日本の車載用リチウムイオン電池:新工場竣工と増産計画が相次ぐ
トヨタ、ホンダ、日産が、2010~2012年にリチウムイオン電池搭載車を発売
2011/03/29
- 要 約
- プライムアースEVエナジー/トヨタ:トヨタのHEVはニッケル水素電池搭載を継続
- パナソニック:Tesla Model S、トヨタRAV4 EVに民生用電池を供給
- 三洋電機:スズキ、VWグループなど、6社からリチウムイオン電池を受注
- AESC/日産:EV用リチウムイオン電池生産能力を、年9万台分へ3.6万台分増やす
- リチウムエナジー ジャパン/三菱自動車:長期的にEV 10万台分の生産体制を構築
- ブルーエナジー/ホンダ:2013~2014年にHybrid車25~30万台分を生産
- 日立グループ:GMのeAssistシステムにリチウムイオン電池を供給
- 東芝:柏崎工場で量産を開始、三菱自、ホンダに供給
- 三菱重工:2010年11月に量産化実証実験工場が完成、電気バスに供給
要 約
以下は、日本の車載用電池メーカーのリチウムイオン電池開発・生産計画と、自動車メーカーからの受注状況の概要である。
リチウムイオン電池を搭載する電動車両として、2009年の三菱i-MiEV、富士重工のSubaru plug-in Stella、トヨタのPrius PHEV(約600台の限定販売)に続き、2010年に日産がFuga HEV、EV Leafを発売した。2011年にトヨタPriusワゴン7人乗り車、ホンダCivic HEV(米国で発売)がリチウムイオン電池を搭載し発売される。2012年にはトヨタがPrius PHEVを市販し、iQベースEVとRAV4ベースEVを発売する。ホンダは、2012年にEVとPHEVを日米で発売するとされる。
こうした国内自動車メーカーの計画に対応し、また海外自動車メーカーからの受注もあり、2010年に三洋電機の加西工場、東芝の柏崎工場、三菱重工の長崎量産化実証工場が竣工した。
リチウムエナジー ジャパンは、滋賀県栗東市に新工場建設を開始し、さらに隣接地に工場用地を取得し新工場を建設する計画。AESC/日産は、EV向け電池生産を、当初計画の5.4万台分から9万台分に増やすと発表した。日立グループは2010年末に、GMのeAssistシステム向け量産を開始した。
その他の電池メーカーの受注状況については、三洋電機はスズキ、VWを含む6社から受注した。東芝は三菱自動車の軽商用車EV向け電池を受注し、ホンダフィットEVコンセプト向けに納入。また2009年から共同開発しているVWに加え、Fiat、Scaniaとも共同開発中。リチウムエナジー ジャパンは複数の日欧自動車メーカーから受注する見込みとされる。
日本の主要二次電池メーカーの、車載用電池開発・生産計画 |
(*印はニッケル水素電池、他はリチウムイオン電池の計画) |
主な供給先 | 計画の概要 | |
---|---|---|
プライムアースEVエナジー (PEVE)/トヨタ |
パナソニックが三洋電機を子会社化したことに伴い、PEVEへのトヨタの出資比率を60%から80.5%に引き上げ(パナソニックの出資比率は40%から19.5%に下がった)、社名をパナソニックEVエナジーから現社名に変更した。 | |
*PEVEのニッケル水素電池の生産能力は、2010年10月で年110万台分。トヨタのHEVは、当面ニッケル水素電池中心に搭載する。 | ||
トヨタは、2011年に発売するPriusワゴン7人乗り車、2012年に発売するPrius PHEV、iQベースEV、RAV4 EVにリチウムイオン電池を搭載する。 | ||
パナソニック | トヨタ、 Tesla Motors |
*三洋電機子会社化に伴い、ニッケル水素電池事業を中国企業に売却。 Tesla Model S、トヨタRAV4 EVに、民生用リチウムイオン電池を供給。 |
三洋電機 | *ホンダ、Ford、PSA、 VWグループ |
*ニッケル水素電池を、ホンダ、Ford、PSA、VWグループに供給。2010年度に、洲本事業所での生産を最大月産350万セルまで拡大する。 |
スズキ、VW、他 | リチウムイオン電池を生産する兵庫県加西工場が2010年7月に竣工。三洋電機は、スズキ、VWを含む6社から受注したとされる。 | |
オートモーティブ・エナジー・サプライ (AESC)/日産 |
2010年6月、EV用リチウムイオン電池生産能力を年9万台分へ3.6万台分増やすと発表。2010年10月に発売したFuga Hybrid、10月に生産開始したEV Leafに供給を開始。 | |
英国、米国、ポルトガルで、リチウムイオン電池工場の建設を開始。 | ||
リチウムエナジー ジャパン(LEJ) |
三菱自動車 | 滋賀県栗東市に新工場を建設し、2012年後半にLEJの3工場を合わせて三菱i-MiEV 67,800台分の生産能力を構築。さらに筆頭株主(51%)のGSユアサが隣接用地を取得し、10万台分の体制構築を目指す。 |
ブルーエナジー | ホンダ | 2011年に米国で発売するCivic Hybridにリチウムイオン電池を供給。 ホンダは2012年に、日米でEVとPHEVを発売するとされる。 |
日立グループ | GM、いすゞ、 三菱ふそう |
2011年にGMが搭載するeAssistシステム向けに量産を開始。 |
2010年10月、Johnson Controlsと提携。 | ||
東芝 | ホンダ、三菱自動車 | 2010年9月に柏崎工場が竣工。VWとEV向け電池を共同開発中。 |
三菱自動車の軽商用車EVとホンダフィットEVコンセプトに供給する。 | ||
Fiat、Scaniaと、HEV用電池の共同開発を進めている。 | ||
三菱重工 | 自社製フォーク リフト、EVバス |
2010年11月に、長崎造船所内に量産化実証工場が完成。京都市と青森市で行うEVバス実証実験車に、リチウムイオン電池を供給。 |
2011年3月、HEV用高出力品を開発中と発表。 |
資料:各社発表、各紙報道
このレポートは有料会員限定です。 残り 9 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。