(株) GSユアサ 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全体
売上高 285,434 272,514 4.7 -アジア、豪州を中心に海外で売上が増加したこと、および車載用リチウムイオン電池販売の本格的な立ち上がりが寄与し増収。
営業利益 16,030 17,589 (8.9) -売上が増加したが、リチウムイオン電池事業における投資等の償却負担の増加、主要原材料である鉛相場の上昇、海外子会社における経費増加が影響し減益。
経常利益 17,991 17,513 2.7 -
当期純利益 11,733 11,722 0.1 -
国内自動車電池
売上高 58,784 58,887 (0.2) -新車用のアイドリングストップ車用電池およびハイブリッド車用密閉電池の販売が好調。
営業利益 4,266 4,837 (11.8) -
リチウムイオン電池
売上高 20,974 11,964 75.3 -量産販売の本格化が寄与し、増収。
営業利益 (3,265) (1,271) - -生産能力拡大に向けた設備投資に伴い、減価償却費が増加。


受注

ハイブリッド車(HV)の補機用鉛蓄電池
-ハイブリッド車(HV)の補機用鉛蓄電池がトヨタ自動車のHV「Aqua」と、プラグインHV「Prius PHV」に採用されたと発表した。電池形式はAquaが「S34B20R」、Prius PHVが「S34B20R」と「S46B24R」。GSユアサは1997年から2011年12月末までで、補機用鉛蓄電池を270万個以上出荷している。(2012年3月13日付日刊自動車新聞より)

アイドリングストップ車用鉛蓄電池
-同社のアイドリングストップ車用鉛蓄電池が以下車種に採用。従来の始動用鉛蓄電池と比較し、高出力・高入力・高耐久性が特長であり、今後海外生産拠点での製品開発を進め、世界的に進むアイドリングストップ車の普及に対応する方針。

  • ダイハツ 「Move」
  • ダイハツ 「Tanto」
  • スズキ 「MR Wagon」
  • スズキ 「Wagon R」
  • スズキ 「Wagon R Stingray」
  • スズキ 「Alto Eco」
  • ホンダ 「N BOX」
  • トヨタ 「Vitz」

リチウムイオン電池
-子会社リチウムエナジージャパン (LEJ)のリチウムイオン電池「LEV50」が、三菱「i-MiEV」のGグレード(電池容量16kWh)に採用されたと発表。また、2011年末に発売予定の軽商用電気自動車「MINICAB-MiEV」のより長距離走行が可能なグレード(電池容量16kWh)への搭載も決定している。同社のリチウムイオン電池は、2009年6月に「i-MiEV」に初搭載されて以来、PSA Peugeot Citroenの「iOn」、「C-Zero」に採用されているほか、「Partner」、「Berlingo」への搭載も決定している。(2011年7月6日付プレスリリースより)

国内事業

-同社、三菱自動車および三菱商事が出資するリチウムエナジージャパン(LEJ)は16日、滋賀県栗東市に完成した「栗東工場」を関係者らに公開した。来月から稼働する予定で、電気自動車(EV)に搭載するリチウムイオン電池などを年間で約800万メガワット時生産する。三菱自動車のEV「i-MiEV」では5万台分に相当する。同工場の稼動開始で、LEJの既存工場を含めた生産能力は約1090メガワット時(i-MiEVで約6万7800台)となる。(2012年2月17日付日刊自動車新聞より)

-防災対応型電気自動車(EV)急速充電システム「PV-EVシステム」の販売開始を発表した。太陽光発電と蓄電池を組み合わせて環境負荷を低減するもので、災害などの停電時に防災型電源としても利用できる。年間100台を販売し、2012年には12億円の売り上げを目指す。(2011年11月22日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<タイ>
-タイで蓄電池生産体制の再編、増産投資を行い、2014年までに大幅な増産体制を整えると発表した。自動車用、オートバイ用、フォークリフト用など各事業へ経営資源を集中投下する。タイ国内やASEAN(東南アジア諸国連合)など急拡大するアジア地域の各用途蓄電池市場に対応し、競争力を強化する。現在、同社のタイ国内の自動車用電池生産能力は年間380万個だが、14年には58%増の600万個に引き上げる方針。積極的な設備投資を行い、近年普及が進んでいるアイドリングストップ車用蓄電池などを中心に生産を強化する。オートバイ用、フォークリフト用もそれぞれ20%増、100%増まで生産能力を増強する方針だ。自動車用、オートバイ用の蓄電池を生産する同社タイ関係会社の「サイアム ジーエスバッテリー」は現在新工場を建設しており、今年3月末の完成を予定している。14年には自動車車用電池の生産能力は約67%増の500万個になる見通し。同じく関係会社の「ユアサバッテリー(タイランド)」は工場の集約などを行い、主にオートバイ用電池事業を強化する方針だ。(2012年2月24日付日刊自動車新聞より)

<中国、東南アジア>
-中国や東南アジアなど海外拠点で鉛蓄電池部材のグループ集中調達を強化すると発表した。コストダウン期待額は2011年度に5億円、12年度に10億円を見込む。同社は世界19カ国で生産・販売を合わせて41拠点を展開している。現在、部材の調達は各生産拠点が個別にサプライヤーと価格交渉している。11年度からは同社の調達部門が各生産拠点の部材発注数量を取りまとめ、サプライヤーと価格交渉する。対象拠点は中国や東南アジアなどの14生産拠点。対象部材は鉛やセパレーター、樹脂など。効果を見ながら対象拠点を追加する。(2011年4月26日付日刊自動車新聞より)

2013年3月期 セグメント別業績見通し

(単位:億円)
  2013年3月期
(予想)
2012年3月期
(実績)
増減率
(%)
国内自動車電池 売上高 600 588 2.0
営業利益 50 43 16.3
国内産業用電池および電源装置 売上高 730 685 6.6
営業利益 100 96 4.2
海外 売上高 1,270 1,209 5.0
営業利益 80 60 33.3
リチウムイオン 売上高 320 210 52.4
営業利益 (40) (33) -
その他 売上高 180 162 11.1
営業利益 (10) (6) -
合計 売上高 3,100 2,854 8.6
営業利益 180 160 12.5

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
国内自動車電池 596 - -
国内産業電池および電源装置 1,558 - -
海外 639 - -
リチウムイオン電池 2,995 - -
その他 460 - -
合計 6,250 5,854 4,442

 

研究開発拠点

セグメント 会社名 所在地
国内自動車電池 (株)GSユアサ 日本 京都
海外 (株)GSユアサ 日本 京都
台灣杰士電池工業股份有限公司
[GS Battery Taiwan Co.,Ltd.]
台湾 台南
Yuasa Battery, Inc. 米国 ペンシルバニア州
湯浅(天津)實業有限公司
[Yuasa (Tianjin) Technology Ltd.]
中国 天津
リチウムイオン電池 (株)GSユアサ 日本 京都
(株)リチウムエナジージャパン 日本 滋賀県
(株)ブルーエナジー 日本 京都
(株)ジーエス・ユアサ テクノロジー 日本 京都

研究開発活動

国内自動車電池
-自動車用鉛蓄電池に関する研究開発を実施。この分野では、普及が進んでいる「充電制御車」および「アイドリングストップ車」などの低燃費車両に必要な自動車用電池技術として、充電受入性の向上などの開発を推進。

海外
-鉛蓄電池およびニッケル水素電池に関する研究開発を実施。自動車用鉛蓄電池の分野では、海外で生産・使用される「充電制御車」および「アイドリングストップ車」向け電池の開発を実施。この技術に基づいて、タイにおいてアイドリングストップ車用鉛蓄電池の生産を開始している。また、タイとインドネシアでは、二重蓋構造のメンテナンスフリー電池のラインナップを充実させた。

リチウムイオン電池
-リチウムイオン電池基礎研究開発
  • 中大型電池の信頼性・安全性の向上を目的として様々な研究を実施。特にリン酸鉄リチウム正極の早期事業化に向けた研究開発
  • リチウムイオン電池のさらなる性能向上を図るため、次世代正極、次世代負極材料の探索並びにその性能評価
  • ポストリチウムイオン電池に向けた研究
-車載用リチウムイオン電池
  • LEV50に続く高性能の新型セルの開発
  • ハイブリッド車用リチウムイオン電池のEH4に続く高性能の新型セルの開発

製品開発

環境配慮型バッテリー
-環境配慮型バッテリー「ECO.RシリーズNEO」で充電受入性の向上や機種追加など商品力を強化したと発表した。充電制御車やアイドリングストップ乗用車の増加に対応する。11月から発売し、年間で100万個の販売を目指す。「ECO.R LS」と「ECO.R」は今回の改良で電解液にリチウムを配合し、充電受入性をそれぞれの現行品に比べ約5%向上した。同社標準品比ではECO.R LSが約27%、ECO.Rが約22%向上している。オルタネータの発電を制御することで燃費を改善する充電制御車の特性により合うよう進化を図った。(2011年10月1日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
国内自動車電池 679 - -
国内産業電池および電源装置 890 - -
海外 3,447 - -
リチウムイオン電池 30,525 - -
その他 3,306 - -
合計 38,849 20,005 16,911

 
-2013年3月期のリチウムイオン電池事業の設備投資額は、300億円、同海外事業は50億円を予定。

国内投資

-子会社リチウムエナジージャパン(LEJ)が車載用リチウムイオン電池の生産に向け、12月15日より滋賀県の栗東工場第二期工事を着工すると発表。LEJは現在、同市内に工場棟・テストセンターなどで構成する第一期工事を完了させ、2012年4月からの量産に向けて準備を進めている。今回の第二期工事では、工場棟1棟の建設を2012年8月に完了する予定。生産開始は2013年春を見込む。最大設備投資額は約300億円。従業員数は栗東工場第一期と第二期を合わせて、フル生産時に約1,100名となる予定。第二工事の敷地面積は46,000平方メートル、延床面積50,000平方メートルで、年間の最大生産能力は約1.2GWhとなる。これは、EV用リチウムイオン電池LEV50(3.7V・50Ah)に換算して約650万セル。三菱の「i-MiEV」に換算すると約7.5万台にあたる。なお、LEJは滋賀県草津市および京都府京都市にリチウムイオン電池工場を保有しており、栗東第一期・第二期を合計した年間の最大生産能力は、LEV50に換算して約1,250万セル(約2.3GWh・同約15万台分)となる見込み。(2011年12月13日付プレスリリースより)


設備の新設

(2012年3月31日現在)
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定総額
(百万円)
着手 完成
予定
目的
(株)GSユアサ
(京都市南区)
自動車用蓄電池等の製造設備 818 2012年
3月
2013年3月期および2013年4月以降 コスト低減
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 323 2012年
3月
2013年3月期および2013年4月以降 生産能力の拡大
研究開発設備、その他製造設備、関係会社賃貸設備等 2,966 2012年
3月
2013年3月期および2013年4月以降 研究開発設備の拡充、コスト低減、製造設備の新設等
(株)リチウムエナジー ジャパン
(京都市南区)
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 25,578 2011年
11月
2013年3月期および2013年4月以降 製造設備の新設、生産能力の拡充
(株)ブルーエナジー
(京都市福知山市)
車載用リチウムイオン電池等の製造設備 14,326 2012年
1月
2013年3月期および2013年4月以降 製造設備の新設
台灣杰士電池工業股份有限公司
[GS Battery Taiwan Co.,Ltd.]
(台湾台南市)
鉛蓄電池等の製造設備 756 2011年
12月
2013年3月期および2013年4月以降 生産能力の拡大
天津杰士電池有限公司
[Tianjin GS Battery Co., Ltd.]
(中国天津市)
鉛蓄電池等の製造設備 893 2011年
12月
2013年3月期および2013年4月以降 生産能力の拡大
湯浅蓄電池(順徳)有限公司
[Yuasa Battery (Shunde) Co., Ltd.]
(中国広東省)
鉛蓄電池等の製造設備 685 2011年
12月
2013年3月期および2013年4月以降 生産能力の拡大
PT. Yuasa Battery Indonesia
(インドネシア タンゲラン)
鉛蓄電池等の製造設備 508 2011年
12月
2013年3月期および2013年4月以降 生産能力の拡大
GS Battery Vietnam Co., Ltd.
(ベトナム ビンズン省)
鉛蓄電池等の製造設備 657 2011年
12月
2013年3月期および2013年4月以降 生産能力の拡大