日鍛バルブ (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 35,493 32,950 7.7 -
営業利益 1,008 658 53.2 -北米地域において、震災やタイ洪水の影響により落ち込んだ生産の急回復対応によるコスト増。
-国内では、震災影響からの回復や各種コスト低減施策が利益を押し上げた。
経常利益 1,479 836 76.9
当期純利益 (1,018) (895) - -
小型エンジンバルブ
売上高 26,070 21,709 20.1 1)
営業利益 1,046 351 198.3 -
可変動弁・歯車
売上高 4,674 6,010 (22.2) 2)
営業利益 (211) 28 - -

要因
1)
小型エンジンバルブ
-国内では、四輪車用エンジンバルブは、欧州や中国向け製品が減少したものの、震災影響からの回復に加え、軽自動車向け製品の新規立ち上がりや北米向け製品の好調などもあり、増収。

-アジア地域で新規立ち上がりの遅れやインドネシアにおけるローン規制による二輪車需要鈍化の影響があったものの、為替換算の円安効果により増収。

-北米地域では、為替換算の円安効果に加え、同地域の需要回復にともなう生産の急回復により大幅な増収。

2)
可変動弁・歯車
-可変動弁については、震災影響からの生産回復はあったものの、モデル切り替えによる受注減少による減収。

-精密鍛造歯車については、新興国向け中大型機種製品の好調や国内の震災復興需要により一部製品は増加したものの、中国向け製品の減少などにより減収。

海外事業

<インド>
-2013年3月インド、アンドラプラディッシュ州に小型エンジンバルブを製造する「Nittan India Tech Pvt.Ltd.」を設立した。インド市場での二輪車、四輪車が普及しており、今後も生産台数の増加が見込まれるため、インド進出を決定した。資本金は約10億円で、日鍛バルブが99.9%、港南通商が0.1%出資。日鍛バルブでは、日本とインドのFTA締結による関税ゼロの利点も生かし、OEM生産の拠点としての活用も視野に入れている。

<米国>
-米国での自動車用エンジンバルブの生産能力を、現在の年間約5千万本から2015年に約7千万本へ4割引き上げる。日系メーカーからの新規受注に対応するため、現地合弁会社の拠点活用や第2拠点の新設などを検討する。北米の需要の伸び拡大で現地の生産能力が不足しており、一部日本などから供給して需要増に対応している。同社では能力増強に先駆け、日本から現地合弁会社に生産性改善チームを派遣するほか、現地社員の育成を強化して定着率を高めるなど、12年度中の生産性向上を目指す。 (2012年12月7日付日刊自動車新聞より)

エンジンバルブの多品種少量生産 - 秦野工場

-本社に隣接する秦野工場 (神奈川県秦野市) で、エンジンバルブの多品種少量生産に対応するラインを2013年春に新設して稼働する。同社は、一般的なバルブだけでなく、特別な加工が必要な高性能エンジンや天然ガス車、エタノール車用のエンジンバルブを生産している。今後も、特別加工が必要な多品種少量生産の需要が増えると見て、フレキシブル生産を実現するラインの新設により生産性を高めて、さらなる新規受注の拡大につなげる。 (2012年10月5日付日刊自動車新聞より)

対処すべき課題

-「技術開発力」と「グローバル展開」を最重要課題とし、以下の施策を行う。
  • 効率的な事業体制
  • 技術競争力の確保
  • マネジメント体制の再構築
  • グローバル人材の育成
  • 成長市場における事業基盤の構築 (例:ベトナムおよびインドに現地法人設立)
  • ニッタン・グローバル・テック株式会社との連携による、世界規模での最適調達

2014年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2014年3月期
(予測)
2013年3月期
(実績)
増減率 (%)
売上高 37,300 35,493 5.1
営業利益 1,800 1,008 78.6
経常利益 2,100 1,479 42.0
当期純利益 650 (1,018) -

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 716 696 1,117
小型エンジンバルブ 365 174 -
可変動弁・歯車 244 379 -
 

研究開発活動

小型エンジンバルブ
-エタノールやガスを使用した「代替燃料」エンジン用バルブでは、多様な燃料性状に対応した材料開発が完了し、二輪車用に量産適用されている。

-排気量を小さくした「ダウンサイジング」エンジン用のバルブでは、軽量化と高耐熱化に向け開発を行っている。さらなる燃費改善効果を狙った次世代冷媒封入中空バルブの開発においては、性能・信頼性・製造性の検証を実施中。

可変動弁・歯車
-可変動弁機構では、継続的な燃費改善要求と2015年以降の厳しい排ガス規制を見据えた新型エンジンへの採用を目標とし、可変バルブタイミング装置の開発に取り組む。

-歯車関連では、新規に鍛造シミュレーションと構造解析を連携させ、顧客要望に対応。

バルブリフター
-より適用範囲が広く耐摩耗性を改善した、低フリクションを極めたDLCコーティングメカニカルタイプを新たに開発した。

ライセンス契約・技術導入契約等

(2013年3月31日現在)
会社名
(国名)
契約内容 契約期間
Eaton Corporation plc
(米国)
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 2012年07月01日 - 2013年06月30日
Eaton Corporation plc
(米国)
油圧式バルブリフターに関するライセンス契約 2012年07月01日 - 2013年06月30日
PT. Federal Nittan Industries
(インドネシア)
小型エンジンバルブに関するライセンス契約 2010年06月01日 - 5年間
新和精密 (株)
[Shinwa Precision Co., Ltd.]
(韓国)
油圧式バルブリフターに関するライセンス契約 2010年08月01日 - 5年間
Nittan (Thailand) Co., Ltd.
(タイ)
小型エンジンバルブに関する技術援助契約 2012年02月01日 - 5年間
新和精密 (株)
[Shinwa Precision Co., Ltd.]
(韓国)
メカニカルタペットに関するライセンス契約 2012年12月05日 - 5年間
北京柳成新和汽車部件有限公司
[Beijing Yoosung Shinhwa Automobile Parts Co., Ltd.]
(中国)
ラッシュアジャスターに関するライセンス契約

2006年12月07日 - 10年間

メカニカルタペットに関するライセンス契約 2008年01月01日 - 10年間
Nittan Euro Tech sp.z o.o.
(ポーランド)
自動車用エンジンバルブに関するライセンス契約 ライセンス対象製品の出荷を開始した日から5年間
(2008年8月29日締結)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 4,660 4,158 2,935
小型エンジンバルブ 4,049 3,292 2,322
可変動弁・歯車 403 506 344

-自動車用部品事業の投資内訳 (単位:百万円)
生産拠点 投資額 投資内容
小型エンジンバルブ
同社 2,116 エンジンバルブ製造設備の増設および更新・合理化。
Nittan (Thailand) Co., Ltd.
(タイ)
624 エンジンバルブ製造設備の増設等。
広州日鍛汽門有限公司
[Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.]
(中国)
541 エンジンバルブ製造設備の増設等。
可変動弁・歯車
同社 403 産業機械等の精密鍛造歯車製造設備の更新・合理化。

設備の新設計画 (自動車部品事業)

(2013年3月31日現在)
事業所 設備の内容 投資額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
本社工場
(神奈川県秦野市)
エンジンバルブ生産設備 630 2013.04 2014.03 合理化、更新が主目的。
精密鍛造歯車他生産設備 120 2013.04 2014.03 合理化、更新が主目的。
山陽工場
(山口県山陽小野田市)
エンジンバルブ生産設備 450 2013.04 2014.03 合理化、更新が主目的。
PT. Federal Nittan Industries
本社工場
(インドネシア)
エンジンバルブ生産設備 630 2013.07 2013.09 合理化、更新および生産能力13%増。
U.S. Engine Valve (Partnership)
本社工場
(米国)
エンジンバルブ生産設備 1,760 2013.01 2013.12 合理化、更新および生産能力16%増。
広州日鍛汽門有限公司
[Guangzhou Nittan Valve Co., Ltd.]
(中国)
エンジンバルブ生産設備 750 2013.01 2013.10 合理化、更新および生産能力38%増。
Nittan Euro Tech sp.z o.o.
(ポーランド)
エンジンバルブ生産設備 520 2013.01 2013.10 合理化、更新および生産能力16%増。