インドネシア:2015年の販売は前年と同水準の120万台の見込み

三菱は新工場を計画、GMは自社工場を閉鎖・上海汽車と合弁工場を建設

2015/03/06

要 約

インドネシアの自動車生産・販売台数 インドネシアの2014年の販売台数は前年比1.8%減の121.0万台。景気回復が遅れるタイを抜いて、東南アジア最大の自動車市場となった。しかし、経済成長の減速、ルピア安、ルピア安抑制のための金利高、燃料補助金の削減等の影響で、2009年以来5年ぶりに前年比マイナスとなった。

 ローコストグリーンカー (LCGC) 適合車の2014年販売は17万台と、インドネシア自動車製造業者協会 (GAIKINDO) の目標12万台を上回り好調だったが、主力の多目的車 (MPV) をはじめ他のすべてのセグメントでは販売が減少した。

 2015年の販売台数について、GAIKINDO は、原油安はプラス要因となるが、ルピア安や景気低迷の影響は続くと見られ、前年並みの120万台との見通しを示した (1月時点) 。

 LMC Automotiveは、中長期的には、人口が多く、若年層と中間層が急拡大しているインドネシアは、東南アジア諸国の中で最も自動車販売が伸びる可能性が高いと予測している。同社によると、2014年は市場が低迷したが、2015年から2018年までは毎年7~9%増加し、2018年には1,575,165台となる見込み。

 2014年10月に大統領に就任したジョコ・ウィドド氏は、就任前にLCGC政策に反対の意を表明していたが、新政権としては同政策を継続する方針を示した。2015年に実施される予定のASEANの経済統合を前に、国内の自動車産業を振興し、輸出拡大を図るとしている。また、財政を圧迫していた燃料補助金については、公約通り削減に踏み切り、2015年1月からはガソリンの補助金を撤廃、軽油は補助金を固定化した。ただ、原油安のおかげで、ガソリンと軽油の公定価格は2014年末より低下している。政府は、従来の補助金向け予算をインフラ整備や社会保障に振り向ける計画。

 2014年の生産台数は前年比7.5%増の129.9万台で過去最高を記録。完成車輸出台数も18.4%増の20.4万台と拡大した。インドネシアおよびその周辺地域の中長期的な成長を見込んで、自動車メーカー各社は同国を生産・輸出拠点とする動きを加速させている。トヨタは2016年に新エンジン工場を稼働、ダイハツは開発機能を強化している。スズキは2015年以降、三菱自動車は2017年に新工場を稼働する計画。海外メーカーでは、GMは上海汽車と合弁工場を建設すると発表(既存の自社工場は2015年6月に閉鎖予定)、VWも新工場建設を検討している模様。

 
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