カヤバ工業 (KYB) (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 370,425 352,710 5.0 -自動車向け製品販売が増加、および為替の影響等で増収。
営業利益 13,591 18,170 (25.2) -人件費、光熱費および研究開発費が増加、加えてチェコとフランスの連結子会社における製品保証引当金等が増加した結果、減益。
経常利益 15,852 20,390 (22.3)
当期純利益 7,052 12,761 (44.7) -同社および子会社のKYBトロンデュール (株) が有する一部事業用資産等について減損処理を行い、減損損失として特別損失に計上した結果、減益。
AC (オートモーティブコンポーネンツ)
売上高 237,086 218,948 8.3 1)
営業利益 6,890 9,152 (24.7) -


要因
1) AC (オートモーティブコンポーネンツ)
四輪車用油圧緩衝器 (ショックアブソーバー、サスペンションシステム、ステイダンパー)
-欧州ではロシア経済悪化に伴い前年比大幅減収となったものの、国内販売が好調であったほか、米国の経済好調にも支えられ、売上高は1,591億円と前年比5.0%の増収。

四輪車用油圧機器 (パワーステアリング、CVT用ベーンポンプ)
-電動パワーステアリングの新規受注品やCVT用ベーンポンプの販売好調により、売上高は458億円と前年比24.9%の大幅な増収。

社名変更

-商号を現在の「カヤバ工業」から「KYB」に変更すると発表。2015年6月24日に開催する定時株主総会に定款の一部変更を付議し決定する。2015年10月1日から実施する。2005年に通称社名「KYB」を採用。新たなロゴマークとともにブランドの定着を図ってきた。今年創立80周年を迎えたことを機に、登記上の社名もKYBに統一し、ブランドイメージを一段と強固にする。 (2015年5月26日付日刊自動車新聞より)

CVT用オイルポンプの生産体制拡充

-無段変速機 (CVT) 用オイルポンプの組み立てを完全自動化する設備を岐阜県の子会社で稼働させた。既存のラインでは組み立て作業の一部を人が行っているが、これをロボットに置き換えて組み立て工程を完全に自動化した。同社はCVT用オイルポンプを油圧製品の戦略商品と位置付け、国内外で生産を増やしていく方針。CVT用オイルポンプの全自動設備を稼働させたのは、岐阜県下呂市にある子会社のKYB金山。同子会社では油圧パワーステアリング用のオイルポンプとCVT用オイルポンプを生産している。CVT用は自動変速機メーカーのジヤトコに全量を供給しており、月産23万個のフル稼働状態が続いている。同社はジヤトコ向けにCVT用オイルポンプの生産体制を拡充しており、9月にはメキシコでも生産を開始した。これにより既存の日本、タイ、中国を加えた4極での生産体制が整い、生産能力は年間516万個と2012年の1.5倍に拡大した。 (2014年10月28日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

<ブラジル>
-万都 (韓国) とKYB (日本) のブラジル合弁会社KYB-Mando do Brasil Fabricante de Autopecas S.A. (KMB) は、2013年12月に現代自動車の現地工場向けにショックアブソーバーの量産を開始。現在KMBはトヨタ、Renault、日産、PSA等にもサスペンション部品を納入している。また、2015年末にはGMへの供給を開始する予定。 (2014年1月28日付プレスリリースより)

受賞

-2015年3月期の主な受賞:

顧客 表彰名 受賞内容
スズキ ベストパートナー賞 コストダウンへの協力および製品開発への貢献
マツダ 品質賞 納入不良6カ月連続ゼロ達成
トヨタ自動車 感謝状 トヨタ 「Alphard」、「Vellfire」 向け四輪車用緩衝器原価低減目標の達成
PSA Best Supplier Plants 2014年度の取引先目標達成

新中期計画 (2015年3月期 - 2017年3月期)

基本方針
①AC (オートモーティブコンポーネンツ) 事業
-世界5極開発によるグローバルでの顧客獲得
-グローバル生産・販売体制の確立
-市販ビジネスの拡大

②HC (ハイドロリックコンポーネンツ) 事業
-建機用油圧製品のコスト競争力確保
-航空機器・鉄道機器・農業機械用油圧製品などの販売拡大

③技術・商品開発
-世界5極での設計・開発力強化
-先進工法・自動化技術開発および低価格化を目指したコア部品・設備・金型の内製化と海外拠点への展開

④電子技術の強化
-品質とコスト競争力を確保した電子機器製品の開発と新規受注

⑤人財育成
-グローバル成長戦略を支える人財の育成と確保
-グローバル経営を支える人事フレームワークの構築

⑥モノづくり
-リードタイム半減活動の展開拡大によるグループ生産性の向上および国際物流費の低減

⑦マネジメント
-グローバル統括体制の整備

-中長期計画の業績目標

  2017年3月期 2021年3月期
売上高 4,300億円 6,000億円
営業利益 300億円 480億円
営業利益率 7.0% 8.0%

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予想)
2015年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 377,000 370,425 1.8
営業利益 13,700 13,591 0.8
経常利益 14,400 15,852 (9.2)
当期純利益 9,200 7,052 30.5


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 8,910 6,916 5,468
-AC (オートモーティブコンポーネンツ) 5,943 4,493 3,398

研究開発体制

名称 所在地 研究内容
KYB開発実験センター 岐阜県
加茂郡
-自動車・二輪車用サスペンションやステアリング機器の開発・実験。
-テストコース
基盤技術研究所 神奈川県
相模原市
-油圧機器、自動車機器などに関する基礎研究と新製品・新技術の開発。
電子技術センター 神奈川県
相模原市
-電子機器の設計や評価、製造技術の集約。
生産技術研究所 岐阜県
可児市
-性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発。
工機センター 岐阜県
可児市
-生産技術研究所および各工場で培われた生産設備設計のノウハウの集約。
-設備の内製化の強化および推進。
KYB Technical Center (Thaialnd) Co., Ltd. タイ -
KYB Europe Headquarters GmbH (Spain Branch) スペイン -ショックアブソーバーの開発
KYB (China) Investment Co., Ltd. 中国 -ショックアブソーバーの開発
KYB Americas Corporation アメリカ -ショックアブソーバーの開発


KYB開発実験センターの拡充
-国内の自動車機器製品の開発を開発実験センター (岐阜県川辺町) に集約する。同センター敷地内に新棟を建設し、岐阜県内の工場に分散している二輪・四輪製品の実験部門を集結させる。主要取引先の自動車メーカーの海外展開の拡大に伴い、開発業務は国内外で増加している。新製品や先行技術開発の中核である日本の開発を同センターに集めることにより、製品開発のスピードアップを求めるメーカーのニーズに対応し受注を拡大する。 (2014年9月18日付日刊自動車新聞より)

-2011年に開所したテストコース敷地内に、台上実験設備を集約した開発実験センターを設立し、四輪車・二輪車用の単体およびシステム製品、ならびに電子機器製品を台上評価から実車評価まで一貫して評価できる体制を確立した。なお、電子機器製品の電磁ノイズ影響を評価できる設備として電波暗室を備えた電子実験棟を建設し、部品レベルから実車までの評価が可能となった。

  • テストコース:2011年7月稼働
  • システム実験棟:2015年3月稼働
  • 電子実験棟:2014年4月稼働

製品開発

AC (オートモーティブコンポーネンツ)
四輪車用ショックアブソーバー
-電子制御を用いず、コンベンショナルなショックアブソーバーにメカニカルな機構を追加することで周波数特性の調整を可能とする「ハーモフレック」に、さらに改良を加えてコンパクト化した製品を開発。トヨタ「Harrier」を始めとした高級車への採用が拡大中。

四輪車用パワーステアリング
-電動モーターと電子制御ユニットを一体化してコンパクト化を図った機電一体型の電動パワーステアリングが、スバル「Legacy」に搭載された。

設備投資額

(単位:百万円)
2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 29,785 29,908 39,215
-AC (オートモーティブコンポーネンツ) 19,152 18,391 18,086

設備の新設計画

2016年3月期の投資予定額:22,000百万円
AC (オートモーティブコンポーネンツ):13,300百万円

国内投資

-ショックアブソーバー (SA) を生産する岐阜北工場に、多品種少量を効率良く生産するコンパクトラインを導入する。既存の大量生産型のラインで生産している品目のうち、少量生産品を順次、コンパクトラインに移管していく。同工場の生産量は今後も減少しないものの、海外向けの市販品の生産が増えることや、国内向けでも多品種少量化が進むことで生産効率の悪化が見込まれる。コンパクトライン化と同時に、既存ラインは注文形態別に割り振る方式に組み替え、2020年の完了を目指して柔軟で、効率の高い工場に再編する。 (2014年10月17日付日刊自動車新聞より)

海外投資

1. メキシコの新生産拠点でのCVT用ベーンポンプの量産開始 (2014年12月)

2. メキシコに四輪車用油圧緩衝器生産のための新工場建設中 (2014年12月着工)
 -CVT用ポンプ工場の敷地内に建設。
 -量産:2016年5月予定
 -生産本数:2016年) 約80万本/年 (OEM 約33万本、市販 約47万本)
                   2017年) 約278万本/年 (OEM 約170万本、市販 約108万本)
 
3. チェコで四輪車用油圧緩衝器の生産体制拡充のための工場拡張 (2015年3月完成)

4. インド国内で調達・営業活動を行うため、チェンナイ支店を設立 (2015年1月営業開始)