河西工業 (株) 2014年3月期の動向
ハイライト
業績 |
(単位:百万円) |
2014年 3月期 |
2013年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 179,475 | 146,348 | 22.6 | 1) |
営業利益 | 8,954 | 3,333 | 168.6 | - |
経常利益 | 9,637 | 3,996 | 141.2 | - |
当期純利益 | 5,891 | 1,358 | 333.8 | - |
要因
1) 売上高
<日本>
-消費増税を控えた駆け込み需要による自動車販売の増加等により、前年比6.1%の増加。
<北米>
-堅調な米国経済効果を背景とした自動車需要の回復により、前年比28.6%の増加。
<欧州>
-主要得意先の堅調な販売動向により、前年比16.2%の増加。
<アジア>
-主要得意先の中国・ASEAN地域での販売が堅調に推移し、前年比60.6%の増加。
合弁事業
スペインのGrupo Antolinとの提携解消-スペインの内装部品メーカー、グループ・アントリン (以下アントリン) と、グローバルでの提携を解消することで合意。河西は日産自動車やルノーへの部品供給を効率的に行うことを主な目的にアントリンとの合弁事業などに取り組んできたが、業務の進め方の違いなどにより、顧客の要望に迅速に対応する体制をつくることが難しいと判断した。河西はドアトリム、アントリンはヘッドライニング (天井) が主力で、両社は製品の相互補完が成り立つ関係にあった。また、河西は日系、アントリンは欧州系の自動車メーカーが主要取引先で、受注の拡大へ生産拠点を相互に活用するメリットが大きいと見られていた。(2014年1月10日付日刊自動車新聞より)
東風偉世通汽車飾件系統有限公司 (東風ビステオン) との合弁設立
-湖北省の現地企業と自動車用内装部品製造・販売を行う合弁会社を設立すると発表。日産自動車の「Infiniti」ブランド車の現地生産化に向けてドアトリムの供給体制を整備し、顧客ニーズと今後の需要拡大に対応する。11月に中国湖北省襄陽国家高新技術産業開発区に新会社「東風河西 (襄陽) 汽車飾件系統有限公司 [Dongfeng Kasai (Xiangyang) Automotive Trim Systems Co., Ltd.]」を設立する。合弁の相手企業は東風偉世通汽車飾件系統有限公司 (東風ビステオン、DFV) で、資本金は7,700万元 (約12億円)。出資比率は河西工業が35%、DFVが65%。2016年度には年産20万台分を生産し、売上高は5億元 (約75億円) を見込む。(2013年11月12日付日刊自動車新聞より)
売却
-製造子会社「岩手河西」の発行済み株式の76%を、トヨタ系部品メーカーの小島プレス工業に譲渡すると発表。同子会社は2005年、関東自動車工業 (当時) 向けの内装部品を生産するために設立したが、最近は小島プレスからの生産委託業務の割合が増えていた。小島プレスは岩手河西を子会社化することにより、東北初の生産拠点を持つことになる。14年1月に株式を譲渡し、社名を「東北KAT」に変更する。河西工業は新会社の株式を引き続き24%保有する。小島プレスは13年1月に設立した東北進出のための準備会社、東北ATを通じ、新会社の株式を取得する。新会社は14年度に12億円の売り上げを目指す。(2013年11月15日付日刊自動車新聞より)海外事業
<英国>-Jaguar Land Rover社向けの新規事業がR-TEK Ltd.のMerthyr工場で開始。2015年に供給開始予定。
<中国>
-中国湖南省の開封河西汽車飾件 (有) [Kaifeng Kasai Automotive Trim Parts Co., Ltd.]において、東風汽車のVENUCIAブランド向けの新規事業が開始。2015年に供給開始予定。
事業計画
-2014年、長期経営ビジョン 「KR10 (Kasai Realize 10)」を策定。対象期間は2014年から2023年。テーマとして「グローバルで統一したモノづくりにより、優秀な品質を提供する」、「ONLY1技術を生み出し、No.1技術に進化させる」、「自動車業を主軸に新規ビジネスに挑戦する」を掲げており、最終年度の数値目標は以下の通り:- 売上高:300,000百万円
- 営業利益率:8%
- 内装トリムのグローバルシェア:10%
2015年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2015年3月期 (予測) |
2014年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 196,000 | 179,475 | 9.2 |
営業利益 | 10,000 | 8,954 | 11.7 |
経常利益 | 9,700 | 9,637 | 0.7 |
当期純利益 | 4,500 | 5,891 | (23.6) |
>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)
開発動向
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
全社 | 1,128 | 824 | 879 |
-研究開発費用はすべて日本に投資。
研究開発体制
-研究開発は、同社の先行・製品工法開発部 (日本) を中心に実施。-中国開発センターが2014年に運営を開始しているほか、北米開発センターが2014年内に稼働を予定している。また、メキシコの開発体制強化を図っている。
研究開発活動
軽量化-ドア、ピラー、天井、トランクトリム等すべての部品において軽量化が最重要開発テーマ。高品質、軽量、低コストを両立できるような製品開発を推進している。
安全性
-車室内の側面衝突安全性に寄与するエネルギー吸収部品を、同社独自の設計構造とすることで、高性能を低コストの射出成形部品で実現し、量産車に採用された。
-CAE (コンピュータ・シミュレーション) を駆使した側面衝突解析技術は台上実験での検証を裏付けに実用精度に到達し、量産車の安全性確保に寄与。
地球環境保全
-VOC (揮発性有機化学物質) の削減のため、粘着材、水溶性接着剤、ホットメルト等への変更、塗装から樹脂基材へ着色剤の練り込み等の代替工法への変更や各種材料の脱VOCを推進。
-樹脂部品への植物由来樹脂 (ポリ乳酸) の適用や塩化ビニール材のTPO (オレフィン系熱可塑性エラストマー)、TPU (ウレタン系熱可塑性エラストマー) への代替を推進。
車内快適性
-内装部品の防音性能の更なる向上を狙い、四駆シャシーダイナモを用いた実車実験、残響室等を用いた材料実験を踏まえ、音響理論やCAEを駆使して高性能な製品設計を推進している。
-低燃費と快適な車室内温度環境の両立を目指し、天井内装品等の断熱性能の向上開発を進めている。
魅力&便利商品
-ドア表皮やドアウエストオーナメントに代表されるような加飾部品、さわり心地の良い表面処理など美しく、やわらかく、しっとりしたドア内装品、夜間も内装を魅力的にするイルミネーション加飾、擦り傷の目立ちにくい樹脂を用いたピラーやラゲッジ・ルームの開発を推進。
設備投資
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2014年3月期 | 2013年3月期 | 2012年3月期 | |
日本 | 3,440 | 3,121 | 2,697 |
北米 | 6,052 | 6,843 | 1,942 |
欧州 | 1,027 | 647 | 291 |
アジア | 2,773 | 1,820 | 1,166 |
合計 | 13,294 | 12,433 | 6,097 |
国内投資
寄居工場に射出成形機を増設し、ドアトリムの生産能力増強-ドアトリムや天井などの内装部品を生産する寄居工場 (埼玉県寄居町) に射出成形機を増設する。2014年にも、成形能力が1,300トン、同1,600トンの成形機を1基ずつ、合計2基設置し、主力のドアトリムの生産能力を増強する。同社はホンダの新型「Fit」のドアトリムを受注し、同工場で生産を始めている。新機種追加による生産量の増加により、今年末以降、成形機の生産能力が不足する見通し。他工場の設備を移設して寄居の供給能力を高め、当面の需要の増加に対応する。(2013年9月25日付日刊自動車新聞より)
寄居工場に自動組立ラインを導入
-寄居工場(にドアトリムの自動組み立てラインを2013年中に導入する。溶着などの組み立て工程を完全自動化することによって人員効率を大幅に高めたラインで、主要取引先の日産自動車向けの工場で今年、初めて導入した。生産効率を高めた新ラインをホンダ向けの内装を生産する工場にも早期に導入することにより、コスト競争力と品質の安定度を高め、今後のグローバルでの受注拡大につなげる。(2013年7月12日付日刊自動車新聞より)
海外投資
<インドネシア>-インドネシアに第2工場を建設すると発表した。2014年4月から、日産自動車の小型車・SUV向けを中心とした内装部品を生産する。工場の増設により、インドネシアの年間売上高を、現在の約12億円から約30億円に倍増させる。敷地面積5千平方メートルの新工場を、ジャカルタ近郊・カラワン市の既存工場近くに、約12億円を投資して建設する。15年に従業員約100人を雇用する。 (2013年8月21日付日刊自動車新聞より)
<メキシコ>
-北米において生産がメキシコにシフトする等、同国での増産傾向が見られるため、メキシコ第3工場の設立を検討している。
設備の新設計画 |
(2014年3月31日現在) |
会社名 事業所名/ 所在地 |
設備の内容 | 投資予定額 (百万円) |
着手 | 完了 予定日 |
本社工場 (神奈川県寒川町) |
自動車内装部品組立設備、金型、治工具等 | 3,783 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
三重河西 (株) (三重県津市) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 159 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
群馬河西 (株) (群馬県明和町) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 407 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
九州河西 (株) (大分県宇佐市) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 304 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
M-TEK Inc. (米国テネシー州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 3,121 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
Kasai Mexicana S.A. de C. V. (メキシコ グァナファト州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 1,430 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
R-TEK Ltd. (英国タイン&ウェア郡) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 766 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
広州河西汽車内飾件 (有) [Guangzhou Kasai Automotive Interior Trim Parts Co., Ltd.] (中国広州市) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 1,073 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
Kasai Tec See Co., Ltd. (タイ アユタヤ県) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 254 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |
PT. Kasai Tec See Indonesia (インドネシア 西ジャワ州) |
自動車内装部品組立設備、治工具等 | 94 | 2014年 04月 |
2015年 03月 |