(株) パイオラックス 2010年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2010年
3月期
2009年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 38,232 40,677 (6.0) -
営業利益 2,536 838 202.6 -
経常利益 3,260 1,210 169.4 -
当期純利益 1,980 500 296.0 -
自動車関連事業
売上高 34,953 38,472 (9.1) -世界的な自動車販売不振により大幅な生産・在庫調整が行われた影響。
営業利益 2,268 728 211.5 -

事業再編

-台湾の関連会社で自動車部品用樹脂ファスナーの製造販売を手掛ける三加産業股份有限公司(台北県)の合弁契約を解消することを決めたと発表した。合弁相手の三龍産業股份有限公司に同社が保有する全株式を譲渡して合弁を解消する。三加産業は、台湾における自動車部品用樹脂ファスナーの事業展開を狙い、1987年に三龍産業が51%、同社が49%出資して設立した。売上高は3450万台湾ドル(約9970万円)。三加産業はこれまでに一定の成果を上げ、当初の目的がおおむね達成されたことから、両社は今後の協力関係について検討を進めていた。この結果、それぞれ独自にビジネスを展開することが双方の利益につながると判断した。(2009年4月22日付日刊自動車新聞より)

-メキシコ事業を強化する。米国法人の一部として展開してきたものを分離して、2010年をめどにメキシコ単独によるオペレーション体制に切り替える。取引先である日系完成車メーカーが生産体制の拡充を進めていることに加え、現地通貨の為替が安定してきたことを受けてオペレーション体制の変更に踏み切ることにした。現在、米国法人の子会社として運営している「Piolax S.A.de.C.V」をパイオラックス本体の子会社に体制変更する。これにより、メキシコにおける収益の向上を図るとともに、米国法人の負担を軽減させて、収益が落ちている米国事業の早期回復を目指す。(2009年10月5日付日刊自動車新聞より)

-英国の現地法人を再編すると発表した。2009年12月31日付で販売会社のPiolax Ltd.と製造会社のPiolax Mfg. Ltd.を合併する。Piolax Ltd.が存続会社となり、Piolax Mfg. Ltd.が行っていた製造関連の業務を引き継ぐ。同国事業における経営効率化を図るのが狙い。(2009年12月9日付日刊自動車新聞より)

会社設立

-2009年11月にもインドに自動車部品の販売会社を設立すると発表した。需要が見込まれれば将来的に生産拠点を設置する考えで、そのための市場調査も兼ねる。新会社は「Piolax India Private Ltd.」でチェンナイ(タミルナドゥ州)に設立する。資本金は 3500万ルピーで、出資比率は同社が99%、販売子会社のケーエッチケー販売が1%。事実上の全額出資となる。工業用ファスナー、小型ユニット部品など自動車用部品を中心に扱う。(2009年9月9日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 642 515 544
自動車関連 347 396 427

研究開発体制

-設計部、各SBUの開発グループ、および子会社の(株)パイオラックスメディカルデバイスの開発部門により推進。

研究開発拠点

横浜テクニカルセンター 神奈川県横浜市

研究開発活動

精密ばね関連
-変速機、エンジン補器等に用いられるコイルばね等の廉価材材料開発。
-応力や拳動等の解析技術を駆使した最適設計により、変速機ユニットの小型・軽量化・低コスト化に寄与する製品の量産化を図った。
-変速機ユニットへの組付け作業を容易にした複合ばねの開発拡大を図った。
-より顧客先組立工場との連携を密に取り、顧客先組立工場の意見と同社製品の最適形状を盛り込んだ商品の開発にも力を注いだ。
-従来の国内カーメーカー等との開発拡大と共に、新興国のカーメーカーとの新たな開発・量産化も拡大。

工業用ファスナー関連
-薄板から厚板まで使用出来る製品、取付け力の低減等による車体への組付作業を容易にした製品、高強度な締結機能を有する製品、廃車後の車体解体作業の作業性向上を考慮した製品などを開発。
-素材面では車室内の臭いを低減する材料グレードへの転換を検討し、環境問題や、車の居住性向上にも配慮した製品の開発にも取り組んでいる。
-利便性を向上させた内装部品のネットフック等の開発も実施。
-低価格で高品質な製品をグローバルに提供できるよう、海外子会社との情報交換を行い、製品開発に反映している。

小型ユニット関連
-グローブボックス用のサイドロック機構は、採用車種の増加とともに性能向上や作業性改善等を盛り込みながら開発を継続。
-新型ダンパーの開発を推進。
-コンソールボックスリッドや後部荷物室のフロアボードを開閉するためのヒンジ機構部品を開発。

燃料系関連
-樹脂タンク用バルブとしてはロールオーバーバルブ、インレットチェックバルブを中心に性能向上、コスト低減を狙った開発を実施。
-金属タンク用バルブとしては、コスト低減を狙った標準部品や複合機能部品の開発を推進。

その他
-EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)向け部品について、銅材料や難燃性樹脂材料を用いてバッテリーやモーター関連の構成部品を開発中。
-環境問題に対しては、欧州廃車指令、欧州RoHS(ロース)規制の管理を継続するとともに、日本自動車工業会の環境負荷物質に関する自主規制(車室内VOCの規制等)に対応した活動を進めている。欧州REACH規則に対応する取り組みでは、欧州拠点との連携を図り推進。

技術導入契約

(2010年3月31日現在)

相手先 契約品目 契約内容 契約期間
Norma Germany GmbH(ドイツ) 自動車用燃料給油
関連部品
特許実施許諾 1995年9月18日から2000年8月17日まで
以後1年毎の契約更新
Norma Germany GmbH(ドイツ) 樹脂製燃料
タンク関連部品
特許実施許諾 上記本契約に追加
Norma Germany GmbH(ドイツ) 樹脂製燃料
タンク関連部品
特許実施許諾 2001年12月13日から2006年12月12日まで
以後1年毎の契約更新

技術供与

(2010年3月31日現在)

相手先 契約品目 契約内容 契約期間
三加産業股份
有限公司
[Piolax of Taiwan Inc.(Taiwan)]
(台湾)
金属・樹脂ファスナー 製造技術
援助契約
1987年10月6日
から1992年10月5日まで
以後10年毎の
契約更新
台湾厚木工業股份
有限公司
[Taiwan Houmu Industrial Co., Ltd. (Taiwan)]
(台湾)
プレッシャースプリング、
トーションスプリング、
バルブスプリング
製造技術
援助契約
1978年11月1日
から1983年10月31日まで
以後5年毎の
契約更新
Piolax Corp.
(米国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
及びマーケティング・
サービス契約
1993年4月1日
から無期限
Piolax Ltd.
(英国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
及びマーケティング・
サービス契約
1995年8月8日
から無期限
Piolax Co., Ltd.
(韓国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
及びマーケティング・
サービス契約
1996年6月20日
から2006年6月19日まで
以後1年毎の
契約更新
Piolax (Thailand) Ltd.
(タイ)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
及びマーケティング・
サービス契約
2000年8月10日
から無期限
東莞百楽仕汽車精密
配件有限公司
[Dongguan Piolax Co., Ltd. (China)]
(中国)
自動車、電子工業などに使う
各種プラスチック精密クリップ、
各種精密スプリング、
関連組み立て部品等
ライセンス技術、
エンジニアリング、
及びマーケティング・
サービス契約
2004年7月1日
から2014年6月30日まで
以後1年毎の
契約更新

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2010年3月期 2009年3月期 2008年3月期
全社 N.A. N.A. 3,567
自動車関連 2,365 2,876 N.A.

-国内関係で1,517百万円、海外関係で1,010百万円。

海外投資

<アジア>
-アジア地域での事業拡大に向けた取り組みを一段と加速する。タイの新工場建設や中国の設備増強を中心に 2010-12年度の3カ年で約25億円の設備投資を計画。2010年度にタイに新工場を建設。さらに中国の生産拠点では新規設備の投入など積極的な設備増強を実施し、国内や欧米の投資を抑えた分をアジアに振り向ける。同社のアジア事業は現在、韓国、中国、タイに自動車用樹脂ファスナー部品などの生産・販売を行っている。これに加えて、主要取引先である日産自動車向けの部品受注を機にインド・チェンナイ市に現地販売法人「Piolax India Private Ltd.」を設立し、2010年1月から事業開始する予定。(2009年12月9日付日刊自動車新聞より)

設備の新設(自動車関連)

(2010年3月31日現在)

会社名
事業所名
設備の内容 予定金額
総額
(百万円)
着手 完成予定 完成後の増加能力
同社 生産設備、金型他 1,539 2010年
4月
2011年
3月
更新・合理化が主で増加能力は軽微。
国内子会社 生産設備、金型他 157 2010年
4月
2011年
3月
更新・合理化が主で増加能力は軽微。
海外子会社 生産設備、金型他 2,016 2010年
1月
2010年
12月
多種目の生産であるため増加能力は不明。