Bosch Group (China) [Bosch Group (中国事業)] 2012年12月期の動向
ハイライト
事業概況
-近年は研究開発の現地化を促進、中国市場向けに現地化した製品の開発および生産を拡大。-ディーゼルシステム、ガソリンシステム、自動車エレクトロニクス、電動システム、シャシーシステムの分野で事業を展開。
2012年動向
-ボッシュは2012年4月27日、2011年の事業状況および今後の戦略を北京で発表した。2011年の中国における売上高は423億元、前年比13%増。 うち自動車技術部門の売上高は前年比7%増の249億元であった。中国での投資額は41億元と引き続き生産能力の拡大に努めている。また現地の研究開発能力の強化にも注力しており、3大事業部門 (自動車、産業技術、消費財・建設) で13のテクニカルセンターをすでに設立、2700名を超える研究者を擁している。2011年の開発実績としては中国市場向けエコノミー商用車用排気後処理システムDenoxtronic 6.5 がある。これは間もなく実施される中国Ⅳ排ガス規制をクリアする。2012年にはボッシュグループの総投資額のうち30%がアジア太平洋地区に向けられ、 中国での投資額は2015年まで毎年30億元から40億元となる。今後中国では省エネ環境保護技術開発に力を入れていくが、現在120名の現地人員が新エネルギー車の研究開発に当たっている。また地域としては西部地区を強化、2012年2月には四川省成都にシャシー工場が新たに完成した。 (2012年4月27日付けプレスリリースより)子会社
-ZFの子会社「上海采埃孚転向機有限公司 (ZF Shanghai Steering Co., Ltd.)」の2012年のステアリング売上数量は330万セット超、売上高は60億元を超え前年比60%増を記録した。現在同社は第3の工場建設を準備 しており、完成後は上海GM、上汽GM五菱、東風汽車、長安フォード、一汽VW (成都) などに製品を供給する予定。2012年12月1300万台目となる油圧ステアリングをラインオフした煙台公司では、デュアルピニオン電動パワース テアリング (EPSdp) の生産に力を入れており、2012年は前年の生産台数64万台をはるかに上回る150万台超を生産、販売した。また新しい分野と して同社は2012年8月、上海汽車の電気自動車「栄威E50」向けに初めてコラム式電動パワーステアリング (EPSc) をラインオフした。研究開発面では2012年5月にZFグループ本部以外では最大となる研究開発センターをオープンした。現在230名の技術者を擁し、今までに35の特許を取得、現在12の特許を申請中である。 (2013年3月4日付け各種リリースより)■ディーゼルシステム
新工場
-ボッシュの子会社「博世汽車柴油系統股份有限公司 (Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.)」は2012年11月30日、第二の生産拠点の建設を青島ハイテク技術開発区で開始した。同社は2012年3月、総額1.6億元を投じ 新工場を建設すると発表していた。新工場ではクリーンディーゼルエンジン技術の開発と大型、小型商用車および乗用車用コモンレールインジェクターの生産を行う。(2012年11月30日付けプレスリリースより)
無錫威孚が生産能力を増強
-無錫威孚高科技集団股份有限公司は非公開株式の発行により資金調達を行い次のプロジェクトに投資を行う。
1. WAPS (コモンレール式アキュムレータ分配システム) の研究開発及び産業化とコモンレール式ディゼールシステム部品の生産能力拡大 (投資額 650百万元)
2. 排気ガス後処理システムの産業化 (投資額 260百万元。子会社無錫威孚力達催化浄化器有限公司が実施)
3. 工程研究院プロジェクト (投資額 70百万元)
4. 新しい生産拠点「威孚工業園(Weifu Industrial Park)」の建設 (投資額 650百万元)
5. 自動車動力電池及び電池材料の研究開発 (投資額 100百万元)
6. 企業買収 (投資額 343.815百万元)
(2012年2月28日付け会社公告より)
■ガソリンシステム
聯合汽車電子の西安工場が移転
-<ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」の西安工場は3億元をかけ移転し規模を拡大する。移転先は同じ開発区内の製造メーカー集中区域で、敷地面積は現在の26,640平方メートルから2倍以上の広さとなる。2012年3月28日、開発区側と正式に移転の契約を結んだ。新しい工場の稼働1年目の売上高は23億元、税引き前利益は1億元から2億元になると見込んでいる。(2012年4月プレスリリースより)
聯合汽車電子が上海VW、一汽VWから受注
-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は2011年末、上海VW、一汽VWから次世代エンジンEA211TSIおよびEA888GEN3用ガソリン直噴射システム (高圧ポンプと高圧インジェクター) とEA211TSIエンジン用コントローラーを受注した。受注額は2013年から2018年までの間で80 億元にのぼる見込み。(2012年1月17日付けプレスリリースより)
■自動車エレクトロニクス
新会社
-ボッシュは2012年11月28日、蕪湖瑞創投資有限公司 (Wuhu Ruichuang Investment) およびオーストラリアAtechとの共同出資により、安徽省蕪湖 (Wuhu, Anhui) の経済技術開発区にマルチメディア部門の合弁会社「博世汽車多媒体 (蕪湖) 有限公司 (Bosch Car Multimedia Wuhu Co., Ltd.)」を設立したと発表。Boschの出資比率は60%。合弁会社はアジア太平洋地区自動車インストルメント・クラスター業務部門のエンジニアリン グ技術センターと生産拠点の役割を担う。生産能力はインストルメント・クラスター200万台規模となる予定。合弁会社設立の合意書は2012年4月に締結 しており、すでにAtechから170名のエンジニアを含む従業員480名が合弁会社に転入している。 (2012年11月28日付けプレスリリースより)
-Bosch China Investmentは、奇瑞汽車 (Chery) とAtech Australiaの合弁会社に関して、過半数株式を取得すると発表。この合弁会社は中国・安徽省蕪湖 ((Wuhu) 市を本拠とし、インストルメントクラ スターや車載インフォテインメントシステムの開発・生産・販売を行っている。従業員数は500名で、2011年の売上額は約200百万元 (22百万ユー ロ) を記録した。(2012年4月25日付プレスリリースより)
■自動車用モータ新会社
-ボッシュ中国と一汽四環集団有限公司 (FAW Sihuan Group) は長春ハイテク開発区に合弁会社「博世汽車部件 (長春) 有限公司 (Bosch Automotive Components (Changchun) Co., Ltd.)」を設立し、2012年10月25日正式に開業した。総投資額は2.4億元。登録資本金は8,000万元で、出資比率はボッシュ55%、一汽四 環45%。10月より生産を開始。年産能力はスターター60万個、オルタネーター55万個。主な供給先は一汽VW、一汽轎車などFAWグループ傘下の自動車メーカーを中心とした東北市場。この合弁会社はボッシュにとって初の東北地区の生産拠点であり、スターターモーター・オルタネーター部門では長沙についで2カ所目となる。(2012年10月31日付け各種リリースより)
-ボッシュの子会社博世汽車部件 (長沙) 有限公司 (Bosch Automotive Products (Changsha) Co., Ltd.)は2012年10月12日、新しいテクニカルセンターと工場の操業を開始した。約7億元を投じて建設したこの拠点ではオルタネーター、エアコ ン、エンジン冷却系統、ワイパーシステム、小型モーターなどの研究開発と生産を行う。工場敷地面積は12,760平方メートル。この工場の稼働により博世 汽車部件 (長沙) 有限公司の従業員数は5,000名を超え、生産能力は倍増される見込みである。テクニカルセンターはボッシュのグローバル研究開発拠点の 一つとして350名の技術者を擁し、世界と中国の市場に照準を合わせ研究開発に当たる。同社は新しい工場とテクニカルセンターが協力することで製品の現地化周期を大幅に短縮できると期待している。 (2012年10月16日付け各種リリースより)
提携
-Boschの中国法人は2012年8月13日、電動スクーターモーター大手「寧波北斗科技有限公司 (Ningbo Polaris Technology Co., Ltd.)」と合弁会社を設立し、電動スクーターモーターを生産販売することで合意した。ボッシュが株式の過半数を保有するが、詳細は明らかにされていない。現在独占禁止法に関する審査が行われている。寧波北斗科技の2011年の電動スクーターモーター販売台数は100万台超、従業員数は約450名。 (2012年8月14日付け各種リリースより)
-ボッシュへ2010年より部品を供給している信質電機股份有限公司 (Xin Zhi Motor Co., Ltd.) は、提携の強化とボッシュにおけるシェア拡大を狙い、ボッシュ長沙の生産拠点内に工場を建設する。2012年6月23日、双方は提携の合意書を締結。ボッシュ向けに自動車ジェネレーターステータ、マイクロモーターロータ、スターターロータ、モーターハウジングなどを生産する。(2012年6月25日付け信質電機会社公告より)
■シャーシシステム
ブレーキキャリパー生産拠点を武漢へ移転
-ボッシュは長期的発展戦略に立ち、蘇州のブレーキキャリパー生産拠点全体を神龍汽車が3つの生産拠点を置く武漢技術開発区に移転する。2012年11月2 日、子会社泛博制動部件(武漢)有限公司(Foundation Brakes (Suzhou) Co., Ltd.)はその工場建設に着工した。総投資額は1億米ドル。第一期工事として50百万米ドルを投じ建築面積1.8万平方メートルのブレーキキャリパー工場を建設する。2013年6月稼働開始予定で、年産能力は500万本。13億元の売上を見込んでいる。製品は神龍汽車のほか中西部地区の自動車メーカーへも供給する計画。(2012年11月3日付け各種リリースより)
四川新工場建設
- 四川省成都市経済開発区に「博世汽車部件(成都)有限公司」を建設する起工式を行ったと発表。敷地面積は約127,000平方メートル、投資総額が1.37億ドル(約8.8億元)。一期建設は4,380万ドル(約2.8億元)を投入、年間ABS/ESPシステムを140万個、輪速センサを1,900万個を生産する体制を備える。2013年初完成する見込み。(2012年2月14日付けプレスリリースより)
受賞
-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は2013年1月、次の2012年度各賞を受賞したと発表した。
- 昌河汽車 (Changhe Automobile) の優秀サプライヤーベストテン
- 上海GM五菱 (SAIC-GM-Wuling) の優秀サプライヤー賞
- 海馬乗用車 (Haima Automobile) の優秀サプライヤー賞
- 一汽海馬 (FAW Haima) の品質賞
- 上海GM (Shanghai GM) のベストサプライヤー賞
- 上海汽車 (SAIC Motor) のベストサプライヤー賞
(2013年1月プレスリリースより)
-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は2012年11月から12月にかけて、次の2012年度各賞を受賞したと発表した。
- 長安スズキ (Changan Suzuki) のベスト新製品開発賞
- 北汽福田 (Beiqi Foton) の同時開発優秀サプライヤー賞
- 神龍汽車 (Dongfeng-Peugeot-Citroen) の優秀サプライヤー賞
- 北京汽車 (BAIC Motor) の優秀開発賞
- 東風柳州汽車 (Dongfeng Liuzhou Motor) の優秀サプライヤー賞と開発貢献賞および個人に対する優秀サービスマン賞
- 東安三菱汽車の優秀サプライヤー賞
- 瀋陽航天三菱 (Shenyang Aerospace Mitsubishi Motors Engine) の優秀サプライヤー賞
- 上海GM五菱 (SAIC-GM-Wuling) の十年ベストパートナー賞、
- 哈爾浜東安汽車動力 (Harbin Dongan Auto Engine) の優秀サプライヤー賞
(2012年12月プレスリリースより)
-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は2012年5月18日、広州汽車集団乗用車有限公司 (GAC Motor Co., Ltd.) が開催したサプライヤー大会において優秀サプライヤー賞と優秀提携賞を受賞した。(2012年5月プレスリリースより)
-ボッシュの子会社「聯合汽車電子有限公司」は下記のとおり各賞を受賞した。
- 上海GM (Shanghai GM) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 上海VW (Shanghai VW) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 上汽GM五菱 (SAIC-GM-Wuling) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 奇瑞汽車 (Chery Automobile) 2011年度ベスト協力サプライヤー賞
- 上海汽車 (SAIC Motor) ベストサプライヤー賞
- 一汽海馬汽車 (FAW Haima Motor) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 長安スズキ (Changan Suzuki) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 東風柳州汽車 (Dongfeng Liuzhou Motor) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 北汽福田 (Beiqi Foton) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 哈爾浜東安汽車動力 (Harbin Dongan Auto Engine) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 東安三菱 (Dongan Mitsubishi) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 哈飛汽車 (Hafei Motor) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 瀋陽航天三菱 (Shenyang Aerospace Mitsubishi) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 重慶長安新能源汽車有限公司 (Chongqing Changan New Energy Auto) 2011年度優秀サプライヤー賞
- 長安汽車 (Changan Automobile) 2011年度研究開発貢献賞
- 江淮汽車発動機 (Jiang huai Automotive Engine) 2011年度共同開発貢献賞
- 江淮乗用車 (Jiang huai Automotive) 2011年度品質貢献賞
- 華晨中華 (Huachen Zhonghua) 2011年度研究開発貢献賞
- 重慶力帆乗用車 (Chongqing Lifan Motors) 2011年度技術貢献賞
- 長城汽車の2011年度サービス賞
(2012年2月24日付けプレスリリースより)
開発動向
研究開発体制
-上海 (Shanghai)、無錫 (Wuxi)、蘇州 (Suzhou)、重慶 (Chingqing) および長沙 (Changsha)の5カ所にテクニカルセンターを保有し、中国市場に特化した先端技術の研究開発を行う。中国のニーズにすばやく対応するため、開発研究者の現地採用を強化。
-2008年11月に冬季自動車性能試験センターを内蒙古牙克石 (Yakeshi, Inner Mongolia) に開設。
テクニカルセンター
所在地 | 設立年 | 名称 | 業容 |
1.上海 | 1995年 | 聯合汽車電子有限公司技術中心 (United Automotive Electronic Systems Co., Ltd.Technology Center ) |
ガソリンエンジンシステムの研究開発 |
2.無錫 | 2005年 | 博世柴油技術中心 (Bosch Diesel Technology Center) |
ディーゼルエンジンシステムの研究開発 |
3.蘇州 | 2005年 | 博世(蘇州)技術中心 (Bosch Suzhou Technoligy Center) |
自動車電子技術及びブレーキシステムの研究開発 |
4.重慶 | 2006年 | 聯合汽車電子有限公司(重慶)技術中心 (United Automotive Electronic Systems Co., Ltd. Chingqing Technology Center) |
ガソリンエンジンシステムのマッチング技術サポート等 |
5.長沙 | 2012年 | 博世(長沙)技術中心 (Bosch Changsha Technoligy Center) |
電動システム、、スターターモーターの研究開発 |
試験センター
所在地 | 設立年 | 名称 | 業容 |
1.内蒙古 牙克石 |
2007年 | 博世 (呼倫貝爾) 汽車測試技術中心有限公司 (Bosch (Hulunbeier) Automotive Winter Testing Co, Ltd.) | 寒冷気候条件下でのABS、ESP、TCS等各種アクティブセーフティーシステムの走行テスト |
2.東海 | 2010年 | 博世 (東海) 夏季汽車測試技術中心 (Bosch (Donghai) Automotive Test & Technology Center Co., Ltd.) | ABS、ESPなどのセイフティ技術と製品の研究開発及び評価測定テスト |
ECUソリューション
所在地 | 設立年 | 名称 | 業容 |
上海 | 2005年 | 易特馳汽車技術 (上海) 有限公司 (ETAS Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd.) | ECU開発 |
設備投資
青島生産拠点の建設
-ボッシュの子会社「博世汽車柴油系統股份有限公司 (Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.)」は第二の生産拠点を青島ハイテク技術開発区に建設する。敷地面積は11万平方メートル。2013年7月1日より施行される中国Ⅳ排ガス基準を見据え、高圧コモンレールシステムインジェクタを生産する。建設は2期に分けて行う。投資額はそれぞれ約8億元。このコモンレールシステムを採用するディーゼルエンジンは同類のガソリンエンジンに比べ燃料消費量を30%、CO2排出量を25%低減できる。 (2012年3月16日付け各種リリースよ り)
無錫威孚が生産能力を拡大
-無錫威孚高科技集団股份有限公司は非公開株式の発行により資金調達を行い次のプロジェクトに投資を行う。
1. WAPS (コモンレール式アキュムレータ分配システム) の研究開発および産業化とコモンレール式ディゼールシステム部品の生産能力拡大 (投資額 650百万元)
2. 排気ガス後処理システムの産業化 (投資額 260百万元。子会社無錫威孚力達催化浄化器有限公司が実施)
3. 工程研究院プロジェクト (投資額 70百万元)
4. 新しい生産拠点「威孚工業園(Weifu Industrial Park)」の建設 (投資額 650百万元)
5. 自動車動力電池および電池材料の研究開発 (投資額 100百万元)
6. 企業買収 (投資額 343.815百万元)
(2012年2月28日付け会社公告より)