新型プリウスとマツダロータリー:東京モーターショー2015から

プリウスの進化、マツダのこだわり

2015/11/16

要 約

トヨタ新型プリウス マツダRX-VISION
(トヨタ新型プリウス) (マツダRX-VISION)


 本レポートは、2015年東京モーターショーの、新型トヨタプリウスの技術内容とマツダに伺える今後の技術動向について報告する。

 トヨタは、プレス発表で豊田章男社長がイチローと新型プリウスの前でwhat wows you?(あなたの心を動かすものは何ですか?)という言葉を紹介し、過去の歴史とこれからのトヨタについて、勇気をもって新しいチャレンジをすることが必要、また世界中にWOWを届けたいと語った。トヨタプリウスは米国ラスベガスでの最初の披露、フランクフルトショ-での発表に続き、3度目の披露となった。今回も実車の展示だけで技術内容の展示等はみられなかったが、トヨタグループが満を持し、発売を準備中との意気込みが感じられた。

 マツダはロータリーエンジンの復活と称し、コンセプトカーのRX-VISIONを紹介。ロータリーエンジン等の展示はなかった。コンセプトカーKOERU、ロードスター、デミオ等量産車とSKYACTIV G、Dの3種類のエンジン展示がみられた。


関連レポート
         
4代目プリウス搭載部品:東京モーターショー 2015から
東京モーターショー2015:トヨタと日産の出展取材
・Post2025年の乗用車用パワートレーンの主流は?(日本メーカー編)



トヨタ新型プリウスの進化

 TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー:トヨタの新しいプラットフォーム)のトップバッターとなる新型プリウスはトヨタ及びトヨタ圏サプライヤー総がかりで燃費向上を追求し、40km/L(JC 08モード燃費)を目指している。また4代目となるプリウスの商品力(乗り心地、走行性能、音振性能)のレベルアップに取り組んでおり、12月初旬の発売を満を持して準備中。

 トヨタ広報資料等から燃費向上の取り組みを纏めるとハイブリッドシステムはTHS(トヨタハイブリッドシステム)-Ⅱのまま(旧型と同じ)据え置かれたが、システムの構成要素は各々性能向上と改良が図られている。

新型プリウスのTHS-Ⅱの変更点

項目 旧プリウス 新型プリウス 変更点
エンジン型式 2ZR-FXE <エンジン変更点> 1)吸気ポート変更:タンブル(縦方向渦)比0.8→2.8 2)大容量クールドEGR化    インテークマニホールドのEGR分配通路をトーナメント式に改良 3)シリンダーブロック水ジャケットにスペーサー追加
排気量(CC) 1797
ボアxストローク(mm) 80.5X88.3
圧縮比 13 13.1
出力(kW) 73 72
トルク(Nm) 142 142
最大熱効率(%) 38.5 40
モーター出力(kW) 60 53 小型軽量高出力密度化 (20%損失低減)
ハイブリッドトランスアクスル THS-Ⅱ 用 プラネタリウムギアの平行軸歯車化 20%損失低減 全長47mmコンパクト化
パワーコントロールユニット 小型軽量化 体積比  △33%
駆動用バッテリー ニッケル水素及びリチウム 高性能&小型化体積比△9.9%(Ni)△23%(Li)
車重(除乗員)kg 1310 目標 1310 Lグレード
JC08燃費(km/L) 32.6 目標 40 Lグレード

JC08モード燃費 (km/L) (トヨタ広報資料よりMarkLines作成)

 

(1) エンジン変更点 吸気ポート変更

吸気ポート変更 (トヨタ広報資料) 燃焼室に流入する吸気ポート(空気流入通路)の形状を変更して燃焼室に流れ込む空気の流れ①をより直線に近くすることで、縦方向(PISTONの上下運動方向の空気の流れを強くして、タンブル比(縦方向の渦生成の割合)を大きくした。その結果タンブル渦を消す方向②の空気の動きも小さくでき、タンブル比が0.8から2.8まで大きく出来た。縦方向の渦が大きく出来たために、EGR(排気再循環)を多量にかける事が可能になり燃費が向上したという。

 

(2) エンジン変更点 大容量クールドEGR化

大容量クールドEGR (トヨタ広報資料) EGRガスをインテークマニホールドの1番気筒流入通路から4番気筒流入通路までトーナメント方式に独立して流すようにしたことで、通路の断面積が従来より大きくとれ、気筒毎の空気流の干渉もさけられ、結果としてEGRガスが大量に流せるようになったという。

 

(3) エンジン変更点 エンジンブロック水ジャケットスペーサー追加

ウォータージャケットスペーサー (図:トヨタ広報資料) 通常、燃焼室に近いシリンダー上部は温度が上がり、下部は過度に冷却される。Expad付ウォータージャケットスペーサーを入れるこことで、上部の温度を下げてノッキングを改善し、下部の温度を上げてシリンダー上下の温度差を小ささくしシリンダーの熱膨張を均一に近づけフリクションを低減。

 

(4) ヒーター性能改善の為、新型プリウスは2系統冷却システムに変更

2系統冷却システム (図:トヨタ広報資料) 左図の切替弁により冬場のエンジン始動時にはエンジンから出た温まった冷却水を優先してヒーター通路に流し、室内の空気を暖める。十分温まった後は切換弁をラジエター通路に流し水温を下げる方向に調整する。

 

 



TOYOTA圏サプライヤーが供給するプリウス部品

アイシングループ(アイシン精機、アイシンAW、アイシンAI、アドヴィックス等)

電子制御ブレーキシステム 電子制御ブレーキシステム アルミ浮動型キャリパーパッド、ローター ラジエター部品、グリルシャッター エンジン部品 トランスアクスル部品 等

 

電気式4駆駆動ユニット (プリウス用電気式4駆駆動ユニット) 電気式4駆駆動ユニットについては アイシンAIでデファレンシャルギア類、アイシンAWで誘導モーター、アイシン精機が全体の組み立てを行っている。

 

デンソー

デンソー HV用モーターステーター PCU(パワーコントロール ユニット) カーエアコンシステム 画像センサー ミリ波レーダー ITS Connect対応車載機

 

豊田自動織機

豊田自動織機豊田自動織機豊田自動織機豊田自動織機
カーエアコン用電動コンプレッサー DC-DCコンバーター リア走行インバーター ACインバーター   TOYOTA圏サプライヤー部品については詳細レポートをご覧ください。

 

 



マツダのこだわり

Mazda RX-VISION (マツダ広報資料) マツダの「飽くなき挑戦」を象徴するロータリーエンジンを搭載したスポーツカーのコンセプトモデル「Mazda RX-VISION」が公開された。次世代ロータリーは「SKYACTIV-R」と称し常識を打破する志と最新技術を持って課題解決に取り組むという。 1961年に最初のロータリーエンジンの試作品を作ってから54年後2015年の東京モーターショーに再度RX-VISIONを出展。

 マツダのこだわりは投入済のSKYACTIV-Dでも、欧州のEUR5,6規制を触媒、DPF等後処理デバイス無でクリアーし、北米への投入も狙っている事からもうかがわれる。また2018年以降、究極の燃焼システムと言われているHCCI燃焼をSKYACTIV GEN2として開発中。さらにエンジン冷却損失を減らしたSKYACTIV GEN3も開発する計画を公表している。欧州勢がCO2低減の手段として主役であったディーゼルエンジンから48Vのマイルドハイブリッド電動化に大きく舵を切っている中で、マツダは独自の道を進んでいる。

 

≪年表≫

年表
(MarkLinesまとめ)

以下マツダ広報資料

 

マツダ広報資料

 

i-STOP

 《SKYACTIV、i-STOP》

アイドルストップについても2009年より、独自のシステムを開発している。アイドルストップ時のピストンの停止位置を上死点過ぎに止まるようコントロールする。そうする事で再始動時に燃焼力を効率よくピストンに伝え再始動がしやすくなる。

 

ナチュラルサウンドスムーザーシステム

 《ナチュラルサウンドスムーザーシステム》

ディーゼルのノック音を低減するためにピストンピンの中にマスダンパーを設け、ピストンの首振りによるボアたたきの音発生を低減する機構を工夫している。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>