日本の新車販売見通し:2014年度販売は510万台超も

2013年度は個人消費増と消費税増税前の駆け込みで569万台

2014/04/28

要 約

  2013年度の日本の新車販売は、前年度比9.2%増の569万台となり、2006年度の562万台以来の高い水準。アベノミクスによる個人消費の増加、メーカー各社の新モデル導入、そして、2014年4月の消費税増税前の駆け込み需要が販売を促進した。

 4月以降、消費税増税による駆け込み需要の反動減と、需要減退が懸念されている。前回の消費税増税時(1997年4月)には、1997年7月以降の経済状況の悪化(7月からのアジア通貨危機、11月の山一証券の自主廃業など)もあり、1997年度の販売台数は前年度比13.9%減の628万台へ急落した。

 2014年度の国内販売の見通しについては見方が分かれている。日本自動車工業会は、2014年度の国内需要は475万台と前年度比16.6%減少すると予想している(3月20日発表)。これは、経済状況も悪かった1997年度の13.9%減よりも減少すると見通していることとなり、悲観的なシナリオを想定していると考えられる。一方、主要メーカーや、シンクタンクによる見通しでは、足下の経済状況と販売状況から、510万台-530万台(前年度比10.4%-6.9%減)になると予測されている。

 アジア通貨危機が起きた1997年と2014年では足下の経済状況が異なるため、販売台数が1997年度と同じように13.9%も減少するような状況が起きることは想定しにくい。2014年度の販売台数は、ホンダ/日産が想定するように前年度比約10%減の510万台を超える水準になると見通すことは合理的であると考える。

 なお、英国の調査会社 LMC Automotive社の暦年予測によれば、2014年暦年のライトビークルの販売台数は微減の522万台と予測している。2015年暦年については、駆け込み需要の反動減が2015年1-3月にでるため、前年比11.7%減の461万台を見込む。

 

日本の新車1・推移
グラフデータ 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 年度
合計
販売
台数
:千台
1996
年度
516 481 591 680 395 658 576 652 562 446 665 1,065 7,288
1997
年度
438 428 557 610 357 614 511 518 515 353 525 849 6,275
2013
年度
365 368 451 472 367 523 422 457 423 496 565 783 5,692
2014
年度
345
(2014
年度
試算値)
310 327 425 424 331 487 374 364 388 392 446 624 4,893
前年
同月比
1996
年度
1.8% 3.7% -4.2% 4.8% -3.1% 4.0% 5.8% 9.9% 9.3% 11.5% 9.1% 11.3% 5.7%
1997
年度
-15.1% -10.9% -5.8% -10.3% -9.7% -6.8% -11.3% -20.5% -8.4% -20.9% -21.2% -20.3% -13.9%
2013
年度
1.5% -6.9% -10.8% -8.0% -1.1% 17.0% 17.3% 16.1% 25.0% 29.4% 18.4% 17.4% 9.2%
2014
年度
-5.5%
(資料) 日本自動車工業会のデータより作成 (2014年5月1日更新)


関連レポート:
・日本の新車販売(上):2014暦年の市場見通しと消費税増税 (2014年1月)

・日本の新車販売(下):モデル別・排気量別販売台数 (2014年1月)

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