(株) タチエス 2012年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2012年 3月期 |
2011年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 204,053 | 218,805 | (6.7) | -下期から販売は回復基調で推移したが、前期は東日本大震災による影響による得意先からの受注減少、為替変動に伴う換算額の減少等により減収。 |
営業利益 | 7,582 | 11,526 | (34.2) | - |
経常利益 | 10,156 | 13,563 | (25.1) | - |
当期純利益 | 6,358 | 8,729 | (27.2) | - |
受注
-ホンダから次期「フィット」用のシートを受注した。ホンダのグローバル車種向けに製品を供給するのは初めて。メキシコ、ブラジル、中国で納入し、供給規模は年間50万台分以上になる見込み。筆頭株主の米ジョンソンコントロールズ(JCI)と共同で、2013年秋までに各地で供給体制を整える。新規受注を受け、メキシコ、ブラジル、中国に生産拠点を整備する。メキシコとブラジルには、それぞれ年産20万台規模の工場を、JCIとの共同出資で設立する計画。メキシコでは、ホンダの新工場予定地近くの三つの候補地の中から建設地を決定する。ブラジルにはJCIの既存拠点があるものの、サンパウロのホンダの四輪工場から離れていることもあり、新しく工場を建設する方向で検討している。中国にもJCIの既存拠点があるが、ホンダ向けとして新たに工場を建設することも検討する。新工場への投資は、メキシコとブラジルを合わせ数十億円規模の見通しだが、JCIとの折半とし、投資リスクを軽減する。(2011年12月26日付日刊自動車新聞より)新会社
-メキシコに地域統括会社を、ブラジルに法人を設立すると発表した。中南米統括会社Tachi-S Engineering Latin America, S.A. de C.V. (仮称)は、同社のメキシコ生産会社INSA内に置かれ、中南米地域における開発および事業会社への出資、事業管理を行う。2012年4月に設立する予定で、資本金は約5百万米ドル。一方、ブラジル法人Tachi-S Brasil Ltda. (仮称)は、ブラジルに設立予定の自動車用シート生産会社への出資、事業管理を行う。2012年8月に設立する予定。(2012年2月24日付プレスリリースより)-2011年11月に中国およびインドネシアに新会社を設立すると発表。中国の広東省広州(Guangzhou)市には、企業管理会社「泰極愛思(広州)企業管理有限公司(Tachi-S China Co., Ltd.)」を設立する。資本金は3百万米ドル(約230百万円)で、タチエスが100%出資。なお、同社は2011年9月時点で、中国に生産会社8社と開発子会社1社を有している。一方、インドネシアには、100%出資の現地法人「PT. Tachi-S Indonesia」を設立する。現地の日系自動車メーカー向けに自動車シートを供給する計画。資本金は7百万米ドル(約540百万円)。2011年11月から生産を開始するが、自社工場での生産は2013年開始の予定。2015年に年間15万ユニットの生産を目指す。同年の年間売上額は約40億円の見込み。(2011年10月28日付プレスリリースより)
-ASEANおよびインド事業の統括のため、タイのBangkokに統括会社「Tachi-S (Thailand) Co., Ltd.」を設立したと発表。資本金は250百万バーツ(約6.4億円)。また、同社はインドネシアでの生産拠点設立の検討を開始し、土地選定を進めている。(2011年9月28日付プレスリリースより)
合弁事業
-東風日産乗用車公司の自主ブランド「ヴェヌーシア」向けの自動車用シートの供給を目的に、中国関連会社の鄭州泰新汽車内飾件有限公司が東風李爾汽車座椅有限公司と共同で中国河南省に「鄭州東風李爾泰新汽車座椅有限公司」を設立したと発表した。2012年前半から生産を開始し、13年度(1-12月)に12万台の生産を見込む。新会社の資本金は約6億2千万円で、出資比率は鄭州泰新汽車内飾件有限公司49%、東風李爾汽車座椅有限公司51%。河南省鄭州市に立地し、土地面積は約3万3千平方メートル、建物面積は約1万2千平方メートルで12月に完成する予定。(2011年5月20日付日刊自動車新聞より)国内事業
-同社はグローバルコンパクトカー向けのシートフレームを、軽自動車向けのものと共通化する。機能を絞った簡素な軽自動車向けフレームを低価格車向けと位置付け、全世界で活用する。今後、最も生産台数が増える低価格車への対応として、フレームの部品共通化を進め、さらなる量産効果を引き出したい考えだ。フレームを構成する部品点数の削減や、プレスや溶接などの工数を減らす工夫を施し、低コスト化につなげていく。こうした設計変更によって、加工難易度が高く、新興国での現地調達が難しい高張力鋼板の使用比率を必要最小限に抑え、低コスト化と軽量化の両立につなげる。 (2011年4月12日付日刊自動車新聞より)経営計画 「Global Challenge 177」
-同社は2016年3月期を到達期とする経営計画を策定し、「品質No.1」、「営業利益率7%」、「世界生産シェア7%」の3つの長期目標を掲げ、グローバルで生き残る競争力のある事業体質の構築を目指している。下記6つの重要戦略に沿って実施していく。1) グローバル事業戦略
-得意先戦略に挑戦し、コスト・商品技術力において競争力のあるグローバル事業戦略を立案し、受注を拡大していく。また、海外統括機能を強化するため、本社と各拠点の役割を明確化し、体制の整備とグローバル人材の育成を推進。
2) 開発戦略
-グローバル開発4極体制を確立したことに伴い、競争力ある固有・基盤技術、魅力ある商品化技術(コア技術の開発)をさらに充実させると共に、各得意先のグローバル開発に対応するため、海外各拠点の開発体制を拡充。
3) モノづくり戦略
-新たに開設した「技術・モノづくりセンター」を基盤として、固有技術の強化と人材育成を図り、モノづくりの標準化をさらに充実させ、海外各拠点に展開していく。また、国内外各拠点において生産拠点の最適化を推進。
4) 調達戦略
-地域統括会社との連携を図り、グローバル本社機能と海外各拠点の調達機能を強化し、グローバルで最適なサプライヤーを発掘するとともに、サプライチェーンを強化し、コスト競争力を強化。
5) 品質保証戦略
-グローバル品質保証体制を拡充し、ラグジュアリーブランド品質の確立を実現し、得意先品質目標の達成と品質No.1を目指す。
6) 事業構造改革戦略
-国内外事業の最適化を進め、中国浙江省に新設したフレーム会社を始めとしてグローバルでのシート部品ビジネス体制の強化と拡充を図る。また、グローバル対応力を強化・充実させるため、人材の育成や経営管理システムの構築を推進。
2013年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2013年3月期 (予想) |
2012年3月期 (実績) |
増減 (%) |
|
売上高 | 215,000 | 204,053 | 5.4 |
営業利益 | 7,700 | 7,582 | 1.6 |
経常利益 | 10,600 | 10,156 | 4.4 |
当期純利益 | 6,500 | 6,358 | 2.2 |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
全社 | 3,418 | 2,695 | 2,482 |
-2013年3月期の研究開発費は、3,735百万円を予定。
研究開発拠点
タチエス技術センター | 東京都青梅市 |
タチエス技術センター愛知 | 愛知県安城市 |
Tachi-S Engineering U.S.A. Inc. | 米国ミシガン州 |
Tachi-S Engineering Europe S.A.R.L. | フランス ヴェリジー・ビラクブレー市 |
福州泰昌汽車座椅開発有限公司 [Tachi-S Engineering China Co., Ltd.] |
中国福州市 |
研究開発体制
-新製品の開発および新技術の基礎研究は、主に国内の技術センターにおいて効率的な開発を行うとともに、米国・欧州の拠点および国内外の技術提携先企業等を通じて、先進技術や周辺技術の積極的な情報収集を実施している。また、蓄積された新製品・新工法技術は、同社直接または米国・欧州の拠点を通じて、グローバルに自動車メーカー各社や同部品メーカー各社に提案し、採用されている。-国内において1999年8月に富士機工株式会社と、2006年11月には河西工業株式会社とそれぞれ業務提携を行い、機構部品および樹脂成形部品の技術開発力の向上、海外研究開発拠点の共同利用等、グローバルな視点での内装部品の商品力強化につなげる。
-2016年3月期には、研究開発人員をグローバルベースで800人に増員する予定。
研究開発活動
シートおよびオリジナル機構部品開発-自動車およびその他乗り物用シート、またシートのリクライニングデバイス、スライドレール、大移動量リフター、床下格納デバイス、RV車用シートのロングスライドレールおよびその付属機構、回転ユニット等の開発をシートシステムとして行い、得意先各社へ採用が進んでいる。
安全性向上技術開発
-安全性向上として、3点式シートベルト組込シート、サイドエアバック組込シート、乗員感知式スマートエアバック対応シート、頸部障害軽減システム等の開発をシートシステムとして行い、顧客から採用されている。また前後面、側面衝突に対応した安全シート構造の研究開発を行っている。
環境対応技術開発
-環境対策では、各種環境負荷物質の全廃に向けての対応や、自動車の燃費向上のため新材料、新構造技術を織り込んだ超軽量シートの開発等を行い、得意先各社へ提案し採用されている。
福祉車両商品の開発
-福祉車両用に操作性、乗降性に優れたヘルパーシートの開発を行い、得意先各社へ提案し採用されている。
原価低減商品の開発
-標準化、共通化を踏まえた低コスト次世代シートを開発し、国内外の得意先各社に採用されている。
生産技術開発
-接着成形シートの改良技術開発、ヘッドレスト、アームレストの一体発泡成形技術開発、シート組立の省力化・自動化技術開発、CAD/CAMによる型製作等を展開。また、多品種少量生産を可能にした混流ラインを開発し、車種数や商品構成の増加に対応する。
シートの研究分野
-より快適なシートの開発を目指し、「座り心地」評価と、あるべきシートの構造方式について自主研究を継続。さらに、短期間での性能、質量、コストのバランスの取れた設計のため、CAE解析を行い開発期間短縮、コストダウン等を貢献。
シートデザインの開発
-将来シートコンセプト、新商品のデザイン開発、コーポレートデザインなどシートを含め同社に関するあらゆる分野のデザイン開発を独自で取組み、得意先各社へ提案し採用されている。
製品開発
次世代シートフレーム-同社は次世代シートフレームを開発し、2012年に量産を始める。電動シート用とマニュアルシート用の設計の大部分を共通化し、大幅な軽量・低コスト化を図った。現地材を使って新興国での生産も可能なことや、多様な車のタイプに対応できることも利点。今後の世界標準フレームと位置付け、従来品からの切り替えをメーカーに提案していく。現行のシートフレームは、電動シート用とマニュアルシート用でそれぞれ異なる骨格を採用している。新開発品は、シートの座面や背もたれ部分などを構成する各種のパネルやフレームといった構成部品を電動シート用とマニュアルシート用で共通化した。設計の工夫により部品の締結点を従来比21%、部品点数を23%それぞれ削減して工数を減らした。部品点数の削減により、材料使用量を減らして重量を従来比で30%削減。軽量化とコスト低減を両立した。同社製シートの特徴である160mmというヒップポイントの低さも維持し、床下への電池の搭載により高床になりがちな電気自動車や、車高の低いスポーツ車まで幅広い車両のタイプに対応できるよう汎用性も確保した。同社は日産自動車やホンダ向けを中心にシートを供給している。日本、北米、中国、インド、タイなど世界の主要な完成車生産拠点に工場を構えていることを強みに、新製品でも採用車種の拡大を目指す。(2011年12月20日付日刊自動車新聞より)
技術導入契約 |
(2012年3月31日現在) |
相手先 | 国名 | 内容 | 契約期間 |
Isringhausen GmbH & Co. KG | ドイツ | サスペンションシステムの製造・販売継続権に関するライセンス契約およびシート技術と販売ノウハウの相互自由開示と自由使用(除特許)契約 | 1985年11月 - 無期限又は一方の6ヶ月前の予告により終結 |
技術援助契約 |
(2012年3月31日現在) |
相手先 | 国名 | 内容 | 契約期間 |
Auto Parts Manufacturers Co., Sdn. Bhd. | マレーシア | 契約製品の製造に必要なノウハウの供与および契約製品の製造に必要な機械・設備の供給(別契約必要)等に関する技術援助契約 | 2000年3月 - 2015年3月 |
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2012年3月期 | 2011年3月期 | 2010年3月期 | |
全社 | 4,808 | 1,873 | 1,072 |
-「技術・モノづくりセンター」建設関連、新規受注およびモデルチェンジ等に伴う生産対応設備を中心に設備投資を実施。
-2013年3月期の設備投資額は、6,002百万円を予定。
<日本>
-主な投資は、「技術・モノづくりセンター」建設に伴う投資、新規受注およびモデルチェンジに伴う生産対応設備。設備投資総額は3,712百万円。
<米国>
-主な投資は、モデルチェンジに伴う生産対応設備。設備投資の総額は452百万円。
<メキシコ>
-主な投資は、モデルチェンジおよび生産設備の更新等に伴う生産対応設備。設備投資の総額は346百万円。
<中国>
-主な投資は、モデルチェンジおよび生産設備の更新等に伴う生産対応設備。設備投資の総額は295百万円。
主な設備の新設 |
(2012年3月31日現在) |
会社名/事業所名 | 設備の内容 | 投資予定総額 (百万円) |
着工 | 完成予定 |
栃木工場 | 自動車座席用製造設備 | 1,173 | 2012年 7月 |
2013年 2月 |
鈴鹿工場 | 自動車座席用製造設備 | 766 | 2012年 5月 |
2013年 3月 |
青梅工場 | 自動車座席用製造設備 | 250 | 2012年 8月 |
2012年 9月 |
Setex Inc. 本社工場他 |
自動車座席用製造設備 | 1,165 | 2012年 4月 |
2013年 3月 |
Industria de Asiento Superior, S. A. de C. V. 本社工場他 |
自動車座席用製造設備 | 782 | 2012年 1月 |
2012年 12月 |
武漢泰極江森汽車座椅有限公司 [Wuhan Tachi-S Johnson Controls Automotive Seat Co., Ltd.] 本社工場他 |
自動車座席用製造設備 | 331 | 2012年 6月 |
2012年 12月 |