Visteon Corporation 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 2,945 2,984 (1.3) 1)
純利益 70 164 (57.3) 2)

要因

1) 売上高
-2019年12月期の全社売上高は前年比1.3%減の2,945百万ドル。2018年第3四半期におけるChangchun Visteon Faway Auto Electronicsの連結子会社化の効果が38百万ドルあらわれた。新規事業の効果は、販売数量および製品ミックスの影響で一部相殺された結果22百万ドルとなった。欧州、中国、ブラジル、インド等で為替の負の影響があり、売上高を59百万ドル押し下げた。また、販価改定による71百万ドルのマイナス影響も受けた。

2) 純利益
-2019年12月期の純利益は前年比57.3%減の70百万ドル。前年割れは主に営業利益の減少、販管費の増大、非連結子会社からの持分低下等によるもの。但し、これら減益要因は、構造改革費用減や所得税引当減等により一部相殺された。

 

事業提携

-深圳市騰訊計算機系統有限公司(騰訊、テンセント)と自動運転技術及びデジタル化AIコックピットソリューションを共同開発し、広州汽車の車両プラットフォームから応用を始めると発表した。テンセントは、SmartCoreコックピットコントローラープラットフォームにTAI自動車インテリジェントシステムを提供する。SmartCoreはワンチップマルチコアプロセッサ技術を持ち、独立して複数のコックピット内の計器類を作動させ、乗客に運転情報やエンタテイメントコンテンツを提供する。Visteon はテンセントTAIに強く、かつ安定したハードウェアを提供する。将来、Visteon、テンセント、広汽研究院は知能化、コネクテッド化に関連する共同開発や成果のシェアリングを行う。テンセントTAIシステムを搭載したSmartCoreコックピットソリューションは、2020年に広汽の新型EVプラットフォーム初のモデルで量産が実現する。(2019年1月9日付け複数メディア報道より)

 

受注

-ドメインコントローラー「SmartCore」がタタのSUV「ハリアー (Harrier)」にインドで初採用されたと発表した。「SmartCore」は、インフォテインメントシステムとインストルメントクラスターのドメインを1つのシステムオンチップで作動させるコントローラーで、7インチ-8.8インチの大型TFTディスプレイとオプション装備の4インチLCDおよび7インチカラーTFTが特徴のソリューション。Android AutoとApple CarPlayに対応し、音声認識、Bluetooth、テキスト音声化機能などを備え、スマートフォンのアプリケーションなどとも接続が可能だという。(2019528日付プレスリリースより)

-ホログラフィックオブジェクトを表示する業界初のフルデジタルクラスタがプジョーの新型「208」に採用されたと発表した。PSAグループと提携して3D Blade」コンセプトを開発し、3D映像を表示するデジタルクラスタを実現した。高解像度の10.25インチバックグラウンドTFTと、7インチフォアグラウンドTFTが半反射ブレードを投影し、約15ミリの奥行の3D映像を表示する。また、ADASモードではフォアグラウンドディスプレイからバックグラウンドディスプレイに移動する3Dアニメーションを投影することも可能だという。(2019328日付プレスリリースより)

 

2020年12月期の見通し

-同社発表によると、2020年12月期の売上高は3,000百万~3,100百万ドル、EBITDAは250百万~270百万ドル。この見通しはコロナウイルスによる影響を除外したものであり、2020年第1四半期においては、コロナウイルスの影響により売上高が約60百万ドル押し下げられる可能性もある(同社発表)。

 

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 300 286 253

 

研究開発拠点

-世界中で20拠点のテクニカルセンターを保有。

-メキシコのQueretaroにエンジニアリングセンターを開設したと発表した。新センターでは、フォード、FCAGM、日産、ホンダなど北米の自動車メーカー向けにコックピットエレクトロニクス製品を開発する。製品にはデジタル・インストルメントクラスター、インフォテインメントシステム、情報ディスプレイや、コネクテッドおよび自動運転用新技術などが含まれる。数百万ドルを投じた6,000平方メートルの新センターは2階分の共同作業スペースや、4階分の地下駐車場などを備える。2020年上半期に完成予定のラボにより、Queretaroでのプレゼンス強化を図る。新センターに近接する2,175平方メートルのラボは35名の技術者が従事する予定で、最大70名のエンジニア用の中2階スペースなどを備える。振動、環境、EMC(電磁適合性)テストをサポートするユニークなラボで、最大20の試験室を備えるDV / PV認定テストラボになるという。(20191022日付プレスリリースより)

 

研究開発活動

-SAEレベル4またはレベル5相当の自動運転機能の検証について、法規制に適合し工数効率およびコスト効率の高い検証方法を開発することを目的として22のパートナーとプロジェクトに参加したと発表した。自動車関連企業のパートナーと連携して、自動運転車の信頼できるテスト環境を創出するために、運転シミュレーション検証の方法を開発している。48カ月間に渡るVVMethoden (methodology for verification and validation of automated vehicles) プロジェクトはドイツ・連邦エネルギー省によって設立され、幅広い検証の実施を要求している。モジュラー式およびフレキシブルな自動運転ソリューションであるDriveCoreを通して、様々な分野から当該プロジェクトをサポートしている。なおDriveCoreによるモジュラーアプローチは、オープンハードウェア・ソフトウェアプラットフォームをベースにしているという。(2019年8月23日付プレスリリースより

 

製品開発

自動車エレクトロニクス会議における出展技術
-ドイツで開催される自動車エレクトロニクス会議にて「DriveCore」を出展すると発表した。「DriveCore」は同社が提供するオープンハードウェア・ソフトウェアのプラットフォームで、自動車メーカーやシステム開発者、技術サプライヤーが協業して運転支援や自動運転などのシステム開発を行える。また「Drive Core」は、ハードウェアの「DriveCore Compute」と、ミドルウェアの「DriveCore Runtime」、開発キットの「DriveCore Studio」の3要素から構成され、アルゴリズムの研究からハードウェア部品としての試験までを網羅した継続的な開発とハードウェア部品の無線上でのアップデートを可能にする。(2019年6月24日付プレスリリースより

CES2019における出展技術
-最新のコックピット技術をCES 2019に出展すると発表した。同社は、コックピットドメインコントローラー「SmartCore」と、自動運転コントローラー「DriveCore」を統合したデジタルコックピット技術を発表する。このコントローラーは、インストルメントクラスター、インフォテインメント、その他のコックピット機能を、高度なグラフィック、OTAソフトウェア更新、および最先端のサイバーセキュリティを備えた単一のECUに統合し、自動運転レベル2に対応する。また、LCDおよびOLED技術をベースとするデジタルディスプレイや、触覚フィードバックと近接検知機能などを備えるVXディスプレイ、専用短距離通信(DSRC)またはセルラーネットワークのいずれかと連携するV2Xモジュールも出展予定。(201917日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ドル)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 142 127 99

 

-同社の2020年度の設備投資額は、140~145百万ドルとなる見通し。