GKN Plc 2014年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ポンド)
  2014年12月期 2013年12月期 増減率
(%)
要因
全社
売上高 6,982 7,136 (2.2) -
営業利益 289 560 (48.4) -
部門別売上高
-ドライブライン部門 3,444 3,416 0.8 1)
-粉末冶金部門 916 932 (1.7) 2)


要因
1) ドライブライン部門
-2014年12月期の本業の売上は前年度比8%伸び、世界の自動車生産の伸び (3%) を上回った。一方で為替差損と事業売却が減収要因となった。
-売上のうち等速ジョイント (CVJ) の売り上げは60%、AWDシステムをはじめとする等速ジョイント以外の売り上げは40%を占めている。

2)粉末冶金部門
-2014年12月期の本業の売上は前年度比5%増。北米、中国、欧州は好調だったが、南米市場は低調だった。

市場シェア

ドライブライン部門
-GKNドライブラインジャパンは、等速ジョイント (CVJ) の国内シェアを2019年までに現状の15%から20%まで引き上げる。英GKNグループが2011年にジェイテクトとのCVJ販売子会社の合弁を解消し たことにより、日産自動車以外の自動車メーカーへの供給を開始している。燃費性能を高める高付加価値品の提案やグローバルシェアの高さを武器に新規受注を 拡大し、目標の必達につなげる。 (2014年6月25日付日刊自動車新聞より)

売却

合弁会社Emitecを売却
-Continentalとの折半出資による合弁会社Emitecの株式残り50%をContinentalに売却。売却金額は46百万ポンド。買収手続きは2014年7月31日付で完了し、EmitecはContinentalのパワートレイン部門に統合された。今後、Emitecは同部門で新たに燃料・排ガスマネジメント (Fuel & Exhaust Management) 事業部門を構成することになる。 (2014年7月31日付プレスリリースより)

再編

<米国>
-ミシガン州のAuburn Hillsに新たに設立した米州地域本社への移転を完了したと発表。新拠点には、GKN DrivelineおよびGKN Sinter Metalsが入居し、両部門の地域本社となる。さらにGKN Land SystemsやNorth American Servicesの従業員も勤務する。新拠点の従業員数は約350名超。11.2エーカーの敷地に建設された新拠点の面積は168,000平方フィートで、これまでの拠点に比べてエンジニアリング・試験用のスペースを20%拡大した。 (2014年12月1日付プレスリリースより)

受注

ドライブライン部門
-三菱 「Outlander」、Porsche 「918 Spyder」、BMW 「i8」 などのモデル向けにeAWDを受注している。 (2015年3月10日付プレスリリースより)

-業界初の電気駆動モーター用2速アクスル「eAxle」の生産を開始したと発表。このアクスルは、BMWのハイブリッドスポーツカー 「i8」 向けに生産されている。 (2014年11月10日付プレスリリースより)

-旋回時に駆動輪の左右トルクを制御する「トルク・ベクタリング・ディファレンシャル(TVD)」が、FR車として世界で初めてトヨタ自動車の新型高性能スポーツクーペ 「レクサスRC F」 に採用された。外側の駆動輪のトルクを高めることで車両を曲がりやすくするとともに、トラクション能力を高めることができる。 (2014年10月24日付日刊自動車新聞より)

買収

電気式フライホイールシステム
-Williams Grand Prix EngineeringよりWilliams Hybrid Power (WHP) の全株式を取得したと発表した。WHPは、複合素材を用いたフライホイール式エネルギー貯蔵システムの開発・生産を行っており、はじめにバス、トラック、トラム向けの搭載を目指している。今回の買収金額は8百万ポンド (13.3百万ドル) となる。 (2014年4月1日付プレスリリースより)

-同社と英国の大手バス・車体製造メーカーAlexander Dennis (ADL) は、今後2年間で英国の交通機関に250台の低公害車を導入することで合意したと発表。これにより、ADLはGKN Hybrid Powerを優先提携先として、Gyrodrive電気式フライホイールシステムを250ユニット購入する。まず、ロンドンとオックスフォードを運行するバスにこのシステムを導入する予定だが、今後数年間に英国各地で急速に展開させる計画。さらに、GKNと提携してグローバル市場向けのシステムを共同で開発する。Gyrodriveシステムを搭載したADLの2階建バス「Euro6 Enviro400」は、温室効果ガスの排出を30%低減させる低炭素型バスとしての認証を取得している。 (2014年11月24日付プレスリリースより)

-同社と英国の運輸事業会社Go-Ahead Groupは、市街地における排出ガス低減に向けて、今後2年間で500台のバスに電気式フライホイールシステムを搭載することで合意した。このGKNのシステムは英国で開発され、フォーミュラ1で使用された技術をベースとしている。今回、Go-Aheadは、GKN Hybrid PowerにGyrodriveシステム500ユニットを発注した。このシステムは、炭素繊維製の高速フライホイールを採用しており、バスが停止しようと減速する際に発生したエネルギーを貯蔵するもの。貯蔵されたエネルギーを電気モーターに供給し、バスの加速をアシストする。これにより、バッテリーハイブリッドシステムに比べて、燃料消費を20%以上抑えるほか、大幅なコスト削減を実現するという。今回の契約では、GKN Hybrid Powerのフライホイール、GKNのEVO電気モーター、GKNの設計・製造によるギアボックスを含むGyrodriveシステム一式が対象となる。Go-Aheadは、これらのシステムをまずロンドンとオックスフォードで運行するバスに搭載し、英国国内の都市に展開していく計画。(2014年7月29日付プレスリリースより)

受賞

時期 GKNの工場 授与者 受賞名
ドライブライン部門
2014年 Villagran (Mexico) Ford Ford 「Q1」
2014年 GM Supplier Quality Excellence Award
粉末冶金部門
2014年 吉凱恩粉末冶金 (丹陽) 有限公司 [GKN Sinter Metals Danyang Ltd]


Schaeffler ベスト技術提携賞
2013年 Volkswagen Automatic Transmission (Dalian) Excellent Supplier of Quality Award
2013年 GETRAG (Jiangxi) Transmission CEO Special Award & Zero PPM
2013年 Tianjin Tanhas Technology Excellent Quality Supplier Award
2014年 Conover (NC, US)、Germantown (PA, US)、St. Marys (PA, US)、Manitowoc (WI, US) GM Supplier Quality Excellence Award
2013年 Gallipolis (OH, US) EXEDY Outstanding Quality and Delivery Performance
2013年 Salem (IN, US)、Bonn (Germany) Nexteer Perfect Quality 2013
2013年 Bonn (Germany)、Radevormwald (Germany) PACCAR Quality Achievement Award 2013

研究開発活動

ドライブライン部門
-スウェーデンArjeplogにある同社の冬季試験場において、新型のHV用四輪駆動 (AWD) システム、分離型AWDシステム「AWD Disconnect」、トルクベクタリングなどの性能試験を行ったと発表。GKNのeAxleを搭載したプラグインハイブリッド車は、パフォーマンスを高めながら30~50%の燃費向上を実現するという。 (2015年3月10日付プレスリリースより)

-Porscheのプラグインハイブリッド・スーパーカー 「918 Spyder」 向けアクスル「eAxle」を開発する技術パートナーに認定されたと発表。このモジュールは、最大出力が95kW、固定ギア比による前輪への最大トルクは1500Nmとなる。特別に設計された小型デフが常時最適なトルク配分を実現し、引きずり損失を最小限にするとともに最大の効率性を提供する。時速265kmを超えるとクラッチが電気モーターを切り離し、電気モーターのオーバースピンを防ぐという。 (2015年2月11日付プレスリリースより)

製品開発

A・B・Cセグメント車向け分離型四輪駆動 (AWD) システム
-業界初となるA・B・Cセグメント車向けの分離型四輪駆動 (AWD) システムを開発したと発表。ドライバーの操作や道路状況に応じてリアアクスルから駆動部分を接続・切り離しできる。ドライブラインの回転損失を低減することで、一定の速度で巡航する間の燃費を従来の常時AWDシステムに比べて最大4%向上させるという。プロペラシャフトの等速ジョイント (CVJ) を完全統合した一体型ハウジングで、パワートランスファーユニット (PTU) などの機能を置き換えたことにより小型化を実現した。また、この分離システムの中核となるクラッチシステムは、Land Rover 「Range Rover Evoque」に搭載されているシステムをベースとしている。 (2014年10月7日付プレスリリースより)

設備投資額

(単位:百万ポンド)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
ドライブライン部門 - 142 159
粉末冶金部門 - 51 47

海外投資

ドライブライン部門
<中国>
-自動車メーカーなど顧客基盤の拡大に向けて、中国の重慶工場の生産能力を約3倍に引き上げたと発表した。上海納鉄福伝動系統 (SDS) と長安汽車グループの合弁会社である納鉄福伝動軸 (重慶) 有限公司 (GDC) が48百万ドル (300百万元) の投資計画の一環として、工場を129,000平方フィート拡張した。これにより工場面積は258,000平方フィートとなり、サイドシャフトの生産能力は年間150万ユニット増え、年間210万ユニットとなる。GDCの従業員数は310名、2017年までに400名超まで増員する計画。この拡張により、GKNは重慶に拠点を持つ多数の自動車メーカー向けに等速ジョイント (CVJ) の現地生産も進めており、このプロジェクトの完了後、SDSは長安Ford向けのCVJの生産を上海から重慶へ移転する。 (2015年3月23日付プレスリリースより)

<米国>
-米国ノースカロライナ州のNewton工場を拡張する。同拠点に1億ドル超を投じて、2018年末までに従業員200名以上を増員する計画。生産スペースを25%超拡張し、ギア部品の生産能力を引き上げる。同工場では現在700名超の従業員を雇用しており、AWDシステム向け高精密部品の機械加工および組立を行っている。 (2014年4月8日付プレスリリースより)

<ロシア>
-事業の世界展開の強化に向けてロシアで自動車部品の製造を行うと発表。まず、Togliattiに面積5,000平方メートルの工場を建設する。2015年はじめから多数の自動車メーカー向けにCVJ (等速ジョイント) サイドシャフトを生産する計画。 (2014年1月15日付プレスリリースより)

粉末冶金部門
<中国>
-江蘇省の丹陽 (Danyang) および儀徴 (Yizheng) において生産拠点を開設・拡張し、中国事業を強化すると発表。丹陽拠点には、8.7百万ポンドを投じて面積2万平方メートルの新工場を建設する。完成は2015年9月の予定。2006年3月に開設された同拠点の既存工場では、主に自動車用エンジンやトランスミッション向けの高性能の粉末冶金部品を生産している。また、儀徴では、2012年に着工した新工場が開設。自動車のエンジン、ボディ、シャシー向けに小型精密部品を生産する。同拠点では、2014年末までに従業員約80名を雇用する計画。 (2014年10月8日付プレスリリースより)