トヨタ紡織 (株) 2017年3月期の動向
2017年3月期の業績 |
(単位:百万円) |
2017年 3月期 |
2016年 3月期 |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,357,913 | 1,415,772 | (4.1) | -欧州地域での増産はあったが、為替が影響 |
営業利益 | 71,936 | 59,492 | 20.9 | -減益要因:製品価格変動や為替の影響など -増益要因:商品力を向上させた新製品の増産による影響や合理化など |
経常利益 | 77,224 | 56,123 | 37.6 | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 45,359 | 3,900 | 106.3 |
トヨタ向け以外の内装事業を売却
-2016年4月、欧州でトヨタ自動車向け以外の内装事業を売却すると発表。欧州の生産・販売子会社の3社と、欧州統括会社にある内装品の開発機能などをリヒテンシュタインのメガテック・インダストリーズに売却する。また、メガテックと合弁会社を設立し、トヨタ紡織が独自開発した「天然繊維同時成型技術」を活用したドアトリム事業を継続する。今回の事業再編に伴ってトヨタ紡織は2016年3月期連結決算で約1億7200万ユーロ(約227億円)を特別損失に計上する。トヨタ紡織は11年、トヨタ以外の自動車メーカーとの需要開拓を狙いにオーストリアのポリテックから内装事業を買収し、8工場を引き継いだ。売却するドイツの紡織オートモーティブヨーロッパと紡織オートモーティブポーランド、紡織オートモーティブチェコの3子会社はこのうちの5工場を持つ。競争激化などの影響で業績が悪化し、3工場は既に整理済み。トヨタ向け以外の内装品の開発機能なども欧州統括会社のドイツ・ミュンヘン支店に設けていたが、シート事業を残して切り離す。(2016年4月2日付日刊自動車新聞より)
受注
-トヨタ自動車の新型車レクサス「LC」にシートとドアトリムが採用。シートは、本体に、Yの字型に肩のほうへ回り込むシートバックを重ねたレイヤー構造を採用。6つの電動機能を備えながら単体で20キログラム以下に重量を抑えた。ドアトリムは、世界初のドレープ(ヒダ)をアルカンターラ表皮で実現した。猿投工場(愛知県豊田市)で手作業を含む専用ラインで製造する。レクサスLC開発者のイメージに合わせるため、これまでにない構造を採り入れたという。(2017年3月22日付日刊自動車新聞より)
提携
-2017年3月、同社とタチエスは、シート事業で業務提携することで合意。トヨタ系サプライヤーのトヨタ紡織と日産自動車向けを主力とするタチエスが系列メーカーの垣根を越え、新しいシートの開発で協力する。自動運転の進化などでシートのあり方の変化も予想される中、互いの技術を持ち寄ることで競争力の強化とコスト削減を図る。両社はシートフレーム・デバイス(機構部品)などの新しい部品の共同開発を検討する。(2017年4月1日付日刊自動車新聞より)
-三井化学と高耐衝撃プラスチックの事業化に向けて、業務提携の締結を検討することで合意。トヨタ紡織と豊田中央研究所が共同開発した世界トップクラスの「割れにくいプラスチック」の実用化で協力する。トヨタ紡織が生産する自動車用シートやドアトリムのほか、他の自動車部品や、自動車以外の分野への採用も視野に入れる。トヨタ紡織の高耐衝撃プラスチックは、世界トップクラスの衝撃強度を持つポリマーアロイ(多成分系高分子)で、植物由来のポリアミド11、石油由来のポリプロピレン、三井化学製の相溶化剤を高度複合化して造る。トヨタ紡織と三井化学は、高耐衝撃プラスチックをプラスチックの耐衝撃性能を向上させる衝撃改質剤として利用する方針。(2016年11月11日付日刊自動車新聞より)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 37,884 | 38,450 | 38,821 |
研究開発拠点
地域 | 所在地 |
日本 | -猿投開発センター (愛知県豊田市) -大口開発センター (愛知県丹羽郡) -刈谷開発センター (愛知県刈谷市) -多治見技術センター (岐阜県多治見市) |
北中南米 | 米国ミシガン州 (テクニカルセンター) 米国カリフォルニア州 (シリコンバレーオフィス) |
中国 | 上海 (R&Dセンター) |
アジア・オセアニア | タイ バンコク (R&Dセンター) |
欧州・アフリカ | イタリア ミラノ (デザインスタジオ) |
研究開発活動
軽量ドアトリム
-自社開発の高耐衝撃バイオプラスチックを活用した軽量ドアトリムを開発。割れにくい素材を発泡成形することにより、同社従来品に比べ、最大で30%の軽量化を実現する。このプラスチックは他の自動車部品や、スマートフォン筺体、スーツケースなど、様々な用途が見込まれるため、領域を超えた幅広い採用を目指すという。トヨタ紡織と豊田中央研究所が共同開発したバイオプラスチックは、ひまし油からつくる植物由来樹脂と、石油からつくるポリプロピレン(PP)を高度複合(アロイ)したもので、やわらかいゴムを構造に入れ込むことで高い耐衝撃性能を得ている。PPに比べて10倍の衝撃強度を持つ。(2016年5月27日付日刊自動車新聞より)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | |
全社 | 35,500 | 36,898 | 50,190 |
-新製品対応、生産設備の合理化・更新などの投資を重点に実施。
- 日本: 21,103百万円
- 北中南米: 5,939百万円
- 欧州・アフリカ: 2,538百万円
- アジア・オセアニア: 5,919百万円
設備の新設 |
(2017年3月31日現在) |
会社名/事業所名 | 所在地 | 設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了予定 |
猿投工場 | 愛知県 豊田市 |
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 | 11,814 | 2017年 4月 |
2018年 3月 |
刈谷工場 | 愛知県 刈谷市 |
エアフィルター等の新製品対応、設備の維持更新 | 6,527 | 2017年 4月 |
2018年 3月 |
岐阜工場 | 岐阜県 岐阜市 |
バンパー等の新製品の対応、設備の維持更新 | 1,325 | 2017年 4月 |
2018年 3月 |
高岡工場 | 愛知県 豊田市 |
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 | 1,284 | 2017年 4月 |
2018年 3月 |
トヨタ紡織カナダ | カナダ オンタリオ州 |
シート、ドアトリムの新製品対応 | 3,200 | 2017年 4月 |
2018年 3月 |
工場拡張
-米国子会社Toyota Boshoku Indianaは、10.59百万ドルを投じて工場を42,000平方フィート拡張すると発表。拡張後の総面積は524,000平方フィートとなり、トヨタ 「Highlander」向けにシートやドアを生産する。現在は「Sienna」向けにシートシステムを生産しており、2015年は147,620台分のシートを生産した。Toyota Boshoku Indianaは、Princetonにあるトヨタ子会社Toyota Motor Manufacturing Indiana (TMMI) の生産をサポートするため2007年に開設された。TMMIでは、2015年に「Highlander」、「Highlander Hybrid」、「Sienna」、「Sequoia」を375,000台超生産している。(2016年7月7日付Indiana Economic Development Corporationの発表より)
2018年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2018年3月期 (予想) |
2017年3月期 (実績) |
増減率 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,300,000 | 1,357,913 | (4.3) | -為替の影響に加え、先行費用等の諸経費増加などにより減収減益を予測。 |
営業利益 | 60,000 | 71,936 | (16.6) | |
経常利益 | 60,000 | 77,224 | (22.3) | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 38,000 | 45,359 | (16.2) |
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
-シート生産台数は、2018年3月期予想が738万台 (前年比1.7%増)、2016年3月期実績が726万台。