豊田合成 (株) 2016年3月期の動向

業績

(単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 781,886 727,846 7.4 -北米での自動車生産台数増加
-円安効果により自動車部品事業が増収
営業利益 42,824 41,603 2.9 -増益要因:自動車部品事業の増販効果、合理化への取り組み
-減益要因:新製品の生産準備費用や開発費等の固定費増加、欧州における立ち上げ費用の増加
経常利益 41,490 43,792 (5.3) -為替差損
当期純利益 20,255 21,155 (4.3) -
自動車部品事業
売上高 747,089 687,516 8.7 -増収要因:米州や中国での自動車生産台数の増加、為替の影響
-減収要因:タイでの自動車生産台数の減少
セグメント利益 43,045 40,209 7.1 -増益要因:米州や中国での増販効果、為替の影響、グローバルでの合理化への取り組み
-減益要因:日本国内での開発費等の増加、グローバルでの生産能力増強に伴う償却費の増加、欧州での立ち上げ費用の増加



中長期経営計画 「TG2020 VISION」

売上高
-トヨタ以外への売上比率を2021年3月期に50%へ拡大することを目指す (2016年3月期は35%)。

技術開発
-自動車の安全性能に貢献する製品群: エアバッグ、ミリ波レーダー対応エンブレム、トラック向け脇見・居眠り警報ハンドル
-自動車の環境性能に貢献する 「軽量化」 製品群: 樹脂フューエルフィラーパイプ (インレットパイプ)

グローバル供給体制の整備

拠点 国名 内容 時期
本社 稲沢工場 日本 めっき・塗装設備更新 2015年3月~
豊田合成東日本 宮城工場 日本 稼働開始 2015年6月~
豊田合成 (上海) 管理有限公司 (中国統括拠点) 中国 技術機能強化 2015年1月~
豊田合成 (佛山) 汽車部品有限公司 中国 工場拡張 2015年6月~
Toyoda Gosei Minda India Pvt. Ltd. インド 稼働開始 2015年9月~
TG Fluid Systems USA Corporation (TGFSUS) 米国 新工場稼働 2014年11月~
TG Missouri Corporation (TGMO) 米国 工場拡張 2015年8月~
Toyoda Gosei Rubber Mexico, S.A. de C.V. (TGRMX) メキシコ 稼働開始 2015年2月~
Toyoda Gosei Irapuato Mexico, S.A. de C.V. (TGIMX) メキシコ 稼働開始 2016年4月~
Pecval Industria Ltda. ブラジル 資本参加 2015年11月~
GDBR Industria e Comercio de Componentes Quimicos e de Borracha Ltda. ブラジル 稼働開始 2015年1月~
Toyoda Gosei Meteor GmbH ドイツ 稼働開始 2014年5月~
Toyoda Gosei South Africa (Pty). Ltd. 南アフリカ 現地生産開始 2015年12月~



国内投資

豊田合成東日本 宮城工場
-2015年11月、東北地域生産子会社である豊田合成東日本は、自動車用ゴム部品などを生産する宮城工場で、竣工祝賀会を開催したと発表した。宮城工場は2015年6月に稼働を開始している。(2015年11月6日付プレスリリースより)

-2015年4月1日付で子会社のTG東日本株式会社の社名を 「豊田合成東日本株式会社」 に変更したと発表した。また、ハンドルやウェザーストリップを生産する豊田合成の岩手工場を豊田合成東日本に統合した。(2015年4月2日付プレスリリースより)

海外投資

<中国>
-2015年5月、中国の現地法人である豊田合成 (上海) 管理有限公司の新拠点で開所式を開いたと発表した。旧事業所はオフィスのみだったが、移転した新拠点では新たに実験棟も設けた。これにより、製品や素材の評価が現地で完結できるようになるという。今回の投資額は約1,800万元 (約3億円) となっており、現地機能の強化で世界最大市場の中国市場のニーズに合わせた製品開発に取り組む考えだ。(2015年5月20日付日刊自動車新聞より)

<インド>
-2016年7月、インドにエアバッグの製造を手掛ける新工場を建設すると発表した。2017年3月の操業を目指す。同社として4拠点目の現地工場で、主に日系自動車メーカーに部品を供給する。投資額は約5億5千万ルピー (約9億円)。現地では車両の安全規制の強化が控えており、これに対応するため、エアバッグの装着が必要不可欠になるとみられている。同社は供給体制の強化により、高まる需要に備える。新工場は2008年に設立した子会社のToyoda Gosei Minda India Pvt. Ltd.の第2工場となる。州はまたぐものの、第1工場と近いロケーション。両工場では運転席と助手席用エアバッグやハンドルに加え、ウェザーストリップ類の生産も手がける。(2016年7月15日付日刊自動車新聞より)

-2015年秋をめどにインドに自動車用ゴムホースを手がける新工場を建設すると発表。インドの部品大手Minda社と合弁で新会社Minda TG Rubber Pvt. Ltd.を設立。北部のハリヤナ州に新たな生産拠点を開設する。投資額は約12億円。従来、ブレーキホースやフューエルホースといったゴムホース製品は日本やタイから供給していたが、現地化を図ることで競争力を高める。2015年9月に生産を開始し、トヨタ自動車やスズキなどに納入する。中長期的には地場の自動車メーカーからの受注も目指す。2019年までに新会社の売上高は年17億円規模になると見ている。(2014年12月9日付日刊自動車新聞より)

<米国>
-2015年5月、北米地域生産子会社TG Fluid Systems USA Corporation (TGFSUS) がミシガン州Brightonにおいて新工場 「TGFSUS ビッグブライトン工場」 の開所式を行ったと発表した。投資額は約10.6百万ドル (約13億円)。燃料タンクおよびエンジン周辺の燃料用樹脂チューブなどの生産を行う。土地面積は約76,900平方メートルで、建屋面積は16,600平方メートル。TGFSUSはこれまで、ブライトン工場とハウエル工場の2工場で燃料用樹脂チューブの生産を行っていた。今後、2017年までに両工場の生産設備を新工場へ移転・集約させる計画。(2015年5月13日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-2016年8月、メキシコでウェザーストリップ製品の生産能力を2020年までに1.5倍に増強すると発表した。メキシコを含む北米地域の自動車生産の拡大に対応する。投資額は3,450万ドル (約34億5千万円) で、従業員数は今年3月末に対し540人増の1,450人を見込む。生産能力を増強するのは全額出資孫会社のToyoda Gosei Automotive Sealing Mexico, S.A. de C.V.。メキシコ中部サンルイスポトシ市の既存工場に生産設備を増設するほか、隣接地を取得し、生産準備を円滑に行うための試作設備を導入する。(2016年8月25日付日刊自動車新聞より)

-2016年5月、メキシコの生産子会社であるToyoda Gosei Irapuato Mexico, S.A. de C.V. (TGIMX) が本格稼働し、このほど開所式を行ったと発表した。TGIMXはラジエーターグリル、コンソールボックス、樹脂フューエルフィラーパイプなどの製品を米州の自動車メーカーに供給する。2017年夏には、めっき部品の生産も開始する予定。同社グループでは、メキシコですでに3子会社が稼働しており、 TGIMXの生産開始で、同社の自動車部品全4事業がそろったという。(2016年5月25日付日刊自動車新聞より)

<ブラジル>
-2016年4月、ブラジルの生産子会社GDBR Industria e Comercio de Componentes Quimicos e de Borracha Ltda.が開所式を実施したと発表した。同社にとって南米初の生産拠点で、ドアウェザーストリップなどのゴム製シーリング部品と、樹脂製のインパネ部品などの内外装部品、サイドエアバッグなどのセーフティシステム部品を製造している。GDBRはサンパウロ州イタペチニンガ市に立地する。建屋面積は1万8千平方メートルで、従業員数が約260人。2015年1月に自動車部品の生産を開始した。同社はブラジルでは、2015年11月に資本参加した現地樹脂部品製造会社との2拠点体制で、トヨタ自動車などの完成車メーカーに部品を供給している。(2016年4月16日付日刊自動車新聞より)

-2015年8月、ブラジルでインパネ構成部品やラジエーターグリルなど内外装用樹脂部品を手がけるPecval Industria Ltda.に資本参加すると発表した。出資の時期は10月、出資比率は30%を予定している。Pecvalはデンソーの子会社であるシミズ工業が全額出資している。Pecvalへの出資で、現地で供給する部品の品目や量を拡大して事業基盤の強化を図る。(2015年8月6日付日刊自動車新聞より)

<オーストラリア>
-2015年10月、オーストラリアでの納入先である自動車メーカーが生産事業から撤退することに伴い、子会社のToyoda Gosei Australia Pty. Ltd. (TGAU) の生産を終了すると発表した。生産終了時期は、自動車メーカーの撤退時期に合わせて決定する。TGAUの従業員数は現在約150名。ステアリングホイール、運転席エアバッグ、ウェザーストリップ、インストパネル構成部品などを生産している。(2015年10月13日付プレスリリースより)

研究開発活動

-バイオ燃料、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車などの動向を先取りした製品・技術
-各種環境規制に対応した材料および製品、生産技術

製品開発

-燃料キャップレス装置: 北米で生産開始。給油時に給油口キャップを開け閉めすることなく給油できる。
-プラチナ調めっき: Lexus 「RX」 のラジエーターグリルに採用。プラチナのように落ち着いた艶感のある樹脂加飾技術。
-警告機能付きハンドル: 居眠りや脇見運転を防止する。

  • 振動ハンドル: Lexus 「RX」 に採用。車線を逸脱したときにグリップ部が振動してドライバーに知らせる。 
  • 警報ハンドル: アフターマーケット用に、既販トラックのハンドルを置き換えることにより、内蔵カメラが居眠りや脇見を検知し、専用のスマートフォンアプリを通じて警報音を鳴らす機能を搭載。

-高さ可変式カップホルダー: Lexus 「RX」 プロジェクト表彰を受賞。
-樹脂フューエルフィラーパイプ: 「TNGA推進 優秀賞」 を受賞。
-小型モビリティのコンセプト車 「フレスビー」: 2015年東京モーターショーに出展。ボディにエアバッグを備える。
-燃料電池自動車用オールコンポジット高圧水素タンク
-パワー半導体デバイスチップ

警告機能付きハンドル
-2015年11月、ステアリングを振動させてドライバーに注意を喚起する 「警告機能付きハンドル」 を開発したと発表した。10月22日に全面改良したトヨタ自動車の上級ブランド 「レクサス」 のSUV 「RX」 に採用された。小型モーターを用いた振動ユニットをハンドル内部の芯金部に独自の方法で締結させ、競合他社に比べて作動音を約5割低減しながら振動を伝えやすくした。(2015年11月4日付日刊自動車新聞より)

-2016年3月、トラック向けの居眠りや脇見運転を抑制する後付けの警報システムを開発したと発表した。同様のシステムは一部で新車装着用が出ているが、既販車に装着できるものは少ない。世界初というカメラを内蔵したステアリングホイールで目の開度や顔の傾きなどを検知し、専用のスマートフォンを通じて音で警告する。同社は2016年度後半の発売を目指しており、乗用車に比べて重大化しやすいトラックの交通事故の削減につなげる。(2016年3月23日付日刊自動車新聞より)

パワー半導体デバイスチップ
-2016年7月、世界で初めて窒化ガリウム (GaN) を用いて20アンペアを超える大電流動作が可能な1.2キロボルト級パワー半導体デバイスチップを開発したと発表した。GaNは青色LEDの主要材料。同社は2010年からGaNを使った半導体の研究開発を進めてきた。大電力を扱うハイブリッド車 (HV) の電力制御装置などに適用できる。18~20年頃の実用化を目指す。同社は青色LEDを開発・生産しており、この開発や生産で培ったGaNの結晶成長技術を活用してパワー半導体を開発した。(2016年7月9日付日刊自動車新聞より)

-2015年5月、新たな低損失パワー半導体デバイス技術を開発したと発表した。青色LEDの主要原料である窒化ガリウム (GaN) を用いており、GaNの持つ高電圧にも耐える物理特性を開発に生かした。新技術を活用すると、1,200ボルトの高電圧をかけても通常時は電流が流れず、信号を与えた場合のみ流せるとしている。同社ではハイブリッド車などの電力制御装置を小型高効率化できると見ている。(2015年5月23日付日刊自動車新聞より)

研究開発体制

-開発本部、生産本部、オプトエレクトロニクス事業部技術部および海外子会社の豊田合成ノースアメリカ (北米)、豊田合成アジア (アジア)、豊田合成 (上海) 管理有限公司 (中国)、豊田合成ヨーロッパ (欧州・アフリカ地域) が連携し、グローバルな研究開発活動を展開。

研究開発拠点

北島技術センター 愛知県稲沢市
美和技術センター 愛知県あま市
TGR Technical Center, LLC 米国ミシガン州プリマス
Toyoda Gosei North America Corporation 米国ミシガン州トロイ
Toyoda Gosei Europe N.V. ベルギー
Toyoda Gosei Asia Co., Ltd. タイ チョンブリ
Toyoda Gosei (Shanghai) Co., Ltd. 中国 上海



技術導入契約

(2016年3月31日現在)
相手方の名称
(国名)
契約内容 契約期間
Autoliv Development AB
(スウェーデン)
カーテンエアバッグに関する特許ライセンス 2001年2月5日 -
2016年2月20日
Intier Automotive Interiors of America
(米国)
ウレタンスプレー表皮に関する特許・ノウハウライセンス 2002年11月18日 -
2019年5月10日
Daimler AG
(ドイツ)
ミリ波レーダー用カバーに関する特許ライセンス 2011年11月10日 -
2019年9月23日



技術援助契約

(2016年3月31日現在)
相手方の名称
(国名)
契約内容 契約期間
Stant Manufacturing, Inc.
(米国)
導電性フューエルキャップに関する特許・ノウハウライセンス 1998年11月17日 -
2018年12月21日
Magna Steyr Fuel Systems
(ドイツ)
導電性フューエルキャップに関する特許・ノウハウライセンス 2004年2月26日 -
2018年12月21日
Pong Codan Rubber (M) Co., Ltd.
(マレーシア)
ウェザーストリップに関する技術許諾契約 2007年7月16日 -
2017年7月15日



研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
自動車部品事業 25,600 26,600 25,700
オプトエレクトロニクス事業 2,700 2,900 3,400
合計 28,300 29,500 29,100


-2017年3月期 (予想) は、全社で29,000百万円。

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
自動車部品事業 53,500 63,400 41,600
非自動車部品事業 800 1,100 1,400
合計 54,400 64,700 43,000


-2017年3月期は、全社で47,000百万円の設備投資を計画。このうち自動車部品事業向けは45,500百万円。

2017年3月期の見通し

(単位:百万円)
2017年3月期
(予測)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 710,000 781,886 (9.2)
営業利益 36,000 42,824 (15.9)
経常利益 36,000 41,490 (13.2)
親会社株主に帰属する当期純利益 20,000 20,255 (1.3)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

-円高の影響が大きく、売上高、営業利益ともに前年を下回る見通し。
-前年度以上の合理化に取り組むが、製品構成・価格改訂、為替の影響が大きく、営業利益は減少する見通し。