日鍛バルブ (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 42,494 | 43,105 | (1.4) | - |
営業利益 | 3,124 | 2,617 | 19.4 | - |
経常利益 | 3,140 | 3,201 | (1.9) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 953 | 658 | 44.8 | - |
小型エンジンバルブ | ||||
売上高 | 34,826 | 34,902 | (0.2) |
-国内事業は、四輪車用の中空エンジンバルブの量産開始による増加要因はあったものの、一部製品の海外移管等により、四輪車用・二輪車用エンジンバルブ共に、減収。 |
営業利益 | 2,944 | 2,002 | 47.1 | -国内事業および一部海外事業の受注減影響やインド子会社立ち上げ費用発生等が減益要因。 -北米の回復、欧州・ベトナムの黒字化に伴う増益等により、全体として増益。 |
可変動弁・歯車 | ||||
売上高 | 2,894 | 3,789 | (23.6) | -可変動弁:モデル切り替えによる受注減により減収。 -精密鍛造歯車:中国・欧州向け自動車用製品が増加する一方で、産業機械用製品、東南アジア向け自動車用製品が減少し、減収。 |
営業利益 | (152) | 225 | - | - |
要因
バルブリフター売上高
-モデル切り替え等による受注減により、減収。
傘中空バルブの供給
-2015年から量産を開始した傘中空エンジンバルブを、従来から取引関係が深い日系と韓国系の自動車メーカーに優先的に供給していく。主要顧客がエンジン性能分野で他の海外メーカーと差別化した固有技術を確立することに貢献する。このため、今後、同バルブを新たに供給する自動車メーカーは慎重に選定していく考えだ。また、当面は既存の山陽工場 (山口県山陽小野田市) での生産にとどめ、品質管理を徹底するとともに量産技術を熟成させる。同社が開発した傘中空弁の「ホローヘッドバルブ」は、エンジンバルブ本体の軸部と傘部の両方を空洞化し、冷媒の金属ナトリウムを封入することで軽量化や放熱性を高めた製品。低燃費化や燃焼効率の向上に寄与する高性能バルブとして、ホンダの「Step WGN」などに採用されている。(2015年8月29日付日刊自動車新聞より)
3カ年経営戦略 (2017年3月期~2019年3月期)
2019年3月期、財務目標
- 連結売上高:460億円
- 連結営業利益:51億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益:26億円
- ROE: 8%以上
-主力のバルブ事業では、中実・中空製品で低燃費エンジンに対応する技術の研究開発を進め、新規受注を開拓していく。このほか、固有の鍛造技術を生かした高耐久性ロッカーアームや断熱バルブなど、競争力の高い新製品を提案していく。さらに、欧州自動車メーカー向けにブレーキ機構部品の量産準備を進め、同部品単体で年間10億円規模の売り上げの上乗せを見込む。(2016年6月8日付日刊自動車新聞より)
重要課題 | 対応策 |
国内事業の収益回復 | -中空エンジンバルブを中国・北米に輸出する。 ・2015年2月より山陽工場 (山口県山陽小野田市) にて傘中空エンジンバルブの量産開始。 ・中空エンジンバルブを日本で集中生産。 -2015年秋、北米グローバル車種に傘中空エンジンバルブ搭載決定。 -2018年3月期には、傘中空エンジンバルブの海外投資を検討する。 -中空エンジンバルブで、2019年3月期売上高50億円越えを狙う。 |
-可変動弁・歯車事業: カム位相可変機構 (VCP):資源を新商品開発と生産に振り向ける。 歯車:鍛造、機械加工技術を活かした、新規製品の生産開始 |
|
収益構造改革 | -国内小型エンジンバルブ事業の強化 |
-インドネシア、北米の競争力強化 | |
-インドの生産増強 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予測) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) | |
売上高 | 42,600 | 42,494 | 0.2 |
営業利益 | 3,750 | 3,124 | 20.0 |
経常利益 | 3,800 | 3,140 | 21.0 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,700 | 953 | 78.3 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 511 | 459 | 616 |
-小型エンジンバルブ | 255 | 290 | 366 |
-可変動弁・歯車 | 101 | 9 | 132 |
研究開発活動
小型エンジンバルブ
-ダウンサイジングエンジン用バルブ:軽量化と高耐熱化により、燃費改善効果を狙った次世代冷媒封入傘中空バルブは、量産開始後に複数顧客への採用拡大が進んでいる。さらなる拡販を目指し、複数顧客に向けた試作・評価に取り組んでいる。
可変動弁
-可変動弁機構:継続的な燃費改善要求と2020年以降の厳しい排ガス規制を見据えた新型エンジンへの採用を目標とし、可変バルブタイミング装置のコンパクト化を中心に、顧客要求仕様への適合開発を実施している。
歯車製品
-サイドギア関連のニアネットシェイプ成形を推進し、素材投入量の削減、使用電力削減やスクラップ削減等も同時に達成。環境に配慮した開発を進めている。
-SUV用の高負荷用ギアセット等の新規受注も堅調に増加している。
バルブリフター
-油圧ラッシュアジャスター (HLA) において、信頼性を証明し、受注を獲得。2017年3月期に量産開始。
-ローラーロッカーアームについても、新規引き合いがあり、今後の拡販の取り組みを開始している。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
全社 | 4,323 | 5,930 | 7,023 |
-小型エンジンバルブ | 3,596 | 5,436 | 6,763 |
-可変動弁・歯車 | 304 | 163 | 124 |
-2016年3月期 小型エンジンバルブ事業の設備投資は、エンジンバルブ製造設備の増設および更新・合理化に投下された。
小型エンジンバルブ設備投資額 | (単位:百万円) |
生産拠点 | 2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 |
日鍛バルブ (日本) |
1,360 | 857 | 1,211 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
869 | 920 | 124 |
広州日鍛汽門有限公司 [Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.] (中国) |
523 | 742 | 784 |
U.S. Engine Valve (Partnership) (米国) |
365 | 881 | 2,288 |
Nittan Vietnam Co., Ltd. (ベトナム) |
198 | 386 | 1,119 |
Nittan India Tech Pvt. Ltd. (インド) |
139 | 997 | - |
PT. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
- | 548 | 660 |
Nittan Euro Tech sp.z o.o. (ポーランド) |
- | - | 522 |
海外投資
<タイ>
-タイ工場で初となる生産合理化ラインを導入し、2015年8月に本格稼働した。省人化や品質の安定化を目的としたもので、労働集約型の生産体制からの脱却によって、新興国市場での競争力を高めるのが狙い。2017年3月期には、2ライン目の設置も予定している。合理化ラインでは主に受注量が多いエンジンバルブの製造を手がけていく。(2015年9月7日付日刊自動車新聞より)
<中国>
-中国で拡大する四輪車向けエンジンバルブの需要に対応するため、既存工場の能力増強後に新工場建設の具体的な検討を始める。既存の広州市周辺か内陸部に用地を確保し、4、5年後の稼働をめどに準備を進めていく方針だ。新工場は3ラインでの初期稼働を想定しており、2018年3月期までに15ライン化する既存工場と合わせて、同国で中期的に18ラインの体制を整える。(2015年8月19日付日刊自動車新聞より)
<米国>
-北米市場でのエンジンバルブの競合激化をにらみ、米国工場のコスト競争力を高める。価格面での適応の幅を広げることで、自動車の生産移管が徐々に進んでいるメキシコへの顧客流出を防止する。部材の前加工での生産性改善によって原料コストの圧縮を図るほか、提携先からの派遣エンジニアの人員を削減していく。(2015年8月6日付日刊自動車新聞より)
<インド>
-インド工場のエンジンバルブの生産能力を3倍に増強する。2019年3月期までに製造設備を現在の2ラインから6ラインに増やし、年産能力を現在の400万~500万本から同1400万本に引き上げる。将来的には既存工場の大幅な増築も想定しており、同2千万本以上の供給が可能な体制を整えていく。(2015年7月24日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 (自動車部品事業) |
(2016年3月31日現在) |
事業所 | 設備の内容 | 投資額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
本社工場 (神奈川県秦野市) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 564 | 2016.04 | 2017.03 | 合理化、更新が主目的 |
精密鍛造歯車他生産設備 | 82 | 2016.04 | 2017.03 | 合理化、更新が主目的 | |
山陽工場 (山口県山陽小野田市) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 1,590 | 2016.04 | 2017.03 | 合理化、更新が主目的 |
PT. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 166 | 2016.01 | 2016.12 | 合理化、更新が主目的 |
U.S. Engine Valve (Partnership) (米国) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 293 | 2016.01 | 2016.12 | 合理化、更新が主目的 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 22 | 2016.01 | 2016.12 | 合理化、更新が主目的 |
広州日鍛汽門有限公司 [Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.] (中国) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 583 | 2016.01 | 2016.12 | 合理化、更新および生産能力10%増。 |
Nittan Vietnam Co., Ltd. (ベトナム) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 68 | 2016.01 | 2016.12 | 合理化、更新が主目的 |
Nittan India Tech Pvt. Ltd. (インド) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 525 | 2016.04 | 2017.03 | 合理化、更新および生産能力25%増。 |