Hirschvogel Automotive Group (Hirschvogel Holding GmbH) 2014年12月期の動向
業績
-2014年の売上高は前年比7.7%増の872百万ユーロ。金融危機の影響を受けた2009年の389百万ユーロから、右肩上がりで売上高は伸長し、同社は2016年に1,000百万ユーロを超えると予測している。
受注
-2013年、鉄鋼メーカーGMHと共同開発したH2鋼「16MnCr5mod」を用いた製品 (コモンレール、ディーゼル用インジェクター部品) の初受注を獲得。従来の42CrMo4では焼き入れ、焼き戻しなどの熱処理を必要としていたが、このベイナイト鋼は焼きなましのみで強度・強靭性を確保できるという。焼き入れ、焼き戻し工程を省くことで低コスト生産を可能とした。(2014年10月6日付プレスリリースより)
受賞
-2014年、GMから「Supplier Quality Excellence Award」を受賞。(2014年10月6日プレスリリースより)
-2014年5月、デンソーから「Regional Supplier Award」を受賞。同社は、デンソーのハンガリー拠点にコモンレールおよびインジェクター部品を供給している。
-2013年11月、ZFから「Global Supplier Award 2013」を受賞。
-2013年6月、Continentalから「Supplier Award」をパワートレイン分野で受賞。同社は、インジェクター部品、ポンプシリンダー、シャフト、ポンプハウジング等を供給している。
研究開発体制
-同社の金型部門は、2011年よりAachener Werkzeugbau Akademie (WBA) に加盟している。WBAは、金型産業に特化した各種研究や人員育成を行なうコンソーシアムで、工具・金型の生産技術や管理手法などの研究も行う。主な加盟企業はAudi、BMW、Volkswagen、ZF。
製品開発
構造部品用新スチール
-コモンレールやホイールハブなどの構造部品に適した新スチールを、鉄鋼メーカーGMHと共同で開発。ベイナイト鋼「16MnCr5mod」 (H2鋼) は構造部品に必要とされる強度・強靭性を焼なまし処理で確保することで、焼き入れ、焼き戻しなどの熱処理工程を省きコストの低減を可能にした。また、H50鋼は焼きなまし工程の後に誘導加熱を用いることで900~1,100メガパスカル級の強度の製品を生産することができる。
温間鍛造によるホイールハブ
-2014年3月、ホイールハブ生産に温間鍛造を用いた工法を開発。主な利点は以下の通り;
- 微粒子構造を組成することで、オーステナイト化工程の短縮。
- 熱間鍛造に比べ許容差が高いため、取り代の削減や形状によってはソフトマシニング工程を省けるなど、コスト効率に優れた設計が可能。
国内投資
-2014年末、Hirschvogel Umformtechnik GmbHで10,000平方メートル規模の新生産棟の操業を開始する。生産能力の増強だけでなく、材料流れの改善などの生産効率も向上するという。
-2014年8月時点、Hirschvogel Aluminium GmbHではアルミ鍛造用のプレスラインおよび倉庫の設置を推進している。
-Hirschvogel Komponenten GmbHでは、需要増に対応すべく生産能力の増強を実施した。(2014年8月ニュースレターより)
-Hirschvogel Eisenach GmbHは、鉄鍛造用の35,000キロニュートン級の熱間鍛造プレス機を導入。(2014年8月ニュースレターより)
海外投資
<米国>
-2014年8月時点、オハイオ州Columbusに位置するHirschvogel Incorporatedでは、25,000キロニュートン級の温間鍛造プレス機の設置を進めている。
-ポーランドのGliwiceに位置するHirschvogel Automotive Components Poland Sp. z.o.o.では、以下の工場拡張を実施:
- 4,000キロニュートン級の温間鍛造プレス機の導入
- 研究所の新設
- 最終試験場の設置
- 材料流れの適正化
<インド>
-2014年、Hirschvogel Components India Pvt. Ltd.はインドのSanaswadiにおいて生産拠点の建設に着手。敷地面積は42,000平方メートルで、生産スペースは9,000平方メートル。新工場は2015年12月に操業開始予定で、トランスミッションシャフトや等速ジョイントなどを生産する。完成後に100名を増員するとともに、Ranjangaonの既存拠点の生産を移管する。(2014年7月17日プレスリリースより)
<中国>
-Hirschvogel Automotive Components (Pinghu) Co., Ltd.は近年、以下の設備投資を実施:
- 2013年、鍛造棟を新設し、4,000キロニュートン級温間鍛造プレスラインおよび20,000キロニュートン級冷間鍛造プラスラインを設置。
- 2014年、アルミホイールキャリア用の31,500キロニュートン級プレスライン、およびアルミステアリングナックル用40,000キロニュートン級の自動化ラインを新設。
- 2014年末に、5,500平方メートル規模の機械加工棟の建設を完成する予定。
各種データ
従業員数 |
2014年12月末 | 2013年12月末 | 2012年12月末 | |
ドイツ | 3,142 | N/A | N/A |
ポーランド | 107 | N/A | N/A |
米国 | 330 | N/A | N/A |
インド | 211 | N/A | N/A |
中国 | 399 | N/A | N/A |
合計 | 4,189 | 4,000 | 3,500 |
(単位:百万ユーロ) |
2014年12月期 | 2013年12月期 | 2012年12月期 | |
売上高 | 872 | 810 | 778 |
地域別売上高比率
|
(%) |
2017年12月期 (同社予測) |
2014年12月期 | |
欧州 | 79 | 85 |
アジア | 14 | 8 |
NAFTA | 7 | 8 |
合計 | 100 | 100 |
製品群別売上高比率
|
(%) |
2014年12月期 | |
トランスミッション | 33 |
ガス・ディーゼルインジェクション | 23 |
パワートレイン | 19 |
シャシー | 17 |
エンジン | 7 |
その他 | 1 |
合計 | 100 |