カヤバ工業株式会社 2007年度の動向
ハイライト
業績
(単位: 百万円) |
2008年 3月期 |
2007年 3月期 |
増減率 (%) |
主な要因 |
全社 | ||||
売上高 | 387,080 | 356,083 | 8.7 | 産業用油圧機器が大きく伸長、四輪車用油圧緩衝器や油圧機器も海外で増加。 |
経常利益 | 17,643 | 15,111 | 16.8 | 設備投資と税制改正による減価償却費の増加や原材料価格の増加などがあったが、売り上増加や売価改定などの諸施策により増益を記録。 |
純利益 | 8,397 | 6,959 | 20.7 | - |
油圧製品 | ||||
売上高 | 374,428 | 345,539 | 8.4 | 四輪車用油圧緩衝器の売上は米国で減少したものの、国内と欧州で増加。また、パワーステアリング製品を中心とする四輪車用油圧機器は、欧州やアジア地域で増加。 |
営業利益 | 23,812 | 20,213 | 17.8 | - |
受注
-トヨタ「ランドクルーザー」にAHC(Active Height Control Suspension)システム用のセンターシリンダを納入。
-富士重工「レガシィ」に新構造の電動式パワーステアリングを納入。
-日産「インフィニティ FX」に後輪操舵用の電動モータ駆動式アクチュエータを納入。
>>>詳細は 開発動向 参照
海外動向
-米国
2008年3月期に予定していた「KYB Manufacturing North America, Inc.」への増産投資を5億円減額。北米ビッグスリーだけでなく、日系大手からの受注も横ばいに転じたため。同拠点はショックアブソーバーを生産している。
>>>詳細は 設備投資 参照
-欧州
欧州のショックアブソーバー生産を再編する。労務費の上昇が著しいスペイン工場にOEM・市販用とも高付加価値品を集約する一方、低コストのチェコ工場は量産品目に特化する。物流効率などを優先した結果、それぞれが多品種少量の生産配置となっており、生産性が上がらなかった。低価格品や高付加価値品ごとに量を束ね、増量効果を追求する。緩衝器を生産する欧州法人は、KYBサスペンションズ・ヨーロッパ(KYBSE)とKYBマニュファクチャリング・チェコ(KYBCZ)。KYBSEは日産-ルノー向けや欧州域内の市販用緩衝器が主体だが、量産品も少なくない。KYBCZはトヨタ、ルノー、マジャールスズキなど、OEM供給が9割以上を占める。(2007年11月20日付日刊自動車新聞より)
事業計画
-2011年3月期の経営目標
連結自己資本利益率(ROE) : 11%以上
連結経常利益率 : 6%以上
連結売上高 : 4,400億円以上
開発動向
研究開発体制
名称 | 所在地 | 研究内容 |
基盤技術研究所 | 神奈川県 相模原市 |
油圧機器、自動車機器などに関する基礎研究と新製品・新技術の開発 |
生産技術研究所 | 岐阜県 可児市 |
性能向上、低コスト化等の商品力向上のための開発 |
-海外拠点
2004年、アジアの開発拠点としてタイにテクニカルセンターを設立。
研究開発費
(単位:百万円) | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
油圧製品 | 3,264 | 3,636 | 3,606 |
研究開発活動 (2008年3月期)
油圧緩衝器
-トヨタ「ランドクルーザー」向けに、AHC(Active Height Control Suspension)システム用のセンターシリンダを開発し、納入。これは、前後輪のショックアブソーバをX字配管で連結することにより、タイヤの接地荷重変動や車体のローリング、ピッチング変動を減少させて悪路走破性を向上させたもの。
-生産技術分野では、岐阜北工場のベーンポンプ生産ラインをKYB金山(株)に移設し、ベーンポンプ関連設備を集約し、専門工場とした。また、KYB
Manufacturing North America, Inc.にストラット型ショックアブソーバーの生産ラインを増設。
-製品技術分野の基盤技術開発として、鉱物油を使用しない生分解性油やグリコール系水溶液、不活性ガスを用いた環境適応型ダンパー
(Green Technological Damper)の開発に取り組んでいる。
油圧機器
-水平対向エンジン車用に高出力ブラシレスモータでピニオンを駆動する、新構造の電動式パワーステアリングを開発。富士重工「レガシィ」などの中小型車に採用された。
-従来の7kgから4kgに軽量化した後輪操舵用の電動モータ駆動式アクチュエータを開発。日産「インフィニティ FX」向けに納入。
-生産技術分野では、上記電動式パワーステアリングで重要部品となる減速機を内製化。性能のファインチューニングを可能にするとともに、スムーズな量産立上を実現。
その他機器
-電子機器では、交通事故前後の状況を画像に記録し、事故の原因分析や安全運転に役立てるためのドライブレコーダーに、国土交通省がエコドライブを推進するために支援しているEMS(エコドライブ管理システム)対応機能を付加した、新型DRE-120を開発。
基盤技術
-共同研究として、東京大学およびトヨタ(株)と共同で「電磁力を使ったサスペンションのエネルギー収支を考慮した四輪制御の研究」を実施。
自動車関連の技術供与契約 (2008年3月31日現在)
契約先 (国名) |
契約対象 | 契約内容 | 契約期間 | ||||||
Kayaba-UMW Malaysia
Sdn. Bdn. (マレーシア) |
-自動車用ショックアブソーバ -二輪車用フロントフォーク -オイルクッションユニット |
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1993年10月13日 ~ 2010年10月12日 |
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P. T. Kayaba Indonesia (インドネシア) |
-自動車用ショックアブソーバ -二輪車用フロントフォーク -オイルクッションユニット |
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1994年3月18日 ~ 2009年1月31日 |
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KYB (Thailand) Co.,
Ltd. (タイ) |
-自動車用ショックアブソーバ -二輪車用フロントフォーク -オイルクッションユニット |
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1996年2月1日 ~ 2009年1月31日 |
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KYB Manufacturing
North America, Inc. (米国) |
-自動車用ショックアブソーバ |
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2001年10月1日 ~ 2009年9月30日 |
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Gabriel India Limited (インド) |
-自動車用ショックアブソーバ |
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2003年2月20日 ~ 2008年2月19日 |
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KYB Steering Spain,
S.A. (スペイン) |
-自動車用油圧機器 |
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2004年1月1日 ~ 2011年12月31日 |
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KYB Suspensions Europe,
S.A. (スペイン) |
-自動車用ショックアブソーバ |
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2004年10月1日 ~ 2009年9月30日 |
設備投資
(単位:百万円) | 2008年3月期 | 2007年3月期 | 2006年3月期 |
全社 | 23,564 | 19,735 | 15,677 |
油圧製品 | 23,243 | 19,336 | 15,248 |
2008年3月期、油圧製品事業では、KYB Suspensions Europe, S.A.(スペイン)、KYB Manufacturing Czech s.r.o. (チェコ)、KYB Manufacturing North America, Inc. (米国)を中心に設備投資を実施。
2008年3月期に予定していた米国での増産投資を5億円減額する。構成部品の生産ラインと最終組立ラインを合わせ、8ラインの新設計画を4ラインに縮小する。原油高やサブプライムローン問題などで景気減速感が強まっており、米ビッグスリーだけでなく、主要取引先の日系大手からの受注も横ばいに転じ始めたため。増産規模を抑制するのはショックアブソーバーを生産する「KYBマニュファクチャリング・ノースアメリカ」(インディアナ州)。2008年3月期中に31億円を投じ、建屋および生産ラインを増設する計画だった。すでに22億円をかけて建屋は完成している。2008年3月期中に新設するのは、それぞれ半減となる加工ライン3本と組み立てライン1本。投資額は4億円に抑える。米国工場の緩衝器生産は、年間660万本から同980万本に50%増やす計画だったが、今回の軌道修正により33%増の880万本体制となる。(2007年11月27日付日刊自動車新聞より)
設備投資計画 (2009年3月期)
2009年3月期の設備新設・改修に係る投資計画金額は、25,000百万円。そのうち油圧製品事業で24,300百万円を予定。