(株) タチエス 2011年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2011年
3月期
2010年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 218,805 192,172 13.9 1)
営業利益 11,526 6,051 90.5 -
経常利益 13,563 7,938 70.9 -
当期純利益 8,729 3,786 130.5 -
要因
1)
-東日本大震災に伴う得意先自動車メーカー各社での減産の影響は受けたが、総じて国内外共に自動車座席の受注は堅調に推移した。

<日本>
-下期の補助金終了による需要冷え込みや東日本大震災の影響があったが、上期における景気刺激策の効果や補助金終了前の駆け込み需要などの特需もあり、総じて自動車座席の受注は堅調であった。売上高は 1,148億14百万円(前年度比4.9%増)となり、営業利益は40億53百万円(前年度比60.9%増)。

<米国>
-自動車需要の回復により、売上高は425億40百万円(前年度比8.8%増)、営業利益は28億84百万円(前年度比58.0%増)。

<カナダ>
-北米での自動車需要の回復および得意先自動車メーカーの販売促進効果により、売上高は140億49百万円(前年度比27.4%増)、営業利益は7億26百万円(前年度比565.7%増)となった。

<メキシコ>
-北米での自動車需要回復により、売上高は253億95百万円(前年度比37.5%増)、営業利益は16億13百万円(前年度比238.9%増)となった。

<フランス>
-部品販売が増加したことから、売上高は16億19百万円(前年度比131.1%増)、営業利益は45百万円(前年度比134.6%増)となった。

<中国>
-引続き好調な自動車需要を背景に、売上高は203億85百万円(前年度比52.0%増)、営業利益は22億13百万円(前年度比103.5%増)となった。

事業提携

ジョンソンコントロールズと包括提携を締結。日系完成車メーカー向けシートの受注、開発、製造に関する戦略的パートナーシップを形成する。ジョンソンコントロールズがタチエスの発行済み株式の5%を約17億円で取得する。これにより、タチエスの筆頭株主となる。また、タチエスは ジョンソンコントロールズへの株式売却による資金を使い、新技術センターを立ち上げる。ジョンソンコントロールズとタチエスは、1980年代から北米、日本、中国において協力関係を構築している。(2010年4月26日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-中国資本の自動車メーカーへの技術提案活動を強化する。5月に始める吉利自動車へのシートの供給を契機に、開発や生産に必要なコスト基準を構築し、中国向 けの提案力を高める。日系向けシートに比べ大幅なコストダウンにつながる手法を水平展開し、非日系顧客の開拓を狙う。(2011年3月8日付日刊自動車新聞より)

<インドネシア>
-インドネシアへの生産進出を検討する。工場建設にあたっては複数の完成車メーカー向けのシートを一つの工場で生産することを視野に入れる。同国は主要取引 先である完成車メーカーの工場が集積している。各メーカーの需要に対して一つの工場で柔軟に対応することで設備投資や固定費を抑え、より効率を重視した生 産体制を目指す。(2011年2月22日付日刊自動車新聞より)

新会社

-富士機工は2011年1月、信昌国際投資有限公司(台湾)およびタチエス(日本)との合弁で、中国に新会社を設立する。新会社の名称は「浙江富昌泰汽車部 件有限公司」(Zhejiang Fu Chong Tai Automotive Parts Co., Ltd.)。浙江省嘉善(Jiashan)に拠点を置き、シート機構部品の開発・生産を行う。まずは2011年11月からシート部品の組み立てを行う予 定。その後は機構部品の内製化も計画している。なお、新会社の資本金は12百万米ドル。出資比率は富士機工51.0%、信昌国際投資40.0%、タチエス 9.0%となっている。(2010年12月3日付プレスリリースより)

-同社は中国に新会社「上海泰極愛思汽車部件有限公司」(Shanghai Tachi-S Automotive Parts Co., Ltd.)を設立すると発表した。設立は2010年10月の予定。2011年3月より自動車用シートストラクチャーなどの生産を開始する。2015年12 月期には年間100万台分を生産し、約95億円の売上を計画している。なお、新会社の資本金は54百万RMB(約7億円)で、タチエスの全額出資による。 (2010年9月24日付プレスリリースより)

-2010年9月中旬、中国の浙江省慈渓(Cixi)市に新会社を設立。浙江倶進汽摩配件有限公司(台州市)および浙江吉利控股集団(杭州市)との合弁 により、吉利汽車向けに自動車用シート、シート部品を製造する。新会社の名称は「浙江吉倶泰汽車座椅有限公司(Zhejiang Gee Ju Tai Automotive Seat Co., Ltd.)」。資本金は38百万中国元(約5億円)で、タチエス40%、浙江倶進汽摩配件51%、浙江吉利控股集団9%を出資する。2011年1月に稼働 開始し、生産能力は年間10万台分の予定。なお、初年度の投資額は約2億円で、2011年度には売上高約49億円を計画。タチエスはこれまで、中国で主に 日系自動車メーカー向けにシートを生産してきた。今回、吉利汽車向けの生産拠点を立ち上げ、中国事業の更なる拡大を図る考え。(2010年7月30日付プ レスリリースより)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2012年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減
売上高 202,000 218,805 (16,805)
営業利益 8,500 11,526 (3,026)
経常利益 10,600 13,563 (2,963)
当期純利益 6,500 8,729 (2,229)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 2,695
2,482 3,575

研究開発拠点

タチエス技術センター
東京都青梅市
タチエス技術センター愛知 愛知県安城市
Tachi-S Engineering U.S.A. Inc. 米国ミシガン州
Tachi-S Engineering Europe S.A.R.L. フランス ヴェリジー・ビラクブレー市
福州泰昌汽車座椅開発有限公司
[Tachi-S Engineering China]
中国福州市

研究開発体制

-新製品の開発および新技術の基礎研究は主に国内の開発拠点を中心に日米欧中での開発拠点の相互補完体制により行っている。また、基礎開発は、主に国内の技術センターにおいて効率的な開発を行うとともに、米国・欧州の拠点及び国内外の技術提携先企業等を通じて、先進技術や周辺技術の積極的な情報収集を行っている。

-国内において1999年8月に富士機工株式会社と、2006年11月には河西工業株式会社とそれぞれ業務提携を行い、機構部品及び樹脂成形部品の技術開発力の向上と、海外研究開発拠点の共同利用等を強化していく方針。

研究開発活動

<日本>
-研究開発の拠点として日本国内では東京都青梅市にタチエス技術センターを開設し、関東地区の開発体制の集約を図りタチエスグループの開発体制の中心として機能し、新製品開発や新技術開発への対応を行っている。中京地区では、愛知県安城市にタチエス技術センター愛知を開設した。

シート及びオリジナル機構部品開発
-自動車及びその他乗り物用シート、またシートのリクライニングデバイス、スライドレール、大移動量リフター、床下格納デバイス、RV車用シートのロングスライドレール及びその付属機構、回転ユニット等の開発をシートシステムとして行い採用が進んでいる。

安全性向上技術開発
-安全性向上として、3点式シートベルト組込シート、サイドエアバック組込シート、乗員感知式スマートエアバック対応シート、頸部障害軽減システム等の開発を行い、採用されている。また前後面、側面衝突に対応した安全シート構造の研究開発を行っている。

環境対応技術開発
-環境対策では、各種環境負荷物質の全廃に向けての対応や、自動車の燃費向上のため新材料、新構造技術を織り込んだ超軽量シートの開発等を行い、得意先各社へ提案し採用されている。

福祉車両商品の開発
-福祉車両用に操作性、乗降性に優れたヘルパーシートの開発を行い、得意先各社へ提案し採用されている。

原価低減商品の開発
-標準化、共通化を踏まえた低コスト次世代シートを開発し、国内外の得意先各社に採用されている。

生産技術開発
-接着成形シートの改良技術開発、ヘッドレスト、アームレストの一体発泡成形技術開発、シート組立の省力化.自動化技術開発、CAD/CAMによる型製作等を展開。多品種少量生産を可能にした混流ラインを開発し、車種数や商品構成の増加に対応する。

シートの研究分野
-より快適なシートの開発を目指し、「座り心地」評価と、あるべきシートの構造方式について自主研究を継続。さらに、短期間での性能、質量、コストのバランスの取れた設計のため、CAE解析を行い開発期間短縮、コストダウン等を推進。

シートデザインの開発
-将来シートコンセプト、新商品のデザイン開発、コーポレートデザインなどシートを含め同社に関するあらゆる分野のデザイン開発を独自で取組み、得意先各社へ提案し採用されている。

<米国>
-1986年にミシガン州にタチエスエンジニアリング U.S.A.INC.を開設し、1998年6月には、技術開発力をより強化するため新社屋を完成さた。主に、米国内での各自動車メーカーの新製品開発に独自に対応し、米国やメキシコでの量産化に貢献している。

<フランス>
-2004年に仏ヴェリジー.ビラクブレー市にタチエス エンジニアリング ヨーロッパS.A.R.L.を設立。欧州での営業、開発拠点として合弁会社の統括機能を持たせるべく、体制の強化を図っている。

<中国>
-2008年8月に、中華人民共和国福建省福州市に福州泰昌汽車座椅開発有限公司を設立し、2010年には新建屋が完成した。本格化する中国での研究開発体制を整え、現地のニーズの取入れから、現地で開発し得意先へ提案できるよう体制の強化を図る。主に中国生産車種のマイナーチェンジへの対応や、今後の中国国内の自動車メーカーからの要望に応えていく。

技術導入契約

(2011年3月31日現在)

相手先 国名 内容 契約期間
Isringhausen GmbH & Co. KG ドイツ サスペンションシステムの製造・販売継続権に関するライセンス契約及びシート技術と販売ノウハウの相互自由開示と自由使用(除特許)契約 1985年11月 - 無期限又は一方の6ヶ月前の予告により終結

技術援助契約

(2011年3月31日現在)

相手先 国名 内容 契約期間
Auto Parts Manufacturers Co., Sdn. Bhd. マレーシア 契約製品の製造に必要なノウハウの供与及び契約製品の製造に必要な機械・設備の供給(別契約必要)等に関する技術援助契約 2000年3月 - 2015年3月

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2011年3月期 2010年3月期 2009年3月期
全社 1,873
1,072 2,839

-新規受注・モデルチェンジ等に伴う生産対応設備を中心に設備投資を実施。

<日本>
-主な投資は、モデルチェンジに伴う生産対応設備。設備投資総額は12億58百万円。

<米国>
-主な投資は、生産設備の更新等に伴うもの。設備投資の総額は9千9百万円であります。

<カナダ>
-主な投資は、モデルチェンジに伴う生産対応設備。設備投資の総額は2百万円。

<メキシコ>
-主な投資は、新規受注及びモデルチェンジ等に伴う生産対応設備。設備投資の総額は2億1千2百万円。

<中国>
-主な投資は、工場の増設及び新規受注に伴う生産対応設備。設備投資の総額は3億2百万円。

主な設備の新設

(2011年3月31日現在)

会社名/事業所名 設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着工 完成予定
技術・モノづくりセンター 営業・調達・設計・開発・試作・実験等技術およびモノづくり全般 2,160 2011年
5月
2012年
3月
鈴鹿工場 自動車座席用製造設備 794 2011年
7月
2012年
2月
Industria de Asiento
Superior, S. A. de C. V.
本社工場他
自動車座席用製造設備 628 2011年
1月
2011年
12月
栃木工場 自動車座席用製造設備 661 2011年
6月
2013年
2月
愛知工場 自動車座席用製造設備 608 2011年
4月
2012年
4月

Setex Inc.

本社工場他

自動車座席用製造設備 552 2011年
7月
2012年
3月
青梅工場 自動車座席用製造設備 368 2010年
6月
2012年
8月
広州泰李汽車座椅有限公司
[Tacle Guangzhou Automotive Seat Co., Ltd.]
本社工場
自動車座席用製造設備 146 2011年
1月
2011年
12月