日本メーカーの2011年度見通しとタイ洪水の影響

トヨタ/ホンダが通年見通しを取り下げ

2011/11/14

要 約

 

 日本の自動車メーカー各社は、2011年3月に発生した東日本大震災の影響によって、3/4月は前年の4割程度の生産減を強いられた。その後は徐々に回復し、夏にはほぼ通常の生産体制となり、秋以降は各社とも増産体制に入る予定であった。しかし、タイで起きている洪水の影響を受け、10月からタイに進出している日系メーカーの全ての現地工場が稼働停止となった(11月中旬より一部稼働再開)。また、タイ国外でも、部品調達網に影響が出たため、トヨタ/ホンダの一部の工場では生産調整が行なわれている。

 このタイ洪水の影響で、トヨタ/ホンダは2011年度上半期決算発表時に、通年の業績見通しを取り下げた。トヨタ/ホンダ以外の日本メーカー8社を合わせた2011年度の見通しは、販売台数が前年度比5.6%増の1,140.1万台と、第1四半期決算発表時の見通しから上方修正した。売上高は下方修正し21.8兆円(同2.4%増)、営業利益は上方修正し9,240億円(同8.8%減)。通年の想定ドルレートは平均で1ドル=77.9円と約2.5円引き上げた(下半期の想定レートは76.8円)。

 また、トヨタ/ホンダを含めた10社合計の2011年度上半期業績は、販売台数は901.0万台(前年同期比11.9%減)、売上高は20.4兆円(同13.2%減)、営業利益は4,920億円(同60.6%減)と東日本大震災の影響を大きく受けた。

 

日本メーカーの2011年度見通しと上半期決算の概況

四輪車売上台数(千台)連結売上高(億円)営業利益(億円)ドルレート(円)
2010 年度 決算2011年度2010 年度 決算2011年度

2010 年度 決算

2011年度2011年度
通年 見通し上半期通年 見通し上半期通年 見通し上半期通年 見通し上半期
トヨタ 7,308 - 3,026 189,937 - 80,159 4,682 - (326) - 80
日産 3,888 4,411 2,012 87,731 94,500 43,674 5,375 5,100 3,097 79.9 79.8
ホンダ 3,512 - 1,319 89,368 - 36,005 5,697 - 750 - 79
スズキ 2,642 2,719 1,205 26,082 26,100 12,262 1,069 1,100 647 77 80
マツダ 1,100 1,060 470 23,257 21,600 9,592 238 0 (216) 78 80
三菱 1,098 1,094 530 18,285 18,200 9,075 403 500 342 78 80
ダイハツ 893 922 404 15,594 15,700 7,113 1,034 950 420 76 80
富士重工 657 645 266 15,806 14,800 6,550 841 300 188 78 80
いすゞ 408 422 182 14,155 14,300 6,581 882 940 438 78 81
日野 108 128 56 12,427 13,200 5,757 289 350 149 78 80
10社合計 20,613 9,010 464,621 203,898 19,187 4,920 77.9 80.0
資料:各社の決算短信と決算発表資料
(注)1.
トヨタとホンダは、2012年度中間決算発表時に、タイの洪水により生産活動が停滞している影響を合理的に算出できないとして、通年の業績見通しを未定とした。
2.
ドルレートの合計欄は、公表各社の平均値。
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