日本ピストンリング (株) 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 51,657 50,430 2.4 -
営業利益 1,946 1,759 10.6 -
経常利益 2,172 1,733 25.3 -
当期純利益 2,173 1,352 60.7 -
自動車関連製品事業
売上高 44,724 44,378 0.8 -インドネシアにおける合弁事業解消の影響があったものの、非日系自動車メーカーを中心に拡販を進めた結果、増収増益。
営業利益 2,076 1,582 31.2

事業提携

-欧米のピストンメーカーと新製品の開発に伴う提携事業を強化する。独コルベンシュミットに続き、新たに複数のピストンメーカーとの連携を開始した。ピストンとピストンリングを共同開発し、自動車メーカーに両製品をセットで納入するビジネスモデルを増やしていく。欧米メーカーのエンジン部品に関する調達要求に応えることで、同地域での受注増加につなげることを狙いとしている。既に、ダイムラーの既存車種向けなどで数社と製品化を進めているほか、フォード・モーター向けの機種ではピストンメーカーにエンジンの評価技術を提供し、開発支援を行っている。共同開発品の生産量はピストンリング全体の数%に限られているが、欧米では徐々に自動車メーカーからの要望が高まる傾向にある。同社では、海外向けのピストンリングの売上高比率が年々増えていることからも、対応を柔軟化することで新規受注を増やしていく構えだ。(2014年12月8日付日刊自動車新聞より)

事業計画

バックアップ拠点としてのタイ子会社
-2015年後半からタイ子会社のサイアムNPR (SNPR) にバルブシート生産のバッファー (調整)役としての機能を持たせる。インドや北米でバルブシートの需要が急増した場合などに、SNPRをバックアップ拠点として活用する方針だ。インドネシアで予定しているバルブシート生産の現地化により、同国向けに供給してきたタイでは新たに月産100万個分を超える余力が発生する。この余力を生かし、日本と同様にグローバル向けの供給が可能な体制を整える。(2015年2月10日付日刊自動車新聞より)

DLC被膜処理ピストンリングの拡販
-2017年度以降の新型車に焦点を当て、全ての自動車メーカーに対してダイヤモンドライクカーボン (DLC) 被膜を表面に施した高機能ピストンリング (DLCリング) の採用を提案する。熱や摩擦への耐久性を高め、エンジンの長寿命化に貢献できる製品として訴求を図る。将来的には、既存の表面処理工法から全面的に置き換わる技術と見ており、各社からの受注獲得を目指していく。DLC被膜は炭素化合物をベースとした硬質膜で、金属部品に施すことにより、表面の硬度を大幅に高めることができる。従来の窒化処理やPVD処理に比べて平滑性や潤滑性にも優れているため、特に摺動部品に有効な技術とされている。(2015年1月30日付日刊自動車新聞より)

中期経営計画

-2018年3月期を最終年度とした第六次中期経営計画において、「100年企業への土台作り」~マーケティング&イノベーションによる企業価値向上~を基本方針として、以下の重点施策に取り組んでいる。

  • 製品の差別化による戦略機種の獲得
  • 革新的モノづくりの推進
  • 新製品 (非自動車エンジン部品) の事業化推進
  • 人材育成強化による「世界最高品質の追求」
  • CSR活動の強化

-業績目標 (2018年3月期):売上高550億円 (ピストンリング269億円、バルブシート119億円) 以上、営業利益率7%以上

-2017年度に売上高を14年度比6.5%増の550億円、営業利益率を同3.2ポイント増の7.0%に引き上げる「第6次中期経営計画」を発表した。主力のエンジン部品では、日系メーカーの海外生産向けや非日系メーカーからの新規受注を増やすことで海外拠点の売上高を伸ばす。利益拡大に向けては、国内拠点の生産合理化などに3年間で約70億円を投じ、製造原価や人件費を削減する。(2015年6月8日付日刊自動車新聞より)

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予測)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 52,000 51,657 0.7
営業利益 2,200 1,946 13.1
経常利益 2,100 2,172 (3.3)
当期純利益 1,500 2,173 (31.0)


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 1,647 1,591 1,526
-自動車関連製品事業 1,261 1,204 1,152

研究開発活動

次世代低燃費エンジン用ピストンリング
-ガソリンエンジンのダウンサイジング化への対応の1つとしてライナレス溶射ボアによる軽量化などの開発が進む中、ピストンリングの張力低減によらない燃費低減技術、例えば、摺動面粗さ小の加工技術、高熱伝導材、混合から境界潤滑域にかけてフリクション低減効果のあるDLC (ダイヤモンドライクカーボン) 皮膜、また耐ノック性改良PVDなどを開発し、製品仕様に織り込み、量産対応を開始した。

次世代ディーゼルエンジン用ピストンリング
-Euro-VI、US10等の新たな排ガス規制および重量車燃費規制対応技術として、ナノレベルの皮膜特性制御技術を適用した、耐摩耗性、耐剥離性に優れたPVD皮膜の開発を完了、量産中。さらなる耐摩耗性、耐剥離性向上のニーズに対してレベルアップを図った合金PVD皮膜の開発および、DLC皮膜適用範囲をディーゼルエンジンに拡大するべく開発に取り組んでいる。
-低張力でも高い潤滑油調整機能を持つ新形状のOILリングの開発を完了し、クリーンな排ガスと低燃費が両立できる製品として量産化し、市場シェアを拡大中。

バルブシート
-内燃機関のダウンサイジング、過給直噴に伴う高効率内燃機関や特殊燃料 (ガス、エタノール) に対応可能な高機能材の開発に取り組んでいる。また、高機能な仕様だけでなく新興国向け最適仕様も開発中であり、あらゆる地域の顧客ニーズに対応することを目指し、グローバルな技術サービスを展開。

組立式焼結カムシャフト
-ガソリンエンジン用は燃費向上のため重量低減要求が高まっており、新たな工法を用いて更なる軽量化 (軸部薄肉化) の追及に取り組んでいる。また、ディーセルエンジン用はダウンサイジング化に伴い、エンジンブレーキ強化のための可変動弁化による高面圧対応として焼結カムシャフトの採用が拡大している。

MIM (金属粉末射出成形) 製品
-住友金属鉱山 (株) より譲り受けた金属粉末射出成型品事業 (メタモールド) の生産移管中。メタモールド新規案件については、自動車エンジン部品等の引き合いを多数受けており、量産受注獲得に向けて試作対応、客先との折衝を進めている。

新規焼結製品
-断熱・放熱性に優れた高機能多孔質金属に関する研究、マーケティング活動を継続中。製造技術では既存の粉末プレス焼結で製作不可能な空孔率、空孔形状ができる新工法に着手して基礎研究を進めている。

シリンダーライナー
-重量車燃費規制に対応するため、独自のトライボロジー技術に基づく燃費低減技術を適用したディンプルライナーの開発を完了し、世界初の製品として2015年に量産開始予定。また、この技術をシリンダーボアの標準とすべくシリンダーブロックへの適応化にも取り組んでいる。さらに、ディンプルボアに最適なリングの開発にも取り組み、シリンダーライナーとピストンリング両側面から燃費低減技術開発を推進している。

技術供与契約

(2015年3月31日現在)
相手会社名 国名 契約年月 内容 契約期間
株式会社瑞進カム
[Seojin Cam Co., Ltd.]
韓国 2000年7月1日 焼結カムシャフトの製造法 2016年6月末日まで
Henan Zhongyuan Engine Fittings Stock Co., Ltd. 中国 2005年9月2日 シリンダーライナーの製造法 製品供給終了まで
IP Rings Ltd. インド 2008年12月22日 スチールリングの製造法 契約更改交渉中
2010年3月1日 窒化リングの製造法 契約更改交渉中
2010年4月1日 オイルリングの製造法 契約更改交渉中
2012年4月1日 組合せオイルリングの製造法 5年
儀征亜新科双環活塞環有限公司 [ASIMCO Shuanghuan Piston Ring (Yizheng) Co., Ltd.] 中国 2013年11月15日 ピストンリングの製造法 7年

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 4,965 4,849 4,068
-自動車関連製品事業 4,586 4,650 3,850


-自動車関連製品事業は、新規増産を主たる目的として設備投資を実施。

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
会社名 所在地 設備内容 投資予定総額
(百万円)
着工年月 完了年月 完成後の能力
儀征日環亜新科粉末冶金製造有限公司
[NPR ASIMCO Powdered Metals Manufacturing (Yizheng) Co., Ltd.]
中国
江蘇省
工場新設 2,000 2012年
12月
2016年
6月
900万個/月