カルソニックカンセイ (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 965,564 918,688 5.1 -為替影響、拡販などで台数減のインパクトを吸収
営業利益 31,598 28,826 9.6 -日本、米州、アジアでバランス良く収益が出る構造
経常利益 28,283 29,543 (4.3) -
当期純利益 20,106 25,016 (19.6) -


-2015年3月期は売上高、営業利益とも2期連続で過去最高を更新。円安による為替の影響、米州での販売好調などが寄与した。

受注

-同社とEberspaecherは、Renault-Nissan Allianceよりサプライヤーグループに選出された。両社は 「Alliance Growth Partner (AGP)」 とよばれ、今後3年間、同アライアンスにマフラーを供給する主要サプライヤーとなる。(2014年4月発行プレスリリースより)

-日産圏外向けの売上高を2016年度に2011年度比で30%増加することを目指す。2011~2014年度の4年間累計で1,100億円超の日産外受注を獲得。

国内生産回帰

-同社は海外に生産を移管した製品の国内回帰を図る。現行生産車の部品を対象に、1ドル=100円でメリットがあり、新規設備投資が不要 な製品を選び、1年後を目標に国内生産に切り替える。同社はリーマンショック後の超円高時、国内向け製品のうち、メーターなどの生産を中国拠点に移管し た。現在の為替相場は1ドル=117円台前半と、超円高だった2011~12年に比べ4割以上の円安になっている。相対的に国内生産の競争力が高まっていることから、国内の余剰能力を活用し、早期に円安メリットを引き出す。(2015年2月5日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2011年6月、2016年度までの中期経営計画「CK GX4 T10」を策定。「4つのG」 をキーとした成長戦略の実行により、3つの 「T10の実現」 を目指す。

  • 4つの「G」: Green・Growth・Global・Great Company
  • 3つの「T10の実現」:

1) 世界をリードする環境対応新製品を10製品創出する →2014年度までに7製品を実用化、市場投入
  >>>詳細は「製品開発」を参照
2) 売上高 Globalトップ10 を実現する →2016年度に売上高1兆円以上
3) 営業利益のレベルでも Globalトップ10 を実現する →2016年度に営業利益率7%レベル

2016年3月期の見通し

(単位:億円)
  2016年3月期
(見通し)
2015年3月期
(実績)
増減率
(%)
売上高 10,000 9,656 3.6
営業利益 350 316 10.8
経常利益 330 283 16.6
当期純利益 220 201 9.5

地域別売上高の見通し

(単位:億円)
  2016年3月期
(見通し)
2015年3月期
(実績)
増減率
(%)
日本 3,400 3,520 (3.4)
米州 3,950 3,602 9.7
欧州 1,200 1,231 (2.5)
アジア 2,150 1,955 10.0

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
日本 21,960 22,210 21,270
米州 2,900 2,360 1,490
欧州 1,230 1,220 850
アジア 1,610 1,260 160
合計 27,720 27,050 23,780


-2016年3月期の研究開発費は前期比4.7%増の29,000百万円を計画。

研究開発体制

拠点名 所在地
研究開発センター・本社 埼玉県さいたま市
実験研究センター 栃木県佐野市
生産技術センター 埼玉県比企郡
Calsonic Kansei North America Technical Center 米国ミシガン州
Calsonic Kansei Europe Technology Center 英国カマーゼン州
康奈可 (上海) 汽車技術研発有限公司
[Calsonic Kansei (Shanghai) Automotive Technology R&D Co., Limited]
中国上海市
康奈可 (上海) 汽車技術研発有限公司 広州分公司
[Calsonic Kansei (Shanghai) Automotive Technology R&D Co., Limited,
Guangzhou Branch]
中国広東省広州市


-日本の研究開発センター・本社、実験研究センター、生産技術センターのコラボレーションを推進し、これを核にグローバル展開を図っている。

-インターネットを介して大容量データを共有するグローバルPDM (Product Data Management) システムを構築。2014年度末までに北米、欧州、中国拠点への接続を完了。残りの拠点との接続を2015年度に実施予定。

<日本>
-グローバルな製品要求に対する開発活動を行うセンターとして「先行・基本・アプリケーション開発」を担う。将来の開発技術の創出を行う先行・基本開発へのリソースを強化しており、競争力向上を図っていく方針。
-製品競争力の要素である価格面での優位性を高めるため、標準化促進による開発効率向上や原価低減活動を促進しており、その一環としてLCC (Low Cost Country) 開発能力の活用、具体的にはインド開発ODCセンター (CECI-L&T) や、シーケーエンジニアリング上海への開発移管を進めている。

<米州>
-日本において基本開発および車両製品開発アプリケーション仕様が決定した後、米州における開発体制を活用し、現地顧客との調整を行った上で開発完了とする。メキシコ向け製品の開発についても米州にて管理・運営を行っている。

<欧州>
-米州と同様の機能を有している。Renaultとの連携においては極めて重要な開発活動の一端を担う。

<アジア>
-中国市場の拡大とともに開発の重要性が増加。同社エンジニアリングセンターの開発体制を大幅に拡大させている。中国向け製品開発の役割を日本と分担し、効率良い協業体制を取ることを目指している。
-2012年度にインド・チェンナイに設立したグローバル・エンジニアリング・センターのCalsonic Kansei Engineering Center India-L&T (CECI-L&T) での開発業務を一層拡大。

研究開発活動

製品競争力向上
-環境技術ニーズに対応した熱交換器等、環境対応コンポーネント/システムの開発
-燃費向上、浄化性能向上に貢献する排気システム、構成部品の開発
-モジュールの高度化と構成部品の高性能化、軽量化開発
-安全を促進するメーターや情報提供システムの開発
-快適な運転環境を提供する空調システムの開発
-新興市場向け低価格車両用のシステム、製品開発

戦略製品開発
-次世代環境対応車両に向けた熱・電力エネルギーマネジメントシステム、製品開発

-HMI (ヒューマン・マシン・インターフェース)、コックピットモジュールおよび車両のデザイン・性能に影響を及ぼすフロントエンドモジュールに関わるシステム・製品開発

製品開発

-中期経営計画 「CK GX4 T10」 (2012~2016年度) に環境対応新製品を10製品創出。2014年度までに7製品を実用化、市場投入。

長寿命・低騒音・超小型ブラシレスモーターシリーズ
-2013年度に電動車両向けバッテリー冷却ファン用のブラシレスモーター (出力50Wタイプ) を開発。日産 「Skyline HEV」 (2013年11月発売) に採用され、2015年度、2016年度発売予定の日産HEV向けも受注。

-2014年度にHVACブロアファン用ブラシレスモーターシリーズ (出力200Wタイプ) を製品化。GMの世界戦略車HVAC用として、中国向け車両を皮切りに採用 (2014年10月発表)。GM以外の米系メーカーから受注 (2016年度発売予定車種)。

New-CRコンプレッサーシリーズ
-2014年11月、小型・軽量・省電力化を図った新型コンプレッサー「ニューCRシリーズ」の生産を始めたと発表。クラストップの軽量、省電力によ り、実用燃費の向上に寄与する。2018年には、国内外で年間300万個を生産する。圧縮ガスの吐出損失を減らすことにより、コンプレッサーの駆動動力を低減し、エンジンの負荷を9%軽くした。小型化、部品点数の削減を図り、同一性能比で10~20%の軽量化を実現。(2014年11月26日付日刊自動車新聞より)

-小型・軽量でコストパフォーマンスに優れたロータリー式コンプレッサーを独自技術で進化させ、製品化を実現。
-日本、中国、マレーシア、タイ、インドで生産開始。小型自動車、軽自動車向けを中心に、今後グローバルでの生産はおよそ500万台に拡大する見込み。

小型軽量ビルトインオイルクーラー/ウォーマー
-車両前部の搭載レイアウト性向上を狙い、従来同等性能で高さを35mm低くしたビルトインオイルクーラー (LP-BOC: Low Profile BOC) を開発。
-2016年度にグローバルで600万台の生産を計画。

ディーゼルエンジン用EGRクーラー
-ディーゼル車用の新型EGR(排出ガス再循環)クーラーを開発する。ガソリン車用で製品化した独自構造を用い、高効率で小型のタイプを開発する。EGRクーラーはディーゼル車では排出ガス中の窒素酸化物 (NOX) の低減のために使われている。ディーゼル車は経済性の高さから、乗用車でも設定が増えており、競争力の高い製品を投入して販売量の拡大につなげる。同社はグループの東京ラヂエーター製造との共同開発により、ガソリン車用EGRクーラーを開発し、製品化している。同装置は排出ガスを冷やしてエンジン内に戻す装置で、ガソリン車に搭載すると燃費性能の向上につながる。年間60万台分を生産・販売しており、今後は受注の拡大によって同200万台へと生産規模が拡大するとしている。(2015年6月17日付日刊自動車新聞より)

-ガス流れ (乱流促進) による熱交換効率を向上させ、ディーゼルのすすの堆積 (性能低下) を抑制。
-ガソリン車向けは年間60万台規模で量産中、既受注事業で200万台まで拡大。ガソリン車用とディーゼル車用をシリーズ化し、競争力向上を可能にする生産プロセス確立に取り組んでいる。

高密度薄型コックピットモジュール (CPM-Next)

-ヘッドアップディスプレイ (HUD)、次世代小型空調ユニットなど、同社の最新技術を集結したコンセプトモデルを発表。

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
日本 9,000 7,000 8,700
米州 6,900 10,400 6,900
欧州 2,500 3,600 1,500
アジア 5,900 9,100 7,800
調整値 - (1,000) (100)
合計 24,300 29,100 24,800


-主要受注先のモデルチェンジに対応した生産設備の投資を行なったほか、実験設備の増強投資などを実施。

<インド>
-2014年10月、インドでカーエアコン用コンプレッサーの生産を開始したと発表。これまでインドの顧客には主にタイから完成品を供給していたが、需要の増加に合わせて現地で生産する体制を整えた。新工場は同社が51%を出資するCalsonic Kansei Motherson Auto Products LimitedのBawal工場 (Haryana州) 内に設置した。(2014年10月4日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(単位:百万円)
  2016年3月期
日本 9,400
米州 5,500
欧州 1,700
アジア 7,400
合計 24,000


-2016年3月期の設備投資額は前期比1.2%減の24,000百万円を計画。