204 54,613 48,974 42,963 16,845 -
Romania Ford 9,558 7,547 30,591 84,681 86,544 77,295 72,280
Russia Ford 80,390 98,807 126,838 111,533 134,455 195,204 241,460
Turkey Ford 237,194 286,611 264,735 245,807 301,599 319,726 321,066
East Europe Total 420,069 460,169 476,777 490,995 565,561 609,070 634,806
 
Australia Ford 56,807 34,117 38,480 35,521 35,334 35,103 29,128
China Ford 353,345 373,838 477,551 624,001 728,703 845,639 946,196
India Ford 93,944 118,867 125,184 123,614 178,847 292,356 339,075
Japan Ford 1,000 - - - - - -
Philippines Ford 5,614 5,040 3,708 - - - -
Taiwan Ford 24,028 22,923 18,959 21,973 23,291 25,088 26,136
Thailand Ford 105,512 117,488 197,103 164,606 171,337 241,859 287,794
Asia Pacific Total 640,250 672,273 860,985 969,715 1,137,512 1,440,045 1,628,329
 
South Africa Ford 29,879 37,902 48,358 60,658 61,707 61,124 60,200
Other Total 29,879 37,902 48,358 60,658 61,707 61,124 60,200
資料:LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (June 2013)"
(注) 1. データは、小型車 (乗用車+車両総重量6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載にはLMC Automotive社の許諾が必要となります。
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