カヤバ工業 (KYB) (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 337,158 320,082 5.3 -
営業利益 21,537 24,151 (10.8) -
経常利益 22,755 23,972 (5.1) -
純利益 13,897 17,014 (18.3) -
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
売上高 186,664 186,795 (0.1) 1)
営業利益 6,154 10,181 (39.6) -

要因
1) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
四輪車用油圧緩衝器
-四輪車用油圧緩衝器は、東日本大震災やタイの洪水影響から挽回したものの、欧州信用不安に伴う欧州拠点での売上減少により、売上高は1,179億円と前年度に比べ1.0%の減収となった。

四輪車用油圧機器
-パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、CVT (無段変速機)用ポンプの販売が好調な一方、EPS (電動パワーステアリング)化に伴う油圧ポンプの需要減や欧州信用不安により販売が大きく落ち込み、売上高は359億円と前年度に比べ6.9%の減収となった。

海外事業

<欧州>
-欧州のグループ会社を統括する持株子会社を設立すると発表した。欧州グループ会社の株式保有と地域の事業活動の支援、管理が目的。同時に既存の欧州子会社6社を孫会社へ異動する。持株会社は「KYBヨーロッパ・ヘッドクォーターB.V.(KEHオランダ)」で、オランダ・リンブルフ州に4月設立する予定。資本金は100万ユーロ(約1億円)で、全額をKYBが出資する。また、孫会社となるのは、スペインで1975年に設立した「KYBサスペンションズ・ヨーロッパ(KYBSE)」や、チェコに2003年に設立した「KYBマニファクチャリング・チェコ(KMCZ)」のほかスペインの2社とドイツの2社。(2012年2月9日付日刊自動車新聞より)

<米国>
-米国で自動車用ショックアブソーバーの製造・販売を手がける完全子会社「KYBマニュファクチャリング・ノースアメリカ(KMNA)」が、その完全子会社でショックアブソーバーや油圧機器を販売する「KYBアメリカLLC(KAC)」を吸収合併すると発表した。両社の合併により拠点を集約することで、製・販一体で経営の効率化を図り事業シナジーを高めることが目的。合併期日は10月1日、登記は10月3日を予定している。米国インディアナ州の2社を合併、KMNAを存続会社とし合併に合わせ称号を「KYBアメリカズコーポレーション」に変更する。事業内容をショックアブソーバーの製造・販売と油圧機器の販売とし、同拠点から北米、中米への事業展開を進め、米州市場でのさらなる発展を目指す。(2011年9月26日付日刊自動車新聞より)

<ブラジル>
-韓国の自動車部品メーカーであるマンド社とブラジルで合弁事業を開始すると発表した。自動車用ショックアブソーバー事業で相乗効果を図ることによりブラジル事業を強化するのが狙い。KYBブラジル子会社の株式の半数をマンド社に譲渡、合弁化して5月31日から事業開始する予定。KYBの全額出資子会社であるKYB・ド・ブラジル・ファブリカンテ・デ・アウトペサス(KBFA)の発行済み株式の50%をマンド社に譲渡して合弁会社であるKYB-マンド・ド・ブラジル・ファブリカンテ・デ・アウトペサス(バラナ州)を設立する。資本金は2440万レアル(約12億8千万円)。両社は互いに自動車用ショックアブソーバーの事業を展開している。両社は今後成長が見込まれるブラジル市場において、互いに持つ経営資源やノウハウを相互に活用し事業シナジーを共有することが事業拡大に有益であると判断し、合弁事業に乗り出すことにした。(2011年4月25日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2013年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。13年度に売上高4千億円、営業利益率8%以上を目指し、3年間で累計777億円の設備投資を行う。国内外で建設機械向け油圧部品を増産するほか、車載向けでは海外売上高比率を現状比8ポイント増の50%に引き上げる。市販用ショックアブソーバーの販売は倍増させる。(2011年6月15日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 4,035 3,218 2,816
AC (オートモーティブコンポーネンツ)事業 2,401 1,733 -

研究開発体制

名称 所在地 研究内容
KYB開発実験センター 岐阜県
加茂郡
自動車・二輪車用サスペンションやステアリング機器の開発・実験
基盤技術研究所 神奈川県
相模原市
油圧機器、自動車機器などに関する基礎研究と新製品・新技術の開発
生産技術研究所 岐阜県
可児市
性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発

KYB開発実験センター
-2011年7月、同社が岐阜県で建設中だった自動車・二輪車用サスペンションやステアリング機器開発・実験の専用テストコース「KYB開発実験センター」の建設が完了、14日に開所すると発表した。様々な走行路面を再現した専用テストコースを活用し、サスペンション機器やステアリング機器、電子機器などの性能、信頼性向上や製品開発力の強化を図るとしている。テストコースは、岐阜県加茂郡川辺町鹿塩内の59万5000平方メートルの敷地に、起伏に富んだ全周1キロメートルの「山岳路」、最大半径105メートルを持つ「旋回路」、多彩な路面を有する「直線路」を中心に、異音を評価する専用路面など様々な車両挙動を再現できるコースと整備棟1棟で構成する。同実験センターは2008年8月に着工、当初は10年4月の完成をめざしていたが、その後の世界不況の影響を受け一時は建設を中断していた。建設投資額は約27億円。(2011年7月9日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

AC (オートモーティブコンポーネンツ)事業
四輪車用ステアリング機器
-Chrysler向け、4KS2パワーステアリング用ポンプを受注開発し、「Jeep Wrangler」への納入を開始。同製品は世界展開されている標準生産ラインで製造でき、柔軟なアプリケーション設計が可能な4Kアルミシリーズのアルミポンプ。

電動パワーステアリング (EPS)
-三菱自動車の北米向けEV「i-MiEV」用のEPSを開発し、納入を開始した。同製品は、欧州向け「i-MiEV」用EPSをベースに車両の拡幅に合わせタイロッドを長くして対応した。

自動車関連の技術供与契約

(2012年3月31日現在)
契約先
(国名)
契約対象 契約内容 契約期間
Kayaba-UMW Malaysia Sdn. Bnd.
(マレーシア)
-自動車用ショックアブソーバー
-二輪車用フロントフォーク
-オイルクッションユニット
1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報およびノウハウの提供
1993年10月13日-
2012年10月12日
P. T. Kayaba Indonesia
(インドネシア)
-自動車用ショックアブソーバー
-二輪車用フロントフォーク
-オイルクッションユニット
1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報およびノウハウの提供
2010年2月1日-
2014年1月31日
KYB (Thailand) Co., Ltd.
(タイ)
-自動車用ショックアブソーバー
-二輪車用フロントフォーク
-オイルクッションユニット
1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報およびノウハウの提供
2012年2月1日-
2013年1月31日
KYB Americas Corporation
(米国)
-自動車用ショックアブソーバー 1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報およびノウハウの提供
2011年10月1日-
2012年9月30日
KYB Steering Spain, S.A.
(スペイン)
-自動車用油圧機器 1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報およびノウハウの提供
2011年1月1日-
2015年12月31日
KYB Suspensions Europe, S.A.
(スペイン)
-自動車用ショックアブソーバー 1.工業所有権の許与
2.製造・販売権の許与
3.技術的知識、情報およびノウハウの提供
2011年10月1日-
2012年9月30日

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 27,172 8,915 10,081
AC (オートモーティブコンポーネンツ)事業 9,378 3,988 -

国内投資

-グループ会社のKYB金山(岐阜県下呂市)がパワーステアリング事業拡大に向け、工場を拡張すると発表した。第1期工事では30億円を投じて既存工場の建替えを行い、2013年6月に操業を開始する。その後、新製品の受注が確定した時点で第2期工事に入る予定。なお、KYB金山は自動車用パワーステアリングおよびCVT用ベーンポンプの生産を行っている。(2012年2月15日付プレスリリースより)

設備の新設
-設備の新設・改修等にかかる投資計画額は365億円。内訳はAC (オートモーティブコンポーネンツ)事業で134億円、HC (ハイドロリックコンポーネンツ)事業で157億円。