曙ブレーキ工業 (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
売上高 | 236,665 | 206,050 | 14.9 | 1) |
営業利益 | 8,084 | 4,315 | 87.3 | - |
経常利益 | 7,269 | 3,402 | 113.7 | - |
当期純利益 | 2,423 | 518 | 367.8 | - |
要因
1) 売上高
<日本>
-2014年3月期の売上高は、前年比0.2%減少の892億円。同社では、売れ筋の軽自動車・ハイブリッド車向けの生産品目が現状では少ないこと、完成車メーカーの海外生産移管による受注品目の国内生産の減少等が響いた。
<北米>
-同売上高は、買換需要に伴う受注の増加や円安により、前年比24.8%増加の1,228億円。
<欧州>
-同売上高は、前年比51.7%増加の74億円。欧州で低迷していた自動車需要が第3四半期以降に回復の兆しを見せ始める中、為替換算による増収効果も寄与。
<中国>
-同売上高は、前年比78.1%増加の108億円。日系完成車メーカーの受注の回復、新規モデルの立ち上げによる受注拡大、円安効果が背景。
<タイ>
-同売上高は、為替効果などにより前年比21.4%増加の62億円。
<インドネシア>
-同売上高は、前年比19.2%増加の157億円。日系四輪自動車メーカーからの受注が増加したや為替換算の効果が寄与。
受注
-2013年、ゼネラル・モーターズ (GM) からグローバルプラットホーム車のブレーキを受注。米国と中国で生産し、2014年秋から順次、納入を始める。同社にとりGMは連結売上高の24% (12年度) を占める最大の取引先だが、これまでは米国内での取引が中心だった。プラットホーム (車台) を共通化した世界戦略車のビジネスも取り込むことにより、GM向けのビジネスをグローバルに拡大していく。(2013年6月25日付日刊自動車新聞より)-2013年、英マクラーレンの超高性能ロードカー「P1」にブレーキシステムを供給すると発表。同社は2007年からF1チーム「ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス」とスポンサー契約を結び、レースへの参戦を通じて高性能ブレーキの技術開発に取り組んできた。超高性能ロードカーへの採用は、中期経営計画で目指す技術の差別化の第一弾として具体化した。今後、高性能量販車向けビジネスを本格的に展開する。(2013年2月28日付日刊自動車新聞より)
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予想) |
2014年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 243,000 | 236,665 | 2.7 |
営業利益 | 11,000 | 8,084 | 36.1 |
経常利益 | 9,500 | 7,269 | 30.7 |
当期純利益 | 4,000 | 2,423 | 65.1 |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
中期経営計画
-同社は、長期ビジョンとして2020年度 (2021年3月期) を期限とする成長目標 「Global 30」を策定。OEM向けディスクブレーキパッドの世界市場シェア30%の獲得を目指す。-「Global30」の達成に向け、最終年度を2015年度 (2016年3月期) とする新中期経営計画 「akebono New Frontier 30 - 2013」を策定。重点施策は以下の通り:
1) 将来に向けた技術の差別化
- 高性能量販車向けブレーキビジネスの立ち上げ
- グローバルプラットフォーム供給体制の確立
- 新興国ニーズ対応の低コストブレーキ開発
- 次世代環境対応技術の確立/次世代摩擦材設備の拡大
- 部品の共通化・標準化等による原価低減
- 北米・欧州事業の収益基盤の確立
- 需要に見合った生産体制とリソース配分の見直し
- 新興国への進出
- グローバル供給網、開発体制の確立
-数値目標 | (単位:億円) |
- | 中期経営計画 | 長期ビジョン | ||
2014年3月期 (実績) |
2015年3月期 (予想) |
2016年3月期 (目標) |
2021年3月期 (目標) |
|
売上高 | 2,367 | 2,430 | 2,500 | 3,000 |
営業利益 | 81 | 110 | 200 | 360 |
営業利益率 | 3% | 5% | 8% | 12% |
OEMディスクブレーキパッドの市場シェア | - | - | 20% | 30% |
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 2,338 | 2,304 | 1,747 |
研究開発体制
拠点名 | 所在地 | 備考 |
日本 | ||
開発部門 | 埼玉県 羽生市 |
- |
テストコース 「Ai-Ring」 | 福島県 いわき市 |
自動車部品メーカーとして国内最大規模 |
(株) 曙ブレーキ中央技術研究所 | 埼玉県 羽生市 |
-素材開発:摩擦特製制御、低環境負荷、危機管理 -次世代摩擦材の開発:小型、軽量化、高性能化 -摩擦現象の研究:摩擦挙動メカニズム -プロセス開発:生産性、低環境負荷 |
北米 | ||
Akebono Engineering Center | 米国 ミシガン州 |
- |
欧州 | ||
Akebono Europe S.A.S. | フランス ゴネス市 |
- |
Akebono Advanced Engineering (UK) Ltd. | 英国 ウォーキングハム市 |
- |
中国 | ||
中国開発センター | - | - |
研究開発活動
<日本>ブレーキ摩擦材
-乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ最近着目されているホイールダストを低減させた、環境に配慮した安全な摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発。
-米国ワシントン州を含む、複数の州で条例化された摩擦材の環境規制に対応する新摩擦材の開発。
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ
-高性能化と低コスト化の両面からアルミ合金製対向型ブレーキを開発。
電動化技術
-ブレーキに小型電気モーターを搭載し、電気信号で制動可能な電動ブレーキ。
-パーキング機能のみを電動化した電動パーキングに関する技術開発。
(株) 曙ブレーキ中央技術研究所
-以下の研究を実施:
- 摩擦制御に寄与する独自材料開発
- 脱枯渇、戦略資源を狙った低環境負荷型の材料開発
- 鋳鉄のレアアース削減
- 新分野開拓を目指した機能性粒子の創製
- 摩擦材材料の摩擦挙動現象との関係の調査
- ゼロエミッションに向けた表面処理技術
摩擦材
-高性能で音振特性に優れた、かつ摩擦材の新環境規制に対応した材料開発
ブレーキ機構開発
-軽量アルミ合金製のディスクブレーキの開発
<欧州>
-環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材、日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材の開発
-英国のAkebono Advanced Engineering (UK) Ltd.では、モータースポーツ用ディスクブレーキの開発、高性能車両向けディスクブレーキ開発に特化
<中国>
ディスクブレーキ
-中国市場のニーズや使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発
<タイ>
-2014年1月にASEAN諸国向けのブレーキ開発拠点を設立。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 21,800 | 19,800 | 14,300 |
-設備投資の内訳は、日本53億円、北米130億円、欧州6億円、インドネシア11億円、中国15億円、タイ3億円。
-主な投資案件は以下の通り:
- 日本:次世代摩擦材製造設備
- 北米:新規立ち上げに関する投資やメキシコの建屋
- 欧州:開発設備
- インドネシア、タイ、中国:受注拡大に伴う増産対応投資
設備の新設計画 |
(2014年3月31日現在) |
会社/事業所 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手 | 完了 |
本社他 (東京都中央区他) |
鋳物製造設備、新工法設備、情報システム他 | 3,116 | 2014年4月 | 2015年3月 |
開発部門 (埼玉県羽生市) |
試験・研究開発用設備、高性能ブレーキ開発設備 | 1,768 | 2014年4月 | 2015年3月 |
曙ブレーキ岩槻製造 (株) (埼玉県さいたま市) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 | 529 | 2014年4月 | 2015年3月 |
曙ブレーキ福島製造 (株) (福島県桑折町) |
ブレーキライニング、産業機械・鉄道用製品の製造設備 | 207 | 2014年4月 | 2015年3月 |
曙ブレーキ山形製造 (株) (山形県寒河江市) |
ディスクブレーキパッドの製造設備 | 676 | 2014年4月 | 2015年3月 |
曙ブレーキ山陽製造 (株) (岡山県総社市) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 | 329 | 2014年4月 | 2015年3月 |
(株) 曙ブレーキ中央技術研究所他 (埼玉県羽生市) |
試験・研究開発用設備他 | 21 | 2014年4月 | 2015年3月 |
Akebono Brake Corporation (米国ミシガン州他) |
研究開発用設備、ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・ディスクブレーキパッドの製造設備 | 4,237 | 2014年1月 | 2014年12月 |
Akebono Brake Mexico S.A. de C.V. (メキシコ グアナファト州) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキ・ディスクブレーキパッドの製造設備 | 891 | 2014年1月 | 2014年12月 |
Akebono Europe S.A.S. (フランス ゴネス市他) |
研究開発設備、ディスクブレーキパッドの製造設備 | 560 | 2014年4月 | 2015年3月 |
Akebono Advanced Engineering (UK) Ltd. (英国 ウォーキングハム市) |
高性能ブレーキ開発用設備 | 5 | 2014年4月 | 2015年3月 |
Akebono Brake Slovakia s.r.o. (スロバキア トレンチーン) |
ディスクブレーキ製造工場 | 648 | 2014年4月 | 2015年3月 |
曙光制動器 (蘇州) 有限公司 [Akebono Corporation (Suzhou)] (中国蘇州市) |
ディスクブレーキパッドの製造設備 | 1,337 | 2014年1月 | 2014年12月 |
広州曙光制動器有限公司 [Akebono Corporation (Guangzhou)] (中国広州市) |
ディスクブレーキ・ドラムブレーキの製造設備 | 779 | 2014年1月 | 2014年12月 |
PT. Akebono Brake Astra Indonesia (インドネシア ジャカルタ市) |
ディスクブレーキ・ブレーキ用部品の製造設備 | 440 | 2014年1月 | 2014年12月 |
Akebono Brake (Thailand) Co., Ltd. (タイ チョンブリ県) |
ディスクブレーキの製造設備 | 1,231 | 2014年1月 | 2014年12月 |