Benteler Group (Benteler Automobiltechnik GmbH) 2018年12月期の動向

業績

 (単位:百万ユーロ)
  2018年
12月期
2017年
12月期
増減率
(%)

要因

全社
売上高 8,071.6 7,856.1 2.7 1)
EBIT 119.3 206.8 (42.3)
自動車部門
売上高 6,304 6,296 0.1 2)


要因
1) 売上高
-2018年12月期の売上高は、前年比2.7%増の8,071.6百万ユーロ。全部門で売上高が増加し、中でもスチール/チューブ部門が最大の成長を見せた。

2) 自動車部門
-2018年12月期の同部門の売上高は、前年比0.1%増 の6,304百万ユーロ。為替の影響を除くと売上高は前年比2.7%増。年度上半期に売上が増加した一方で、下半期は市場の低迷により売上は減少した。売上増の要因は上半期の需要増、新製品の投入、ポーランドWrzesnia、ポルトガルPalmela、中国瀋陽、チェコKlasterec nad Ohriの新工場設立など。

Chassix Inc.による事業買収

- Chassixは、先に発表済のBentelerのノルウェーFarsundの自動車用軽量アルミ低圧鋳造事業部門の買収が完了したと発表した。買収完了に伴い、同事業部門は社名をChassix Norway ASに変更する。Farsund工場は高性能自動アルミ鋳造技術により、軽量アルミ鋳造部品を設計・製造している。Bentelerは事業ポートフォリオを詳細に分析した結果、アルミ低圧鋳造事業部門の売却を決定。なお、今後も軽量製品の開発は継続するとしており、アルミ鋳造部品についても必要に応じてChassixの協力の下供給するという。(2018321日付プレスリリースより)

合弁事業

-同社の自動車部門であるBenteler Automotiveが、中国・重慶にJianAnとの合弁工場を新たに開設したと発表した。JianAnは、中国の主要自動車メーカーの1つである長安汽車 (ChangAn) の子会社。Bentelerの中国で15番目となる新工場は、20184月に操業を開始。シャシー部品やプレス部品を中心に生産し、長安汽車やFordPSAに供給する。(20181129日付 プレスリリースより)

-2018年6月4日、同社と長春一汽富維汽車零部件股份有限公司[Changchun Faway Automobile Components Co., Ltd.]は合弁契約書の調印式を行った。両社は天津に合弁会社一汽富維本特勒汽車零部件(天津)有限公司[Faway Benteler Automobile Components (Tianjin) Co., Ltd.]を設立した。合弁会社工場の敷地面積は2.9万平方メートル。2018年6月に稼働を開始する。主に一汽傘下の一汽VW、Audi、一汽トヨタ、紅旗(Hongqi)、奔騰(Besturn)にプレス部品、熱成型部品、アルミ製部品及びシャシーシステムなどを提供し、中国本土の顧客のニーズに応える。新工場の従業員は現在120名を超えており、2020年までには400名まで増員する計画である。(2018年6月7日付けリリースより)

最近の動向

-同社は、スペインやポルトガルといった南欧の自動車部品工場で、3Dプリンターを活用してプロトタイプやスペアパーツを製作していると発表した。これにより、顧客の要望に迅速かつ柔軟に対応することができるという。3Dプリンターを使用しているのは、スペインのBurgosVigoValenciaとポルトガルのPalmela工場。Bentelerは、革新的な技術を利用して生産の向上に努めるとしている。(201876日付プレスリリースより)

-同社は、持続的な成長に向け2017年に策定した「Strategy 2022」を実行に移すと発表した。同戦略は、コアビジネスの発展、成長目標達成、企業風土醸成の3本柱。事業展開に関しては、コアビジネスにフォーカス。自動車部門では、熱成形スチールやアルミ部品の生産に重点を置く。また、中国における電動モビリティ事業を大きなチャンスと捉え、新技術や成長市場に投資する。同社は2017年度、電気自動車(EV) 向けの「Benteler Electric Drive System」を世界に先駆けアジアで発表している。さらに、同社の成長の根幹は「勇気、大志、尊敬」を重んじる企業風土にあるとして、今後も重要視していく。同社の収益は2022年までに113億ユーロを超える見通し。(2018316日付プレスリリースより)

受賞

-同社のの中国拠点であるBenteler Automotive Wuhuは、吉利汽車から2017年「Best Quality Improvement」賞を受賞したと発表した。吉利汽車の「CX11」熱間鍛造プロジェクトにおける貢献が評価された。(2018425日付プレスリリースより)

見通し

2022年までに売上高で113億ユーロを見込む。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
全社 96.1 87.4 94.2



研究開発体制

-R&D要員は1,200名超。18カ国32カ所にR&D拠点を保有。

-研究開発活動は、複合骨格部品およびアルミ部品の開発・設計・製造を通じた軽量化に注力。自動車部門においては、製品開発及び製造工程での構造の軽量化技術、改善、安全等に集中している。

研究開発活動

-電気自動車の普及によって自動車関連の新たな関心領域を生み出しており、電気自動車システムの衝突安全性、コスト、バッテリーの熱管理などに焦点を当てている。

製品開発

ドイツの秋の展示会に出展
-同社の自動車部門であるBenteler Automotiveが、ドイツWolfsburgで開催された自動車部品の国際展示会「Internationale Zuliefererborse (IZB)」に出展したと発表した。Benteler Automotiveは、さまざまな種類の自動車に容易かつコスト削減で対応可能な電気自動車 (EV) 用バッテリートレイや、動力のハンドリングを向上し運転中のノイズを回避する設計と一体型電動ドライブユニットが特徴のEV用シャシーを紹介。また、ドイツ・ヘッセン州Bad Nauheimで開催された「EuroCarBody 2018」では、同社の骨格部品事業部門 (Business Unit Structures) が、軽量構造と衝突安全を念頭に設計されたBピラーやバンパー、バッテリートレイなどを披露した。(20181018日付 プレスリリースより)

低排出ガス用鍛造燃料レール
-同社は、ドイツWarburg工場で鍛造燃料レールの量産体制に入ったと発表した。この燃料レールは従来のはんだ付けストリップと比較して350バール以上の高い射出圧力を可能にし、特にガソリン排出物内の微粒子排出を低減するという。この工程はオンラインで制御・モニターされ、加工物は裁断機内に入れられる。またこのシステムは、1度の固定時に処理することが可能で、プロセス間での最大の精度と品質を保証するとしている。同社は世界の自動車メーカー向けに250万個の鍛造燃料レールを製造する予定。(2018620日付プレスリリースより)

複数の平面上で湾曲するチューブ部品
-同社の自動車部門は他の部門と協力して、複数の平面上で湾曲したチューブ部品の開発を進めている。

高硬度アルミシートソリューションと押出プレスソリューション
-同社は、自動車用途に使用される高硬度アルミニウムシートソリューションおよび高硬度押出プレスソリューションを研究している。

設備投資額 (単位:百万ユーロ)

  2018年12月期 2017年12月期 2016年12月期
全社 429 429 440
-自動車部門 370 386 338

-2018年12月期の自動車部門の投資額370百万ユーロの内、約223百万ユーロが個別プロジェクトの投資、工場や生産設備への投資。最大の投資はドイツSchwandorf工場の拡張、スペインVigo工場の新生産ホールの拡張およびチェコKlasterec nad Ohn工場のインフラ投資。また、米国サウスカロライナ州Spartanburg工場、メキシコPuebla工場、中国瀋陽、重慶工場およびドイツKleinenberg向上にも追加投資が行われた。

グローバル投資

<チェコ>
-同社の自動車部門であるBenteler Automotiveが、チェコのKlasterec nad Ohriに新たな部品工場を開設したと発表した。開設記念セレモニーには、地元当局幹部や顧客、サプライヤー、同社経営陣らが出席した。チェコで5番目となる新工場の開設は、顧客との関係強化や地域需要への最適な対応が目的。工場は2017年末に稼働を開始し、主要顧客であるVolvoBMWSkoda AutoDaimler向けに鋼製部品の熱間鍛造、ブランキング、溶接、 レーザー切断などを行っている。工場の敷地面積は13万平方メートルで、第1段階における生産設備の面積は23,000平方メートル。現在の新規雇用数は300人だが、2018年末までに400人に増やす予定。(2018412日付プレスリリースより)

<ドイツ>
-同社の自動車部門であるBenteler AutomotiveがドイツPaderborn市のAn der Talle工場で「BOOST 4.0」を実施すると発表した。「BOOST 4.0」は、欧州でのビッグデータ活用の推進を目的として2018年初頭に発足、16カ国50社の企業が参加するプロジェクト。プロジェクト実施に際して、はFraunhofer Institute同社をパートナーとして迎え入れ、欧州委員会(EC)から予防保守費用として資金提供を受ける。また、同社が参画する企業間ネットワーク「it’s OWL」もプロジェクト実施に向けて経験を活かしたサポートを行うという。(2018313日付プレスリリースより)

-同社の自動車部門であるBenteler AutomotiveがドイツSchwandorf工場で拡張工事の起工式を行ったと発表した。工場の生産・敷地エリアを1.5倍に拡張し、有名自動車メーカー向けにバッテリートレイを生産する。拡張工事は2018年末に完了し、2019年に稼働を開始する予定。(201835日付プレスリリースより)