日本精工 (株) 2013年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位：百万円) |
| 2013年 3月期 |
2012年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
| 全社 | ||||
| 売上高 | 732,842 | 733,192 | 0.0 | - |
| 営業利益 | 32,361 | 44,417 | (27.1) | - |
| 経常利益 | 30,310 | 42,004 | (27.8) | - |
| 当期純利益 | 15,739 | 28,514 | (44.8) | - |
| 自動車関連製品 | ||||
| 売上高 | 490,545 | 444,585 | 10.3 |
1) |
| 営業利益 | 24,992 | 22,637 | 10.4 | - |
要因
1) 自動車事業売上高
-自動車関連需要は、自動車軸受および自動車部品ともに増加。
<日本>
-東日本大震災後の自動車生産の回復やエコカー補助金の効果などにより売上が増加。
<米州>
-景気の持ち直し等により日系自動車メーカーの販売が回復し、電動パワーステアリングの売上が増加。
<欧州>
-市場が低迷しており、売上が減少。
<中国>
-自動車市場拡大によって売上が増加したが、日系自動車メーカーのシェア低下による影響もみられた。
<タイ>
-自動車購入促進策などによる自動車販売増があり、自動車軸受および電動パワーステアリングの売上が増加。
海外事業
<中国>MOSグループと資本提携
-中国の軸受メーカーである中国寧波摩士集団股份有限公司 (MOS、本社=浙江省寧波市鎮海庄市) と資本提携すると発表した。今後、資本提携に関する契約を締結、日本精工はMOSの発行済み株式の25% (10数億円相当) を取得する。日本精工は2012年9月、MOSグループの自動車軸受メーカーに10%を出資、両社で中国市場向け製品供給で協力関係を結んでいた。今回の資本提携で、ものづくりや市場に関するノウハウの構築など協力関係をさらに発展・強化する。(2013年2月5日付日刊自動車新聞より)
新興国で現地材を活用した低価格製品を市場投入
-新興国で現地材を活用した低価格製品の市場投入に注力する。同社では中国で生産するトランスミッション用「円すいころ軸受」で、内・外輪用に現地製鋼材の使用を始めた。現地製鋼メーカーと協力し、素材調査を実施、製造工程の見直しや品質管理を徹底することで、日本で調達する鋼材と同水準の材料品質を確保、現地材料を使うことで製品価格を2割超安価にした。日系ミッションメーカーの中国での増産に対応するもので、今後のさらなる需要増を見込み、現地生産を加速させる。(2012年12月22日付日刊自動車新聞より)
中国の軸受メーカーに出資
-中国の軸受メーカーに出資すると発表。出資するのは中国寧波摩士集団股份有限公司の子会社で自動車用軸受を主に手掛ける吉林省の公主嶺軸承有限責任公司。公主嶺が発行する新株第三者割当増資をNSKが引き受け、出資後の資本構成を10%とする。NSKの出資は数億円規模。今回出資する公主嶺は、主にトラックなど商用車向けの軸受を生産する。現地の第一汽車グループをはじめ、東風汽車や中国重型汽車などへ幅広く供給し、11年には約40億円を売り上げた。(2012年4月17日付日刊自動車新聞より)
受賞
-インドRane Groupの合弁会社Rane NSK Steering SystemsがMaruti Suzukiより、2011-2012年度における｢Sincere Efforts and Superior Performance in the field of Focused Cost Down｣を受賞したと発表。(2012年7月発行プレスリリースより)>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位：百万円) |
| 2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
| 全社 | 10,432 | 10,373 | 10,515 |
| 自動車関連製品 | 6,681 | 6,455 | 6,497 |
研究開発体制
-日本の技術開発センターを核に、日本6、米州2、欧州3、アジア3、グローバル全体では14拠点のテクノロジーセンターで研究開発活動を展開。製品開発
耐フレッチング軸受-排出ガス再循環システム (EGR) や電動スロットルバルブのモーターで使用される「耐フレッチング軸受」を開発。ころがりころを使用し軸受の内部設計の最適化したことに加え、新開発のグリースを採用することでフレッチング摩耗を抑制した。低粘度のグリースを導入し、軌道面への流入を容易にし揺動や振動が連続する環境下でも油膜切れを防止、損傷度合いを半減した。(2012年12月28日付日刊自動車新聞より)
高効率シェルニードル軸受
-自動変速機 (AT) の高効率化に貢献する「高効率シェルニードル軸受」を開発。これまでAT内のオイルポンプ部やプラネタリギア部で使用されているすべり軸受や標準シェルニードルに代替するもので、それらに比べ摩耗損失が少なく、軽量化を実現、燃費改善に貢献するほか耐焼き付き性でも標準シェルと同等とした。同社では3年後の採用開始を視野に営業活動を開始、2017年に年間10億円の売上げを目指す。(2012年12月12日付日刊自動車新聞より)
高効率円すいころ軸受
-ATや手動変速機 (MT)、ディファレンシャルギア向けに摩擦損失を約30%低減した「高効率円すいころ軸受」を開発。軸受のころ部に特殊加工を施して摩擦損失を削減。ころの本数や長さなど形状を見直し、従来製品と比べて耐久性能を約50%高め、小型軽量化を実現した。従来製品と同様のサイズと小型サイズと2種類の円すいころ軸受を用意しており、搭載する部品の設計を変更することなく採用することもできる。16年には、第四世代の軸受で年間20億円以上の売り上げを目指す。(2012年11月30日付日刊自動車新聞より)
高耐久ニードル軸受
-ATやハイブリッド車 (HV) 用変速機、ベルトCVTのプラネタリー (遊星) 機構向けの高耐久ニードル軸受を開発。一層の長寿命化により変速機の小型・軽量化に貢献するとともに、生産では既存設備が活用できることで新興国など海外工場での現地生産を容易にした。同社では新製品の売上高を2015年に12億円と設定している。同社では、既存の標準熱処理炉を使った熱処理を最適化することで、軸受ころを従来品に比べ耐久性で50%、耐圧痕性を15%高めた。また、これによりニードル軸受けの幅で12%、重さで25%の小型・軽量化を可能にした。(2012年11月13日付日刊自動車新聞より)
クラッチプーリーユニット
-オルタネーター向けのクラッチプーリーユニットの新製品を開発。新製品はエンジンの回転数の変動を吸収するクラッチ機能を向上、寒冷地でのエンジン始動性を高めたほか、オルタネーター用ベルトのスリップ音を防止することで不快な振動や音を抑制、ベルトの長寿命化にも寄与する。同社では新製品でシェアアップを図り、2016年に24億円の売り上げを目指す。新製品では、マイナス40℃の環境下でも滑らない新開発のグリースを採用し低温でのクラッチの伝達力を確保する。また、プーリー内のローラーの発熱が最小となる傾斜 (くさび) 角を取り入れた。極寒地でのエンジン始動性を高めるとともに、発熱によるグリースの性能低下を抑制、クラッチ機能損失までの耐久性を従来品に比べ約3倍向上させた。(2012年11月13日付日刊自動車新聞より)
高速モーター用グリース潤滑玉軸受
-電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HV) の高速モーター用に従来比1.8倍の高速回転に対応する｢高速モーター用グリース潤滑玉軸受｣を開発､自動車メーカーなどへの提案活動を開始した｡グリースや保持器の改良により軸受の長寿命化を実現､小型モーターの高速回転に対応可能とすることで､EVやHVの走行距離の延長や､電費に貢献する｡同社では新製品を含めEV･HVの駆動系軸受で2017年に8億円超を目指す｡(2012年9月27日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備投資額 |
(単位：百万円) |
| 2013年3月期 | 2012年3月期 | 2011年3月期 | |
| 全社 | 48,025 | 54,619 | 41,294 |
| 自動車関連製品 | 31,936 | 29,892 | 21,099 |
-自動車事業では、引き続き各地域において需要拡大が見込まれたため、前年度を上回る設備投資を実施。
-自動車軸受においては、ハブユニット軸受、ニードル軸受、円すいころ軸受、玉軸受の増強投資を実施した。
- ハブユニット軸受は、英国、中国、タイへの工場
- 小形円すいころ軸受は、韓国の工場へ初めて投資を実施
- ニードル軸受は日本、中国、韓国の工場で増強投資を実施
新工場
<メキシコ>-メキシコ・グアナファト州に自動車軸受などの製造・販売を手掛ける完全子会社を設立。新会社では2014年春に操業を開始、16年には約70億円の売り上げを計画している。新会社はNSK Bearings Manufacturing Mexico S.A. de C.V.。資本金500万ドル (約4億4千万円) 。約10万平方メートルの敷地に第一期工事として約1.3万平方メートルの工場を建設する。総投資額は7千万ドル (約60億円)。(2013年1月9日付日刊自動車新聞より)
<中国>
-中国遼寧省瀋陽市で、ボールねじなどの精機製品の工場と、産業機械用大形ころ軸受工場の開所式を開催した。開所式を実施したのは、瀋陽市経済技術開発区にある精機生産子会社「瀋陽恩斯克精密機器有限公司」(瀋陽NSKプレシジョン)、大形軸受生産子会社「瀋陽恩斯克有限公司」(瀋陽NSK) の2社。瀋陽NSKプレシジョンは2010年2月、瀋陽NSKは12年1月に生産を始めた。(2012年5月30日付日刊自動車新聞より)
主な設備の新設計画 (自動車関連製品) |
(2013年3月31日現在) |
| 会社名/事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 金額 (百万円) |
着手 | 完了 | 目的 |
| 大津工場 (滋賀県大津市) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 1,451 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産基盤整備および合理化対策 |
| 石部工場 (滋賀県湖南市) |
自動車用軸受生産設備等 | 1,336 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産基盤整備および合理化対策 |
| 埼玉工場 (埼玉県羽生市) |
自動車用軸受生産設備等 | 1,802 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産基盤整備および合理化対策 |
| NSKステアリングシステムズ (株) (群馬県前橋市) |
ステアリング生産設備 | 3,189 | 2012年4月 | 2013年3月 | 生産基盤整備および増強・合理化対策 |
| NSKニードルベアリング (株) (群馬県高崎市) |
ニードル軸受生産設備 | 2,435 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強および合理化対策 |
| NSK Corporation (米国アイオワ州) |
自動車用軸受生産設備等 | 2,224 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産基盤整備および増強・合理化対策 |
| NSK Steering Systems America. Inc. (米国テネシー州) |
ステアリング生産設備 | 3,833 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| NSK Bearings Manufacturing Mexico S.A. de C.V. (メキシコ グアナファト州) |
自動車用軸受生産設備等 | 2,036 | 2013年4月 | 2014年3月 | 新工場建設および生産能力増強対策 |
| NSK Brazil Ltda. (ブラジル Suzano) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 637 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産基盤整備および合理化対策 |
|
NSK Bearings Europe Ltd. (英国 Durham) |
一般玉軸受、精密軸受、自動車用軸受生産設備等 | 3,331 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産基盤整備および合理化対策 |
| NSK Steering Systems Europe (Polska) Sp.Zo.o (ポーランド Walbrzych) |
ステアリング生産設備 | 1,710 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| NSK Bearings Manufacturing (Thailand) Co., Ltd. (タイ チョンブリ) |
自動車用軸受生産設備等 | 2,344 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強および合理化対策 |
| Siam NSK Steering Systems Co., Ltd. (タイ チャチョエンサオ) |
ステアリング生産設備 | 1,885 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| 昆山恩斯克有限公司 [Kunshan NSK Co., Ltd.] (中国昆山市) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 2,924 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強および合理化対策 |
| 常熱恩斯克軸承有限公司 [Changshu NSK Needle Bearing Co., Ltd.] (中国常熟市) |
ニードル軸受生産設備 | 2,374 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強および合理化対策 |
| 張家港恩斯克精密機械有限公司 [Zhangjiagang NSK Precision Machinery Co., Ltd.] (中国張家港市) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 1,751 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強および合理化対策 |
| 蘇州恩斯克軸承有限公司 [Suzhou NSK Bearings Co., Ltd.] (中国蘇州市) |
自動車用軸受生産設備等 | 1,034 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強および合理化対策 |
|
東莞恩斯克転向器有限公司 (中国東莞市) |
ステアリング生産設備 | 2,929 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| 杭州恩斯克万達電動転向系統有限公司 [NSK-Wanda Electric Power Assisted Steering Systems Co.,Ltd.] (中国杭州市) |
ステアリング生産設備 | 4,243 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| 合肥恩斯克有限公司 [Hefei NSK Co., Ltd.] (中国合肥市) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 4,043 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| 恩斯克八木精密鍛造 (張家港) 有限公司[NSK-Yagi Precision Forging (Zhangjiangang) Co., Ltd.] (中国張家港市) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 1,974 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
| NSK韓国 [NSK Korea Co., Ltd.] (韓国慶尚南道) |
一般玉軸受、自動車用軸受生産設備等 | 3,036 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産再編成および生産能力増強対策 |
| NSK-ABC Bearings Ltd. (インド タミル・ナードゥ州) |
自動車用軸受生産設備等 | 790 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
|
Rane NSK Steering Systems Ltd. (インド タミル・ナードゥ州) |
ステアリング生産設備 | 905 | 2012年4月 | 2014年3月 | 生産能力増強対策 |
