古河電気工業 (株) 2011年3月期の動向
ハイライト
業績 - 古河電気工業(株) |
(単位:百万円) |
2011年 3月期 |
2010年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 925,754 | 809,693 | 14.3 | -銅地金価格の高騰による影響もあったが、自動車用ワイヤーハーネスや、MCPETなどの高機能素材事業や軽金属部門を中心に好調に推移した。 |
営業利益 | 35,144 | 20,321 | 72.9 | -金属部門および軽金属部門の損益が大きく改善し、また、電装・エレクトロニクス部門における自動車分野の業績も堅調に推移した。 |
経常利益 | 31,422 | 19,347 | 62.4 | - |
当期純利益 | 12,213 | 9,704 | 25.9 | -東日本大震災に伴う損失、投資有価証券の評価損、その他資産除去債務会計基準適用に伴う影響などによる特別損失を151億円、固定資産処分益などによる特別利益を73億円計上。 |
電装・エレクトロニクス部門 | ||||
売上高 | 209,624 | 177,232 | 18.3 | -自動車用ワイヤーハーネスおよび自動車用部品が国内外の市場において年度を通じて好調を維持し、またスマートフォン向け巻線などの需要も旺盛であった。 |
営業利益 | 7,801 | 7,179 | 8.7 | - |
企業買収
-米リア・コーポレーションと合弁で展開していた車載ワイヤーハーネス(WH)事業会社の株式を買い取り、完全子会社化したと発表した。北米におけるWHの 商圏拡大やコネクターなどの電装部品事業を手がける別会社との連携強化を進め、コスト低減や品質強化を図るのが狙い。完全子会社化したのは、フルカワ・リ ア・コーポレーション(FLC)。これに伴い、社名をフルカワ・ワイヤリング・システムズ・アメリカ (FWSA)に変更した。同社は現在、ホンダ向けの製品供給が9割を占めている。事業体制の変更により、ホンダ以外からの受注獲得に向けた活動を本格化し て、2015年をめどに売上高を現状の約60億円からの倍増を狙う。(2010年6月18日付日刊自動車新聞より)>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)
セグメント別売上高・営業利益(2012年度計画 単位:億円)
セグメント | 2010年度 実績 |
2011年度 予想 |
|
情報通信 | 売上高 | 1,493 | 1,600 |
営業利益 | 96 | 100 | |
エネルギー・産業機材 | 売上高 | 2,530 | 2,500 |
営業利益 | 9 | 80 | |
金属 | 売上高 | 1,529 | 1,700 |
営業利益 | 32 | 55 | |
電装・エレクトロニクス | 売上高 | 2,096 | 2,300 |
営業利益 | 78 | 110 | |
軽金属 | 売上高 | 2,090 | 2,200 |
営業利益 | 115 | 140 |
開発動向
研究開発費 - 古河電気工業(株) |
(単位:百万円) |
2010年3月期 | 2009年3月期 | 2008年3月期 | |
全社 | 18,296 |
17,270 | 19,789 |
電装・エレクトロニクス | 3,807 |
3,659 | 4,288 |
研究開発体制
拠点名 | 所在地 |
研究開発本部横浜研究所 | 横浜市西区 |
古河電気工業(株) 自動車電装技術研究所 |
神奈川県 平塚市 |
-電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの次世代自動車に向けた研究開発体制を強化している。研究開発本部横浜研究所(横浜市西区)に次世代 電池材料の開発を行う「次世代電池研究開発センター」を設置するとともに、自動車電装技術研究所(神奈川県平塚市)でも同日付で「次世代自動車プロジェク トチーム」を発足する。次世代電池研究開発センターは、次世代自動車やスマートグリッドで重要な役割を果たす次世代電池に求められる「大容量」「長寿命」「高信頼性」に応える二次電池用材料を開発す る。 (2010年9月16日付日刊自動車新聞より)
製品開発
次世代自動車技術-超広帯域(UWB)技術を応用したレーダーの開発を引き続き進めている。自動車の安全機能の向上に有用な車両周辺監視センサーとして期待されており、システムメーカーおよび車両メーカーと技術協議を行っている。
-ハイブリッド車(HV)の駆動モータ向けに、相間絶縁紙が不要となることによるモータの小型化、かつ従来に無い高出力化が実現できる巻線を開発。あわせて次世代巻線に向けたさらなる低誘電率、高耐電圧、被膜の薄肉化の研究開発を加速している。
-取り扱いが容易な急速充電器用ケーブルを開発。電気自動車の車体に接続するためのコネクターとともに、年内にも量産開始を目指す。同社が急速充電器 用 部品分野に参入するのは、これが初めてとなる。ケーブル部分にはポリ塩化ビニール(PVC)を使用しており、配線や被覆構造の工夫により柔軟性を確保、充 電操作時などの取り回しを容易にした。外縁部にPVCを採用したことにより、ゴムを使用したタイプと比べて大幅な軽量化を実現した。(2011年3月3日付日刊自動車新聞より)
自動車用バッテリーセンサー
-自動車用バッテリーセンサーについて、2012年に車両メーカー向けの量産を開始する見通し。バッテリー電力を管理することにより、自動車のエネルギー利用効率化への貢献が期待されている。
アルミ電線を使用した自動車用ワイヤーハーネス
-アルミ電線を使用した自動車用ワイヤーハーネスの実用化技術を開発。従来の銅線ハーネスと比べ、40-50%の軽量化が可能だという。同社 はグループ内でアルミ合金材料からハーネス製造までを一貫して行う体制を整えており、今後、2011年度中の量産開始に向け、自動車メーカーなどとともに 需要の開拓を図る。 (2010年11月25日付日刊自動車新聞より)
高性能コルソン銅合金条
-車載電子機器やIT関連機器向けコネクターに使用する高性能コルソン銅合金条「EFCUBE(エフキューブ)-820」を開発した。独自の金属組織制御技 術を採用し、相反する特性である引っ張り強度と曲げ加工性を両立した。これにより、コネクターの小型化に貢献する。すでに大手コネクターメーカーにサンプ ル出荷を開始し、2012年度に新製品を含めたコルソン銅合金全体で月産200トンの生産を目指す。 (2010年9月8日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備投資額 - 古河電気工業(株) |
(単位:百万円) |
2011年3月期 | 2010年3月期 | 2009年3月期 | |
全社 | 27,947 | 25,433 | 41,275 |
設備投資
-リチウムイオン二次電池(KiB)の負極用材料である電解銅箔の月産能力を2013年7月をめどに現状の約3倍となる1500トンに増強。 台湾に69億円を投資し同500トンの生産子会社を新設するとともに、主力拠点の今市工場(栃木県日光市)の能力をほぼ2倍の同1000トンに引き上げ増産体制を整える計画。こうして急拡大が見込まれる電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)向けの需要をいち早く吸収し、13年に電解銅箔の世界シェアを現在の20%増となる60%に引き上げることを目指す。同社はこれまで日本で電解銅箔を生産していたが今後、自動車用途を中心にLiBの需要がグローバルに伸びていくことをにらみ海外生産に乗り出す。台湾を選択したのはすでに現地で電子回路用銅箔の生産を展開しており資材、人材のシナジーが見込めることと、 電力代が日本のほぼ半分でコスト削減に優位なことなどとした。台湾の新会社は「古河銅箔股份有限公司」で古河電工が全額出資し今年3月に設立する。操業開 始は12年9月、従業員数は100人を予定する。敷地面積は4万平方メートル。台湾拠点は量産の必要な自動車用銅箔の主要拠点に育成していく考えで生産技術の熟成を急ぐ。(2011年2月2日付日刊自動車新聞より)-車載用コネクターなどに使用される銅条生産についてアジアでの事業体制を一段と強化する。中国や東南アジアに銅条の加工を行うコイルセンターを2012年 までに新設。さらに原材料調達力の強化とコスト競争力の向上を目的として、中国の銅条事業子会社である古河金属無錫が現地企業のAX社と合弁に関する協議 に乗り出した。これにより、需要のおう盛なアジア地区における製品供給体制を拡充していき、金属関連事業全体の収益を底上げしていく考え。(2010年 10月5日付日刊自動車新聞より)
-コネクター用銅条の自動車業界向けへの提案活動を積極展開する。国内の生産拠点に大型設備を新規に導入したことにより、生産供給体制の増強とリードタイム の短縮を実現した。さらに、高強度と曲げ加工性を高いレベルで両立させた新製品の開発に成功した。生産体制と製品両面で競争力を高めたことから、質・量と もに要求レベルの高い自動車業界へのアプローチを再強化していく考え。同社は銅条を製造する日光事業所(栃木県日光市)に、大型設備としては25年ぶりの 導入となる仕上げ圧延機と連続焼鈍炉を新たに設置した。また、業界初の技術を採用した高性能の銅合金条「EFCUBE(エフキューブ)-820」を新開発 した。これらを基軸として自動車向けの取引拡大を目指す。 (2010年9月15日付日刊自動車新聞より)
-リチウムイオン電池などに使用する電解銅箔の事業体制を強化する。特に車載用電池向け銅箔の拡販に重点を置き、2012年度までにリチウムイオン電池向け 銅箔の売り上げにおける自動車用の構成比率を現状の1割から3、4割まで引き上げることを目指す。さらに、将来の需要増に対応するため、13年度以降の操 業開始を見据えた新工場の建設も検討する。(2010年5月19日付日刊自動車新聞より)
-2010-12年度までの設備投資計画において、自動車関連分野に集中投資する。同社は、10-12年度の3カ年の中期経営計画「ニューフロンティア 2012」の期間中で330億円の設備投資計画を打ち出している。このうち140億円程度を自動車関連に振り向けていく。計画では、アルミを用いた軽量の ワイヤーハーネスやリチウムイオン電池用の銅箔といったエコカー向けの研究開発に力を入れていく。また、新興国向けのビジネスに対応するための部品開発に 取り組んでいく考え。(2010年4月27日付日刊自動車新聞より)