Visteon Corporation 2015年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ドル)
  2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 3,245 2,586 25.5 1)
純利益 2,284 (295) - 2)
部門別売上高
エレクトロニクス 3,107 2,386 30.2 3)

注:上記データに非継続事業は含まれていない。

要因
1) 売上高
-2015年12月期の売上高は前年比25.5%増の3,245百万ドル。2014年7月に買収したエレクトロニクス事業が通年で計上されるようになったことが主な増収要因で、これによる増収分は691百万ドル。生産量の増加や新事業に伴う増収分は199百万ドル。一方、為替の影響で175百万ドル、顧客向け価格の変動で56百万ドルのマイナスを計上した。

2) 純利益
-2015年12月期の純利益は前年より2,579百万ドル増えて、2,284百万ドルとなった。クライメート部門の売却益が2,324百万ドル、非連結子会社の売却益が62百万ドル。一方、ドイツBerlinの内装部品工場の売却で105百万ドルの損失を計上した。

3) エレクトロニクス部門
-2015年12月期のエレクトロニクス部門の売上高は前年比30.2%増の3,107百万ドル。Johnson Controlsのエレクトロニクス事業買収による貢献分が691百万ドル、とくにアジア・欧州を中心とした生産拡大による増収分が240百万ドル。一方、為替の影響で156百万ドル、顧客向け価格の変動で54百万ドルのマイナスを計上した。

事業再編

ドイツBerlinの自動車内装部品工場を売却
-2015年10月、非中核事業であるドイツBerlinの自動車内装部品工場を、2015年12月1日付でAPCH Automotive Plastic Componentsへ売却すると発表した。同工場はVisteon DeutschlandとAPTUSが所有している。Berlin工場は2014年の内装事業売却時に唯一対象外として残っていた内装工場。この取引には、同拠点の従業員約400名も含まれる。この売却が、ドイツにあるVisteonのエレクトロニクス工場へ与える影響はないという。 (2015年10月30日付プレスリリースより)

Halla Visteon Climate Control Corporationの売却
-2015年6月、同社が保有するHalla Visteon Climate Controlの株式約70%を、韓国の非公開投資会社Hahn & Companyの関連会社およびHankook Tireへ売却する手続きが完了したと発表した。売却金額は約36億ドル。今回の売却により、同社はクライメート事業から撤退し、車載コックピット用エレクトロニクスやコネクテッドカーシステムなどに特化する。 (2015年6月9日付プレスリリースより)

事業提携

-欧州で交通情報サービスや 「V-Traffic 」ブランドのモビリティソリューションを提供しているMediamobileと提携し、車両にデジタル音声放送 (DAB) 受信機を搭載できる業界初のソリューションを開発した。このシステムは、デジタルラジオとインターネットサービスの両方から同時に最新交通情報を受信できるもの。同社が提供するDABラジオは、Mediamobileの 「V-Traffic」 データ放送をDAB-TPEG規格で取得し、Bluetooth接続によりドライバーのスマートフォンやタブレットに送信して復元する。DABとインターネットをスムーズに切り替えられるアプリを通じて、スマートフォンのスクリーンに交通情報を表示するという。 (2015年9月22日付プレスリリースより)

受注

-2015年発売モデルに関する受注内容は以下の通り。

OEM 搭載モデル 納入部品
Ford Everest/Ranger オーディオヘッドユニット
F-150 インストクラスター
Fiesta センター情報ディスプレイ
ホンダ Pilot インストクラスター
Acura ILX テレマティクス
Mercedes-Benz Vito インストクラスター
日産 Infiniti Q30 コックピットメディアインプットボックス
Murano インストクラスター
Jaguar XJ インストクラスター
X760 インストクラスター
上汽GM (SAIC-GM) Chevrolet Sail インフォテインメントシステム
GM Chevrolet Camaro インストクラスター
マツダ Mazda 2 インフォテインメントシステム、センター情報ディスプレイ
BMW 7-Series インストクラスター
Renault Megane オーディオシルバーボックス、インストクラスター
吉利 (Geely) Emgrand クライメートコントロールヘッド
Mahindra W207 SUV インフォテインメントシステム
現代 (Hyundai) Tucson インストクラスター

 

2016年12月期の見通し

-2016年12月期の売上高は3,200百万ドル、EBITDAは305百万~335百万ドルと予想している。

受賞

-2015年7月、日産より 「Global Innovation Award」 を受賞したと発表した。日産 「Murano」 の2015年モデルに採用された7インチディスプレイ搭載のインストクラスターが評価されたもの。このプログラムは、横浜と広島にある同社チームが主導し、インドのChennai、米国ミシガン州のVan Buren Township、中国の上海にあるソフトウェア/ハードウェアチームがサポートした。 (2015年7月20日付プレスリリースより)

-2015年の主な受賞は以下の通り:

授与者 受賞
上汽GM (SAIC-GM) Excellent Supplier Award
Service Supplier Award
Development and Innovation Award
神龍汽車 (Dongfeng PSA) Best Supplier Award
Excellent Quality Award
Excellent Supplier Award
AutoAlliance Thailand Top Supplier Award
上海汽車 (SAIC) Excellent Innovation Supplier Award
Excellent Supplier Award
長安マツダ (Changan Mazda) QC Improvement Achievement Award
Excellent Supplier Award
GM Supplier Quality Excellence Award
日産 Supplier Global Innovation Award
江鈴汽車 (Jiangling Motor) Landwind Excellent Supplier Award
第一汽車 (FAW) Excellent Supplier Award
Development and Innovation Award
Ford Thailand Top Supplier Award
東風汽車 (Dongfeng) Excellent Supplier Award
PSA Best Plant Award (for Tunisia facility)

 

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
合計 294 257 148


-同社は事業再編後の研究開発費として、全社売上高の12~12.5%相当を充てる計画。

研究開発拠点

-12カ国21拠点のテクニカルセンターを保有: ブラジル、ブルガリア、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、メキシコ、ポルトガル、韓国、英国、米国。

技術提携

-2015年4月、車載インフォテインメントシステムに使用するソフトウェアの長期トレーサビリティ (追跡性) および再現性の向上に向けて、Linuxを専門に扱う英国ソフトウェア会社Codethinkとの提携を発表した。両社は、Visteonがグローバル自動車メーカーに納入するインフォテインメントシステムに用いられるさまざまなサードパーティ製部品やオープンソースの部品から、Linuxエコシステムのソースコードを収集・統合するための統一手法を開発した。VisteonとCodethinkは、オープンソースの車載用インフォテインメント (IVI) ソフトウェアの導入を推進する非営利団体GENIVI Allianceのメンバーとなっている。 (2015年4月21日付プレスリリースより)

製品開発

ジェスチャーコントロールシステム Time-of-flight技術コンセプト
-2015年12月、米国ラスベガスで開催された国際家電ショー 「CES 2016」 に、ジェスチャーコントロールシステム Time-of-flight技術を搭載するコンセプトカーを出展。 Time-of-flight技術は、対象物に光を照射して、その反射距離を読み取って時間を測定する。この技術コンセプトは、Time-of- flight技術を導入するカメラと、数字表現などのハンドジェスチャーを読み取る画像処理アルゴリズムを組み合わせる。新システムはTime-of-flight技術を使用することで、現行システムに比べてハンドジェスチャーのサインをより素早く、正確に読み取ることができる。 (2015年12月31日付プレスリリースより)

HMI対話型運転シミュレーター
-「CES 2016」 で同社の多様なヒューマン・マシン・インターフェース (HMI) 技術を導入する対話型運転シミュレーターを展示。シミュレーターに表示されるシステムは、複雑な手信号を読み取るためのTime-of-flightジェスチャーシステムと、方向指示や回転など単純なジェスチャーを読み取るための空間ジェスチャーシステムを備えている。シミュレーターは感圧タッチパッドになっており、異なる機能を有効にするため、ボタンを押す深さと位置を検知する。シミュレーターのもう1つの特徴はコンテキストHMIシステムで、特定のドライバーに対して以前の使用状況に基づいた個別のショートカットを提供する。 (2015年12月31日付プレスリリースより)

フロントガラス特大ヘッドアップディスプレイ
-「CES 2016」 でフロントガラスの特大ヘッドアップディスプレイ (HUD) をコンパクトカーに搭載して展示。インストパネルに強力なバックライトと大型ミラーが導入されており、明るい日でもHUDの画像を見ることができる。 HUDの画像が増えることで、より多くの情報をフロントガラスに表示することができる。このシステムでは、車両周辺の道路状況に関する情報を取得し、表示すべき情報を適切に調整するため、データ解析を利用する。 (2015年12月31日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
エレクトロニクス 99 87 46
その他 4 2 9
コーポレート 3 7 1
合計 106 96 56

注:上記データに非継続事業は含まれていない。