アジアの最低賃金比較 -自動車生産地域の2015年最低賃金-

2015/01/08

要 約

 マークラインズ株式会社は自動車工場が集積しているアジア8地域について、2015年1月時点の最低賃金をとりまとめました。

 中国の上海は月額1,820元(約300ドル)、広州は1,550元(約250ドル)で、2010年比ではそれぞれ2倍近く上昇しています。
 タイ政府は2012年4月からバンコク首都圏およびプーケットの7都県で最低賃金を日額300バーツに引き上げるとし、残り70県の最低賃金を一律39.5%引き上げました。2013~15年は全国一律で日額300バーツ(月額約200ドル)に据え置き、賃金の高騰が抑えられています。
 マレーシアは2013年から最低賃金制度を導入しました。マレー半島全域で月額900リンギ(約260ドル)に設定されています。
 インドネシアは最低賃金の上昇率が高く、毎年各地で労使紛争が繰り広げられています。西ジャワ州カラワン県では月額298.7万ルピア(約245ドル)となり、現地通貨建てでは2010年比で約4.4倍も上昇しています。なお、カラワン県の自動車産業を含む第3グループは月額341.5万ルピア(約280ドル)とさらに高水準に設定されています。
 ベトナムは第1地域(ハノイ市、ホーチミン市など)で月額310万ドン(約155ドル)、第2地域(ビンフック省、ダナン市など)で月額275万ドン(約140ドル)と、他のASEAN諸国に比べてまだ低水準ですが、上昇率は高く、第2地域では2010年比で約2.3倍となっています。

 インドネシアやフィリピンでは自動車生産の集積地が首都圏に集中しているため、今回の比較対象地域の最低賃金は国全体の水準よりも高くなっています。また、最低賃金の設定基準は各国ごとに異なるため、実質賃金については留意する必要があります。インドネシアでは衣食住など必要品目を考慮した適正生活水準(KHL)を目安に最低賃金を決定しており、ワーカーの実質賃金は最低賃金とほぼ同水準と見られます。一方、中国では最低賃金に含まれない各種手当があり、ワーカーの実質賃金は約2倍になります。

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