(株) デンソー 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2014年
3月期
2013年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 4,095,925 3,580,923 14.4 -
営業利益 377,696 262,376 44.0 -
経常利益 419,571 296,017 41.7 -
当期純利益 287,388 181,682 58.2 -
日本
売上高 1,896,447 1,808,850 4.8 -車両生産台数の増加、円安効果
営業利益 283,340 170,676 66.0 -操業度差益、円安効果、経費の合理化が奏功
北米
売上高 799,423 624,974 27.9 -車両生産台数の増加、円安効果
営業利益 14,657 13,429 9.1 -操業度差益
欧州
売上高 470,515 348,769 34.9 -円安効果に加え、景気の復調が奏功
営業利益 12,361 3,910 216.1 -操業度差益
豪亜
売上高 855,448 734,525 16.5 -主に中国での車両生産台数の増加、円安効果
営業利益 71,231 73,696 (3.3) -労務費、将来の競争力強化に資する工場・テクニカルセンターの立ち上げ費用増加が影響

要因
得意先別では;
-トヨタグループ向けは国内車両生産台数が前年を若干下回ったため、拡販はあったが市場シェアは低下。
-トヨタ以外では、以下の要因によりいずれも売上が増加:
  • ホンダ:主に中国での車両生産の増加が寄与
  • スズキ:リチウム電池パックの拡販
  • マツダ:SKYACTIV用の直噴およびディーゼル製品などの拡販
  • 日産:直噴製品やIVI (インヴィークルインフォテインメント) システムの拡販
  • GM:コモンレールの拡販
  • 現代・起亜:メーターの拡販
  • フォード:カーエアコンの拡販
製品別では;
-ガソリン直噴製品やリチウムイオン電池パック等の拡販により、主に日本・北米地域で売上げが増加。
-カーエアコンの拡販により、主に北米・欧州地域で売上げが増加。

事業計画

-2012年4月に2015年中期計画を策定。「先進的な技術開発」、「モノづくりの革新」、「市販・新事業の育成」を目指し、取り組んでいる。
-売上高や利益については2014年3月期に前倒しで達成。2014年度中に18年中期計画を立案する予定。

-主な取り組みとして、(1) 成長を支える技術の開発 (省燃費・予防安全)、(2) コスト競争力強化、 (3) グローバル生産体制の拡充、 (4) 新事業を挙げている。

<成長を支える技術の開発>
パワートレイン製品技術
-パワートレーン部品の改良に取り組み、2020年までにガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の燃費を10%改善する。2013年時点で最高性能を確保する部品、技術に対して10%の燃費改善を目指す。吸気から燃料供給、点火、排気までトータルに燃焼改善を図ることで、目標達成に結びつける。

-ハイブリッド車や電気自動車向けに研究しているSiC製インバーターの基礎開発を2015年度までに完了し、2016年度から量産化に向けた開発作業に移行する方針。

予防安全分野
-2022年度までに衝突回避支援システムなどを手がける情報安全機器事業の売上高を2012年度比4割増の8千億円規模に拡大する。2015年度までのグローバル中期方針でレーダーやカメラ、ヘッドアップディスプレー (HUD) などを拡販品目と位置づけ、受注拡大を図る。また、今後10年間の開発目標を「市街地での自動運転」に設定する。足元の営業と将来の技術開発の両面で活動を積極化し、情報安全ビジネスを将来の柱に育成する。(2013年8月5日付日刊自動車新聞より)

<グローバル生産体制の拡充>
中国でカーエアコン用コンプレッサーを生産
-同社と豊田自動織機は、 山東省煙台にカーエアコン用コンプレッサーを生産する合弁会社「煙台首鋼豊田工業空調圧縮機 [Yantai Shougang TD Automotive Compressor Co., Ltd.]」を設立し、2013年12月に営業を開始したと発表。同合弁会社の総投資額は36.8億円。出資比率は豊田自動織機が50.1%、首鋼集団が 29.9%、電装中国が20%。2014年現在、約750名の従業員を擁しており、2015年には年産能力を200万台とする計画。

インドネシア合弁会社、自社工場の建設に伴い、Denso Indonesia工場からの生産移管
-同社と豊田自動織機、Astra Otoparts、 豊田通商のインドネシア合弁会社であるTD Automotive Compressor Indonesia (TACI) は、自社工場の建設を開始。敷地面積は10ヘクタールで、2014年10月に生産を開始する。TACIは、2011年よりDenso Indonesiaの工場でコンプレッサーを生産しており、2018年までに徐々に新工場へ移転する計画。現在のコンプレッサーの年産能力は約175万ユニットで、2015年には350万ユニットを目標としている。TACIは新工場に65億円 (約7470億ルピア) を投資し、従業員約500名を新たに雇用する計画。今後、TACIのコンプレッサー事業が順調に拡大すれば、インドネシア国内やASEAN市場だけでな く、欧州・米州市場にも供給を拡大するとみられる。(2013年12月4日付プレスリリースより)

インドにおけるメーター事業の拡大
-インドでのメーター事業の拡大に向けて、現地部品メーカーのPricol Limitedとともに新合弁会社「Pricol Components Limited」を設立。従来はPricol本体に技術援助を行うとともに同社株12.5%を取得する形でビジネスを展開してきたが、デンソーが主体的にメーター事業を行うために出資形態を見直した。デンソーがPricol Componentsに約10億円で51%を出資。今後はインド国内での受注拡大に取り組み、2015年度までに新会社の売上高を13年度見通しに対して 約2倍の27億円に拡大する計画。

標準化カーエアコン、北米で生産
-セグメントや系列をまたいで搭載できるように標準化したカーエアコン用HVACの海外生産に乗り出す。世界展開の第1弾として、2015年度にも北米で生産を始める。同製品はトヨタ自動車の新型「Harrier」、「Noah/Voxy」向けに供給を始めたばかりだが、他系列からの受注も複数決まりつつある。このため、マザー拠点となる西尾製作所 (愛知県西尾市) に蓄積した生産ノウハウを北米に移植し、トヨタと他の自動車メーカー向けに効率的な供給体制を構築する。海外でも新製品の生産を本格化し、標準化品の量産効果を引き出す。

ハイブリッド車向け基幹部品、米国で生産
-ハイブリッド車 (HV) 向けの基幹部品ビジネスを拡充する。現在、ハイブリッドシステムの主要構成部品となるインバーターの納入先はトヨタ自動車、日野自動車、マツダの3社だが、中期的に他の自動車メーカーにも初供給することが決まった。受注拡大に合わせて生産基盤を拡充、初の海外生産にも乗り出す。2014年度をめどに米テネシー州の工場に同製品の組立ラインを設置する。開発から生産まで一貫してHV部品事業の強化を図り、同分野の競争力を高める。(2013年12月16日付日刊自動車新聞より)

新型コモンレールシステム (燃料噴射気圧 2,500気圧)、ハンガリー、タイで生産
-2015年に燃料噴射気圧を2,500気圧まで高めた新型コモンレールシステムの海外生産を始める。排出ガス浄化性能と燃費性能を大幅に向上した新世代製品で、現在は西尾製作所 (愛知県西尾市) と善明製作所 (同) で順次、立ち上げている。2015年から2016年にかけてハンガリー工場、タイ工場でも生産を開始する。ディーゼルエンジン車のニーズが高い地域での現地化や、安定供給に向けた生産分散を実現する。世界3極で生産体制を確立することで供給面でも競争力を向上、世界第1位のシェアを確保する独Robert Boschを追撃する。 (2013年9月19日付日刊自動車新聞より)

排気センサーと点火プラグ、供給体制拡大
-排気センサーと点火プラグの供給体制を世界規模で拡大する。両製品に使用するセラミックス部品は大安製作所 (三重県いなべ市) で集中生産し、15年度までに原料プラント、焼成炉を複数増設する。こうした戦略により、センサーの世界販売を15年度までに12年度比35%増の約7千万本、プラグは同17%増の約2億9千万本に引き上げる見通し。排気センサーおよび点火プラグの立ち上げ時期、拠点は以下の通り:
  • 排気センサー:2015年度までに中国、ベトナムに新工場を設置する
  • 点火プラグ:2014年に稼働するインドネシア新工場にニッケルプラグの新ラインを設置する

受注

-2014年3月期の主な受注:
部品名 メーカー モデル/エンジン
インバーター マツダ Axela
日産 Pathfinder (USA)
エンジン制御ECU マツダ Axela
衝突回避支援システム用レーザーレーダー ダイハツ Mira e:S
TanTo
ドライバーステータスモニター 日野 Profia
S'ELEGA
標準化HVAC トヨタ Harrier
Noah/Voxy
エンジン制御システム Volvo 新型エンジン 「DRIVE-E」

-この他にも、子会社のアンデンが、電動車両向け車両接近通報装置の供給規模を急速に拡大している。トヨタ自動車、ホンダのハイブリッド車 (HV) 向けに独占供給しており、現在の生産規模は年120万個程度。GMも取引先に加えており、2014年夏にはスバルが北米市場に投入する電動車両向けにも供給を開始する。今後は納入先各社の商品構成の拡充により、中期的に生産、販売規模が年240万個以上に達する見通し。

2015年3月期の見通し

(単位:億円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減 (%)
売上高 41,400 40,959 1.1
営業利益 3,500 3,777 (7.3)
経常利益 3,780 4,196 (9.9)
当期純利益 2,480 2,874 (13.7)

-2015年3月期の売上高は、2桁増の成長を見せる欧州、豪亜を含む全ての海外地域で増収を見込むが、日本が減収するため全体では2014年3月比で1.1%の微増にとどまると予測。

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
日本 315,064 294,357 263,813
北米 18,804 13,577 12,482
欧州 11,621 7,855 7,934
豪亜 21,703 19,009 12,918
その他 1,540 662 1,215
合計 368,732 335,460 298,362

-2014年3月期では、研究開発費において海外セグメントが占める比率は約15%。今後は開発体制の整備により同比率を増加していく方針。

-2015年3月期の研究開発費は、2014年3月期 (実績) と比較して5.8%増加の3,900億円と計画。

研究開発体制

-地域ごとのニーズを迅速に吸い上げ製品開発に反映するために、米国、欧州、豪亜に加え、中国、インド、ブラジルのテクニカルセンターを強化し、日本を含めた世界7地域の連携を密にした開発体制を整備。
地域 コアテクニカルセンター サテライト拠点
日本 愛知県日進市 日本国内グループ会社、韓国
北米 米国ミシガン州 米国テネシー州、カリフォルニア州
欧州 ドイツ アーヘン イギリス、イタリア、チェコ、スウェーデン
豪亜 タイ バンコク ベトナム、フィリピン、オーストラリア他
中国 中国上海 中国華北、西安、華南、台湾
インド インド デリー -
南米 ブラジル サンタバーバラ -

<韓国>
-2013年10月、韓国・京畿道の義王 (Uiwang) 市に建設していたR&Dセンターが完成したと発表。5,600万米ドルを投資し、20,586平方メートルの敷地に延床面積7,397平方メートルの開発拠点を建設したもの。同社はこの新拠点を活用することで、現代・起亜自動車向けのビジネス強化を図る考え。(2013年10月1日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-2013年9月、ドイツに設置している研究、開発拠点を2015年までに拡充すると発表。27億円を投じて、Denso Automotive Deutschland GmbHがヴェグバーグ市とエヒング市に設置する拠点にそれぞれ新棟を建設。評価設備や人員の拡充を図り、安全、環境分野の技術開発を強化する。人員は15年までに両拠点で85人増やし、約500人の体制を構築する。今回の拡充は両拠点で安全、環境分野の開発強化に向けて実施し、欧州発の先行技術の実用化にも取り組むとしている。両拠点の主な担当領域は以下の通り:
  • ヴェグバーグ市に設置するアーヘン・エンジニアリング・センター:パワートレーン、エレクトロニクス、ハイブリッド技術など
  • エヒング市のミュンヘン・エンジニアリング・センター:熱機器、小型モーターなどの設計、評価
<日本>
-2014年7月をめどに東京都内に車載半導体回路の設計、開発拠点を設置すると発表。デンソーが関東圏に設計、開発拠点を設置するのは初めて。技術者を獲得したり、大学や研究機関などとの連携を取りやすい東京都内に開発環境を整えることで、競争力を高める。愛知県内で同分野の開発業務を手がける本社、幸田製作所、基礎研究所に続く拠点として活用する。新拠点の従業員数は15年7月をめどに約30人とし、20年までに約100人に拡大する。

技術提携

他社への出資および技術提携
-2013年末をめどにドイツで画像認識技術の開発を手掛けるADASENS Automotive GmbH (ADASENS) に出資すると発表。出資比率は50%を見込んでいる。ADASENSはスペインの部品メーカー、Ficosa Internationalのグループ会社でカメラを使用した障害物検知のノウハウを蓄積している。同社はADASENSと協業することにより、ドライバーの負担軽減や衝突回避を支援する先進安全技術の開発強化に役立てる。

-経営再建中のシャープと新たな協業関係を構築することで合意。同社の持つ車載機器技術とシャープの家電技術を融合し、クルマの快適性、安全性、利便性の向上につながるシステムを開発する。これに合わせ、経営再建を目指すシャープからの出資要請にも応じる。株式の取得額は25億円を予定している。(2013年9月19日付日刊自動車新聞より)

ビッグデータに関してNECと技術提携
-2013年、NECと自動車の安全技術分野で協業する検討に入った。同社が持つ自動車部品技術とNECが蓄積するビッグデータ (巨大で複雑なデータの集積物) のノウハウを組み合わせ、安全システムの高度化を図る。同社は「クルマの安全性能を高める上でセンサー技術や走行制御技術と並んで、ビッグデータが有用になる」と見ている。ただ、自社で技術を取得、確立するには膨大なコストと時間がかかり、欧州サプライヤーなどに後れを取る可能性もある。このため、NECの協力を得て迅速にビッグデータの活用プロセスを組み込む。(2013年12月27日付日刊自動車新聞より)

テレマティクスサービス拡充に向け、ヤフーと技術提携
-カーナビゲーションとスマートフォン (スマホ) の連携を図るテレマティクスサービス「ARPEGGio (アルペジオ)」の拡充に向け、インターネット検索大手のヤフーと協業すると発表。2013年12月からカーナビの画面上でスマホを操作できるようにする専用アプリ「アルペジオ」と、ヤフーが手がける対話型音声認識アプリ「音声アシスト」を組み合わせて使用できるようにする。スマホに両アプリをダウンロードすればカーナビ上でスマホの操作が可能になり、音声のみで簡単なインターネット検索も行えるようになる。(2013年9月26日付日刊自動車新聞より)

製品開発

<パワートレイン>
EGRバルブユニット
-吸気絞りバルブとEGRバルブを一体化した世界初のEGRバルブユニットを開発。EGRバルブはディーゼルエンジン (DE) の排気循環システムを構成する部品。従来、吸気絞りバルブとEGRバルブは別の部品として搭載していたが、ユニット化することで配管やコネクターを削減。既存製品に比べて体積を半減した。吸気バルブとEGRバルブにそれぞれ配置していたセンサー、モーターの削減などにより、コストも20%程度低減。自動車メーカーが2014年夏以降に欧州で発売するDE乗用車向けに供給開始する。生産は、デンソーのハンガリー工場で行い、供給規模は2015年度に年60万台を見込んでいる。将来的には年100万台規模を目指す。

コモンレールシステム
-世界最高の2,500気圧の燃料噴射圧力を実現する電子制御燃料噴射システム「コモンレールシステム」を開発。従来品と比較して、構成部品の構造の改良と燃料噴射圧力の高圧化等により、車両の燃費向上とともに排ガス中のPM (粒子物質) やNOxの発生をより削減することを可能とした。現在は西尾製作所 (愛知県西尾市) と善明製作所 (同) で順次立ち上げており、2015年から2016年にかけてハンガリー工場、タイ工場でも生産を開始する。

非接触充電システムの実証実験
-2014年2月、愛知県豊田市で非接触充電システムの実証実験を開始すると発表。小型トラックに搭載する電動式冷凍機のバッテリー (リチウムイオン電池) を非接触で充電するもので、ヤマト運輸の集荷車両を活用してモニター試験を行う。実験に活用するシステムはデンソーが独自開発したもので、2010年代後半の実用化を目指す。製品化する際にはプラグインハイブリッド車や電気自動車の充電にも対応させる考えだ。(2014年2月21日付日刊自動車新聞より)

<熱機器>
標準化HVAC
-セグメントをまたいで搭載可能な世界初のカーエアコン用HVAC (室内ユニット) を開発。従来品に対して3割の小型化、2割の軽量化を実現しながら基本構造の標準化を図った。BセグメントからDセグメントまでの前輪駆動車に搭載できる。エバポレーターやヒーターコアを置き換え、設計変更せずにアイドリングストップ車、ハイブリッド車、電気自動車などに対応可能な仕様としている。トヨタ自動車に加えて他系列にも提案し、量産効果を含めて最大3割のコスト低減を目指す。2020年度までに年1千万台の生産、販売を確保する。西尾製作所 (愛知県西尾市) で生産。(2014年1月22日付日刊自動車新聞より)

カーエアコン用エアフィルター
-2.5マイクロメートルの塵を約90%除去できるカーエアコン用エアフィルターを開発し、販売を開始。従来品の除塵性能は約60%。濾材に塗布する薬剤を見直すことで、商品力を高めた。除塵とともに抗ウイルス、抗菌、脱臭機能を持たせている。順次、商品構成を拡充し、年内に国産車の98%に対応可能なラインアップを整える。新製品は花粉に加え、中国から飛散するPM2.5対策にも有効な商品としている。 (2013年12月7日付日刊自動車新聞より)

<走行安全>
新型レーザーレーダー
-新型のレーザーレーダーを開発。小型化・低コスト化を実現し、軽自動車にも搭載できるようにした。ダイハツ工業が2012年12月に発売した「ムーヴ」の衝突回避支援システム「スマートアシスト」に採用された。製品の特徴は以下の通り:
  • 市街路や渋滞など低速域での使用を前提にスキャンする領域や距離を設定し、レーザー光発信の機構を簡素化
  • ECU (電子制御ユニット) 機能を持つ信号処理基板を採用したことにより、従来は別部品になっていたECUをシステムから削減
  • 製品のサイズ:幅132ミリメートル、高さ134ミリメートル、奥行き46ミリメートルとし、奥行きを従来品の3分の2に薄型化
次世代コックピットの開発
-運転の負担軽減に向け、次世代コックピットの開発を加速する。「アイズ・オン・ザ・ロード (視線は道路の上に)」、「ハンズ・オン・ザ・ホイール (手はハンドルの上に)」をコンセプトに2020年頃の普及を想定した次世代コックピットを企画した。米マサチューセッツ工科大学などと運転時に負荷が発生する状況を洗い出す共同研究も推進中で、14年度をめどに作業を完了する。こうした基盤を生かし、ヘッドアップディスプレー (HUD) を始めとする表示、操作系部品を改良。ヒューマン・マシン・インターフェース (HMI) 全体の高度化につなげる。(2013年11月14日付日刊自動車新聞より)

ドライバーステータスモニター
-ドライバーステータスモニターを開発。同製品は近赤外線カメラで撮影したドライバーの画像をもとに、ECUが顔の向きやまぶたの開き具合等を解析。目を閉じたり、正面を向いていない状態が続くとドライバーに警報を鳴らして注意を促す。日野自動車の大型トラック・大型バスに採用されている。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
日本 155,994 124,322 103,054
北米 43,253 20,451 12,195
欧州 27,935 19,144 18,667
豪亜 88,645 2,584 38,225
その他 8,298 4,090 7,210
合計 324,125 230,591 179,351

-生産拡大対応、次期型化、新製品切替および新製品開発のための研究開発投資に重点的に投資。

国内投資

-デンソー九州は、2015年度までにコモンレールシステム用インジェクターの多品種少量生産に対応した新型ラインを構築する。従来はデンソーの西尾製作所などと同様の自動化ラインを設置していたが、九州独自の成長戦略として自前の改良を行う。インジェクターは燃料噴射システムの高度化に合わせて次世代品への移行が始まったが、新興国を中心に現行品などの需要も堅調に推移する見通し。新興国の顧客ニーズに対応し、現行品の生産の受け皿となる体制を構築することで、事業拡大につなげる。(2013年7月22日付日刊自動車新聞より)

-2013年4月、生産子会社デンソー東日本の工場を拡張すると発表。投資額は87億円で、従来のカーエアコンの生産に加えてエンジンクーリングモジュールを生産する。完成は2014年5月を予定。この拡張により、従業員数は現行の110名から2016年度には約220人に増加する見通し。

海外投資

米州
<メキシコ>
-2013年10月に稼働した生産子会社Denso Mexico S.A. de C.V.の第3工場 (グアナフアト州シラオ) の拡張計画を発表。同工場は2013年10月からカーエアコンの生産を開始し、2014年1月にはGM、Ford、ホンダ向けにラジエーター、ウオッシャーシステムの立ち上げを計画している。今回、現地に進出する日米の自動車メーカーから新たにオルタネーターを受注したため、約51億円を追加投資してオルタネーター製造にともなう新建屋や生産ラインなどを設置する。オルタネーターは生産開始当初、トヨタ自動車、Ford、Chryslerなどに供給する。

アジア
<韓国>
-子会社Denso Korea Automotive Corporationの華城 (Hwaseong) 工場における生産能力を増強する。現代自動車グループからの新規受注に対応するもの。約4,500万米ドルを投資し、現工場に隣接した敷地に工場を増設する。(2013年7月19日付プレスリリースより)

-Denso Korea Electronics Corporationは、国内の昌原 (Changwon) 市に産業施設用地 (82,803平方メートル) を412億ウォンで取得した。電子部品工場 (42,800平方メートル)、研究棟 (6,000平方メートル)、事務棟 (7,200平方メートル) などを建設する。工場は2013年7月に着工し、2014年6月の竣工と同時に量産を開始する予定。(2013年5月23日付プレスリリースより)

<インドネシア>
-2014年にインドネシアに新工場を設置すると発表。現地生産会社デンソー・インドネシアの第3工場として西ジャワ州ブカシ県に建設する。投資額は約94億円。同年2月からエンジン向けの電子制御ユニット、可変カムタイミング、スターター、オルタネーターなどを生産する。これまで現地では空調、熱交換器分野の製品を生産しており、新工場で手がける品目は初めて現地生産する。新工場の建屋面積は2万4千平方メートル。2012年12月に着工し、2013年11月に建屋などを完成させる。2016年3月までに約1300人の従業員を雇用する計画。

<インド>
-2013年、ハリアナ州ジャジャール市に現地生産会社デンソー・ハリアナの第2工場を建設。ワイパーやパワーウィンドウに搭載する小型モーター、エンジンクーリングモジュールを生産している。投資額は約42億円で建屋面積は約1万2千平方メートル。

設備投資額 2015年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2015年3月期
(予測)
2014年3月期
(実績)
増減 (%)
日本 157,000 155,994 0.6
北米 36,500 43,253 (15.6)
欧州 22,000 27,935 (21.2)
豪亜 78,000 88,645 (12.0)
その他 4,500 8,298 (45.8)
合計 298,000 324,125 (8.1)