Honeywell International Inc. 2014年12月期の動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2014年12月期)

輸送システム事業
-輸送システム部門の一事業であった摩擦材事業の売却に伴い、輸送システム部門 (Transportation Systems) を宇宙航空部門に統合。

-2014年12月期の輸送システム事業の売上高は、新モデルへの製品搭載の増加、世界的なターボ搭載率の上昇、欧州での商用車需要の増加などが寄与したものの、摩擦材事業の売却により、前年比2.6%減の3,659百万ドルとなった。

売却

-摩擦材事業 (Friction Materials) の大部分をFederal-Mogulに売却。Honeywell Friction Materialsは、ドイツのGlindeを本拠とし、ルーマニアと中国に主要拠点を置く。今回売却した事業の拠点は欧州・中国・ブラジルのみで、米国は含まれていない。また、この売却には米国におけるBendixブランドの製品や資産などは含まれていないという。(2014年7月14日付プレスリリースより)

提携

-同社とデュポンが共同開発したエアコン新冷媒「HFO-1234yf」の生産を、旭硝子が2015年に始めると発表。旭硝子は千葉県に製造拠点を新設し、独自製法で生産する。旭硝子がガスを生産し、ハネウェルが欧州、米国、アジアの各顧客へ販売する。ハネウェルが保有する米国生産拠点と合わせて、日本を含めた世界的な需要増加に対応する。1234yfは地球温暖化係数 (GWP) が1以下で、二酸化炭素よりGWPが低い新冷媒。欧州カーエアコン指令などの規制対象地域では、新車用として採用が広がっている。日本でも15年に高GWP冷媒への規制が始まる予定だ。同ガスを搭載する自動車は世界に約50万台あり、14年末までに200万台に増える見通し。(2014年1月24日付日刊自動車新聞より)

ライセンス供与

-同社傘下のUOPとTPC Groupは、UOPをTPCのブタジエン生産技術 「OXO-D」 のライセンサーとして独占的に他社に提供することで合意。ブタジエンは、タイヤなどに使用する合成ゴムの主要材料。TPC Groupは北米を本拠とし、ブテンやブタジエンの生産を行っている。(2014年6月12日付プレスリリースより)

受賞

-インド子会社のHoneywell Turbo Technologies Indiaがホンダより表彰。ウェストゲートタイプの1.5Lディーゼルターボエンジン向けの部品品質および納入が評価され、「Best Support In New Model Development Start-Up」を受賞。この1.5Lディーゼルエンジンは、ホンダの 「Amaze」 および新型 「City」 に搭載されている。(2014年4月11日付プレスリリースより)

受注

<2014年>
ディーゼル乗用車
国・地域 製品 顧客 エンジン
欧州 ターボチャージャー VW 1.6L & 2.0L
欧州 ターボチャージャー BMW 2.0L
欧州 ターボチャージャー Daimler 2.0L
米国 ターボチャージャー Chrysler Ram/Jeep 3.0L
中国 ターボチャージャー 江鈴汽車 (JMC) 2.8L
中国 ターボチャージャー 江淮汽車 (JAC) 2.8L
中国 ターボチャージャー 永源汽車 (YCM)
2.0L
日本 ターボチャージャー 富士重 2.0L
韓国 ターボチャージャー 現代 1.7L/2.5L
インド ターボチャージャー Tata 1.05L
インド ターボチャージャー Ford DV5 1.5L

ガソリン乗用車
国・地域 製品 顧客 エンジン
欧州 ターボチャージャー Renault 0.9L/1.2L
米国 ターボチャージャー Ford 2.3L
中国 ターボチャージャー 神龍汽車 (Dongfeng Peugeot Citroen) 1.2L
中国 ターボチャージャー 上汽通用五菱汽車 (SAIC-GM-Wuling, SGMW) 1.2L
日本 ターボチャージャー 日産 1.6L/3.0L
インド ターボチャージャー Tata
1.2L

トラック
国・地域 製品 顧客 エンジン
欧州 ターボチャージャー MAN 10.9L/12.5L
欧州 ターボチャージャー Volvo Truck
7.7L
米国 ターボチャージャー 日野
7.7L
中国 ターボチャージャー 永源汽車 (YCM) 7.8L/10.3L/12.9L
日本 ターボチャージャー 日野 7.7L
インド ターボチャージャー AVTEC
3.9L
インド ターボチャージャー Volvo 5.1L

<2015 North American Internationa Auto Show 出展車への搭載状況>
製品 OEM モデル
ターボチャージャー Ford Mustang
ターボチャージャー Chrysler Jeep Renegade
ターボチャージャー Chrysler Dodge 1500
ターボチャージャー Audi Q7
ターボチャージャー GM Chevrolet Colorado
ターボチャージャー VW Passat
ターボチャージャー Fiat 500
ターボチャージャー BMW 6 Series
ターボチャージャー Ford Lincoln MKC

開発動向

研究開発費

(単位:百万米ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 1,892 1,804 1,847
売上に対する比率 4.7% 4.6% 4.9%

研究開発体制

-同社のR&Dの活動拠点は、4カ所:米国、欧州、インドおよび中国。

製品開発

ターボチャージャー
-2014年に100種類以上のターボチャージャーの新製品を発表。これらの製品には20を超える新技術が使われるとみられる。乗用車・商用車のガソリン、ディーゼル、天然ガス、ハイブリッド用のパワートレイン向けにグローバルで納入する。同社は現在、500以上のターボチャージャーのプログラムに取り組んでおり、これらの製品はすべて数年以内に発売される見込み。なお、Honeywellの可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャーは、Fiat 「500L」 の1.6L Multi Jet IIディーゼルエンジンに採用された。このVNT式を含め、同社のターボチャージャーは、燃費・性能の向上と排出ガス低減を最適にバランスさせたとしている。(2014年2月10日付プレスリリースより)

新ナイロン樹脂「Aegis H55WC」

-樹脂・化学部門 (Resins and Chemicals) が新たなナイロン樹脂「Aegis H55WC」を発売。工業・民生製品に使用するケーブルや電気配線を保護するもの。グリースや石油・ガスに対する優れた保護性能を有するほか、高い耐衝撃性・耐摩耗性・耐切創性を実現した。米国保険業者安全試験所に認定され、住宅・商業ビル、工作機械、自動車、電化製品、海上石油プラットフォーム、舶用機器など厳しい基準のあるさまざまな製品に使用できるという。(2014年6月17日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万米ドル)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
全社 1,094 947 884

海外投資

<中国>
-Honeywell Turbo Technologiesが武漢新工場を開設。これにより中国でのターボチャージャー生産能力を現在の3倍に増強し、中国の急速な需要拡大に応えるとしている。同社は上海に工場1ヶ所と世界第2のターボチャージャー実験室を含むテクニカルセンター1ヶ所を有している。上海工場ではすでに累計8百万台超のターボチャージャーを生産している。(2014年9月3日付け各種リリースより)