カルソニックカンセイ (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 1,053,318 | 965,564 | 9.1 | -主要顧客の生産台数増加や、円安による為替の影響が寄与 |
営業利益 | 38,236 | 31,598 | 21.0 | -主に販売好調の米州に牽引された |
経常利益 | 34,387 | 28,283 | 21.6 | -為替差損の増加あるも、営業利益の増加により増益 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 22,516 | 20,106 | 12.0 | - |
-2016年3月期、同社グループの連結売上高は主要顧客の生産台数の増加や、円安による為替の影響が寄与し、過去最高の1兆533億円となり前年度比877億円 (9.1%)の増収となった。
-2013~2015年度、売上高・営業利益とも3期連続で過去最高を更新。
受注
-同社は、ダイハツ工業から軽自動車用のインストルメントパネルを初受注し納入を始めた。インパネを主要取引先の日産自動車以外から受注したのは初めて。ダイハツとは熱交換製品など一部で取引があったが、内装部品での取引はこれまでなかった。同社は販売先の拡大に向けた戦略商品としてコンプレッサーや電子部品を据えている。ダイハツからの受注を機に、内装部品の販路拡大にも本格的に取り組む。ダイハツが昨年秋に発売した新型軽自動車「キャスト」のインパネを受注した。(2016年2月2日付日刊自動車新聞より)
-日産圏外向けの売上高を2016年度に2011年度比で30%増加することを目指す。2011~2014年度の4年間累計で1,100億円超の日産外受注を獲得。
中期経営計画
-2011年6月、2016年度までの中期経営計画「CK GX4 T10」を策定。「4つのG」 をキーとした成長戦略の実行により、3つの 「T10の実現」 を目指す。
- 4つの「G」: Green・Growth・Global・Great Company
- 3つの「T10の実現」:
1) 世界をリードする環境対応新製品を10製品創出する →2014年度までに7製品を実用化、市場投入。2015年度は2製品を投入。
>>>詳細は「製品開発」を参照
2) 売上高 Globalトップ10 を実現する →2016年度に売上高1兆円以上の目標に対し、2015年度に一年前倒しで達成
3) 営業利益のレベルでも Globalトップ10 を実現する →2016年度に営業利益率7%レベル
2017年3月期の見通し |
(単位:億円) |
2017年3月期 (見通し) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
売上高 | 10,000 | 10,533 | (5.1) |
営業利益 | 390 | 382 | 2.1 |
経常利益 | 370 | 344 | 7.6 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 250 | 225 | 11.1 |
地域別売上高の見通し |
(単位:億円) |
2017年3月期 (見通し) |
2016年3月期 (実績) |
増減率 (%) |
|
日本 | 3,700 | 3,449 | 7.3 |
米州 | 3,800 | 4,262 | (10.8) |
欧州 | 1,200 | 1,262 | (4.9) |
アジア | 2,000 | 2,223 | (10.0) |
*2016年3月期実績調整額:(663億円)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
日本 | 23,140 | 21,960 | 22,210 |
米州 | 3,220 | 2,900 | 2,360 |
欧州 | 1,060 | 1,230 | 1,220 |
アジア | 1,790 | 1,610 | 1,260 |
合計 | 29,210 | 27,720 | 27,050 |
研究開発体制
拠点名 | 所在地 |
研究開発センター・本社 | 埼玉県さいたま市 |
実験研究センター | 栃木県佐野市 |
生産技術センター | 埼玉県比企郡 |
Calsonic Kansei North America Technical Center | 米国ミシガン州 |
Calsonic Kansei Europe Technology Center | 英国カマーゼン州 |
CTC-EU MB | 英国ベッドフォードシャー州 |
康奈可 (上海) 汽車技術研発有限公司 [Calsonic Kansei (Shanghai) Automotive Technology R&D Co., Limited] |
中国上海市 |
康奈可 (上海) 汽車技術研発有限公司 広州分公司 [Calsonic Kansei (Shanghai) Automotive Technology R&D Co., Limited, Guangzhou Branch] |
中国広東省広州市 |
-日本の研究開発センター・本社、実験研究センター、生産技術センターのコラボレーションを推進し、これを核にグローバル展開を図っている。
-同社は、英国イングランドのBedfordshireに新たな研究開発拠点を開設すると発表した。英国の主要自動車部品メーカーとのビジネス拡大のための研究開発業務を行う。従業員数は約40名で、2016年4月中旬から稼働を開始する予定。(2016年3月31日付プレスリリースより)
-同社は、L&T Technology ServicesとインドChennaiでテストセンター「Material Test Centre (MTC)」の開所式を行ったと発表した。MTCは、L&T Technology Servicesにより設立・運営され、日本・欧州・北米・タイ・インドにおける同社の材料試験のニーズに対応する。同センターは、自動車向けプラスチックをテストするための最新設備を備えている。(2016年2月26日付プレスリリースより)
<日本>
-グローバルな製品要求に対する開発活動を行うセンターとして「先行・基本・アプリケーション開発」を担う。将来の開発技術の創出を行う先行・基本開発へのリソースを強化しており、競争力向上を図っていく方針。
-製品競争力の要素である価格面での優位性を高めるため、標準化促進による開発効率向上や原価低減活動を促進しており、その一環としてLCC (Low Cost Country) 開発能力の活用、具体的にはCalsonic Kansei Engineering Center India-L&T (以下CECI-L&T)や、シーケーエンジニアリング上海への開発業務移管を進めている。
<米州>
-日本において基本開発および車両製品開発アプリケーション仕様が決定した後、米州における開発体制を活用し、現地顧客との調整を行った上で開発完了とする。メキシコ向け製品の開発についても米州にて管理・運営を行っている。
<欧州>
-米州と同様の機能を有している。Renaultとの連携においては極めて重要な開発活動の一端を担う。
<アジア>
-中国市場の拡大とともに開発の重要性が増加。同社エンジニアリングセンターの開発体制を大幅に拡大させている。中国向け製品開発の役割を日本と分担し、効率良い協業体制を取ることを目指している。
-2012年度にインド・チェンナイに設立したグローバル・エンジニアリング・センターのCalsonic Kansei Engineering Center India-L&T (CECI-L&T) での開発業務を一層拡大。
研究開発活動
製品競争力向上
-環境技術ニーズに対応した熱交換器等、環境対応コンポーネント/システムの開発
-燃費向上、浄化性能向上に貢献する排気システム、構成部品の開発
-モジュールの高度化と構成部品の高性能化、軽量化開発
-安全を促進するメーターや情報提供システム及び操作系システムの開発
-快適な運転環境を提供する空調システムの開発
-新興市場向け低価格車両用のシステム、製品開発
戦略製品開発
-次世代環境対応車両に向けた熱・電力エネルギーマネジメントシステム、製品開発
-HMI (ヒューマン・マシン・インターフェース)、コックピットモジュールおよび車両のデザイン・性能に影響を及ぼすフロントエンドモジュールに関わるシステム・製品開発
製品開発
-中期経営計画 「CK GX4 T10」 (2012~2016年度) に環境対応新製品を10製品創出。→コミットした10の新製品は既に市場投入完了 (立体縫製表皮ラッピング・ステッチ付真空成型表皮インストパネル、ビルトインオイルクーラー/ウォーマー)
インストルメントパネル向け新ラッピング技術
同社は、本革を使ったインストルメントパネルの新しいラッピング技術を開発したと発表した。近く発売される日産自動車の新型車に採用される見通しで、すでに量産を開始している。素材の裁断から縫製、接着までを機械化、手作業を極力廃したことで生産効率を高めた。内装の質感を向上する技術として、自動車メーカーに提案していく。新技術はインストルメントパネルの形に合わせた立体形状の皮革を造り、これを樹脂製の芯材に巻きつける。これまで縫製を手作業で行わなければならなかった。糸を縫い付けるステッチの位置を自由にコントロールする技術を確立することで機械化し、生産性を大幅に向上、量産が可能となった。 (2016年6月2日付日刊自動車新聞より)
ビルトインオイルクーラー/ウォーマー
同社は、トランスミッションオイルを冷却・加熱するビルトインオイルクーラー/ウォーマーの新製品の生産を始めたと発表した。中国工場で生産し、ジヤトコ(静岡県富士市)に納入する。従来品に対し高さを半減し、搭載性を向上した。ビルトインオイルクーラー/ウォーマーは、トランスミッションオイルの冷却に加え、エンジン始動時にトランスミッションオイルを速やかに適温まで暖めることでフリクションロスを低減する役割がある。中国江蘇省無錫の工場で生産する。 (2015年11月13日付日刊自動車新聞より)
ディーゼル車用の新型EGRクーラー
同社は ディーゼル車用の新型EGR(排出ガス再循環)クーラーを開発する。ガソリン車用で製品化した独自構造を用い、高効率で小型のタイプを開発する。EGRクーラーはディーゼル車では排出ガス中の窒素酸化物(NOX)の低減のために使われている。ディーゼル車は経済性の高さから、乗用車でも設定が増えており、競争力の高い製品を投入して販売量の拡大につなげる。同社はグループの東京ラヂエーター製造との共同開発により、ガソリン車用EGRクーラーを開発し、製品化している。同装置は排出ガスを冷やしてエンジン内に戻す装置で、ガソリン車に搭載すると燃費性能の向上につながる。年間60万台分を生産・販売しており、今後は受注の拡大によって同200万台へと生産規模が拡大するとしている。(2015年6 月17日付日刊自動車新聞より)
長寿命・低騒音・超小型ブラシレスモーターシリーズ
-2013年度に電動車両向けバッテリー冷却ファン用のブラシレスモーター (出力50Wタイプ) を開発。日産 「Skyline HEV」 (2013年11月発売) に採用され、2015年度、2016年度発売予定の日産HEV向けも受注。
-2014年度にHVACブロアファン用ブラシレスモーターシリーズ (出力200Wタイプ) を製品化。GMの世界戦略車のHVAC用として、中国向け車両を皮切りに採用 (2014年10月発表)。GM以外の米系メーカーからも受注 (2016年度発売予定車種)。
New-CRコンプレッサーシリーズ
-2014年11月、小型・軽量・省電力化を図った新型コンプレッサー「ニューCRシリーズ」の生産を始めたと発表。クラストップの軽量、省電力により、実用燃費の向上に寄与する。2018年には、国内外で年間300万個を生産する。圧縮ガスの吐出損失を減らすことにより、コンプレッサーの駆動動力を低減し、エンジンの負荷を9%軽くした。小型化、部品点数の削減を図り、同一性能比で10~20%の軽量化を実現。(2014年11月26日付日刊自動車新聞より)
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
日本 | 12,800 | 9,000 | 7,000 |
米州 | 5,700 | 6,900 | 10,400 |
欧州 | 1,400 | 2,500 | 3,600 |
アジア | 5,800 | 5,900 | 9,100 |
調整値 | - | - | (1,000) |
合計 | 25,700 | 24,300 | 29,100 |
-主要受注先のモデルチェンジに対応した生産設備の投資を行なったほか、増産に対応した能力増強投資、競争力強化のための実験設備投資を中心に実施。
設備の新設計画 |
(単位:百万円) |
2017年3月期 | |
日本 | 9,400 |
米州 | 8,200 |
欧州 | 1,200 |
アジア | 6,200 |
合計 | 25,000 |
-2017年3月期の設備投資額は前期比4.2%増の25,000百万円を計画。