古河電気工業 (株) 2018年3月期の動向

業績

(単位:百万円)

2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 967,333 843,344 14.7 -自動車部品・電池事業は、新車種向けワイヤーハーネスが好調
営業利益 44,804 38,623 16.0
経常利益 46,908 36,024 30.2 -
親会社株主に帰属する
当期純利益
28,547 17,570 62.5 -

中期経営計画「Furukawa G Plan 2020」(2016年策定)

-自動車分野を重点領域と位置づけ、強化に引き続き取り組む。具体的には、アルミワイヤーハーネスやアルミ防食端子等により、電動化・自動運転化の進展による軽量化の需要を取り込むだけでなく、周辺監視レーダーなどの開発も加速する。
-2020年度の各種財務目標値は、連結営業利益550億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益300億円以上、ROE10%以上。


受注

車載用監視レーダー
-マツダが2月に販売開始した新型「CX-5」に採用され、量産を開始。自動ブレーキなどのADAS用に搭載。パルス方式を用いた世界トップレベルの検知性能や安定的な品質などが評価。日系自動車メーカーが採用しているADAS用レーダーは、欧州製がほとんどで、量産モデルに日本製のレーダーが使われるのは初めて。(2017年2月8日付日刊自動車新聞より)


国内事業

-古河電工グループの古河ASは、自動車用アルミ製ワイヤーハーネスの「α端子シリーズ」のラインアップを拡充すると発表。コストアップを抑えながら約30%の軽量化を実現、燃費改善などに取り組む自動車メーカーのニーズに対応。同シリーズは、アルミ製電線と銅製の端子という異種金属の接合で生じる腐食を独自のレーザー加工などによって防止、コストやサイズのアップを抑えた。既存製品はすでにトヨタ自動車のレクサスの新型車に採用済み。(2017年6月1日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<ドイツ>
-米エセックス・マグネット・ワイヤとの合弁工場、エセックス・フルカワ・マグネット・ワイヤ・ヨーロッパがドイツで開所。高耐電圧巻線 (HVWW)を製造。(2017年12月20日付日刊自動車新聞より)



研究開発費

(単位:百万円)

2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 19,533 17,454 16,845
-電装・エレクトロニクス 4,995 4,711 4,263



研究開発活動

-自動車部品・電池では、主に以下の開発を行っている。

  • アルミ電線を使用した自動車用ワイヤーハーネス
  • バッテリー状態検知センサーの高機能化、電源マネジメントシステム関連製品
  • 車載用監視レーダーの高性能化
  • HV・EV用モーターの小型化および高出力化に対応した高機能巻線
  • カーボンナノチューブ (CNT) 電線の実用化

無酸化銅に関するJIS最高規格を取得 (日本初)
-純銅の中でも、特に高い導電性や熱伝導性を持つことが確認され、今回の認証を受けた。自動車のパワーデバイスの高性能化などに貢献できる素材として、新たな用途開発を進める。無酸素銅の物性を活かし、電気自動車やハイブリッド車に搭載されるモーター周辺部品などへの展開を見込む。(2017年4月18日付 日刊自動車新聞より)

耐熱低挿入力めっき材
-めっき表層に銅と錫の金属間化合物層を形成することで、耐熱性と低挿入力性を両立。ワイヤーハーネスの端子に適する。(2017年3月27日付日刊自動車新聞より)

CNT製の線材を用いた小型モーター
CNT素材の巻線を使ったモーターの試作に成功。電動機のコイル材にCNTを活用したのは同社では初めて。EV/HV用モーターの高性能化や軽量化に貢献する技術として、2030年までの実用化を目指す。(2017年3月22日付日刊自動車新聞より)


研究開発拠点

拠点名 研究開発分野 所在地
自動車・エレクトロニクス研究所 自動車技術 神奈川県平塚市 (主要拠点)、
栃木県日光市 (分室)、滋賀犬上郡 (分室)
コア技術融合研究所 コア技術 神奈川県横浜市 (主要拠点)、千葉県市原市 (分室)、
栃木県日光市 (分室)、神奈川県平塚市 (分室)
先端技術研究所 新素材・新技術 神奈川県横浜市 (主要拠点)、
栃木県日光市 (分室)、神奈川県平塚市 (分室)
情報通信・エネルギー研究所 インフラ技術 千葉県市原市 (主要拠点)、
神奈川県平塚市 (分室)
Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (FETI) 解析 ハンガリー
OFS研究所 光ファイバー 米国
SuperPower Inc. 超電導 米国



設備投資額

(単位:百万円)

2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 38,543 31,584 25,687
-電装・エレクトロニクス 12,070 11,609 -

設備の新設計画

-2018年3月期の設備投資計画は54,000百万円、電装・エレクトロニクス部門は15,800百万円で、主な内容は生産能力の増強。
-子会社の古河ASがフィリピンの工場でワイヤーハーネスの生産能力を増強する。北米市場をはじめとするグローバル車向けで新規受注を獲得したため。約100億円を投じて工場建屋面積を2倍に増やす。北米市場向けワイヤーハーネスは以前はメキシコ工場から供給していたが、アジアでもコストや品質などの条件を満たすワイヤーハーネスを生産できる体制を構築したことから、現在はフィリピン、ベトナムからも供給している。