Weifu High-Technology Group Co., Ltd.[無錫威孚高科技集団股份有限公司] 2021年12月期の動向

業績

(単位:百万元)
  2021年12月期 2020年12月期 増減率 (%) 要因
売上高 13,682.43 12,883.83 6.20

-上半期に中国国内商用車市場において需要が拡大し受注が好調に推移したものの、下半期で市場全体の生産調整影響により相殺された。

営業利益 2,765.21 2,940.64 (5.97)
経常利益 2,740.36 3,002.95 (8.74)
純利益 2,649.36 2,822.74 (6.14)

 

-主要事業概況:

  • フューエルインジェクション事業:2021年12月期、コモンレールポンプの年間販売は210万台。VEポンプはオフロード市場でのシェアが拡大し、販売数45万台超の前年比約29%増となった。高圧燃料レールの年間販売台数は161万本超。
  • 排ガス後処理システム:ガソリンセパレーターの年間販売は220万セット超、ディーゼルセパレーターは約32万セット。
  • 吸気システム:4気筒ターボチャージャーの年間販売数は75万台超。GP電子制御燃料システムプロジェクトにおける製品がCサンプルの開発を完了。6気筒ターボチャージャーエンジンの販売は前年比50%超の増加となり、重要顧客の国6プロジェクトで受注を獲得。4気筒スーパーチャージャーの販売は75万台超。GP電子制御燃料システムプロジェクトは製品Cサンプル開発を完了。CB6-25はBサンプル開発を完了。6気筒ターボチャージャーでは国6排ガス基準ディーゼルターボチャージャーの少量供給を複数実施。4気筒ガソリンターボチャージャーは複数の顧客よりPPAPが承認され、数件の2.5L排気量国6排ガス基準プロジェクトの受注を獲得した。
  • 水素関連製品及びコネクテッド:金属シングルセルのAサンプルテストを完了。35MPa高圧バルブのAサンプル開発及びBサンプル試験生産を完了。低圧水素サブシステムは4つの低圧バルブの小バッチ生産を実現、電動ウォーターポンプと電動サーモスタットはAサンプル開発とBサンプル設計を完了。中距離レーダーとセキュリティレーダーのAサンプルの開発を完了。車室内レーダーの試作サンプルの設計を完了。4Dミリ波レーダーは、最初の試作と納品を完了。

 

水素エネルギー事業の動向

水素エネルギー事業の発展戦略
-同社は、水素エネルギー事業の発展戦略を策定し、水素エネルギー事業部を設立すると発表した。この事業部は「水素エネルギー研究開発センター」、「燃料電池部品事業」、「再生可能エネルギーによる水素製造事業部」の3部門を管轄する。「燃料電池部品事業」では、膜電極、グラファイト/金属バイポーラプレート、BOP主要部品などの事業整備に重点を置き、アジア太平洋地域、欧州、北米の製造センターの生産能力を拡大する。2025年までにグローバル生産能力として、膜電極800万枚、グラファイトバイポーラプレート900万枚、金属バイポーラプレート400万枚及びBOP主要部品10万個の整備を目指す。そのうち約半分の生産能力は、アジア太平洋地域(中国)で整備する。「再生可能エネルギーによる水素製造事業」では、PEM型水電解による水素製造システム装備技術を重点的に育成する。同社は2025年までに、「燃料電池部品事業」に約26億元、PEM型水電解による水素製造システム装備事業に約4億元投資する計画で、総投資額30億元のうち約8億元はすでに投資済みだという。(2022年1月11日付プレスリリースより)

Bosch Chinaなどとカーボンピークアウトとカーボンニュートラルに向けて協業
-Bosch (ボッシュ)の中国法人であるBosch Chinaは、無錫ハイテク産業開発区管理委員会および同社と戦略的提携枠組みを締結したと発表した。三者はカーボンピークアウトとカーボンニュートラルに向けて協業する。合意に基づき、Bosch Chinaは無錫ハイテク産業開発区に、カーボンニュートラルを研究対象としたシンクタンクを設置し、低炭素モデル企業の選定基準、体系的なCO2排出量の算定法、CO2削減目標の設定などについて、コンサルティングサービスを提供する。またBosch Chinaは、威孚集団とカーボンニュートラルの分野で提携し、威孚集団が行う工場のCO2排出量分析、CO2削減戦略の策定と実施を支援する。(2021年9月9日付プレスリリースより)

無錫に燃料電池中核部品工場を設立
-同社は、無錫ハイテク産業開発区の管理委員会と契約を締結したと発表した。威孚高科は、同区で燃料電池の中核部品事業および再生可能エネルギーによる水素製造事業の2つを推進する。また、合弁会社を新設して燃料電池中核部品の開発・生産を行う。拠点の敷地面積は約20万平方メートルで、第1期では約5万3,000平方メートルを整備する。なお、威孚高科は2021年から2025年の間にグラファイトバイポーラプレート500万枚、金属バイポーラプレート200万枚、膜電極400万枚の生産を行うほか、BOP中核部品の小ロット生産にも対応する。また、PEM型水電解水素製造ラインを導入し、基礎的な開発能力を整備する計画。(2022年5月7日付プレスリリースより)

燃料電池部品関連の開発でNOWOGENと提携
-同社は、北京氢璞創能科技有限公司(NOWOGEN)と戦略的提携合意書に署名したと発表した。両社は強みを生かし、バイポーラプレート(グラファイトおよび金属)、膜電極などの製品開発と応用、燃料電池の重要部品のコア技術開発、燃料電池スタック及びコア部品の商業化、燃料電池の自主開発と現地生産化、燃料電池単電池技術の開発、電池スタックと完成車の検証などの面で協力する。(2021年11月10日付プレスリリースより)

 

戦略的提携

東風技術センター
-東風技術センターは、同社傘下の無錫威孚電駆科技有限公司[Wuxi Weifu Electric-Drive Technology Co., Ltd.]と協業すると発表した。両社は、インホイールモータ―「ProteanDrive」や分散駆動制御などの分野で共同開発などを行うほか、東風技術センターの先進研究センターを経由してリソースの整合を行い、東風公司の各事業分野におけるインホイールモーターや分散駆動制御技術の開発や搭載、実証、産業チェーン構築などの分野で幅広く提携する。(2022年3月17日付東風技術センターの公式Wechatより)

 

吸収合併

-同社は、約6,000万ユーロでRobert Bosch S.p.A. Societa Unipersonale (RBIT)が保有するVHIT S.p.A. Società Unipersonale(VHIT)及びその子会社である意沃汽車系統(無錫)有限公司[VHIT Automotive Systems (Wuxi) Co. Ltd.](VHCN)の全株式を取得すると発表した。VHITおよびVHCNは本社をイタリアに置き、現在約570名の従業員を抱える企業で、機械式・電動式の真空ポンプや、電動オイルポンプ、油圧バルブなどの研究開発、生産、販売を行っている。また、乗用車及び商用車用のポンプ、バルブ製品のTier1サプライヤーであり、欧州、アジア太平洋地域の大手自動車メーカーに長く製品を供給してきた。現在開発中の新エネルギー車(NEV)向けサーマルマネジメントシステムのサブシステムとして中核となる電動オイルポンプは、すでに複数のグローバルメーカーからの受注を獲得しており、2022年下半期には大量生産段階に入る計画だという。威孚高科は今回の取引を契機として、電動オイルポンプ事業から「NEV向けサーマルマネジメントシステム製品事業」に参入し、バッテリー用冷却プレート、熱交換器などの主要部材及びサーマルマネジメントシステム製品の研究開発や応用を推進していく。(2022年2月9日付プレスリリースに基づく)

 

研究開発体制

-1999年、ポスドク科学研究ステーション、国家レベルの承認を得た企業技術センターを設立。

-エンジニアリングセンター(省レベル)、排気後処理システムセンター、過給機研究開発センターを保有。

-半導体メーカー STMicroelectronics と自動車用パワーICの研究開発を行う共同実験室を同社のテクニカルセンター内に設立。同社はSTMicroelectronicsの先進的な自動車エレクトロニクスソリューションを導入し、電子制御ディーゼルポンプや電子制御後処理システムの技術レベルを国際水準まで引き上げたいとしている。

-2021年、「威孚インテリジェント製造5G+」研究所の建設を完了。
 

研究開発費

(単位:百万元)
年度 2021年12月期 2020年12月期 2019年12月期
研究開発費 595.41 532.58 417.92
研究開発費の売上高に占める比率(%) 4.35 4.13 4.76

-2021年末現在、同社は研究開発員1,112名を保有、総従業員の20.82%を占める。

 

進行中の研究開発プロジェクト

プロジェクト名 備考
クリーン燃料噴射システムのコアコンポーネントの開発と応用 従来の燃料噴射システムに代わる技術(天然ガスなど)の研究開発を実施
国6排ガス基準を満たす高圧コモンレールポンプ製品の開発と応用 -
国6排ガス基準を満たす乗用車用の後処理製品の開発と応用 -
国6排ガス基準を満たす商用車用の後処理製品の開発と応用 -
国6排ガス基準を満たすガソリンエンジン過給機製品の開発と応用 -
国6排ガス基準を満たすディーゼルエンジン過給機の製品開発と応用 -
国6排ガス基準を満たす天然ガスエンジン過給機製品の開発と応用 -
拡張レンジエンジン用ターボチャージャーの開発と応用 -
水素燃料電池のコア材料の開発と応用 水素燃料電池のコア材料(膜電極、グラファイトバイポーラプレート、金属バイポーラプレート、触媒)を開発
水素燃料電池BOPの主要コンポーネントの開発と応用 水素燃料電池BOP(バルブ、ポンプなど)の主要コンポーネントの製品開発を実施。
新エネルギー車用電気駆動部品の開発と応用 新エネルギー車の電気駆動部品(モーターシャフト、モーターハウジングなど)の製品開発を実施。
インテリジェント知覚コアモジュール製品の開発と応用 インテリジェント知覚コアモジュール製品(ミリ波レーダー)の開発を実施
スマートシート製品の開発と応用 -
油圧システムのコアコンポーネントの開発と応用 -
ブレーキシステムのコアコンポーネントの開発と応用 -

 

特許

-2021年12月31日現在、同社は1,188件の特許について承認を受けている。

 

その他

-イスラエルの4D画像レーダー新興企業Arbe Roboticsは、同社がArbeのレーダーシステムの客先実走試験を開始すると発表した。威孚高科はArbeの画像レーダーチップセットを用いた完全なレーダーシステムを生産し、先進的な自動運転企業や大手自動車OEMに提供する。2022年末までに本格生産に入る予定。威孚高科はArbeの技術とOEMの個別要件に基づいてレーダーシステムを開発しており、中国にレーダー生産工場を保有している。今回の提携では量産化と安全性の確保に留意し、カスタマイズした4D画像レーダーソリューションを自動車OEM及び自動運転の乗用車、トラック、商用車、交通アプリケーションに提供する。Arbeのチップセットは超高解像度で、1フレームあたり10万以上の検出をサポートする。自動車メーカーの寸法・取付仕様に合った形状のレーダーアンテナも含んでいる。(2021年11月2日付プレスリリースより)