AGC (株) 2017年12月期の動向

業績

(IFRS、単位:百万円)
2017年
12月期
2016年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 1,463,532 1,282,570 14.1
営業利益 119,646 96,292 24.3 -各事業の出荷数量増加
-買収先企業の連結化
税引前利益 114,424 67,563 69.4 -
親会社の所有者に帰属する当期純利益 69,225 47,438 45.9
ガラス部門
売上高 733,953 679,071 8.1 -全体堅調に推移、出荷数が増加
営業利益 27,064 31,825 (15.0) -原燃材料価格の上昇、物流費等の増加
-前年に米国子会社の年金制度改定益を計上



製品開発

熱可塑性炭素繊維強化プラスティック(CFRTP)
-同社は、同社のフッ素樹脂を用いた「熱可塑性炭素繊維強化プラスティック(CFRTP)改良技術」を開発したと発表した。同社のフッ素樹脂を用いて改良することで、従来のCFRTPと比べ、耐衝撃性が30%向上した。これにより高温成形時の製品不良の低下や、歩留の向上が可能に。同製品は、軽量化が求められている自動車や航空機など、幅広い用途への展開を実現するとしている。CFRTPの市場規模は今後、主に自動車用途として急速に拡大し、2030年に金額換算で60倍以上に増大する見込み。(2017年12月14日付プレスリリースより)

車載ディスプレー用カバーガラス
-同社は世界で初めて三次元曲面形状の車載ディスプレー用カバーガラスの量産を京浜工場 (横浜市鶴見区) で開始したと発表した。また、今後の車載ディスプレーの大型化や需要増加を見込んで、同工場でのカバーガラスの生産能力を増強する。今回、量産開始した製品は、三次元曲面形状のガラスに化学強化、光学成膜、印刷などの表面処理を施したもので、車の内装デザインの向上に貢献する。(2017年6月8日付日刊自動車新聞より)


受賞

-同社傘下のAGC Automotive Americas Co. (米国テキサス州San Antonio) は、Fabricated & encapsulated glassの品質について、トヨタ「Excellence Award」を受賞した。(2016年3月16日付プレスリリースより)

研究開発体制

-グループの総合的な技術戦略を推進する 「技術本部」 が以下の研究開発組織を統括している:

  • 先端技術研究所:革新的な基盤技術の創出と、最先端のIT技術や高度な解析技術等の共通基盤技術を担当
  • 商品開発研究所:マーケット視点からの新商品の創出、商品技術課題の解決
  • 生産技術部:設備の投資執行と維持管理、生産技術の開発・課題解決・改良
  • 知的財産部:知的財産の調査・分析・出願・権利化・権利行使と知的戦略策定・推進

-2017年2月、同社は新たな研究開発体制を構築する。京浜工場(横浜市鶴見区)に新たな研究棟を建設し、現在京浜工場と中央研究所(横浜市神奈川区)に分散している基盤技術開発・新商品開発・プロセス開発を集約し、社内でシームレスに研究開発を遂行する。また、他の企業や研究機関とコラボレーションを行う空間も作り、京浜工場の立地を活かして都市型価値創造拠点として整備していく。新研究施設の延床面積は47,000平方メートル。新たな研究開発体制は2020年6月よりスタートする予定。(2017年2月3日付プレスリリースより)

-AGCオートモーティブは、日本 (中央研究所、商品開発センター)・米国 (Detroit R&D Center)・ベルギー (Gosselies Technovation Center) に技術開発拠点を置き、自動車用ガラス成形技術、および新商品の開発に取り組んでいる。AGCグループの5つのコア技術 (ガラス材料設計技術、ガラス生産加工技術、フッ素化学技術、薄膜形成技術 (表面処理)、光・電子関連設計技術) をベースとし、デジタルデザイン技術、表面処理技術、自動車ガラス生産技術などの要素技術を融合させている。

買収

-同社は、Solvayのタイ子会社Vinythai PCLの株式58.77%を取得し、買収手続きを完了したと発表した。Solvayの発表によると、取引総額は165億タイバーツ (435百万ユーロ)。(2017年2月23日付プレスリリースより)

-同社は、2月22日付でSolvayのタイ子会社Vinythai PCLの株式58.77%を買収したのに続き、公開買付けにより残りの株式488,682,385株(発行済み株式の約41.23%相当)のうち152,450株(0.01%)を取得したと発表した。本公開買付けは4月7日を以って終了した。(2017年4月12日付プレスリリースより)

技術供与契約

(2017年12月31日現在)
相手先 (国名) 契約内容 契約期間
PT Asahimas Flat Glass Tbk
(インドネシア)
フロート板ガラス製造技術の提供 1993年1月1日より10年間 (以降毎年1年ずつ更新)



研究開発費

(単位:百万円)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
グループ全体 43,912 39,212 38,927
-ガラス部門 7,464 6,961 7,466

-2018年12月期の研究開発費計画は45,000百万円。

設備投資額

(単位:百万円)
2017年12月期 2016年12月期 2015年12月期
グループ全体 165,100 126,000 125,100
-ガラス事業 63,800 50,300 42,300


-2017年12月期、ガラス事業においては、モロッコにおける自動車用ガラス生産拠点の新設等の設備投資を実施。

-2018年12月期の設備投資計画は220,000百万円。


海外事業

<インド>

-同社のインド現地法人Asahi India Glassは、Talojaのフロートガラス工場の操業を開始したと発表した。新工場はGujarat5番目となる工場で、最新のガラス製造技術を用いて1日当たり550トンのガラスを生産するという。(2017119日付プレスリリースより)

<中国>
-2017年1月、同社は中国・広東省にTFT(薄膜トランジスタ)液晶用ガラス基板の合弁工場を新設すると発表した。次世代の大型ディスプレーに対応した高性能ガラスの生産を需要地の中国で現地化する。2017年後半に新会社を設立し、19年の量産開始を計画している。現地メーカーの深圳市華星光電半導体顕示技術と合弁会社「旭硝子新型電子顕示玻璃(深圳)」を設立する。資本金は約108億円で、旭硝子が70%、深圳市華星光電半導体顕示技術が30%出資する。 (2017年1月19日付日刊自動車新聞より)

-2016年3月、中国・蘇州の自動車ガラス生産子会社の社名を変更すると発表した。現在の旭硝子特殊玻璃 (蘇州) から、旭硝子汽車玻璃 (蘇州) に改称する。「汽車」 の単語を社名に組み込むことで、自動車ガラスの生産拠点であることを広く印象づけるのが狙いだ。今回、中国の他の同製品生産子会社の旭硝子汽車玻璃 (中国)、旭硝子汽車玻璃 (仏山) と横並びの社名とし、改称を機に3社の連係を強める。(2016年3月7日付日刊自動車新聞より)


2018年12月期の見通し

(単位:百万円)
2018年12月期
(予想)
2017年12月期
(実績)
増減
(%)
売上高 1,550,000 1,463,532 5.9
営業利益 130,000 119,646 8.7

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
-2018年通期での想定為替レートは1ドル=110円/1ユーロ=135円
-欧州での高いレベルの出荷継続・生産性の改善、アジアでの前年生産トラブルの解消と安定生産を見込む

中長期経営計画

-同社は、2020年12月期までの3カ年中期経営計画「AGCプラス-2020」を発表した。自動車分野 (オートモーティブ) では自動運転技術やコネクテッドカー、電気自動車 (EV) の普及拡大をにらんだ製品開発に注力して新規事業の開拓を目指す。これらによって全体では20年12月期に17年実績と比べて営業利益を3割強の増加となる1600億円以上、自己資本利益率 (ROE) を1.9ポイントアップの8.0%以上に引き上げる計画。自動車関連では、ヘッドアップディスプレー (HUD) などの情報表示スクリーン、通信・テレビ用アンテナなどを組み込んだ高機能なフロントウインドーの提案に力を入れる。このため、18年中に欧州に電波暗室を新設するなど、アンテナの開発体制を整備する。合わせて、軽量化による航続距離の延長がテーマとなっているEV向けに、熱可塑性炭素繊維強化複合材 (CFRP) の量産にも取り組む。 (2018年2月16日付日刊自動車新聞より)

-自動車ガラス事業においては、エコカー・自動運転化による高機能ニーズへの対応を施策とする。

2020年度財務目標

  • 営業利益: 1,600億円以上
  • ROE: 8%以上
  • D/E: 0.5以下