(株) パイオラックス 2019年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2019年
3月期
2018年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 68,298 67,876 0.6 -自動車関連は、米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進し、増収
営業利益 9,312 10,220 (8.9) -材料費や労務費の高騰等による経費負担が増加したこと等により減益
経常利益 10,321 10,987 (6.1) -
親会社株主に帰属する当期純利益 7,421 8,126 (8.7) -



中期経営計画 (2020年3月期~2022年3月期)

ー北米・中国・ASEAN3極におけるバランスの良い収益構造構築や、地域・商品・顧客・事業の多角化を推進し、以下の目標達成を目指す。

  • 連結売上高:720億円(うち海外拠点、490億円)、海外比率68%
  • 連結営業利益:110億円、営業利益率15.3%
  • ROE10%以上

具体的な指標として、以下を提示

  • 地域構成⇒ 北米:ASEAN:中国:欧州=3:3:3:1
  • 商品構成比⇒ 燃料系・開閉機構商品:ファスナー・駆動系・ハーネス商品=3:7→4:6
  • 海外OEM向け販売比率20%

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

 

事業方針

<北米>
ー2022年3月期営業利益率10%を計画

ー2019年1月、新熱処理炉稼働

ーホースクランプ・金属ファスナー・燃料系部品び現地化推進

ー日産・ホンダ・GMに次ぐ第4の柱育成

-米国Big3・現代向け拡販を推進(以下現時点での状況)

-隣接建屋、土地購入による生産設備拡大

<中国>
ー2022年3月期売上高2019年3月期比30%増及び営業利益率20%を計画

ー販売体制強化のため、2019年1月新販売会社 (上海PIOLAX)を設立

  • 中国・上海市に販売統括会社を新設する。同社の完全子会社として、2019年の開設を目指す。中国市場における自動車関連部品の需要の高まりを受け、中国各地に展開する販売窓口を新会社で統括し、提案・販売活動の効率化を図る。18年度からの新中期経営計画で、中国市場の売上高比率を17年度比6ポイント増の36%に高める方針で、中国の電気自動車(EV)市場への参入も視野に入れる。新会社の設立後は、上海を販売の統括窓口と位置づけ、出先機関を広州、武漢、天津の3カ所に展開する予定だ。将来的には、新設した販売会社が中国における生産管理も行い、販売から生産までを一括する中国統括会社に成長させる構想を持つ。(2018年9月26日付日刊自動車新聞より)

ー中国環境規制に対応した燃料系部品の拡販推進、新エネルギー車への対応としてEV会社への拡販を推進

ー武漢パイオラックスの設備増強

  • 中国地場メーカーからの駆動系部品の受注の急速な拡大で、中国湖北省・武漢で駆動系部品の生産を新たに開始する。これにより、駆動系部品の中国での生産体制を既存の広東省・東莞工場と合わせて2工場体制に増強する。武漢工場での生産開始は2020年1月を予定し、投資総額は約4億3千万円。同社は、駆動系、燃料系、電動化関連部品を中心に、中国地場メーカー向け売上高を21年度に18年度比で約4倍に拡大する方針だ。同社で中国地場サプライヤーからの受注が拡大しているのは、スナップリング (止め輪) やトランスミッション用リテーナーといった駆動系部品。受注拡大に伴い、同社の東莞工場だけでは駆動系部品の生産能力が不足するため、既存の武漢工場の空きスペースに駆動系部品用ラインの新設を決めた。これにより、中国北部、東部の顧客向けには武漢工場、南部の顧客向けには東莞工場で対応し、需要が急拡大する地場サプライヤー向けの駆動系部品の対応力を高める。(2019年6月26日付日刊自動車新聞より)

<インド>
ー2022年度3月期売上高2019年3月期比約2倍、営業利益率6%

ーインドにおける製品開発機能を強化する。今春、インドのデリーに新設した設計開発センターを、アジア、ASEAN (東南アジア諸国連合) 地域の開発センターとして位置づける。日系メーカーや現地メーカーとの共同開発に加え、日本、米国、中国に設置する開発拠点のサポートも行う。成長市場としてインドを重視する同社は、開発機能の強化でインド市場への参入を本格化し、2020年に17年実績比で55%増となる大幅な売り上げ伸長を目指す。(2018年10月11日付日刊自動車新聞より)

ーマルチスズキ・現代に加え、タタ・マヒンドラ・フォードへの拡販活動を行う。

ーインドの環境基準強化対応

<インドネシア>
ー2022年度3月期売上高2019年3月期比+5%、営業利益率7%

ー自動化導入による省人化の推進、現地調達化体制の強化による収益力向上

 

製品動向

<燃料系部品>
ー海外の環境規制強化に向けた製品開発

2K部品
ー欧米・中国で強まる燃料透過規制に対応し、2色成形することによって燃料透過防止機能を向上させた樹脂製燃料タンク向けバルブ。
トヨタ「プラド」、「サーフ」に続き、現代「アクセント」、起亜「プライド」、「フォルテ」、マツダ「アクセラ」(北米)、RSM「SM6」など採用車種が拡大。

<開閉機構部品>
ー北米中心にグローバル展開予定。スプリングクッション(以下)を積極展開する。

スプリングクッション
ーグローブボックス内に取り付ける、ゴム+樹脂+ばねを組み合わせた部品。
ゴムのへたりで生じる走行中のガタガタ音を回避。またボックスの操作性向上、ボックス変形の低減を改善。
全車種に適用可能。社内の静粛性要求が高まるEV・HEVへの展開を狙う。

ーダイハツ「ムーヴ」「キャスト」「イース」
トヨタ「C-HR」
ホンダ「CR-V」(北米)
SUBARU「インプレッサ」
レクサス「UX」
スズキ「ジムニー」
三菱「デリカ:D5」


EV対応
ー金属と樹脂の組み合わせを活用。日産「ノート」「セレナ」においては駆動系部品、精密部品カバーターミナルが、日産「リーフ」にバッテリーが採用された。

次世代車への取り組み
-CASEに対応したプロジェクトチームの新設 
 

研究開発費

(単位:百万円)
2019年3月期 2018年3月期
全社 549 580
自動車関連 530 524

 

ー樹脂部品の原料であるPA66 (ナイロン66) の価格高騰対策として、代替材料を検討する。2019年度から、PA66の特性である高耐熱性能が必要でない部品などにおいて、廉価な代替材料への切り替えを進めるほか、新興国における海外廉価材の発掘を急ぐ。これにより、19年度に想定する原料価格高騰を原因とする減益影響額の半減を目指す。PA66を多用するハーネス用結束バンドなどにおいて、機能を維持しつつ廉価な素材への置き換えを進める。例えばハーネス結束バンドの場合、高耐熱性を求められるエンジンルーム用途ではPA66が必須なものの、室内などの高耐熱性を求められない他部位での用途においては、PA6やポリプロピレンなどの廉価な代替材への置き換えを進める。(2019年6月18日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2019年3月期 2018年3月期
自動車関連 5,005 1,919

国内投資

-国内の生産・開発体制を強化する。主力工場の真岡工場(栃木県真岡市)を移転・新築するのに加え、研究開発拠点である横浜テクニカルセンター(横浜市保土ヶ谷区)を建て替える。18年度からの3カ年中期経営計画に掲げた持続的な成長に向けて国内でのものづくり体制強化に重点投資する計画だ。真岡工場の隣接地約3万3千平方メートルを確保するとともに、リニューアルプロジェクトチームを立ち上げた。19年度に着工し、23年度に新工場を稼働する。投資総額は18~23年度で約40億円。また、横浜テクニカルセンターは19年度中に建て替え工事を開始、22年度に稼働する予定で、投資総額は18~22年度で約35億円を見込む。(2018年6月18日付日刊自動車新聞より)