(株) エイチワン 2016年3月期の動向
業績 |
(IFRS、単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上収益 | 200,224 | 182,939 | 9.4 | -主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期比増加。 -為替換算上の影響があり、増収。 |
営業利益 | 6,067 | 207 | 2,830.9 | -前期に有形固定資産の減損損失の計上があったことによる、その他の費用の改善もあり、増益。 |
税引前利益 | 4,377 | (746) | - | - |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2,383 | (1,116) | - | - |
日本 | ||||
売上収益 | 33,512 | 38,767 | (13.6) | -主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期比減少したことから、減収。 |
税引前利益 | 1,219 | 793 | 53.7 | - |
欧州・北米 | ||||
売上収益 | 99,904 | 85,804 | 16.4 | -主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期比増加。 -為替換算上の影響があり、増収。 |
税引前利益 | 2,560 | (289) | - | - |
中国 | ||||
売上収益 | 39,020 | 32,330 | 20.7 | -主力得意先向けの自動車フレームの生産量が前期比増加。 -為替換算上の影響があり、増収。 |
税引前利益 | 2,226 | 698 | 218.9 | - |
アジア・太洋州 | ||||
売上収益 | 27,786 | 26,037 | 6.7 | - |
税引前利益 | (597) | (1,128) | - | - |
事業動向
生産
- 北米:KTH Parts Industries Inc. (KTH社) に3,000tサーボトランスファープレス機 (冷間プレス) を導入、2015年9月から稼働開始。(能力増強と超高張力鋼板の採用拡大)
- 中国:武漢愛機汽車配件有限公司 [WH Auto Parts Industries Inc.] において、3,000tサーボトランスファープレス機 (冷間プレス) を、2016年7月に導入予定。
- インド:H-one India PVT., Ltd.第2工場 (ラジャスタン州) でプレスラインを設定中。プレスから溶接工程までの一貫生産体制が整う予定。
- 日本:戸田工場 (埼玉県戸田市) の閉鎖を決定。同工場の生産品目を前橋製作所に移管し、2016年3月に戸田工場の生産活動を終了。
- 日本:ダイハツ工業・滋賀工場向けに骨格部品の溶接を行う湖南工場 (滋賀県湖南市) が、2015年5月稼働開始。
- 日本:烏山工場 (栃木県那須烏山市) は、2015年4月郡山製作所 (福島県郡山市) へ生産移管を完了。烏山工場には研究開発機能と試作部門を集約。
開発技術
- 日本:燃料電池スタックの金属セパレーターの量産開始。
- 北米:得意先の現地開発の進展に対応し、KTH Parts Industries Inc. (KTH社) に研究開発拠点を新設。
事業売却
<英国>
-同社と八千代工業は両社の持ち分法適用会社である英国の自動車部品製造会社、UYT Limited (UYT) が全事業を現地の自動車部品メーカーに譲渡すると発表した。UYTは八千代とエイチワンが35%ずつ、Honda of the UK Manufacturing Ltd.25%、Honda Trading Europeが5%を出資している。UYTはホンダの英国工場にプレス部品などを供給していたが、事業環境の変化を踏まえ全事業の譲渡を決めた。現地時間の15日付で譲渡した。譲渡先のN Press Assembly Limitedは2015年2月に設立した自動車部品メーカーで、中国の化学品会社が75%を出資している。(2015年6月18日付日刊自動車新聞より)
増資
<メキシコ>
-同社とジーテクトは、メキシコの持分法適用関連会社G-ONE Auto Parts de Mexicoが30百万ドル (約36億円) の増資を行い、両社がそれぞれ50%を引き受けることで合意した。増資後の資本金は60百万ドル (約72億円) となる。同子会社では自動車用部品の製造・販売を行っている。(2015年5月14日付プレスリリースより)
受賞
-2016年3月期、同社と米国子会社KTH Parts Industries Inc. (米国オハイオ州) は、新型車の開発に際して画期的な技術革新を果たしたとして、Honda R&D Americas, Inc. から 「Excellence in Innovation Award」を受賞した。
-2016年3月期、H-one India PVT., Ltd. (インド ウッタルプラディッシュ州) は、高品質な生産体制が認められ、GM Indiaより「Supplier Quality Excellence Award」を受賞した。GM Indiaが生産するChevrolet 3車種の部品の生産を行っている。
中期経営計画 (2014年3月期 - 2017年3月期)
-第4次中期経営計画による2017年3月期の目標は、売上高2,000億円以上、経常利益率4.5%。
経営方針:「全世界の競合他社を凌駕する競争力と技術力で、お客様ニーズに最大限にお応えする。」
大方針 | 詳細 |
①量と質に追随した生産体制の確立 | - |
②お客様ニーズにお応えする開発技術力の強化 | -車の軽量化と衝突安全性能に寄与するフレーム開発を進める。 -構造解析技術を強化し、フレーム全体での性能保証および開発のリードタイム短縮などを実施。 -生産工程への新加工法案の採用や、プレス工程、溶接工程の省人化投資を実施。 |
③個の能力最大化、機能の連鎖による企業力の向上 | - |
2017年3月期の見通し |
(IFRS,単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上収益 | 178,000 | 200,224 | (11.1) |
営業利益 | 4,500 | 6,067 | (25.8) |
税引前利益 | 3,700 | 4,377 | (15.5) |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 2,600 | 2,383 | 9.1 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
合計 | 1,689 | 1,161 | 1,024 |
-日本における研究開発費が全てを占めており、自動車部品関連事業に係る研究開発費が大半。
研究開発体制
-開発技術本部を中心とし、ホンダグループを始めとした多くの研究開発機関と連携をとり研究開発を実施。
研究開発拠点
拠点名 | 所在地 | 役割 |
機種開発センター | 栃木県芳賀郡 | 製品設計 営業企画 |
機種開発センター烏山 | 栃木県那須烏山市 | 研究開発 試作開発 |
開発技術センター | 福島県郡山市 | 機種企画 溶接技術 金型技術 金型製造 |
KTH Parts Industries Inc. | 米国オハイオ州 | 研究開発 |
自動車部品事業関連の主要課題
-溶接接合加工工法技術の開発
-高強度材料、軽量化材料のプレス加工工法技術の開発
-外板部品プレスの加工工法技術の確立
-厚板精密プレス加工方法と組付加工技術との複合による機能部品の開発
-材料の硬度化技術の開発
-CAD、CAM、CAEの技術革新にあわせたシステム開発および技術者養成
-精密金属部品のプレス加工工法技術の確立
製品開発
燃料電池スタックの金属セパレーター
-ホンダの新型燃料電池車 「Clarity Fuel Cell」 に搭載される燃料電池スタックの金属セパレーターの生産を始めたと発表した。薄さと微細な加工が求められる同部材を精密打ち抜き加工 (ファインブランキング) と精密金型の技術を使って安定的に量産する技術を開発した。同社は1台の燃料電池スタックにつき数百枚が必要になるステンレス製金属セパレーターを高品質に大量生産するため、自動車部品の生産で培った加工技術と金型の製作技術を応用。セパレーター特有の精密な形状をプレス加工で安定的に生産する技術を開発し、量産を可能にした。(2016年3月17日付日刊自動車新聞より)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
合計 | 16,680 | 33,995 | 30,824 |
-自動車部品事業関連では、新型自動車部品の量産開始に合わせ専用設備6,732百万円、生産効率化のための生産用汎用設備および工場の増改築等9,948百万円の投資を実施。
国内投資
-西日本の生産拠点である亀山製作所 (三重県亀山市) の生産体制を最適化する。主要顧客のホンダの生産規模縮小と軽自動車シフトに対応し効率を高める。工場スペースとして半減を目標に、2016年度中の完了を目指す。同製作所はホンダの鈴鹿製作所 (三重県鈴鹿市) への供給拠点となっている。将来的な生産数量や売り上げ規模の見通しに合わせた体制を再構築し国内事業の採算性を高める。溶接ラインをコンパクト化して工場スペースを大幅に圧縮する。遊休ロボットを活用して自動化を一段と進めることにより省人化も図る。溶接工場全体の規模を絞り込むことにより採算性を上げ、次期車の投入にも備える。(2016年2月5日付日刊自動車新聞より)
-ダイハツ工業・滋賀工場向けに骨格部品の溶接を行う新工場を2015年5月から稼働させた。これまでは三重県の工場でプレスから溶接まで行っていた。溶接を納入先の近くで行うことにより製品の輸送効率を高める。ダイハツ・滋賀工場から約3キロメートルの場所に、約4千万円を投資して新工場 「湖南工場」 (滋賀県湖南市) を開設した。外部から借り受けた約2千平方メートルの建屋に溶接ラインを設置し生産を始めた。従来は約50キロメートル離れた亀山製作所 (三重県亀山市) でプレスと溶接を行っていたが、溶接を新工場で行うことにより、輸送効率を4倍に高める。(2015年5月19日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
会社名/事業所名 | 所在地 | 投資予定金額 (百万円) |
着手年月 | 完了年月 |
エイチワン | ||||
亀山製作所 | 三重県亀山市 | 1,817 | 2016年3月 | 2018年1月 |
前橋製作所 | 群馬県前橋市 | 1,710 | 2015年12月 | 2018年2月 |
郡山製作所 | 福島県郡山市 | 1,674 | 2016年2月 | 2018年1月 |
連結子会社 | ||||
KTH Parts Industries Inc. | 米国 オハイオ州 |
5,520 | 2015年12月 | 2017年8月 |
Kalida Manufacturing, Inc. | 米国 オハイオ州 |
2,086 | 2015年10月 | 2018年3月 |
KTH Leesburg Products, LLC. | 米国 アラバマ州 |
1,031 | 2016年2月 | 2017年10月 |
KTH Shelburne Manufacturing, Inc. | カナダ オンタリオ州 |
1,185 | 2016年3月 | 2017年10月 |
広州愛機汽車配件有限公司 [GH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 広東省 |
7,187 | 2015年12月 | 2018年2月 |
清遠愛機汽車配件有限公司 [QH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 広東省 |
1,135 | 2016年3月 | 2017年10月 |
武漢愛機汽車配件有限公司 [WH Auto Parts Industries Inc.] |
中国 湖北省 |
4,612 | 2016年1月 | 2017年6月 |
H-one Parts (Thailand) Co., Ltd. | タイ アユタヤ県 |
3,031 | 2016年3月 | 2017年8月 |
H-one Parts Sriracha Co., Ltd. | タイ チョンブリ県 |
89 | 2016年3月 | 2018年2月 |
H-one India PVT., Ltd. | インド ウッタルプラディッシュ州 |
87 | 2016年2月 | 2018年2月 |
PT. H-one Kogi Prima Auto Technologies Indonesia | インドネシア カラワン県 |
5,540 | 2015年11月 | 2017年10月 |