米国市場:拡大基調で投資が活性化

各メーカーは新型車投入と生産能力拡充で需要増に対応

2013/07/05

要 約

The 2014 Jeep Cherokee
2014年型 Jeep Cherokee。米国では2001年に販売中止となっていたが、復活する。生産中止となったJeep Libertyの後継車。

 米国市場は、2008-2009年の「大不況」から回復しつつある。LMC Automotive社の予測によると、2013年の米国のGDP伸び率は2.1%、2014年は3%になる見込み。ショールームを訪れる客の数が増え、長い間低迷していた自動車需要が高まっている。乗用車と小型トラックの新車販売台数は2012年に前年比13.8%増となり、2009年に底打ちして以降、毎年増加している。2012年の販売台数は約1,450万台で、1,040万台に落ち込んだ2009年以降では最高だが、景気低迷前の2007年の約1,610万台には届いていない。


 主要メーカー8社は2012年に米国販売を増加させたが、市場シェアを拡大したのは4社にとどまった。トヨタとホンダは、2011年に東日本大震災やタイの洪水の影響で販売が減少したが、2012年には回復し、トヨタは市場シェアを1.5ポイント、ホンダは0.8ポイント拡大した。また、新型車投入が好調に推移したChryslerは0.6ポイント、同じ理由でVolkswagenも0.5ポイント拡大した。一方、GM (-1.7)、Ford (-1.1)、日産 (-0.1)、現代・起亜 (-0.2) は市場シェアが減少した。


 高まる需要に対し、各社は新モデル投入や既存モデルの全面改良により、対応している。GMは過去2年間でラインアップの70%を更新。アジアおよび欧州のメーカーは、自社のプレミアムブランドの更新に注力している。また、多くのメーカーは米国工場に多額の投資を行い、生産能力の拡充や生産工程のフレキシブル化を図っている。米国に工場を有するほぼすべてのOEMが、設備更新または能力増強計画を発表しており、投資額の総計は数十億ドルにのぼる。近い将来、市場が減速するという兆しは見当たらず、楽観的な見通しが業界全体に広がっている。LMC Automotive社の最新予測も楽観的で、2013-2016年に米国の新車販売台数は15.5%増加する見通しとしている。


 本レポートでは、米国および海外のOEMによる米国近辺の生産拠点への投資計画と、ラインアップの多様化を示す最近の新型車投入状況をまとめた。また、拡大基調を示す過去の新車販売台数データと、LMC Automotive社による2016年までの米国販売予測も掲載する。

関連レポート:
デトロイトモーターショー 2013 (1):米国と 欧州の自動車メーカー展示取材, 2013年2月掲載
デトロイトモーターショー 2013 (2):日韓中の自動車メーカー展示取材, 2013年2月掲載
GM:2013年も引き続き業績改善の見込み, 2013年5月掲載

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