LMC Automotive 2018年6月自動車市場月報（グローバル）

2018年6月販売は4.2％増の840万台、1~6月累計販売は3.5％増の4,829万台

2018/07/20

グローバル販売状況と直近の市場予測

※当レポートは自動車、パワートレイン分野の市場予測サービス専門の調査会社 LMC Automotive によるライトビークル市場トレンドレポートをマークラインズが翻訳したものです。

世界全体

  • 2018年6月の世界全体のライトビークル販売は、前年同月比で4.2％増の840万台となった。ただ、6月の季節調整済み年率換算販売台数は9,680万台/年となり、5月の9,830万台/年から低下した。
  • 6月の世界販売の拡大は、主に米国、西欧、中国市場が牽引した。ただ、6月の季節調整済年率換算販売を見ると、このうち米国のみが、1~6月の平均を上回った。また、南米と東欧は年初から好調を維持してきたが、６月は低迷した。


解説

北米

  • 米国の6月の販売は前年同月比5.4%増の155万台となった。北米市場全体を見ると、6月販売は3.8％増となったが、この中で米国のみが前年同月比で販売を伸ばした。米国の6月の季節調整済み年率換算販売は1,740万台/年となり、前月から50万台/年増加した。SUVの6月販売は16％増と特に拡大しており、この影響から6月の新車実勢販売価格は1.4％増の3万2,090ドルに上昇した。台あたりの販売奨励金は1.8％増の3,860ドルと増加しており、これを支えに個人向け販売は4.3％増となった。
  • カナダの販売は悪化が進んでおり、6月販売は前年同月比1.8％減と、減少率が5月の0.8％減から拡大した。6月単月の販売は20万台、季節調整済み年率換算販売は197万台/年となり、3ヵ月連続で200万台/年を下回った。メキシコの6月販売は6.1％減の11.9万台となり、13ヵ月連続で前年割れとなった。

欧州

  • 西欧の6月の販売は前年同月比4.4％増の167万台となったが、6月の季節調整済み年率換算販売は1,652万台/年となり、5月の1,680万台/年から低下した。全体として西欧市場は2018年も拡大基調を維持しているが、伸び率は直近数年よりも低下している。また、国ごとの好不調のばらつきが大きく、スペインやフランスが好調に推移している一方で、英国やイタリアの不調が鮮明となっている。特に、イタリアについては失速感が現れており、LMC Automotiveでは同国の販売予測を下方修正している。2018年通年の西欧販売については前年比1.6％増と予測する。
  • ロシアの6月の販売は前年同月比10.8%増の15.6万台となった。この結果は、物品税や廃車税の引き上げ、ルーブル安を背景にした車両価格の上昇といったネガティブな要素を上回る需要の力強さを示唆している。6月の季節調整済み年率換算販売は180万台/年を若干上回る水準となり、5月の189万台/年からやや低下した。1~6月累計の販売については、前年同期比18.2％増の84.9万台となった。LMC Automotiveでは、年後半についても上記のネガティブ要素は残るものの、回復しつつある経済が新車販売を支えると想定している。2018通年販売については、引き続き180万台と予測する。

中国

  • 中国の６月販売（卸売ベース）は、予測された通り減速したが、米中貿易戦争のエスカレートから懸念されるほどではなかった。速報値では６月の季節調整済み年率換算販売は2,893万台/年となり、５月から3%超低下するとともに2ヵ月連続で前月を下回った。米中の貿易紛争から輸入車の価格について先行きの不透明さが増しており、消費者が輸入車を買い控えている可能性がある。また、自動車販売の減速は経済のペースダウンを反映したものと言える。ただ、６月単月の販売は前年同月比で4.2％増、1~６月累計販売は前年同期比で約5%増となっている。
  • 今後の展望について、特に輸出セクターへの依存度が高い湾岸地域では、ある程度の販売の減速（特に輸入車）は不可避と見られる。ただ、中国商務部が関税引き上げによって得た税収を、湾岸部の輸出セクターへのネガティブな影響の緩和に利用する方針を発表している。これに加えて、内陸部の旺盛な新車販売が、輸出依存度の高い地域の販売の落ち込みを補完する可能性もある。

アジア(中国以外)

  • 日本の販売はやや勢いを減じ、6月の季節調整済み年率換算販売は517.8万台/年に減少した。ただ、成熟市場である日本の販売としては悪い水準とは言えない。1~6月累計の販売は、世界経済の先行きの不透明さやSUBARUの不正検査問題、また個人・企業双方の信頼感の悪化等を背景に、前年同期比1.8％減の269.8万台となった。
  • 韓国の販売は2ヵ月続けて好調に推移してきたが、6月の季節調整済年率換算販売は171万台/年と前月比で5.6％減少し、やや勢いが低下した。6月単月の販売は5.2％減の15.2万台となった。新規モデルの投入と輸入車ブランドによる積極的なインセンティブ策の影響が、弱まった結果と見られる。

南米

  • ブラジルの販売は、ワールドカップ開催に伴う混乱や、5月に全土で発生したトラック運転手によるストライキの影響にも関わらず、堅調な結果を示した。6月の季節調整済み年率換算販売は238万台/年となり、5月からわずかに上昇した。ただ、ブラジルレアルの低下やインフレ率の上昇、労働市場の回復の遅れ等を背景に、販売回復のペースは鈍化しつつあると見られる。
  • アルゼンチンでは､アルゼンチンペソの下落と急激な金利とインフレ率の上昇が、自動車販売に影響を及ぼし始めた。6月の販売は前年同月比17％減となり、直近2年間で初めての前年割れとなった。アルゼンチン政府はIMFからの500億ドルの融資枠を確保したが、ペソは下げ止まっていない。

グローバルライトビークル販売

販売(台) 季節調整済み年率換算販売(台/年)
2018年
6 月		 2017年
6 月		 増減 2018年
累計		 2017年
累計		 増減 2018年
6 月(*1)		 2018年
累計(*2)		 2017年
通期(*3)		 増減(*4)
WORLD
8,400,779
8,061,391
4.2%
48,293,980
46,649,264
3.5%
96,802,126
97,034,661
95,285,910
1.8%
USA
1,549,990
1,470,491
5.4%
8,605,188
8,429,231
2.1%
17,399,326
17,150,726
17,189,430
-0.2%
CANADA
200,241
203,944
-1.8%
1,034,953
1,040,180
-0.5%
1,972,818
2,065,640
2,041,555
1.2%
WESTERN EUROPE
1,670,579
1,599,792
4.4%
8,937,298
8,749,538
2.1%
16,519,039
16,656,001
16,202,648
2.8%
EASTERN EUROPE
382,538
380,808
0.5%
2,135,665
1,950,788
9.5%
4,264,890
4,621,690
4,222,429
9.5%
JAPAN
449,227
471,103
-4.6%
2,697,834
2,746,409
-1.8%
5,177,617
5,197,725
5,164,249
0.6%
KOREA
152,323
160,630
-5.2%
881,342
881,353
0.0%
1,710,941
1,760,760
1,751,938
0.5%
CHINA
2,224,697
2,135,778
4.2%
13,794,163
13,151,121
4.9%
28,926,773
29,119,772
28,603,646
1.8%
BRAZIL / ARGENTINA
256,630
263,240
-2.5%
1,603,129
1,423,603
12.6%
3,121,664
3,325,323
3,029,738
9.8%
OTHER
1,514,553
1,375,605
10.1%
8,604,408
8,277,041
4.0%
17,709,058
17,137,025
17,080,277
0.3%
注記： (*1) 当該月の販売実績をベースとした季節調整済み年率換算販売台数。
(*2) 当年累計期間の販売実績をベースとした季節調整済み年率換算販売台数。
(*3) 2017年通期（1～12月）の販売実績。
(*4) 2018年累計の季節調整済み年率換算販売の対前年実績比増減率。
販売報告の遅い国々や推測したものは“Other（その他）”に含まれる。
東欧はトルコを含む。
中国のデータは、ライトビークルの輸入推計を含む。

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