住友電装 (株) 2008-2015年3月期の動向

近年の動向

アルミワイヤーハーネス

-2017年度までにアルミ電線を採用した軽量ワイヤーハーネスの販売をハーネス全体の約10%に引き上げることを目指す。アルミ製は銅電線に比べて約5割の軽量化が可能で、10年からトヨタ自動車向けに供給を始めた。当初は銅製に比べて耐振動性、耐腐食性にネックがあったが、改良を重ねて耐久性を向上。親会社の住友電気工業も16年度までにタイ工場のアルミ電線の生産能力を現状の約5倍となる月300トンに引き上げることを決めた。住友電装は日米欧のメーカーに同製品を訴求し、目標達成につなげる。(2014年11月25日付日刊自動車新聞より)

-2010年11月、同社と住友電気工業は、アルミ電線を使用した自動車用低圧系ワイヤーハーネスを開発したと発表した。トヨタ自動車が販売を開始した新型 「Ractis」 に採用された。同グループによると、ワイヤーハーネスの総重量は1台あたり20キログラムに達するものもあり、燃費向上のためにも軽量化が求められているという。今回、アルミ電線の適用について電気接続の信頼性確保を実現する端子構造の見直しなどにより撚線 (よりせん) 構造の細物アルミ電線を使った軽量ワイヤーハーネスの開発に成功した。搭載車種の拡大に向けさらに技術開発を進めていく。(2010年11月25日付日刊 自動車新聞より)

海外事業

<タイ>
-2014年10月、住友電気工業はタイ・ラヨーン県の生産拠点で自動車用のアルミ電線を鋳造圧延工程から一貫生産すると発表した。日系自動車メーカーの需要拡大に対応し、アルミ電線の生産能力の増強も行う。同社の完全子会社でアルミ電線とアルミ棒材を生産しているSEIタイエレクトリックコンダクターに73億円を投資し、アルミ電線の生産能力の増強とアルミ鋳造圧延設備の導入を実施する。鋳造圧延工程から電線までタイで一貫生産し、グループの住友電装がハーネスに組み立てるタイ拠点に納入することで、グループ全体の生産を効率化する。(2014年10月20日付日刊自動車新聞より)

-同社と住友電気工業は、タイに自動車用アルミ電線の製造拠点を設立すると発表した。両社は2010年にアルミ電線を用いた自動車用ワイヤーハーネスの生産を開始した。両社が海外で自動車用アルミ電線の製造拠点を設けるのは今回が初めて。自動車用アルミ電線は燃費向上や車体の軽量化のニーズから需要が増えている。今後は東南アジア諸国連合や中国での需要増を見込みタイに製造拠点を設立、グループへグローバルに供給する。ラヨーン県アマタシティ工業団地に立地するグループの現地子会社 「SEIタイ・エレクトリック・コンダクター」 が、敷地内に自動車用アルミ電線工場を建設、14年9月に量産を開始する。生産能力は1カ月当たり約100トンを計画している。(2013年3月5日付日刊自動車新聞より)

<パラグアイ>
-同社は2015年度をめどにパラグアイに新工場を開設する。ブラジル向けのワイヤーハーネス (WH) を手がける供給基地として活用する。他の南米諸国に比べて労務費などが高くなりがちなブラジルの周辺に生産拠点を設けることで、コスト競争力を高める。パラグアイに進出するのは初めて。南米で6カ所目の生産拠点となる。15年度前半に生産を開始する予定。ブラジルに進出する日欧の自動車メーカーにWHを納入する。当初は従業員1千人規模で量産を立ち上げ、中期的に4千人規模まで陣容を拡大する。(2014年11月11日付日刊自動車新聞より)

<ロシア>
-同社と住友電気工業は 5日、2014年春をめどにロシアにワイヤーハーネスの生産、供給体制を構築すると発表。今年8月をめどにロシアの通信機器、電線メーカー 「ザボッド・ラジオアパラトリー (ZRA)」 と合弁で新会社を設立する。ZRAがロシア国内に持つ既存工場を活用し、新会社の生産基盤を整える。住友電工グループは現地に販売会社を設置していたが、生産拠点を持つのは初めて。ロシアに進出している自動車メーカー各社に提案活動を展開し、受注増につなげる。(2013年7月6日付日刊自動 車新聞より)

<インドネシア>
-2011年3月、同社と住友電気工業はインドネシアに自動車用ワイヤーハーネス (WH)、焼結部品、切削工具の新工場を建設すると発表した。約50億円を投資して各分野の生産拠点を新設する。

  • ワイヤーハーネス:住友電工と共同で、西ジャワ州プルワカルタ県に設置する既存拠点のPT. Sumi Indo Wiring Systemsに14億円を投じ、建屋を増設する。2015年度までに生産能力を現状の3倍に引き上げる。
  • 焼結部品:現地の企業グループと合弁で西ジャワ州のブカシ県に製造・販売会社を設立し、13年2月から生産開始する。投資額は25億円を見込む。
  • 切削工具:グループ会社の住友ハードメタルが、現地企業と西ジャワ州カラワン県に製造・販売会社を設け、13年4月に生産を開始する。投資額は12億円の予定。

<エジプト>
-2008年、同社と住友電気工業との英国での合弁会社であるSumitomo Electric Wiring Systems (Europe) Limitedは、欧州地域への自動車用ワイヤーハーネスの供給体制を強化するため、エジプト・ポートサイド市に自動車用ワイヤーハーネスの製造会社を設立したと発表。住友電工グループがエジプトに自動車用ワイヤーハーネスの生産拠点を設けるのはこれが初めて。新会社はSE Wiring Systems Egypt S.A.E.の名称で、資本金は1千万米ドル相当のエジプトポンド。英国合弁会社のSumitomo Electric Wiring Systems (Europe) Limitedが全額を出資する。人員は約1400人とし、日本人駐在員を2人置く予定。設立は2008年7月で、稼働開始は2009年8月を予定する。自動車用ワイヤーハーネスを製造し、2010年には年間50億円の売上高を目指す。(2008年9月9日付日刊自動車新聞より)

<ベトナム>
-2008年、東南アジアにおける自動車用ワイヤーハーネスの生産能力を増強するため、ベトナムに製造子会社Sumi Vietnam Wiring Systems Co., Ltd.を設立すると発表。グループのベトナムにおける自動車用ワイヤーハーネスの製造会社としては3社目となる。Sumi Vietnam Wiring Systems Co., Ltd.は資本金が1,700万ドル (20億円) で、全額を同社が出資し2008年2月内に設立する。ハーナム省ドンヴァンの工業団地に、敷地面積10万平方メートルの工場を建設。2009年1月に操業を開始し、日本や北米向けのワイヤーハーネスを生産する。投資額は19億円。2011年12月期の売上高は9,000万ドル (約104億円) を見込む。(2008年2月12日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

電気自動車用コネクター
-2012年、同社と住友電気工業は、充電コネクターを手がける独レマ社とともに電気自動車用コネクターの開発、設計を行う合弁会社「スミ・レマ・EVソリューションズ」を設立すると発表。2012年11月をめどに新会社を設立し、欧米のコンバインド・チャージング・システム (通称コンボ) 規格に沿った充電コネクターを開発する。現在、住友電工グループでは日本のCHAdeMO (チャデモ) 規格に合わせてガン、インレットなどを製品化しているが、日欧両地域の規格に沿って製品を揃え、EV向け部品事業の拡充につなげる。2013年度中にもコンボ規格のコネクターを製品化する計画だ。(2012年10月25日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-同社は子会社の住電エレクトロニクス(SDEL) を2012年4月1日付で吸収合併すると発表した。SDELは、住電グループのワイヤーハーネス事業においてコネクターや端子、車内の電源や機器動作を制御する電子部品の製造を手がけている。住電では、ワイヤーハーネス事業について、新興国を中心に需要は堅調に推移するとしながらも、グローバルでの競争力は厳しいとする。そのため、ワイヤーハーネス事業の競争力強化に向け、SDELの経営資源を同社に集約し、開発と製造、人材育成を一体で推進する体制を構築する。(2011年12月28日付日刊自動車新聞より)

-同社は2011年10月1日付で東日本の製造子会社4社を合併により統合すると発表した。海外での現地生産化が加速するワイヤーハーネス事業において、統合によりモノづくりの効率化や人材の有効活用、機動的なローテーションなど地域を超えた総合力を強化し、国内のグローバルマザー機能の役割りを明確にするのが狙い。対象4社は東北住電装 (山形県南陽市) と協立ハイパーツ (岩手県一関市)、協立ハーネス (同)、関東住電装 (栃木県小山市)。存続会社は東北住電装で、残る3社は消滅会社となる。統合新会社となる「SWS東日本」は岩手県一関市に本社を置き、2012年度に156億円の売上高を目指す。(2011年8月9日付日刊自動車新聞より)

研究開発拠点

拠点名 所在地
宇都宮技術センター 栃木県宇都宮市
日野技術センター 東京都日野市
厚木技術センター 神奈川県厚木市
浜松技術センター 静岡県浜松市
裾野技術センター 静岡県裾野市
豊田開発技術センター 愛知県豊田市
岡崎技術センター 愛知県岡崎市
刈谷技術センター 愛知県刈谷市
松坂技術センター 三重県
金沢技術センター 石川県
大阪技術センター 大阪府池田市
広島技術センター 広島県広島市
九州技術センター 福岡県宗像市
(株) オートネットワーク技術研究所 三重県四日市市
SEWS Mexico S.A. de C.V. メキシコ Aguascalientes
SEI ANTech-Europe GmbH ドイツ Mainz-Kastel
SUMI REMA EV Solutions GmbH ドイツ Bonn
SEWS-CABIND S.p.A. イタリア Collegno
住電電装商貿 (上海) 有限公司
[SEWS-STC Co., Ltd.]
中国上海市
開封日津汽車線束有限公司
[Kaifeng Rijin Wiring Systems Co., Ltd.]
中国河南省
Sumidenso Automotive Technologies Asia Corporation フィリピン St. Clark Freeport Zone
SEWS-Asia Technical Center タイ Bangkok

研究開発体制

ワイヤーハーネス/車載エレクトロニクス機器事業
-同社と住友電気工業、および両社の共同出資によるオートネットワーク技術研究所を中心に、安全・快適・環境のニーズに対応した新製品の開発を実施。
-ワイヤーハーネス:

  • 次世代車載システムに対応できるハーネスアーキテクチャーを構築し、それに必要な要素技術の開発を推進している。
  • 環境対応としてハーネスの軽量化に取り組んでおり、銅に比べ軽量なアルミを使ったワイヤーハーネスを量産し、さらに適用範囲拡大の取り組みを進めている。
  • 市場規模が拡大している電気自動車/ハイブリッド車用高圧ハーネスやコネクター、バッテリー内配線モジュール等の開発を推進している。

-車載エレクトロニクス機器:

  • 電源系、情報系のネットワーク化に対応すべく、PD (Power Distributor) 等のエレクトロニクス機器や半導体デバイス、ボディ制御ECU、次世代の車載LAN (Local Area Network) の開発をソフトウェアを含めて推進している。

製品開発

-2010年11月、同社と住友電気工業は、アルミ電線を使用した自動車用低圧系ワイヤーハーネスを開発したと発表。同グループによると、ワイヤーハーネスの総重量は1台あたり20キログラムに達するものもあり、燃費向上のためにも軽量化が求められているという。今回、アルミ電線の適用について電気接続の信頼性確保を実現する端子構造の見直しなどにより撚線 (よりせん) 構造の細物アルミ電線を使った軽量ワイヤーハーネスの開発に成功した。搭載車種の拡大に向けさらに技術開発を進めていく。(2010年11月25日付日刊自動車新聞より)

国内投資

-2014年7月、電波暗室付シャシーダイナモ実験設備を備えた実験棟を三重県鈴鹿製作所に新たに建設すると発表した。車両走行状態での車載電子システムの制御性能とその健全性の評価が可能となる。総投資額は19億円で、延床面積は1,638平方メートル。2015年3月に着工し、2016年10月より稼働を開始する予定。(2014年7月24日付プレスリリースより)