サンコール (株) 2017年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2017年
3月期
2016年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 37,980 36,730 3.4 -自動車関連の売上は、ミッションやエンジン用部品が伸長。
営業利益 2,250 2,113 6.5 -
経常利益 1,734 1,522 13.9 -
当期純利益 1,093 1,042 4.9 -
精密機能材料
売上高 4,352 4,185 4.0 -弁ばね材料は中国市場での売上が増加し、国内では異形材販売が順調に推移。
精密機能部品
売上高 23,297 22,484 3.6 -安全装置用部品が前年に比べて減少したが、ミッションやエンジン用部品が伸長。

中期経営計画

-2016年5月に中期経営方針を発表。2019年3月期に連結売上目標500億円、営業利益率10%を目指す。M&Aを含めた投資も想定し、3年間累計の投資金額を120億円に設定。

自動車関連事業の拡大
-弁ばね用材料事業の拡大
 エンジン/ミッション系精密機能部品は、拡大するグローバル市場を見据え、中国、メキシコの自動車用線材生産能力を引き上げ、日本を含めた3拠点による生産効率化の追求と最適生産・供給体制の構築を進める。

  • メキシコ: 北米市場向け、需要旺盛で2016年に垂直立ち上げ
  • 中国: 中国・東南アジア市場向け、2015年後半から販売量増加
  • 日本 (京都): フル操業

-材料から製品まで一貫生産の強みを活かす

  • シー トベルト用ぜんまいばね (リトラクター) と材料のシェア拡大: 同製品のシェアは現状8% (同社調べ)。材料の年間供給能力を2015年時点の約2,600トンから2018年に約4,000トンに増強。材料生産拠点を韓国合弁会社に移管し、材料の外販も伸ばす。ぜんまいばねは速水発条との合弁会社を通じて、北米市場に参入する。
  • ミッション用高強度ばね (ダンパースプリング) の事業拡大: ATミッションの多段化、アイドリングストップ対応などで高強度材料の需要が拡大。弁ばね用材料の転用、自動化ラインへの変更による採算向上などで、事業拡大を図る。
  • ハイブリッド車用弁ばね材料の開発: 高出力エンジンに比べて低強度で、低廉化対応の新製品を開発。

-HV・EV・PHV・FCV向け新製品開発と自動車以外への展開
 安全、環境、運転支援技術の開発による自動車の電動化、軽量化が加速し、電子化製品の需要増加と素材転換が進む中、同社は精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用し、HV・EV・PHV・FCVに搭載されるキーパーツの開発と量産化を進め、将来の中核事業へ育成していく。また、既存製品に代わる素材の研究開発に取り組んでいる。

  • シャントonバスバー: バスバー一体型の電流センサー。リチウムイオン電池の大電流まで高精度に検出可能。シンプル構造で低コスト、一体型で省スペース。
  • バスリング: 1本の銅の平角線からの成形でプレス金型不要、小ロット対応可能。モーターの配線作業を大幅に簡素化。
  • ワイヤレス給電コイル: 大電流用の非接触給電コイル。異形断面線によりコイル厚は丸線の約半分、加工後塗装により高い耐電圧性、安定形状により周波数安定。
  • 角線マグネットワイヤー: モーターコイル用のマグネットワイヤー。同社の特許、圧延技術による角線を使用。角線使用によるモーターの小型化、アルミ製による軽量化、耐熱性向上。

研究開発活動

1) 開発グループ
シャントセンサー
-200~800アンペアもの大電流を精度高く測定。KOA (株) と共同開発。量産用として正式採用が決まり今年度より販売を開始する。

2) 精密機能材料
表面性状改善および新規精密ピストンリング線材
-ピストンリングは鋳物製からスチール線材 (精密異形線) が主流となり、今後さらなる性能向上およびコスト低減のため、線材形状精度および表面清浄を極限まで高め、リング成形後の機械加工廃止および低減 (ニアネット線材) が要求されている。同社は従来引抜線材の課題であった線材性状を改善する新工法を開発し、量産供給を開始した。

3) 精密機能部品
高圧燃料ポンプ用プランジャースプリングの開発
-ガソリン直噴エンジンの高圧燃料ポンプに使用される高性能プランジャースプリングを開発、特許を出願。フリクションを押さえて発熱量の低減効果があり、国内自動車メーカーでの採用が決定し、2017年1月から量産を開始。

シートベルトリトラクター用高トルクぜんまい
-高トルクぜんまいバネ用圧延材の開発により、トルク値を現行比10%高めることに成功。これにより、ぜんまい材の薄板化と全長削減が実現でき、高トルクモデルへの参入が可能となった。2017年度の国内量産化およびメキシコ合弁会社での拡販に向けて顧客と評価推進中。

バスバー次世代製品の開発
-バスバーはEV・HV・PHEV関連の車載用バッテリーユニット、モーター、インバーター用の電源供給ターミナルとして開発。次世代製品として、ベースのアルミ化、薄膜絶縁塗装、多層樹脂モールド化の開発に着手。

研究開発費

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
全社 807 940 823

設備投資額

(単位:百万円)
2017年3月期 2016年3月期 2015年3月期
-精密機能材料 (日本) 415 330 310
-精密機能材料 (北米) 680 941 1,031
精密機能材料 計 1,095 1,271 1,341
-精密機能部品 (日本) 744 1,078 1,119
-精密機能部品 (北米) 424 1,007 527
-精密機能部品 (アジア) 110 340 566
精密機能部品 計 1,278 2,425 2,212
その他 1,562 934 304
合計 3,938 4,630 3,857

設備の新設計画

(2017年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定額
(百万円)
着手 完了予定
同社
(京都市右京区)
生産設備
(精密機能材料)
400 - 2018年
3月
生産設備
(精密機能部品)
498 - 2018年
3月
サンコールエンジニアリング (株)
(山梨県南アルプス市)
生産設備
(精密機能部品)
174 - 2018年
3月
Suncall America Inc.
(米国インディアナ州)
生産設備
(精密機能部品)
238 - 2017年
12月
Suncall High Precision (Thailand) Ltd.
(タイ チョンブリ県)
生産設備
(精密機能部品)
105 - 2017年
12月
広州新確汽車配件有限公司
[Suncall (Guangzhou) Co., Ltd.]
生産設備
(精密機能部品)
63 - 2017年
12月

2018年3月期の見通し

(単位:百万円)
2018年3月期
(予想)
2017年3月期
(実績)
増減
(%)
全社
売上高 41,500 37,980 9.3
営業利益 2,700 2,250 20.0
経常利益 2,600 1,734 49.9
親会社株主に帰属する当期純利益 2,000 1,093 82.9
自動車関連事業
売上高 29,400 27,649 6.3

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)