日鍛バルブ (株) 2015年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2015年 3月期 |
2014年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 43,105 | 38,972 | 10.6 | -中国における生産拡大やベトナム子会社の量産開始、円安効果が寄与。 |
営業利益 | 2,617 | 1,161 | 125.4 | -日本、東南アジアにおける小型エンジンバルブは減益。 -中国の好調、北米の回復による増益に円安効果が加わり、増益。 |
経常利益 | 3,201 | 1,637 | 95.5 | |
当期純利益 | 658 | 192 | 242.7 | - |
小型エンジンバルブ | ||||
売上高 | 34,902 | 30,008 | 16.3 | 1) |
営業利益 | 2,002 | 740 | 170.5 | - |
可変動弁・歯車 | ||||
売上高 | 3,789 | 4,603 | (17.7) | 2) |
営業利益 | 225 | 273 | (17.6) | - |
要因
1) 小型エンジンバルブ 売上高
-日本:四輪車用エンジンバルブの売上高は、軽自動車用製品の受注減および一部製品の海外移管により減収。
-アジア地域:中国における四輪車用製品の新規立ち上がり、ベトナムにおける量産開始、円安効果が寄与し大幅な増収。
-北米地域:市場の回復に伴う生産拡大、円安効果もあり、増収。
2) 可変動弁・歯車 売上高
-可変動弁:モデル切り替えによる受注減により、減収。
-精密鍛造歯車:中国・東南アジア向け自動車製品の受注減により、減収。
傘中空バルブの増産
-エンジンバルブの軸部 (バルブステム) と傘部 (バルブヘッド) を中空化した「ホローヘッドバルブ」の量産を2014年10月から開始する。山陽工場 (山口県山陽小野田市) で生産し、日系自動車メーカーが国内で販売する主力車種などに向けて供給を行う。初年度は月産40万本の計画としているが、3年後には同100万本まで需要が膨らむと見込んでいる。 (2014年6月5日付日刊自動車新聞より)
-四輪向け日鍛バルブの傘中空バルブの特徴
*従来中実エンジンバルブとの比較
- 最大20%の軽量化
- 最大200℃の温度低減
-先行傘中空バルブとの比較
- 中空容積増加による軽量化
- 冷媒容量増加による冷却性能の向上
-拡販の進捗
- 日系メーカー向けに2015年量産開始
- 韓国メーカー向けに2015年量産開始
2014年度経営戦略
-「構造改革」、「高付加価値製品開発」、「グローバル供給体制構築」を柱に、国内外での改革を推進。
地域 | 重点方策 |
日本 | -”ものづくり”のコア技術育成 |
-改善力を支える製造技術を磨くマザー工場 | |
-高付加価値製品の開発・生産 | |
アジア | -安い賃金に頼らない”ものづくり” |
-大ロット生産による利益の追求 | |
-地域特性に合った製品構成 | |
欧米 | -大ロット生産による利益の追求 |
-南米を視野に入れた生産体制 | |
-欧州拠点の効率的活用 |
2016年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2016年3月期 (予測) |
2015年3月期 (実績) |
増減率 (%) | |
売上高 | 42,700 | 43,105 | (0.9) |
営業利益 | 3,100 | 2,617 | 18.4 |
経常利益 | 3,200 | 3,201 | (0.0) |
当期純利益 | 1,000 | 658 | 51.8 |
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 459 | 616 | 716 |
-小型エンジンバルブ | 290 | 366 | 365 |
-可変動弁・歯車 | 9 | 132 | 244 |
研究開発活動
小型エンジンバルブ
-ダウンサイジングエンジン用バルブ:軽量化と高耐熱化により、燃費改善効果を狙った次世代冷媒封入中空バルブは、顧客メーカーの新開発エンジンへ採用され、量産が開始された。さらなる拡販を推進。
可変動弁
-可変動弁機構:継続的な燃費改善要求と2020年以降の厳しい排ガス規制を見据えた新型エンジンへの採用を目標とし、可変バルブタイミング装置の開発を継続している。装置のコンパクト化要求に対応すべく、仕様の再構築を進めている。
歯車製品
-新製品として、トランスミッション内に搭載される新機構部品を受注。従来のトランスミッションに無い機構で、鍛造・機械加工に特殊な工程を導入している。
バルブリフター
-油圧ラッシュアジャスターが量産最終評価段階にある。
-新規顧客向けにローラーロッカーアームの開発を推進中。
技術導入契約等 |
(2015年3月31日現在) |
会社名 (国名) |
契約内容 | 契約期間 |
北京柳成新和汽車部件有限公司 [Beijing Yoosung Shinhwa Automobile Part Co., Ltd.] (中国) |
油圧ラッシュアジャスターに関するライセンス契約 | 2006年12月07日 - 10年間 |
メカニカルタペットに関するライセンス契約 | 2008年01月01日 - 10年間 | |
U.S. Engine Valve (Partnership) (米国) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2008年08月04日 - 10年間 |
Nittan Euro Tech sp.z o.o. (ポーランド) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | ライセンス対象製品の出荷を開始した日から5年間 (2008年8月29日締結) |
PT. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2010年06月01日 - 5年間 |
新和精密 (株) [Shinhwa Precision Co., Ltd.] (韓国) |
油圧ラッシュアジャスターに関するライセンス契約 | 2010年08月01日 - 5年間 |
メカニカルタペットに関するライセンス契約 | 2012年12月05日 - 5年間 | |
広州日鍛汽門有限公司 [Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.] (中国) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2011年04月01日 - 10年間 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2012年02月01日 - 5年間 |
Nittan Vietnam Co., Ltd. (ベトナム) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2013年01月01日 - 10年間 |
Nittan India Tech Pvt. Ltd. (インド) |
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 | 2014年02月01日 - 10年間 |
Eaton Corporation (米国) |
小型エンジンバルブおよび油圧ラッシュアジャスターに関するライセンス契約 | 2015年01月01日 - 2024年06月30日 |
ニッタン・グローバル・テック (株) (日本) |
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2015年3月期 | 2014年3月期 | 2013年3月期 | |
全社 | 5,930 | 7,023 | 4,660 |
-小型エンジンバルブ | 5,436 | 6,763 | 4,049 |
-可変動弁・歯車 | 163 | 124 | 403 |
-2015年3月期 小型エンジンバルブ事業の主な設備投資は以下の通り:
生産拠点 | 投資額 (単位:百万円) |
投資内容 |
小型エンジンバルブ | ||
同社 | 857 | エンジンバルブ製造設備の増設および更新・合理化 |
Nittan India Tech Pvt. Ltd. (インド) |
997 | |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
920 | |
U.S. Engine Valve (Partnership) (米国) |
881 | |
広州日鍛汽門有限公司 [Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.] (中国) |
742 | |
PT. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
548 | |
Nittan Vietnam Co., Ltd. (ベトナム) |
386 |
海外投資
<米国>
-米国生産拠点U.S.エンジンバルブで2014年10月をめどにエンジンバルブの生産規模を3割強引き上げる。増設中の生産設備を本格稼働し、年産量を6千万本から8千万本に増やす計画だ。北米市場のバルブ需要の急増に伴い、2013年度は製品の一部を日本や欧州の工場から輸出することで対応していたが、能力増強後は現地生産に切り替える。将来的には米国から中南米への輸出も想定し、年産8千万~9千万本の生産体制を維持していく構えだ。 (2014年5月15日付日刊自動車新聞より)
-2014年2月、Eaton Corporationとの合弁会社U.S. Engine Valve (Partnership) がサウスカロライナ州とネブラスカ州の拠点に、今後5年間で40百万ドルを投じると発表。2016年までに新たに最大150名を雇用する予定:
- サウスカロライナ州のWestminster工場:2013年から2017年の間に約34百万ドルを投資する。同拠点を38,000平方フィート拡張し、バルブ加工装置や鍛造プレス機を新たに設置する計画。同工場の拡張工事はすでに開始されており、2014年3月に完成する見込み。
- ネブラスカ州KearneyにあるEatonの工場:6百万ドルを投じて、バルブの生産を拡大する。
<中国>
-中国子会社の広州日鍛汽門 (広東省広州経済技術開発区) でエンジンバルブの生産量を2018年度までに現在の年間2千万~2500万本から7千万~8千万本に拡大する。既存工場での生産ラインの追加や新工場の立ち上げにより、生産量を大幅に増やす計画だ。2017年度までに生産設備を現在の10ラインから15ラインに増強し、年産量を4千万本以上に増やす。更に2017~2018年度には、10ライン以上の生産設備を備えた新工場を建設する。 (2014年5月29日付日刊自動車新聞より)
設備の新設計画 (自動車部品事業) |
(2015年3月31日現在) |
事業所 | 設備の内容 | 投資額 (百万円) |
着手 | 完了 予定 |
完成後の 増加能力 |
本社工場 (神奈川県秦野市) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 141 | 2015.04 | 2016.03 | 合理化、更新が主目的 |
精密鍛造歯車他生産設備 | 344 | 2015.04 | 2016.03 | 合理化、更新が主目的 | |
山陽工場 (山口県山陽小野田市) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 1,763 | 2015.04 | 2016.03 | 合理化、更新が主目的 |
PT. Federal Nittan Industries (インドネシア) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 240 | 2015.01 | 2015.12 | 合理化、更新が主目的 |
U.S. Engine Valve (Partnership) (米国) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 440 | 2015.01 | 2015.12 | 合理化、更新が主目的 |
Nittan (Thailand) Co., Ltd. (タイ) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 660 | 2015.01 | 2015.12 | 合理化、更新および生産能力10%増。 |
広州日鍛汽門有限公司 [Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.] (中国) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 880 | 2015.01 | 2015.12 | 合理化、更新および生産能力25%増。 |
Nittan Vietnam Co., Ltd. (ベトナム) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 300 | 2015.01 | 2015.12 | 合理化、更新が主目的 |
Nittan India Tech Pvt. Ltd. (インド) |
小型エンジンバルブ生産設備 | 460 | 2015.01 | 2015.12 | 合理化、更新および生産能力50%増。 |